(用語)
 自然の法則にありながら、その流れを歪めるモノとして必要とされなかった力。歪み。自然の一部であるために自然と繋がり外界を変質させる。さまざまな種と類があり、総じて正当な流れにあるものには邪に映るモノのこと。たとえば、鬼は始まりからして正当な流れになく、生粋の魔である。
 これはキリスト教の教義でいう神と表裏一体であるために教会は認めている。聖堂教会でいう『受肉した魔』は生物である以前に『魔』として創造されたため、人間より高度な魔術を使う。人間のような後付の魔術回路はなく、その生体機能のすべてが『魔』を呼び込むための機能である。教会ではそれを『真性悪魔』と呼ぶ。人間の想念を被って『固体名』になる偽物とはちがう、主が遣わした、人が名付ける前からそうであった本当の『悪魔』だと。


マーサ・マッケンジー(人名:Zero)
 グレン・マッケンジーの妻。耳が遠い。高いところが苦手。
 第四次聖杯戦争においてウェイバー・ベルベットによりウェイバーが孫であると暗示をかけられ、第四次聖杯戦争終結までウェイバー・ベルベットが実の孫だと思い込んだままだった。


マーブルマ・ランドセルー(用語/武装:ネコアルク)
 空想具現化による強化体操服。
 グレートキャッツビレッジと、これを殲滅するために侵攻してくるであろう某軍事大国への対策として日本が独立小国アインツベルンに開発を依頼した夢の体操服。コストの削減が最大のテーマであり、武装そのものはほぼ下着と同じくらいコンパクト。
 マーブルマ・ランドセルーは強力なマイナスイオンとアルファー波を放出して履いた兵士の脳をクロックアップ、無敵の超兵士へと生まれ変わらせる。弾丸を避けるぐらいのことは朝飯前。
 こうして多くのマーブルマ兵士が戦場に送り出されて優勢であったウェアキャットたちを押し返すのだが、大戦末期には敵側にもマーブルマ・ランドセルーが渡ってしまい、マーブルマ姿の兵士とマーブルマ姿のネコアルクが激突することになった。まさに地獄。


マーリン(人名/魔術師)
 アーサー王付きの魔術師。インキュバスとの混血だという。
 ウーサー・ペンドラゴンのために竜の因子を持つアルトリアを作り、アルトリアを王から預かって老騎士に預けた。また、岩に刺さった『勝利すべき黄金の剣』を用意して王の選定をした。
 性格は悪く、悪戯好きで女好き。そのために幽閉された。セイバー曰く「悪戯好きさえなければもう少しまともな時代になった」。


埋葬機関(組織)
 教会の切り札といえる吸血鬼専門の異端審問機関。信仰は二の次で、ただ異端を抹殺する力さえあればよいという部署。
 メンバーは形式だけでもアデプトで扱いは司祭級、さらに特別権限を持つ異端審問員。ただし彼らが異端審問をすることなどないので、単に代行者、または殺し屋とも呼ばれる。メンバーの証として普段は見えない羽の生えた十字架(剣)の刺青を施す。そこに刻まれている数字が機関でのナンバー。
 完全な実力主義制で、能力があり教会にとって都合の悪いモノを始末するのなら誰でも一員になれる。ただしメンバーとしては年功序列が根強い。メンバーは揃って味覚がおかしい。
 1位から7位の構成員と1名の補欠で構成される。1位は代々ナルバレックで5位がメレム・ソロモン、6位がミスター・ダウンとその相棒(ミスター・ダウン単独では暫定6位)、7位がシエル。補欠は教会から優れた者をスカウトするが、審問のたびに死亡する為にめまぐるしく交代する。メンバーには表立っては禁忌とされる魔術を好む者、捕らえてきた異端者を奴隷として扱う者、近代兵器マニアや殺人快楽性となかなか飽きさせない人材が集まっている。埋葬機関のメンバーはサーヴァントと渡り合うことができる(シエルは防戦レベル)。埋葬機関の1位と2位が胃界教典を持って動くと、事実上最強とされる。
 騎士団でも手に負えない場合に出動し、彼らの行いが事後承諾でないときなどない。時には教会の意向に逆らっても異端を排除する。たとえ大司教でも悪魔憑き、異端ならば処刑する権限と実力を持っているために、教会でも厄介者扱いされている。この機関こそ教会における異端と囁かれるのも当然だろう。
 全吸血鬼の排除と因となる二十七祖の封印を目的とするが、もとは聖遺物の収集をしていた。
 他国の退魔組織と協力することは絶対になく、常に単体で行動する。アルクェイド・ブリュンスタッドは教会側の要請を受けて時折教会と手を組んで死徒を滅ぼしたが、それを埋葬機関は快く思っていないらしく、リスト外であるアルクェイドを隙あらば封印しようと企んでいるらしい。
 また二十七祖であるメレム・ソロモン、エル・ナハトの両名が埋葬機関に協力しており、ともに無理強いされているように見えるがその真意は定かではない。
 現在、とある代行者見習が『どこぞの魔術師がこさえた』という噂の、実在するかしないかさえ不明な『教会に都合が悪い物』を始末してくるよう命を受けて途方に暮れているとか。


埋葬教室(組織)
 埋葬機関の原型。12世紀に当時のナルバレックと死徒になる前のミハイル・ロア・バルダムヨォンによって作られた。


マウスパッド投げ(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠に、2年A組の生徒が提案した競技。2006年に始まった。
 マウスパッドを投擲して飛距離を競う競技。投げ方に制限はないが、投擲の際に必ず「マー!」と叫ぶ必要がある。マウスパッドの素材はウレタン製のものを使用するが、形状や大きさに制限はない。
 着地する前のマウスパッドを散歩中の犬がキャッチして持っていった場合、犬が止まった場所までを飛距離とし、犬の右前脚までの距離を計測する。ただし記録上の選手名はその犬の名前に差し替える。


マウント深山商店街(地名)
 冬木市の深山町にある昔気質の商店街。新都のショッピングセンターが遠いためか、今もって深山町住民に愛されている。裏路地に名物的な質屋があり、遠坂凛はそこで質流れの宝石を購入している。
 食糧事情に関しては完璧だが、娯楽施設は皆無。


魔眼(用語)
 邪視、邪眼とも。
 魔術師が持つ一工程の魔術行使。受動機能である眼球を外界に働きかける能動機能に変えたもの。術者の視界にいる者に問答無用で魔術をかけるものだが、標的にされた対象が魔眼を見返してしまえば効果は飛躍的に増大する。要するに見てはいけないもの、見られるだけで相手の術中に嵌るという魔術特性。その効果と隠匿性から一流の魔術師の証とされる。自身の目を魔術回路に作り変える技法は魔術刻印に近い。
 魔術師が霊的な手術で認識能力を向上させるが、その場合は『魅惑』『暗示』『束縛』程度の力しか持ちえない。平均的なものは『束縛』。
 もう一つは眼球と脳の認識能力が向上することで得られる能力。これは『石化』『直死』など強力な能力で、こういったものは魔術で再現できない生まれついてのもの、つまり“超能力”。こちらは術者が視るだけでいい。またこれら超能力は『〜の眼』と呼ばれる。
 能力にはいろいろあり、本来見えないものを視る『淨眼』、遠隔視・透視の『千里眼』、吸血鬼が多く持つ『魅了』、モノの死を視る『直死』モノを石に変える『石化』などがある。
 魔眼のランクは色分けができ、通常の魔眼は赤や緑色に光る。強力なものは黄金に輝き、神域の魔眼は宝石の如く虹の如く多彩に偏光するとか。黄金、宝石、虹はノウブルカラー、つまり超能力である。
 『直死』『束縛』『強制』『契約』『炎焼』『幻覚』『凶運』などの他者の運命に介入する強力なものを特例(ノウブルカラー)といい、これの最高位とされるものが『石化の魔眼』である。第五次聖杯戦争におけるライダーのものは最上級の吸血種が持つという『黄金』の上をいく『宝石』。その上に七色が万華鏡の如く混同した『虹』があり、月の王の証であるという。
 ノウブルカラーとはその魔術回路の働きが天体運営に近く、先天的で特殊なものであることを表す。なお通常の魔術回路の働きは地殻流動に近い。
 強力な吸血鬼の魔眼は眼球を通して他者の脳に自分の意志を叩きつけて完全に思考を掌握するが、死徒の魔眼にそれだけの力はない。『黄金』は強力な吸血種ならば当然のように持っており、『宝石』『虹』を持つ存在も稀少ではあるが現存する。


魔眼(技能:Fate)
 サーヴァントの能力。魔眼の所持。
 A+:最高レベルの魔眼・キュベレイを所有。魔力がC以下の者は無条件で石化。Bの者でもセーブ判定次第で石化を受ける。Aの者には石化判定はないが、全能力をワンランク下げる“重圧”をかけられる。


魔眼殺し(武装)
 魔眼の力を抑えることのできる魔術品。眼ということもあり大抵は眼鏡として作られる。
 遠野志貴が使っている物は蒼崎橙子の魔眼殺しに蒼崎青子が手を加えて作ったもので、現在はフレームを交換している。
 第五回聖杯戦争におけるライダーことメドゥーサはあまりに強力な『キュベレイ』を抑えるためにひとつの結界(世界)である『自己封印・暗黒神殿』をぶつけている。
 形状は眼鏡だけではなくコンタクトレンズでも可。遠坂凛が試作したライダーのハードコンタクトの素材はブルージュの研磨師に預けてあった癖のあるエメラルドだが、二十四時間で効果がなくなる使い捨て品。


まききゅーX(用語:MELTY BLOOD)
 タタリの影響下にあった琥珀が作り上げた生物を拡大する薬。ニガヨモギとブランデーとホタテとエビ、過去五年に渡る余り物のケミカル物質を足して二で割ったら偶然できたレアアイテム。効果は反永久的。つまりすぐ元に戻る。
 これによって遠野秋葉はG秋葉として10倍ものパワーアップを果たした。
 解毒薬は『となみんZ』だが、未開発。


まききゅーXAA(用語:MBAA)
 まききゅーXの発展型と思われる。即効ではなく経口摂取による遅効で、効果時間は半永久のためワクチンを接種しない限り巨大なまま。


蒔寺(人名:氷室の天地)
 蒔寺楓の父にして詠鳥庵の店主。蒔寺楓の父だけに暴力的。


蒔寺楓(人名)
 身長163p。体重49s。B72 W56 H78。
 穂群原学園2年A組(hollow ataraxiaの時期は3年A組)。遠坂凛のクラスメイトにして悪友。通称マキジ。陸上部に所属しており、中距離のエース。『穂群の黒豹』の異名を持ちたがっている。陸上の次に水泳が得意。和と歴史を愛する。ギリギリまで追い込んで絶望させるのが彼女の指導方針。美綴綾子を『みつづりん』、氷室鐘を『メ鐘(めがね)』と呼ぶ。先祖は瀬戸内海の海賊。海賊の末裔だけあって釣りには自信があるようだが、川釣りはからっきし駄目。
 老舗の呉服問屋である詠鳥庵の一人娘で、口が悪いが和服の似合う日本美人。老舗だけあって家は古く、本人は飽き飽きしているが家では高級和服を着て過ごしている。着物姿の彼女は普段とは別人、生き別れの双子がいて学園のは活発な妹なのでは、と言われるほど艶やかな和服美人に見える。しかし口をあけた時点で壊れる。それが美綴綾子に言わせると『イヤイヤ着ているクセに似合っているのが許せない』とか。屋号の『詠鳥庵』がエイドリアンと読めることを気にしている。詠鳥庵の名を落とすことがないよう、得意客の前では完璧な娘として振舞っている。
 家柄ゆえか、骨董品の目利きができる。中でも日本の陶磁器に造詣が深いため、洋食器にもかなり詳しい。趣味は風鈴集めでガラス細工が大好き。無意識に事実を改竄する癖がある。彼女にすればフルールの500円のクレープも江戸前屋の80円のタイヤキも味は同じ。下戸。露天風呂では必ず泳ぎだすタイプ。ものすごいお祭り好きのように見えるが、彼女自身は割と大人しめで、一人でぼやっと時間を過ごす事を苦にしないタイプ。しかしあれで周りに気をつかう性格なので、傍に誰かがいると場を盛り上げようとして暴走する。
 ムーを読んでいる様子。怪談の意味を履き違えているようで、ホラーではなくコズミックな話を要求する。怪談やホラーには至極弱く、修学旅行で千葉ディスティニーランドのホーンテッドユニウス7に行ったときには、一人で立てないほどに衰弱した。チャクラを知っているが鬼門を知らず、故事成語にも疎い。少林寺木人拳の使い手?
 健康的なバカ。馴れてくると実に乙女チックなことに気付く、こともあるかも。将来は宝塚歌劇団入団を狙っている。サディスティックに見えるが、氷室鐘の見立てではマゾヒスティックな気があるらしい。なかなかに細かいたちで、尽くす相手ができれば大抵のことは努力する。現在彼氏はおらず、恋愛には非常に弱い。料理は和食が得意。
 短距離走、早とちり、思い込み、日本舞踊が得意で、ゴージャスな気分にさせてくれるもの全般が好き。ホラー映画と料理が苦手で、美綴綾子が天敵。優等生の凛を友人にしておいしい目に与ろうと目論み、その友人の美綴綾子をライバル視している。そのため遠坂凛に利となるか害となるかが彼女の判断基準のなかで大きな割合を占める。学園での凛が猫を被っていることを見抜いている。怖いもの知らずだが、氷室鐘だけは恐れている。
 メートル法の換算ができないことを始めとして満遍なく成績が悪いが、歴史だけは常に5。その歴史知識は並大抵ではない。だが新幹線のイメージが0系こだまで最高速度がパーマンを情報源として119km/hと勘違いしていたり(実際に乗っていたのは500系のぞみと思われる)、2000年3月10日に全廃された新幹線の食堂車がまだあると思い込んでいたりと、ニュースソースはかなり古い。調子が悪いと歴史の問題が解けなくなり、その他の科目が優秀になる。
 社会科は得意だがそれ以外の学科はからっきし駄目。社会科が得意ならば国語もそれなりかと思いきや、彼女は作者や作品のバックボーンといった歴史には相当詳しいが、作品そのものには全く疎いため国語も苦手。2年生の1学期期末試験では氷室の協力によって国語の赤点は免れたが、数学や理科、英語などの教科で赤点を取ってしまったため夏休みに補習を受けた。
 二年生のときの球技大会ではチュックボールに参加したが、あまりにも超紳士的で平和的な競技だったために嗜好に合わず、初戦で敗退した。なお最初は美綴綾子と組もうと企んでいたが、その方法が意味不明な手紙を下駄箱に忍ばせておくというものであったため、美綴は直後に誘った氷室と組むことになった。
 氷室鐘を猫を持って追い掛け回すという嫌がらせをしたが、そのお詫びとしてスケスケネグリジェを買わされ、修学旅行の夜はそれを着て寝ろと命じられた。ネグリジェはちゃんと持っていったが、実際に着用したかは不明。なお修学旅行前日にネグリジェを見た父にぶっとばされた。
 2年生のときのインターハイでは、その数日前に弓道部の部室に放置されていたためにカビで覆われてトリュフチョコに見えたチョコレートを盗み食いし、入院。インターハイ当日までに体調が回復せず、予選一回戦を一着でゴールするも二回戦でレースの途中でトイレに駆け込み、失格。その時にコースからトイレに向けて直角に方向転換したため、「お●は直角」「ビッグベンエッジ」という異名が付けられた。
 なおinter highschoolの略であるインターハイを望めば地位・名声・権力が手に入るホーリーグレイル『インター杯』であると勘違いし、その獲得に熱意をあげていた。しかし後に美綴綾子にその誤りを訂正されて激しく落ち込んだ。
 神社での縁日では毎年射的の景品に並んでいるアンティークの巨大テディベアを狙いガン=カタさえ修得したが、目の前で凛に取られて激昂し、汚い手を使いまくれる金魚すくいで勝負を挑む。様々ないかさまを使って勝ちを狙うが、凛は更なるいかさま(魔術でもなかポイを強化)で蒔寺を圧倒した。
 夏休みは補習に明け暮れたためベストタイムから1.5秒も後退してしまう。そのため氷室はインターハイの際の教訓を生かして腹を壊すことでタイムを縮めることを提案するも、インターハイでビッグベンエッジと呼ばれたことがトラウマとなっており断固拒否。そこで氷室は由紀香の栄養学を重視する意見を取り入れて蛋白質と糖分、炭水化物を兼ね備えたおはぎを勧めるが、蒔寺は針等の危険物が入れられていると疑って食べなかった。
 11月の文化祭の出し物を氷室、三枝と相談した際には劇を提案し、芸名は吉永小百合かグレース・ケリー、最終的にはオードリー・ヘップバーン2世と言っていたが、その時のポーズはゴージャス・アイリン。
 その後の陸上部の出し物の相談では粉物でがっぽり稼ぐことを提案するも、大量生産型の料理を得意とする美綴の存在や他の部活も飲食系に参入するであろう事から氷室に下策と切り捨てられる。氷室が示したコスプレありのコンセプト店というものにおいては三枝をコスプレ役にして『映画のような衣装』には映画泥棒、『ジェームズ・キャメロン監督的なもの』にはデビュー作の殺人魚フライングキラーの着ぐるみを提案する。また『大地』を使ったメニューについてはキビヤックを提案。
 9月の台風が接近している頃に大雨の中氷室とともに三枝家を訪問し、台風でテンションが上がり屋外に飛び出して壊れていた雨樋を修理する。その直後の地震で脚立が倒れかけ、何とかバランスを取るも、地震で誤作動したボウリング球とカートを利用した対ゾンビ用トラップが脚立に衝突して泥水に落ち、その有様をゾンビと勘違いされて窓越しに物を投げつけられた。
 氷室が三枝に貸した『WAR WORLD Z』を次に貸してもらおうとしたが、三枝家を昭和のボロ家という典型的な型に嵌めた発言をして三枝の怒りを買い、読了したらそのまま氷室に返すと言われてしまった。
 氷室と三枝に陸上部次期部長選に立候補すると表明した際には氷室に言葉尻を捉えて色々と追い詰められたが、基本的には応援されて、十一票を得て当選する。なお部長としてのビジョンは大豪院邪鬼であり、所信表明では『苦労に苦労を重ねて苦労した結果また苦労がある感じ』、指導方針は『とにかく追い込んで追い込んでその先に絶望が待ってるぐらいに』というものだった。
 級友から猫探しを頼まれた氷室に呼び出されてケージ持ちを頼まれる。しかし氷室が仕掛けたケージには猫ではなくアライグマがかかっており、本来は一般人が捕獲してはいけないうえ害獣であるため氷室は殺処分を検討する。殺処分はやりすぎではないかと氷室を宥めるが、アライグマによって歴史的文化財が破壊されていると教えられ殺処分に同意。最終的には考え直して市役所に持っていくのだが、市役所の職員はアライグマの危険性を認識しておらず気軽にアライグマをケージから出してしまって脱走し、6時のニュースで報じられるほどの騒ぎになった。なお、捜索を依頼された猫は自主的に帰宅した。
 体育祭ではどの種目に出るか迷っているうちに遠坂凛に丸め込まれて一般種目に出場することになる。100メートル走では見事一位を獲得するが、大玉転がしでは暴走してコースアウトし、失格。さらにマグロ投げの選手が怪我をしたため代理出場したが、ライン外に投擲してしまい失格。
 体育祭の翌日にjonafulで美綴と会食し、恋愛感情に起因するものかはわからないものの不自然なほど柳洞一成を避ける氷室をどうにかしようと相談し、頼られれば努力は惜しまないという結論に至った。
 体育祭で投擲競技が苦手なことが判明してからは、陸上部長たるもの陸上マスターでなくてどうすると部活動で円盤投げを練習する。しかし無駄に力を入れてなぜか下向きに投擲してみたり、無闇矢鱈に回転した挙句目を回して転倒して頭を打ってみたりと指導に当たった円盤投げのエースが匙を投げるほどの有様だった。
 円盤投げのエースとの練習を経て陸上力を高めるには回転の力が必要だと思い、正しい回転を体に染み込ませるためにドラム缶に入って河川敷の坂を転がっていたらそのまま川に落ちてしまい、流れているところを通りがかった遠坂凛に救助された。さらにその場でスイーツを与えられたことで恩返しとして凛をミス穂群原の二冠獲得に向けて協力することを申し出る。その協力とは詠鳥庵の高級和服を貸与するというものだったが、これは純粋な好意ではなく、遠坂凛という美人が和服を着るというインパクトをコンテスト会場にいる人たちに与えることで詠鳥庵の新規顧客開拓につなげるためのもの。もっとも凛の方も一生に一度着られるかどうかという高級和服を選り取り見取りできるという利点を考えてこの申し出を受けていた。こうしてニュー・マシンガンズが結成されたのであった。
 『壊す』を『おかしくする』と言い換え、衛宮士郎に自宅の炊飯器の修理をさせたことがある。
 蒔寺がデガラシ温泉にかけた『生まれ変わるような刺激が欲しい、いっそ別人みたいな由紀香とか見てみたい』という願いにより穂群原にゃーにゃー団が誕生した。
 AATMでアーネンエルベに来店した際に翡翠が作った『クラブサンド粗塩ライム風味』を食べて死にかけた。
 彼女のパラメータには体力、知力のほかに甘味ゲージがあり、摂取できる甘味の量が具体的に分かる。ただし少しでもそれを超えると暴走する。

 所有スキルは以下のとおり。
 心霊耐性:E…超ニガテ


マキリ(家名)
 聖杯戦争を始めた三家の一。長い歴史を持つ名門で使い魔に関しては優れた技法を持っており、サーヴァントを縛る令呪を作り上げた。
 聖杯戦争のために二百年前に冬木に移り住み、現在は間桐と名乗っている。
 その魔術は吸収で、必ず成果が自らの肉体に返るもの。


マキリ臓硯(人名/魔術師・死徒)
→間桐臓硯。


マキリ・ゾォルゲン(人名/魔術師・死徒)
 →間桐臓硯


マグダラの聖骸布(武装:hollow)
 カレン・オルテンシアが使用する、相手を拘束することに特化した礼装。男性には破ることができない。第五次聖杯戦争におけるバーサーカーでさえも拘束できるが、桁外れの力によっていずれ破られる。
 あくまで拘束するものなので、拘束によるダメージは与えられない。また外部から拘束者に対する攻撃があった場合には聖骸布の効果はなくなる。
 マグダラとはおそらくマグダラのマリアを意味するのだろう。マグダラのマリアとはガリラヤ湖西岸のマグダラという町出身の女性で、取り付いた七つの悪霊をイエスに除いてもらってからはイエスを慕い、彼ら一行に従ったとされている。復活したイエスに最初に立ち会った者の一人で、プロヴァンスとマルセイユの守護聖人。なおかつては七つの悪霊を七つの大罪と結びつけて罪の女とされてきた(六世紀末の教皇グレゴリウス一世による)が、1969年にカトリック教会はマグダラのマリアと罪の女を区別すべきであると正式に発表し、汚名は晴らされている。


MaCookingDo(地名:氷室の天地)
 冬木市にあるハンバーガー店。


真黒カルカン(人名:ネコアルク)
 まぐろ かるかん。
 黒人。ネコアルクの師匠にして数々の猫奥義を修得した猫浪人。なんとなくモーガン・フリーマンに似ている。
 偶然にも行き倒れていたネコアルクを助けたことがきっかけとなり、彼女に数々の猫奥義を伝授した伝説の猫浪人。現在は宇宙の猫力と一体化し、ネコアルクに度々助言を授ける存在となっている。
 ネコアルクに人の心の大切さを教えてくれた人物で、ネコアルクが人類のために戦うのは彼のおかげかもしれない。
 ものすごく可愛い娘がいる。ネコアルクが唯一『あたしのミリキを以てしても相討ちにもっていけるかどうか』と畏れるほどの萌えパワーだという。


マグロ投げ(用語:氷室の天地)
 Tuna Toss。
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠に採用された競技。2年A組の選手が怪我をしたため蒔寺楓が代理出場したが、ライン外に投擲してしまい失格。そのマグロは男子リレーに出場しようとしていた間桐慎二に命中した。
 インドマグロ水揚げ量世界一を誇る南オーストラリア州南部エアー半島にあるポート・リンカーンで行われるツナラマ・フェスティバルで行われる競技。
 ツナラマ・フェスティバルは1960年に始まり、オーストラリア建国記念日である1月26日にかかる週末に開催され、マグロにちなんだ様々な出店が並び、パレードやロデオ、アートや工芸など盛りだくさんの行事が開催される。
 マグロ投げは1962年から行われている。予選では作り物のマグロを使用するが、決勝戦では本物のマグロを使用するらしい。


マジカル攻撃(用語)
 琥珀が使う数々のあやしい技につく呼称。
 マジカルアタック、マジカルミサイルなどと名付けられているが、明らかに化学薬品によるケミカルウェポンである。MELTY BLOODにおいてマジカルと名の付くものにろくなものはないという証明。
 シリーズが続けば更なるマジカル兵装が飛び出すだろう。最近では物騒かつ悪辣な人工知能を持った万能杖があるとか。


マジカル星(用語:hollow)
 マジカルルビーの心象世界。景色は荒れ果てた大地、赤く曇った空、そして空に浮かぶ巨大なカレイドステッキが特徴的。
 カレイドステッキから放たれるカレイドビームを浴びることで引きずり込まれる。固有結界のたたき売りである。


マジカルルビー(人名/精霊:hollow)
 マジカルアンバーとも。カレイドステッキに宿る割烹着が似合いそうな人工天然精霊。自称正義の魔法少女。声だけは可愛らしい。外見は割烹着を着て大きなリボンをつけた燃え上がる骸骨。分かりやすく言えばゴーストライダーと化した琥珀。
 その言葉はドイツ語のようだが、意味は日本語で理解できる。根底に刻まれた命令は『愛と正義(ラブアンドパワー)』。彼女にとっての正義とは世の中を等しく、(自分にとって)面白おかしくすることで、悪とは彼女に逆らうもの。当然ながら友達はいない。
 しつこく凛に契約を迫る。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグをクソじじい呼ばわりする。
 月姫、Fate、空の境界、DDDの不思議系の中で最強。


魔獣(用語)
 生態系に属さない獣の総称。転じて幻想種のほぼ全般を指す語としても使われるようである。
 この場合における獣とは魔術的な用語で、四足の哺乳動物という意味ではない。魔獣は研究が未成熟だとか、突然変異といった理由で説明できる存在ではなく、本当に生物学から、場合によっては生物という字義からも外れている。
 魔獣の多くは神代より存在する、様々な動物が入り混じったキメラ(合成獣)であり、現代も人間が寄り付かない未開の地に生息している。
 幻想種の種別としては野獣の上、幻獣の下。使い魔として使役できるのは魔獣までとされている。幻獣はほとんどが世界の裏側に移り住んでいる。
 種類としては鬼や竜が魔獣に該当する。ただし竜を模したモノは分類に関係なく最優種とされ、魔獣、幻獣、神獣の全てに竜種、または竜種を模したものが存在する。
 天馬はそう強力ではなく、成長しても魔獣クラス。第五次聖杯戦争におけるライダーが召還する天馬は分類としては魔獣ながら、誕生から長い年月が経過しているため幻獣に近くなっている。


魔術(用語)
 魔力を以って行う秘儀、禁忌の類ではあるが奇跡ではないもののこと。魔を操る術。人為的に神秘・奇跡を再現する行為の総称。常識から乖離した現象だが資金と時間に制約をつけなければ現代の技術で再現可能な神秘を指す。根本は『歪曲』『逆行』。
 もとは魔法で、根源から引いている決められた力。よって、それを知っている人間が増えれば増えるほど力が弱くなる(十のものを一人で使うか二人で使うかの違い)。
 上級の魔術の戦いは概念と概念の戦いであり、どちらが強者かではなくどちらが綻びのない秩序を有しているかの計りあいになる。
 門派ごとに違いはあるが、基本は『術者の体内あるいは外界に満ちた魔力を変換する』機構。魔力を以って『既に世界に定められたルール』を起動、安定させることで自然干渉を起こす術式。各門派が取り仕切る基盤(システム)に従って術者が命令(コマンド)を送り、あらかじめ作られていた機能(プログラム)が実行されるというもので、命令を送るのに必要な電流が魔力。車という『ルール』にガソリンに当たる『魔力』を注ぎ込むことで走らせるようなもの。
 魔術の起動に必要なものはその起動に必要な魔力量とエンジンを回すためのキー(パス、呪文、コード)、そして魔力をエンジンに注ぎ込むための魔術回路の三つ。
 魔術は万能ではなく、等価交換を基本とする。出来る事を起こすのであって出来ない事は起こせないということ。だがその『無』、あり得ない事に挑むことが魔術という学問の本質であり、大魔術、大儀式と呼ばれる大掛かりな魔術は「 」、魔法に至る為の挑戦に他ならない。
 魔術師としての血筋が希薄な魔術師は“すでに形式あるもの”を以って魔力と成す。つまり古くから確立している儀式、供物を使って神秘と接触する。こちらは自身の力では足りないために代価を用意して取引をするという魔術形式で、使用する魔力はマナから借り受けるため術者は儀式を行うだけでいい。
 どちらにしろマナを使う魔術は個人で行う魔術を容易く凌駕する。大自然に干渉するほどの魔術はやはり大自然に満ちるほどの魔力(マナ)でなければ発動できない。
 魔術そのものの性能は決まっていて誰が使用しても変わることはないが、詠唱で(どれだけ深く自己に刻んだ魔術を引き出すかによって)威力が変わる。
 基本的には五大元素魔術で、それに特性を与えることで意味合いを付与していく。単純なものでは五大元素魔術に強化を付与すると、火属性ならば火がより強く燃え、水属性ならばより勢いよく水量を増して流れる。強化は最も単純な例で、もう少し高度な特性になると傍目には属性よりも特性のほうが明白になり、もととなった属性は分かりにくくなる。例えばイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが使った視覚の転移は『転移』という特性を付与した魔術だということは分かるがもととなった属性はもはや不明である。
 他者の精神に干渉し、思考の方向性を変える魔術等は物質的な代償は必要としないが、術者の精神をも変えてしまった方向性に引っ張ってしまう。魔術協会では呪術は学問ではないと蔑視されており、中東圏のソレに大きく遅れをとっている。
 完成した魔術を無効化するには式に干渉するか膨大な魔力を以て洗い流すしかない。
 文明が未発達な時代は現代で言う魔術はほぼすべて魔法であり、魔術師のほぼすべてが魔法使いだった。現代では不可能になった神秘が神代においてはさほど難しいものではなかったのは、自転や月との位置関係、星の巡りによる相克が世界にエーテルを満たしていたことと、統一言語と呼ばれる根源の渦を通した言語を使用していたため。
 魔術の採算性のなさは、市販の栄養ドリンクや使い捨てカイロと同等のアイテムを魔術的に作成する場合にはそれらを購入する数十倍のコストがかかるということからも窺える。
 パラメータールールに照らすと、魔法陣や瞬間契約を用いた大魔術がランクAに相当する。


魔術(技能:Fate)
 サーヴァントの能力。
 C-:オーソドックスな魔術を習得。


魔術回路(用語)
 マジックサーキット。
 魔術師が体内に持つ擬似神経。魔術を構成する為の二種類の基盤のうち、人間の体内にあるもの。魔術師としての資質。
 幽体と物質を繋げる為の回路。魔力を精製する道具であり、マナを汲み上げて人間に使えるモノにする変換機であり、システムを動かすためのパイプライン。生命力を魔力に変換するための路であり、基盤となる大魔術式につながる路である。通常の魔術回路の働きは地殻流動に近く、ノウブルカラーと呼ばれる魔術回路の働きは天体運営に近い。
 普段は神経として体内に張り巡らされているが、核となるポイントとそのポイント同士を結ぶバイパスとに分けられる。核を結ぶバイパスは脳内のシナプスのようなもので切れたり結ばれたりするが、核は決して変動しない。厳密にはこの核こそが魔術回路と呼べるもの。
 これの運営には生命活動が不可欠であるため、魔術師の体=魔術回路と誤解されがちであるが、稀に術者が生命活動を停止しても自律して回転する魔術回路も存在する。こういった場合は魔術回路を統括する脳を真っ先に破壊するに限る。個人の魔力(オド)を使い切ってもゼロから回復するのは魔術回路が動いているからであり、逆に魔術回路がなければオドは生成されない。
 魔術回路を使用するとヒトである肉体がそれを拒んで苦痛が訪れる。魔術回路の発動によって術者の体温が変化する。衛宮切嗣は研究と鍛錬を重ねてサーマル映像から魔術回路の状態を読み取れるようになっていた。外部からの魔力を弾く働きがある。
 生まれながらに持てる数が決まっており、増えることも減ることもない“内臓”。増やすこと、減らすことは無論できるが内臓に例えている以上、実際の臓器移植と同じことが言える。魔術回路は肉体ではなく魂にあり、魔術回路の移植は精神と体の融合である。
 移植する方法はあるが成功率が低いため行われることは少ない。魔術師同士で魔術回路を移植することで確実な魔力のパスを通すことができる。だがこれは魔術回路を使いながらその回路の数を減らすという不安定なものであり、また使い魔の契約ほど形式化していないため共倒れになる可能性がある。
 減った魔術回路は決して元に戻ることはない。そのため魔術師の家系は自分たちに手を加えて一本でも魔術回路が多い後継ぎを誕生させようとする。それゆえ古い家系の魔術師ほど強力。一般の人間にはほとんどない。
 一度開いてしまえばその後は術者の意思でオンオフの切り替えができるが、そのスイッチになるイメージは最初の“開き”に関係していて、中には性的興奮で開くもの、自傷行為によってのみ開く者もある。


魔術基盤(用語・魔術)
 魔術師の各門派が世界に刻みつけた魔術理論。既に世界に定められたルール。大魔術式。魔術を構成する為の二種類の基盤のうち、世界に刻まれたもの。学問や宗教といった形をとる。
 魔術基盤は地脈にも密接に溶け込んでいるため、その魔術基盤を使う魔術師は地球上のどこでも魔術を行使できる。ただし自身の魔術基盤が刻まれた土地から離れると土地のバックアップが薄くなり、威力は確実に劣化する。
 魔術基盤が個人の口伝や一族の限定継承の場合は上記の土地のバックアップが薄くなることによる弊害はなく、基盤のルールさえ合っていれば地球上のどこであっても基本通りの効果を発揮することができる。
 最も広い基盤を持つ魔術理論が教会による『神の教え』。


魔術協会(用語)
 国籍・ジャンルを問わず、魔術を学ぶ者たちによって作られた(名目上は)自衛団体。往々にして魔術協会の本部であるロンドンの魔術協会(時計塔)のことを指す場合が多い。
 自らを脅かすモノたち(教会、自分たち以外の魔術団体、禁忌に触れる人間を罰する怪異)から身を守るために武力を持ち、魔術の更なる発展(衰退とも言う)のための研究機関を持ち、魔術による犯罪を抑止するための法律を敷く。ただし魔術の研究過程で人間社会の法を犯したとしても処罰せず、それによって魔術の存在が露呈する事態を引き起こす場合にのみ処罰をする。
 また呪術は学問ではないという見地を取っているために、呪術にかけてはイスラム圏のソレに大きく遅れをとっている。大陸の思想魔術とイスラム圏の魔術基盤とは相容れず、互いに不可侵を装っている。
 大きく三大の部門に分かれていて、大英博物館の裏にある『時計塔』と呼ばれるロンドンの魔術協会が本部で、錬金術を研究する『巨人の穴倉』と呼ばれるエジプトのアトラス学院、北欧に根を張る複合協会である『彷徨海』と呼ばれる原協会がある。
 この三大の部門が協力して魔術協会を運営しているというのが建前であるが、実際には時計塔が本部になってから三部門は没交渉気味で、敵対してこそいないが思惑は三者三様である。また日本、中国、中東などにも神秘を扱う組織があるが、思想の違いから表立った交流はない。
 本部はイギリスの首都ロンドンにある『時計塔』。アトラス院と彷徨海は紀元前から存在する。時計塔は他の部門よりも新しく、西暦元年を境に創立されて最新の研究機関として成長を遂げた。
 時計塔の源流は中世ヨーロッパで発足した魔術師の互助会。魔術協会創立者の中には彷徨海やアトラス院を追放されて行き場を失った異端の魔術師が多くいた。神秘が俗世に漏れることを警戒するため秘密主義を貫く。そのため外部への警戒心はもとより、協会内部も猜疑心と策謀の巣と化している。同じ協会に所属する魔術師でも、派閥が違えば相手を殺すことも厭わない。
 策謀渦巻く権力闘争の場で、外部にアピールするための威光は欲されるが、内部で輝きすぎる新参者は疎んじられる。魔術協会を束ねるのは貴族(ロード)たち。
 魔術協会の厄ネタの一位は悪霊ガザミィ、二位が封印指定、三位が封印指定の実行者。
 奇跡は選ばれた聖人のみが学ぶものという聖堂教会とは当然のことながら折り合いが悪く、いままで幾度となく刃を交えてきた。現在は協定が結ばれ、仮初めの平穏を謳っているが、記録に残さないことを前提に現在でも聖堂教会とは殺し合いをしている。聖堂教会にとって最大の敵は吸血種であり、彼らとは時に協力もする。
 教会のように吸血鬼と敵対してはおらず、ある種の協定を結んでいる。
 魔術師だからといって必ずしも所属しなければいけないわけではないが、魔術に関するあらゆるものが揃っているために所属したほうが研究をしやすい。蒼崎橙子のように研究をしてから脱退するものもいる。
 蒼崎青子は時計塔に所属している。
 最高位の術者には色の名を冠した称号(色の位階)を与えており、中でも原色の称号はその時代最高の証である。聖遺物や魔術に関する書物、地脈が歪んだ霊地はほぼすべて魔術協会が制圧している。聖杯戦争の主催。魔術協会には魔術刻印を抜き出して保存しておく技術が存在する。
 秋葉原支部がある。


魔術刻印(用語)
 簡潔に言えば後継者の証。一族の魔術を凝縮した入れ墨みたいなモノ。一族に伝わる魔導書。魔術師の家系が持つ遺産。形になった魔術回路。
 魔力を通すことで形成されるもう一つの魔術回路。術者を補助するために独自に詠唱をする。記されている魔術ならば持ち主が修得していなくても魔力を流すだけ(一工程)で使える。
 ある魔術を極めるとその魔術を“手に取る”ことができるようになる。つまり、扱われる式という領域を超えて自分自身となった魔術をカタチに残せるようになる。それを死ぬ間際に刻印として後継者に譲るのがこれ。つまり固定化(安定化)した神秘を刻印にしたもの。臓器のようなもので、肉親以外には拒否反応が出、分割・写本をしても機能しなくなる。
 魔術回路なのでほんの少し体に刻むだけで人間の肉体から拒否反応が出て凄く痛む。そのため子供の頃から少しずつ移植し、ついでに中身も無理が利くように薬草とか怪しげな骨を砕いたものを飲み続けて耐性を作る。魔術刻印の移植は後継者の第二次性徴が完了するまでに段階的に行われるのが好ましい。魔術協会には魔術刻印を抜き出して保存しておく技術が存在する。
 魔術刻印の移植のためには高度な共感状態になることが必要。そのため、移植する側もされる側も衣服を脱ぐなどして体温を伝えやすくすることで移植の難度を下げることができる。他人に移植した場合には刻印化した魔術は使えなくなるが、魔力の受信装置程度になら作り変えることができる。
 刻印の移植後は違和感があるが、刻印のほうが肉体に擬態していくためしばらくすれば違和感は無くなる。
 成長すれば慣れるが、結局は他人の肉体である。そのためこれを制御するための薬があり、五百年や六百年も続いて血統操作している家系ならばともかく、二百年程度の歴史で族外の血が混じった家系ではこれに頼らざるを得ない。遠坂凛はこの調合を小学生の頃に仕込まれた。なお、味はとんでもなくまずいうえ副作用として体臭が変質する。
 使っていない(魔力を通していない)時は浮かび上がらない。魔術刻印には術者(魔術刻印の後継者)が大怪我などで意識を失ってもその生命を維持しようとする性質がある。


魔術師(用語)
 魔術を用いる者のこと。衛宮士郎曰く、魔術師としての才能は記憶力、適性は再現力。
 魔術を研究することが最優先で、めったに魔術を行使しない。魔術師にとって魔術はあくまでも研究対象であり、そのため研究をしない魔術師のことを魔術使いと呼んで区別することがある。また日常生活で魔術を行使することも少なく、これは日常的に使用するには魔術はコストが高すぎることもあるが何よりも魔術の秘匿のためである。加えて目立つ魔術の使い方をすると魔術協会による粛清の対象となるのである。
 基本的に自己の研究成果は他人に公開せず、死ぬ前に子孫に継承するときだけに開示する。よほどの大家でない限りは一子相伝で、子が複数いた場合は一人を後継者に選んでそのほかの者には魔術師の家系であることすら明かさずにごく普通に育てる。また、他の魔術師の家系に養子に出すこともある。
 基本的には一代ではなれず、血と歴史を積み重ねることで知識と魔力を高めていく。ただし、遺伝的突然変異で魔術師になれる者もいる。代々の魔術の成果である魔術刻印と魔術回路の数は代を重ねるごとに強力になってゆくものであるため、出自によって優劣がおおむね決定されるというのが通説。
 魔術師としての修行は生まれたときから始まり、過酷な鍛錬で耐性をつけていく。修行においては洗脳や肉体改造といった非人道的な手法さえ珍しくはない。そうしないと魔術行使をしたときに死ぬなどの危険があるのである。廃人になってもいいなら限界を軽く超えられる。たとえるなら魔術師はエンジンであり、どんな小さなエンジンでもアクセルを踏み続ければ限界以上のスピードが出るのと同じこと。
 ほとんどの者は根源の渦にたどり着くために研究をしているが、根源には中身が詰まっていないほうが到達できるためにどうしても研究は報われない。蒼崎橙子は人間の肉体を通して、荒耶宗蓮は人間の魂を通して、遠坂永人は無の境地を経て根源の渦にたどり着こうとした。
 女の魔術師にとって髪と髪留めは最後の切り札。また魔術的な力の象徴でもあり、髪を奪われると呪詛の依代として使われることもある。
 研究以外で魔術を行使する(例えば魔術を使用して労働を行い、対価を得る)者は少ないが、薬を作ることを副業にしている者は多い。二世代ほど前ならば鎌倉の文士に混じっていた。金に困った魔術師は魔術協会に魔力の塊である精液を売ることがある。
 宗教においてはどの宗派にも受け入れられないが、無宗教だと吹聴するのは疑惑を呼ぶので目立たないようにしている。が、時折正体を察してしまう霊感や法力の強い宗教者もいる。
 一般人との大きな違いは魔力を生成できること。一般人でも魔力を保持できるが、生成することはできない。なお魔術師にとって己の体内を流れる魔力をイメージするのは大事なことであり、遠坂凛の場合は清流を舞うように泳ぐ魚のイメージ。
 魔術師同士の対立が殺し合いに発展するケースはままあるが、それは純然たる魔術勝負であり、決闘じみた形式で解決される。
 己を神秘と人智の中間に位置する者と信じ、己を脅かすのは神以外には魔術師以外にはいないと疑わない。よって一般的に戦闘においてはひたすら魔術の気配に過敏になり、物理的な攻撃を二次的な脅威として軽視する。『魔術師殺し』衛宮切嗣はそこに付け入り、魔術によらない攻撃で魔術師を殺していた。魔術師は魔術を道具として用いる魔術使いを軽蔑している。
 延命の魔術を用いれば数百、数千年を生きることができる。極論すれば魔術師と死徒は神秘への在り方が同類であり、死徒のほうがより純度が高い。


魔術式(用語/魔術)
 魔術基盤に含まれる、魔術の機能を記したもの。
 魔術の行使とは各門派が取り仕切る基盤(システム)に従って術者が魔術式に命令(コマンド)を送り、あらかじめ作られていた機能(プログラム)が実行されるというもの。そのため、魔術式の数だけ魔術は存在する。


魔術使い(用語・俗称)
 根源に至るための研究対象としてではなく、道具として魔術を行使する者。そのためある意味では魔術師よりも効率的に魔術を運用することができ、たとえば衛宮切嗣は正攻法ならば一年かかっても突破できないであろう遠坂邸の結界を三時間弱で突破した。
 魔術師は魔術使いを軽蔑している。


魔術理論・世界卵(用語/魔術)
 固有結界を用いるために必要なもの。
 自己と世界を、境界をそのままにして入れ替えるもの。普通は世界の中に自己や他者が存在しているのだが、魔術理論・世界卵を用いると自己と世界が入れ替わり、術者の自己の中に世界と他者が取り込まれる(術者の中にある世界の中に他者がいるのではなく、術者の中には世界と他者が同列に取り込まれる)。
 固有結界(魔術理論・世界卵)を発動すると自己と世界の大きさが入れ替わり、世界は小さな入れ物に閉じ込められるのだが、この閉じ込められた世界のことを世界卵という。転じてそれを為す魔術理論のことを世界卵と呼ぶ。
 この世界が術者によって完成されると、卵の内側と外側が入れ替わる。これが『空想が現実に侵食する』のではなく、『現実が空想に封じ込められる』という大禁呪である。


魔術礼装(用語)
 →礼装


魔術炉心(用語:Fate)
 第四次及び第五次聖杯戦争におけるセイバーの魔術回路のことだが、その膨大な容量ゆえに炉心と表現される。線や回路で表現される通常の魔術師の魔術回路とは根本から異なり、そもそも人を凌駕している。黄金に燃え、七色に輝く魔術回路で、その中心には竜が在る。


魔術を簡略化する魔術式(用語・魔術)
 遠坂時臣がこれの特許を時計塔に登録している。しかし現代では時代遅れになりつつある。


マスター(用語)
 聖杯戦争に参加する魔術師のこと。魔術師の位ではなく、単に令呪を宿してサーヴァントを従えることができればこう呼ばれる。英霊であるサーヴァントを呼び出してこの時代に留めるための依り代。聖杯ではなく、大聖杯に選ばれる。
 マスターの座は早い者勝ちであり、マスター候補者が8名以上いた場合でもサーヴァントが7騎召還された時点でそれ以外の候補者からは参加資格が剥奪される。始まりの御三家であるアインツベルン、間桐、遠坂の魔術師は、その三家が聖杯戦争を創始したということでより真摯に聖杯を求めていると看做され、優先的に令呪が授けられる(ただしマスターとなるに相応しい実力を持つ者でなければならない)。
 マスターの特性や魔力の量、生き様がサーヴァントのパラメータに影響を与えることがある。たとえば魔術師として未熟な衛宮士郎の場合は契約したセイバーのパラメータが軒並み低く、魔術使いとして優秀であった衛宮切嗣の場合はその生き様により幸運の値が極めて低くなっていた。
 サーヴァント召還と同時に魔力供給及び令呪による束縛のパスがサーヴァントとの間に成立し、このパスによってお互いの場所や状況をある程度認識することができるようになる。マキリが完成させた契約システムは魔力供給のパスと令呪による束縛のパスが一つになっており、魔力供給のパスをある程度の指向性とともに認識することが可能。ただし第四次聖杯戦争におけるランサーのように令呪のパスと魔力供給のパスを分けた場合には供給される魔力に対する知覚力が著しく劣り、魔力の供給もとである魔術師の生死こそ判別できるが、魔力がどこから流入してくるかはまったく判別できない。
 サーヴァントが霊体になっているときでもレイラインで繋がっているマスターとは会話程度なら可能。遠く離れたサーヴァントとの通信には念話などの交信手段が必要となるが、どちらか一方が生命に関わるほどの窮地にある場合には気配の乱れですぐに察することができる。
 マスターとしてサーヴァントのパラメータを透視する能力を与えられるが、それは人によって異なり、色で識別する者や獣に例えて識別する者もいる。
 聖杯戦争が終わっても令呪を宿し、サーヴァントが残っているならばマスターであり続ける。令呪は死後も死体に残り、然るべき手段によって抜き出すことができる。
 マスターを失ったサーヴァントが出た場合には聖杯が回収した未使用の令呪を新たな契約者候補に再配布するが、聖杯に選ばれる適格者がざらにいるはずはなく、結局は新たなマスターを探すにしても以前にマスターとして見込んだ人間を優先的に選ぶ傾向がある。とりわけ始まりの御三家のマスターたちは別格で、サーヴァントを失ってもその時点で他に未契約状態のサーヴァントがいれば令呪を失うことすらなく継続してマスター権を維持できる。これが脱落したマスターを聖堂教会が保護する理由であり、聖杯戦争参加者が敵対するマスターを無力化するのみならず殺そうとする理由である。
 聖杯戦争のシステムから見ればその目的、つまり根源への門を開くためにはサーヴァント7騎の魂さえあればよく、マスターはサーヴァントの召還が成った時点で既に用済みである。


マスター・V(俗称)
 →ロード・エルメロイU世。


マソップ(地名:氷室の天地)
 おそらく家電や音楽・映像メディア、ゲームなどの総合販売店と思われる。美綴綾子がここでDC3版の英雄史大戦DXパックを購入した。
 ソフマップのものに酷似した紙袋を使用している。


マタタビ麻酔(用語:MBAA)
 ネコアルクに用いる麻酔。


魔弾(用語/武装:Zero)
 起源弾とも。衛宮切嗣が礼装であるトンプソン・コンテンダーで使用する切り札。衛宮切嗣の『切断』と『結合』という特異な起源を最大限に活用した弾丸。切嗣の両脇腹の第十二肋骨を摘出して擂り潰し、霊的工程で凝縮して66発の銃弾に芯材として封入したもの。弾種は.30-06スプリングフィールド弾。
 物理的な威力だけでも大型軍用ライフル弾である.308ウィンチェスター弾の一割増を誇り、拳銃として携行する銃から発射するには過剰極まりない。しかも魔力を込めて撃ち出されると、これは切嗣の『起源』そのものを対象に叩き付ける。いわば擬似的な概念武装である。
 これで撃たれた対象には切嗣の起源が具現化する。生物に命中したならばそこには傷口も開かず出血もなく、ただ被弾した部位のみが壊死した古傷のようになる。しかし表層的には癒着しているように見えるが、内部の神経や毛細血管は元通りの再生をせずもとの機能を失う。
 そして魔術師に命中した場合はさらに深刻なダメージを与える。これに魔術で干渉した場合、起源による影響は術者の魔術回路にまでフィードバックされる。魔術回路を高圧電流の回路に例えると、魔弾は一滴の水である。つまり魔術回路をショートさせて破壊するのだが、電流にたとえた以上魔術回路に流れる魔力が多ければ多いほど(魔術回路を励起していればしているだけ)破壊の度合いがひどくなる。
 よってこれを防ぐには魔術的な手段によらず、純粋に物理的な手段によって防御しなければならない。だがこの.30-06スプリングフィールド弾という弾丸は装甲車にでも乗っていないかぎり負傷を免れない貫通力を持っている。実戦には不向きなトンプソン・コンテンダーという銃を選択したのは、物理的手段による最大火力を拳銃として携行するため。
 第四次聖杯戦争勃発までに37発を消費し、過たず37人の魔術師を完全に破壊してきた。第四次聖杯戦争の九年前に、コンテンダーもろとも12発を久宇舞弥に預けてあった。


マッケンジー邸(地名:Zero)
 第四次聖杯戦争においてウェイバー・ベルベットが拠点とした家。
 住所は冬木市深山町中越2-2-8。


マッケンジー夫妻(用語/人名:Zero)
 グレン・マッケンジーとマーサ・マッケンジーの老夫婦。第四次聖杯戦争の時点でカナダから移住して二十年余り経つが、日本の暮らしに馴染めなかった息子は生国に戻って家庭を持ち、十歳まで日本で育てた孫も便りもないまま七年が経っていた。
 ウェイバー・ベルベットはそこに付け込み、魔術的な暗示によって夫妻の孫『ウェイバー・マッケンジー』に成り済まして彼らの家に寄生した。


全く簡素な試練(宝具?)
 ブルワーカー。ギルガメッシュがこれで体を鍛えるという。


間桐(家名)
 もとの家名をゾォルゲンといい、ロシア方面から冬木市に移住した際に当時の当主マキリ・ゾォルゲンの名であるマキリを間桐と読み替えて姓とした。
 使い魔の創造に長けた魔術の名家。冬木市に根を張るもう一つの魔術師の家系。属性は水。一族に伝わる魔術特性は吸収。この吸収という特性は他者を律する束縛、戒め、強制に通じるもので、間桐の魔術は必ず成果が自らの肉体に返るもの。禁呪として“制約”がある。
 聖杯戦争のために二百年前に冬木に移り住み、協力者として遠坂と同盟を結んでいるが、互いに不可侵で無闇に関わってはならないと盟約に縛られている。
 魔術師の家系といっても子孫の魔術回路が減少していき、先代で魔道の伝承は絶え、魔術刻印の継承も数代前から止まっているため現在は知識のみが残っているにすぎない。今代の慎二には魔術回路がなく、そのために古くから盟約を結んでいた遠坂を頼り、11年前に遠坂凛の妹の桜を養子として貰い受けた。実際は異国の土が合わなかったのではなくマキリの祖から三百年、間桐と名を変えた臓硯の代で衰退が始まっていた。
 魔道の伝承のためならば外部から弟子を取ればいいのだが、名門の意地からそれを良しとせずに落ちぶれていった。完全に魔力が尽きてから弟子を取ろうとしたが、落ちぶれた名門に来る魔術師などいなかった。
 魔道の伝承方法は術者を地下埋葬所の蟲によって調教・教育する、脳への学習ではなく肉体に刻み込む拷問という方法をとっている。それはマキリ臓硯の嗜好でもある。故に間桐の後継者に選ばれることは、即ち終わりのない責め苦を負わされることである。
 間桐慎二の母親はどこぞの保菌者だったといい、出産後は用済みになったらしい。地下埋葬所にはおそらく母親だったモノがある。慎二の父・鶴野には弟の雁夜がいたが、縁は切れている。
 資金源は遠坂と同じく過去の遺産で、魔術特性の関係上研究にはあまり資金がかからず、遺産だけでやりくりできる。遺産とは各地に保有している土地(霊地)で、それを魔術師に貸与することで収入を得ているため財政は安定している。
 聖杯戦争においてはサーヴァントシステムの発案と令呪によって束縛する技法を編み出した。なおサーヴァントを降霊する技法は遠坂が完成した。


間桐雁夜(人名・魔術師:Zero)
 まとう かりや。
 身長173cm。体重55kg。血液型AB。3月22日生まれ。
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーのマスター。文書作成が特技。小旅行と写真撮影が好きで豪奢なものが苦手。間桐臓硯と遠坂時臣が天敵。
 歴代の間桐一族において屈指のガッツと反骨精神を備えた男。間桐臓硯を相手に一度は家督の継承を拒み出奔しただけでも快挙である。しかし臓硯からしてみればいかに雁夜の魔術回路が鶴野に勝っていようと自由意志を奪ってまで次代頭首に仕立て上げる手間には釣り合わない程度の素養でしかなかった。
 幼少期から禅城家と交流を持ち、幼馴染の禅城葵に想いを寄せたのも、実は遠坂より先に禅城の優秀な遺伝特質に気づいていた臓硯の手回しによる。しかし雁夜が魔導そのものを嫌悪したことと遠坂時臣こそ彼女を幸せにできると信じて敗北を受け入れたことによってこの企ても水泡に帰した。ただ、雁夜としても葵を蟲蔵に連れ込むことは断固として拒否しただろうし、せめて間桐の魔術形態がもう少しまともであったら雁夜もおとなしく継承者になって時臣と葵を奪い合っていたかもしれない。
 間桐慎二の父である鶴野の弟で、鶴野よりは魔術師としての素質があったため家督の継承を期待されるが、魔術の忌まわしさから第四次聖杯戦争の11年前に間桐から逃げた。しかし桜が間桐の養子に出されたことで彼女を救うため、また葵、凛、桜を不幸にした遠坂時臣への復讐のため間桐の魔術師として第四次聖杯戦争に出場する。
 もちろん魔術師としては相当劣っていたため、修行は肉体に刻印虫を植えつけるという強引な手法により、肉体は第四次聖杯戦争を前に生物としては死亡に近い状態になっていた。
 具体的には三ヶ月目には頭髪がすべて白髪になり、肌にはいたるところに瘢痕が浮かび、それ以外の場所は土気色になった。そうして肉体の崩壊は予想以上の速度で進行し、魔力が循環する静脈は肌の下から透けて見えるほどに膨張して全身に青黒い罅が走っているかのようになった。特に左半身の神経への打撃は深刻で、一時期は片手片足が完全に麻痺した。急場凌ぎのリハビリで機能は取り戻したが、左手の感覚は右より遅れ、早足で歩く際には左足を引きずってしまう。不整脈も日常茶飯事となり、固形物を食べられないため栄養補給はブドウ糖の点滴に頼った。第四次聖杯戦争の直前には左目を失明し、壊死した眼球ともどもその周囲の顔筋まで麻痺してしまった。
 このように生体として機能しているのがおかしいほどの状態であったが、それでも雁夜が立って歩けるのは皮肉にも彼をこのような状態にした刻印虫の力だった。一年の修行を経た頃には魔術回路の数だけならばそれなりの術師として通用するだけになっており、その右手には令呪が刻まれていた。だがこの状態での余命は、臓硯の見立てではあと一月程度までに縮んでいた。
 その後のサーヴァント召喚に際しては臓硯の指図により召喚呪文に二節を加え、バーサーカーを召喚した。召喚の場所は間桐邸の蟲倉と思われる。ただしバーサーカーを支配下に置いているとは言い難く、ひとたび戦闘を開始してしまえば雁夜からの魔力供給が絶えるまで戦い続ける。
 戦闘においては臓硯に与えられた翅刃虫を使う。
 キャスターが召還した大海魔とセイバーらが戦っているときには時臣と戦ったが、まるで歯が立たず、マンションの屋上から転落した。時臣は勝利を確信してその死体を確認しなかったが、言峰綺礼によって発見された時点ではまだ息があった。アーチャーとの対話で揺らいでいた言峰は時臣に隠れて応急処置の治癒魔術を施して間桐邸の門前に置き去りにした。
 その後、臓硯により桜の純潔を最初に啜った淫虫を飲まされて復帰する。
 言峰綺礼の策略によって遠坂葵が雁夜が時臣を殺したと思い込んで雁夜を詰ったために逆上し、彼女を殺しかける。すんでのところで葵は死を免れていたのだが、冷静な判断力を失った雁夜は自分が想い人を殺したと思い込み、以後は自由意志を失くして綺礼の手駒となる。
 冬木市民会館でのバーサーカーの暴走によって魔力を吸い尽くされ、刻印虫も全て死滅。本来ならば死亡するところを奇跡的に瀕死の状態ながら一命を取り留める。刻印虫が死滅した時点で臓硯は雁夜が死亡したものと認識しており、雁夜が間桐邸へ戻ったときには臓硯は何か拾い物がないものかと臓硯が出かけていた隙で、ちょうど入れ違いになって桜のもとにたどり着くことができた。精神が破綻しながらも桜を助けるため戻った蟲蔵の中の桜の目の前で死亡。死の直前に雁夜は葵と桜、凛と一緒に幸せに暮らすという幻を見るが、その死を目の当たりにした桜は『臓硯に逆らうとこうなる』と納得したに過ぎなかった。
 俄仕立ての魔術師としては雁夜のマスター適性は大したもので、狂化したランスロットの法外な魔力消費に第四次聖杯戦争終盤まで耐え抜いたことは賞賛にすら値する。雁夜がバーサーカーの召還を強要されたのは臓硯による制裁であり、狂化させていなければ自滅することもなかっただろう。だがランスロットがギルガメッシュを相手にあそこまで健闘できたのはやはり狂化による能力増幅の賜物であったし、脇目も振らずに時臣に突っかかって行ったであろう雁夜にしても強豪を避けて勝ち残るという思慮は期待できず、要するに恨みを万事に優先させてしまう間桐の精神がある限り敗北は必定だっただろう。


魔導元帥(用語)
 おそらく時計塔において与えられる称号。かつてキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが与えられていたと思われ、現在はバルトメロイ・ローレライが名乗っている。
 死徒二十七祖の四位キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの二つ名でもある。


間桐桜(人名/魔術師)
 まとう さくら。
 3月2日生まれ(Zero material以前は4月2日生まれとされていたが、これは誤り)。身長156p。体重46s。B85 W56 H87。血液型O。Eカップ。一年でまさかの13センチ増。第四次聖杯戦争当時は身長120cm。体重25kg。
 第五回聖杯戦争におけるライダーのマスター。穂群原学園1年生。弓道部員で、2年生になってからは弓道部部長の座を美綴綾子から引き継いでいる。弓道は衛宮士郎の影響で始めた。
 間桐慎二の義妹。今代(最後)の間桐の魔術師(候補)。マキリの聖杯の実験作。母性本能が強く、とことん甘えさせてくれる魔性の女。鬼子母神のよう。聖杯の器であるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとは仲が悪い。
 遠坂凛の妹だが、十一年前に後継者がいない間桐に養子に出された。髪を結んでいるリボンは凛が最初に作ったもの。
 江戸前屋のたい焼きが大好物で、生の果物がだめ。酒に弱いが酒好きで、からみ酒になる。物語ではちょっと昔のコバルト文庫が好き。下着はつけて寝る派。甘いものと怪談が好きで、体育と体重計が苦手。イリヤスフィールと遠坂凛、間桐慎二が天敵。衛宮邸に通い始めたときはまったくできなかったものの、今では家事全般とマッサージが得意。だが下手をするとマッサージ中に経絡秘孔を突かれる。特技は我慢比べ。新聞勧誘に対しては思わせぶりな笑顔で契約特典を根こそぎもらい、最後にばっさり斬り捨てるという恐ろしいことをする。
 衛宮家のなかで唯一パン系が得意。湯飲みはファンシーなもの。酒飲みの素質あり。洋酒はいい香り付けになるというが、本人はフランベの炎に驚く。Fateの登場人物のなかではセイバー、バーサーカー、ランサー、衛宮士郎に次ぐ大食い。
 カナヅチというわけではないのだが、潜水以外の水泳は下手。弓以外の運動全般が苦手。ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトから脳天直下バックドロップを伝授されている。
 本来の属性(起源)は架空元素(虚数)で遠坂の魔術師としてならば大成しただろうが、間桐の属性である水に変えられたために魔術師としては衛宮士郎なみ。ただ、架空元素を起源とするために『黒い影』の具現化ができる。また魔術回路の数は遠坂凛と同じくらいあるが、魔力は真っ先に刻印虫に食われるので魔術は組み立てられない。
 目も髪も遠坂の色ではなくなるほど初期(五歳くらい)に身体をいじられており、その心臓にはマキリ臓硯の魂の器である脳虫が寄生している。その脳虫は10年前に監視用および聖杯の器にするために、第四次聖杯戦争の最後で破壊された聖杯の欠片を触媒として生み出された刻印虫である。
 また、魔道の伝承のために十一年前から性的虐待を受け、魔道とは関係なしにたびたび間桐慎二に暴行を受け、犯されている。だが何をされようと隠そうとする。間桐の魔術師にされたために魔術師の精がないと体が火照っておかしくなってしまう。耳飾りには媚薬が仕込まれていて、それをかけられると過剰反応して暴走する。
 ライダーの本当のマスターだが、『間桐慎二の指示に従う』という令呪で命令権を慎二に譲渡していた。だが魔力供給は桜がしなければならないのでライダーが行使されると桜の魔力が消費され、負担がかかる。
 穂群原学園入学前に通っていた学校は衛宮士郎と同じところで、凛と柳洞一成が通っていた学校とは別の学校。そこで四年前の四月頃に飛べるはずもない高跳びをしている衛宮士郎を目撃、その後間桐邸に遊びに来た士郎と対面、間桐邸に来たときだけ頑張って挨拶をしていた。一年半前からマキリ臓硯が衛宮を監視するという名目で衛宮邸に送り込まれたが、そのまま家事手伝いをしている。それからは藤村大河に影響されて明るく元気になっていった。また衛宮邸に通い始めた頃は痩せていたが、それからどんどん成長した。
 第五次聖杯戦争の一年前の夏に一度だけ士郎の魔術の鍛錬の場を目撃し、怖くなってそれっきり見ないようにしている。
 基本的に誰かを恨むことがなく、自責ばかりを溜め込んでいく。唯一遠坂凛に反応したのは自分に近い存在だから。
 マキリの聖杯の器の失敗作であるために、サーヴァントが倒されて体内に収納されるたびに人間としての機能がカットされてゆく。その効率は本来の器であるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンに比べて悪い。桜ルート以外ではマキリの聖杯として完成することはない。これは士郎という『なくしたくないもの』に選ばれたときに鬱屈していたネガティヴな感情が噴出することで『この世全ての悪』の成長を促すため。
 また黒化した場合はまさに無尽蔵ともいえる魔力を聖杯から汲み出すが、一度に放てる魔力は一千ほど。黒い影に取り込んだサーヴァントはそのまま殺すことも出来るが、黒化させて使役することも出来る。纏っている黒い服は純粋な彼女の魔力であり、実際は裸である。黒化した彼女にとって大気は猛毒となり、呼吸ができない。
 桜ルートで黒化した時点ではまだアラヤの怪物は発生していないらしい。
 間桐邸の彼女の私室にはライダー仕込みの結界が張られていて、その発動条件は日記帳を取り出してから逃げること、効果はトリップ。部屋の中にも呪眼の模様を混ぜて目を開けているだけで術中にはまるようになっている。
 その本棚にある本は『楽しい家庭科・初級編』『簡単三分ポエリング』『誰にも言えない!貴方のストレス発散法!』『中華料理百の罠!中華料理人はこう倒せ!』『終末の老人介護。首をぎゅっとね』など、可愛らしくも恐ろしい品揃え。
 日記帳は壁にかけられた絵の裏に隠されている。そのノートはワカメが描かれた『ジャプニカ暗殺帳』横罫22行。内容はちょっとした覚え書き程度……かと思いきやだんだんと恐ろしい内容になってくる。日付の横の☆の意味は不明だが、後のほうになると異様に多くなって不気味。
 第五次聖杯戦争後は慎二に怯えて竦むこともなくなり、ずいぶんと明るくなった。どころか慎二に恐れられるほど。
 キャスターの評によると素質は充分あり、溜めている力はちょっと信じられないくらいある。ライダーに魔術を教わっている。
 第五次聖杯戦争後は魔術師として成長したようで、虚数の属性を生かして魔力そのものをぶつける魔術を使う。が、単身で魔術を行えるだけの魔術回路の下地はできておらず、自らの影を放つ魔術回路を表層に押し出すことで魔術師として機能している。その状態は無意識領域をさらけ出しているようなものであり、簡単に負の心に飲まれてしまう危険性を伴う。影を放つだけの魔術回路、とはその際に腕に纏っている黒い袖のことだろうか。また自由に黒化できる。
 しかしカレン・オルテンシアと戦った場合、桜の影を放つ魔術が『神秘によって括られた存在』専用であるため勝ち目は薄い。
 魔術の修行も淫虫を使ったものではなく、真っ当なものになっているようだ。
 AATMでは遠坂凛とともに言峰綺礼を殺害したため(実際にはカレン・オルテンシアによる毒殺だが)、言峰の後釜としてウェイトレスになる。後に凛をルヴィア直伝脳天直下バックドロップで始末して店長代理を引き継ぐ。
 unlimited codesでは黒化して間桐臓硯を殺め、聖杯として完成した場合に邪魔になる『間桐桜の意識』を消去するために訪れた言峰綺礼も打倒する。その後、大聖杯の番をしていた同位の分身と殺し合い、生き残ったほうが『この世全ての悪』の母体となる。なお、言峰と戦った時点では記憶がややあやふやになった程度だったが、自分と殺しあった後は記憶も動機も抜け落ちて、ただ外の世界に生れ落ちたいという『この世全ての悪』の願いのみが残った状態だった。


間桐慎二(人名)
 身長167p。体重57s。
 弓道部副主将。間桐鶴野の息子で間桐桜の義兄。穂群原学園2年C組。第五次聖杯戦争後は無事進級して3年C組。弓道部副主将。ナルシストで天才肌。極めて自己中心的で自意識過剰な性格で他人を見下す。弓の腕前はなかなか上手なのだが、本人は暇つぶしと言ってはばからない。第四次聖杯戦争中は遊学の名目で国外に出されていた。
 第五次聖杯戦争における、偽臣の書によるライダーの偽りのマスター。そのために自力での魔力の補給はできず、本当のマスターである桜からの魔力供給に依存している。ライダーには彼女を従える理由は自らの身を守るためと言っていた。
 魔術師の家系に生まれたことで自分は選ばれた人間だと思い、かつ魔術回路がないために生まれつき劣っていると思っている。そのため聖杯の力で魔術師になろうと思い聖杯戦争に参加した。また理想と現実のギャップで性格が歪んでいる。そのため、桜によく八つ当たりで暴力を振るい、犯す。普段から桜に暴行を働いているため、女性に対して暴力を振るうことに抵抗がない。
 桜が養子に来たときは多少は苛めながらもかわいがっていた。しかし間桐の後継者が自分ではなく桜だと知った時、『生まれを憐れんでいたのは自分ではなく桜の方だった』と思い手酷い暴行を働くようになった。これは『こいつを抑えておかないとどこの誰とも知れないやつに自分の居場所を奪われ間桐家を乗っ取られる』という危機感があったためでもある。
 魔術師としての才能はないが、一般の人間としての才能は多分にある。それだけに魔術師としての才能がないことを気に病み、鬱屈していき、周囲の人間を見下すようになった。
 桜がライダーを召還したときは落ち込んでいたが、桜が聖杯戦争に参加することを嫌がっているのを見て臓硯に『やる気のない桜ではなく自分にやらせてほしい』とだめもとで頼み、それを許される。しかし魔術師でもない慎二にライダーが従うわけがないので桜に偽臣の書を作らせ、晴れてライダーの仮マスターとなった。これによって気が大きくなり、第五次聖杯戦争のときは普段より二割増で横柄になっている。なお士郎とは割りと本気で共闘してもいいと考えていた。慎二の「おまえを利用してやる」というのはつまり相手を認めているということだからである。
 規律を重んじ(自分はあまり守らない)、不公平を嫌い(自分は度外視)、女の子には優しい(落とした女の子は例外)という校内で1,2を争ういい男。任された事はどんなカタチであろうとこなし、一応の筋は通す。成績は常に上から五位に入っており、金回りもいいので取り巻きの女子が多い。そのルックスから女子にはもてるが大半の男子からは嫌われている。
 名推理と捜し物が得意で子犬と特権が好き。無条件で幸せな空気が苦手で遠坂凛と美綴綾子が天敵。遠坂凛に片思いをしているが、凛が気付かないのでいちいちちょっかいを出す。ちなみに子犬が好きな理由はしつけなくても尻尾を振ってすり寄ってくる哀れさがたまらないかららしい。だが世話をするのは嫌。最近のマイブームはわんわん王国で犬と戯れること。彼にとって円周率とは『およそ3』。
 味にうるさい。飲み物はコーヒー派で、ミルクも砂糖も入れる。ケチャップはデルモンテに決めており、桜が買ってきた生協のケチャップの味を見直したが認めようとしない。
 第五回聖杯戦争の後は美綴綾子と同じ病院に入院していた。その後は怒って間桐桜に手を上げることがなくなり、かなりまともになった。嫌われ役である事は変わりないが、本来はツンデレ系の困ったちゃん。
 卒業後に間桐の家と縁を切って上京する予定があり、新都の喜多邑茶家でアルバイトをしている。喜多邑茶家の噂にある愛想のない新人とはおそらく慎二のことだろう。
 衛宮士郎と出会ったのは中学二年生(と明確に定義していいのか)の十月ごろで、士郎が文化祭の看板を三年生の設計通りに一晩で作り直す羽目になったとき。それを一晩中眺めていた慎二が「ふーん。おまえ馬鹿だけど、いい仕事するじゃん」と笑ったのが始まり。士郎が弓道を始めた頃から疎遠になっていたが、穂群原の三年生になった頃からはまた元の鞘に納まりつつある。
 二年生のときの球技大会では柳洞一成、衛宮士郎と組んでセパタクローに参加した。決勝に進出したが、氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子の2年A組チームと対戦した際に一成が嫌がらせじみた集中攻撃を受けたことで乱闘を起こし、A組チームとともに失格になった。
 修学旅行で訪れた科学未来館ではBMIマシンを体験し、伝達率100%をマークしたが、『ワカメ頭』『ミネラル』『海草』『(擬似BMIマシンが)磯くさくなって台なし』などと散々に中傷されている。
 GAME CLUB SAGEで連コインをしたり、カードショップで買い漁った英雄史大戦のカードを使って小学生を相手にプレイするなど、実に大人気ない。
 2年生のときの体育祭では騎馬戦と100メートル走に出場するが、ともにその競技直前に蒔寺楓が暴走させた大玉と蒔寺が暴投したマグロが当たった。
 港の埠頭の一番端っこが彼の定位置。カレン・オルテンシアと戦った場合、心身ともにズタボロにされる。
 『恐怖・人類未踏の〜』では、桜に「お前、最近丸くなった?見た目的な意味で」と言って激怒されて山に逃げ込み、穴に落ちて洞窟を彷徨うことになる。灯りにしていた百円ライターも消え、大いに取り乱していたところアーネンエルベの地下から洞窟に入ってきたセイバーに出遭って助かったと喜ぶが、セイバーが奥に向かおうとしたことで再び取り乱してセイバーのアホ毛を掴んでしまい、黒化させる。
 その後セイバーの『約束された勝利の剣』によって引き起こされた崩落とともに最深部まで転落し、シエルが投げ捨てた妄想具現化装置ファーブル・マンタズムによって『自分が主人公で大活躍する超絶かっこいいスピンオフ』という妄想が具現化され、キラキラした王子様のようなキモイ姿になる。そしてその力を使って慎二の慎二による慎二のためのハーレム『神聖モテモテ慎二王国』を建設しようとする。ただしシエルはカレー臭がしそう、セイバーはゴロゴロしてるだけという理由でハーレムから除外し、桂木千鍵と日比乃ひびきに狙いを定めて言い寄る。そして怒り狂った第七聖典装備のシエルとセイバーに戦いを挑まれるが、互角以上の戦いを繰り広げており、実際にそのときの戦力はサーヴァントに匹敵するか上回るものになっていた。しかしファーブル・マンタズムの効果が切れたことで戦況は一転、第七聖典と『約束された勝利の剣』によってぶっ飛ばされた。その後は再び地底を彷徨い、ネコアルクがたくさんいる毒々しい世界(グレートキャッツビレッジか)に辿り着く。


間桐慎二の母(人名)
 なんらかの保菌者であった。特別な特性はなく、間桐臓硯曰く『路傍の三流魔術師の娘』。
 間桐慎二の出産後は用済みになり、間桐邸の地下埋葬所には母親だったモノがあるらしい。


間桐臓硯(人名/魔術師・死徒)
 身長145p。体重43s。
 間桐の六代前の魔術師にして間桐家初代当主。際立った虫使い。マキリにおける最悪の魔術翁。五百年を生きる大妖術師。ヨーロッパ出身。間桐家の相談役のようなもの。言峰の言葉から吸血鬼と思われる。戸籍上は間桐鶴野、雁夜兄弟の父親ということになっている。
 本名はマキリ・ゾォルゲン。1790年頃にロシア方面から日本に移る。日本に移った際に名であるマキリを間桐と読み替えて姓とし、家名であったゾォルゲンを臓硯と読み替えて名とした。
 もとの肉体を捨て、蟲に人の肉を食わせて、その蟲で肉体を形作ることで不死を実現しようとした。だが時間の蓄積が魂をも劣化させてしまい、魂をもとに形作られるその肉体もすぐに腐り果ててしまう。そのために頻繁に肉体の交換を行うのだが、その肉体はどんなものでも一人分の肉があれば蟲が間桐臓硯の肉体に作り変える。首の挿げ替えは数分で済み、その速さは卓越した魔術師としても異常である。
 魂の容れ物である本体の蟲は聖杯の破片から作った脳虫と呼ばれる刻印虫で、間桐桜の心臓に寄生している。蟲を触媒に干渉する霊体なので、殺すためには本体を叩くか魂そのものを浄化するしかない。
 間桐雁夜は兄の鶴野より魔術師としての素養が勝っていたが、自由意志を奪ってまで次代頭首に仕立て上げる手間には釣り合わない程度の素養でしかなく、出奔を許した。臓硯としては鶴野が妻に孕ませる次代の子供に賭けていたのだが、生まれた慎二には魔術回路が皆無であり、賭けは見事に裏目に出てしまった。
 雁夜が禅城葵と幼馴染になったのも、遠坂より先に禅城の優秀な遺伝特質に気づいていた臓硯の手回しによるもの。しかし雁夜が魔導そのものを嫌悪したことと横から割り込んだ遠坂時臣によってこの企ても水泡に帰した。ただ、雁夜としても葵を蟲蔵に連れ込むことは断固として拒否しただろうし、せめて間桐の魔術形態がもう少しまともであったら雁夜もおとなしく継承者になって時臣と葵を奪い合っていたかもしれない。
 雁夜にバーサーカーを召還させたこともサーヴァント戦も雁夜に対する制裁の意味合いが強かった。雁夜については逃亡者として日々怯えながら惨めに暮らしている分には看過するつもりであったが、彼が英雄的自己犠牲を払おうとしたことによって「間桐の血筋の癖に生意気な」と臓硯の激憤を買った。
 第四次聖杯戦争において間桐が払った犠牲は屋敷の防衛結界を荒らされたのと鶴野の右手がなくなったことくらいで、砕けた聖杯の破片が手に入ったことに比べれば安いものであった。
 第五次聖杯戦争においては佐々木小次郎を媒介にして真アサシンを召還したが、それは完全な外法である。令呪についても、偽りの令呪であるにしても既にキャスターに刻まれていたため臓硯には令呪が刻まれていない。
 真の不老不死たる第三法、魂の物質化のために桜を聖杯にしたが、聖杯戦争を創始し、不老不死を求めた本来の目的は『この世すべての悪の根絶』、つまり人類が抱える業の滅却のため。これは根源に至る事でのみ成されると考えたのである。とはいえ悪をよしとする外道であることに変わりはない。
 ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンに想いを寄せていた。
 虫、鳥などの飼育と株式投資が得意でできの悪い孫たちと悪だくみが好き。太陽の日差しが苦手で教会の代行者が天敵。すっかり日本文化に染まっているが、もとは西欧の出身。普通の食事もできるが、直接生気を吸ったほうが効率がいい。カレン・オルテンシアと戦った場合、卓越した魔術師であるが日光という教会が熟知した弱点を持つため勝ち目は薄い。
 日光に弱いため、普段は奥の院に篭っているか間桐家が各地に所有する霊地を回っているかのどちらか。近年は冬木市から離れていたが、第五次聖杯戦争にあわせて戻ってきた。
 間桐雁夜を第四次聖杯戦争に出場させたが、それは聖杯を得る見込みがあるからではなく、裏切り者の雁夜が悶え苦しむのを見るため。
 hollow ataraxiaでは間桐邸に普通に住んでおり、間桐桜に恐れをなしている。新しい家政婦を雇っては悪戯をして泣かせている。
 ちょっとボケ気味。


魔導通信機(用語/魔術:Zero)
 →宝石通信機。


間桐邸(地名)
 深山町の洋館が立ち並ぶ丘の中腹に建つ洋館。衛宮邸から全力疾走でおよそ三十分の場所にある。レンガによる組積造で、建物のほとんどの部分を外国から運び込んだという豪壮な造り。地下には後継者に間桐の魔術を叩き込み、虫を育てるための広大な地下埋葬所(修練場)がある。
 魔術施錠のため桜は鍵をなくしても困らないが、慎二は魔術を使えないため玄関・居間・トイレ・自室の鍵を持っている。
 間桐慎二の祖母によって桜が植えられているが、土が合わなかったのか成長こそすれ花をつけることはなかった。それが桜の地道な治療によって初咲きを迎えることができた。
 家政婦がいたが、間桐桜が自分たちはもう子供ではないので必要ない、と辞めさせた。食事は家政婦が用意していたが、慎二はほとんど外食で済ませていた。
 桜は衛宮邸に通う前までは家事をすべて家政婦に任せていたが、今では家事の腕は相当なものになっており、間桐邸でも二日に一度の割合で家事全般をこなしている。もちろん桜が作る料理の味は素晴しいのだが、その食卓の恐ろしさといったら。hollow ataraxiaでは間桐臓硯は「チンせぬレトルトの方がマシじゃのう」と部屋に引きこもっている。
 桜の部屋には四月ごろからライダー仕込みの結界が張られており、臓硯曰く慎二程度では生きて帰れない。それは扉を開ければ侵入者がいると桜に知れる。


間桐鶴野(人名・魔術師:Zero)
 まとう びゃくや。
 間桐雁夜の兄で慎二の父。魔術師の素質は乏しく、始まりの御三家でありながら第四次聖杯戦争の一年前になっても令呪が宿らなかった。
 聖杯戦争に強い恐怖を覚えていたために第四次聖杯戦争中は間桐邸に籠ってひたすら酒を呷り続けていた。間桐邸から離れなかったのは、臓硯から桜を蟲倉で調教することを命じられたため。
 魔術師としての素養は弟の雁夜に劣っていたものの、雁夜が魔道の継承を拒否して出奔したため仕方なく彼が家督を継いだ。といっても臓硯は元から鶴野の素養を諦め切っており、何の教導もされず、せいぜい助手程度の雑用を任されたに過ぎない。実質的な後継者としての重責は養子の桜に課されていた。
 自分より才能に秀でていたのに逐電した雁夜に対しては肉親の情を持ち合わせていなかった。名目だけの頭首という屈辱も魔道に対する嫌悪も、間桐家の資産と何不自由ない暮らしの対価と考えれば悪い取引ではなかった、というのが彼の感慨だった。しかしそれでも酒に逃げる羽目になるようなストレスに日々苛まれていたらしい。
 バーサーカーが拉致したアイリスフィール・フォン・アインツベルンが間桐邸にいると思い込んで侵入した衛宮切嗣によって右手を吹き飛ばされた。


窓辺の幽霊(用語:hollow)
 冬木市の怪談。第三次聖杯戦争の再現たる四日間が発生した年(おそらく2002年)の二学期ごろから広まった噂。冬木市のどこかに使われていない洋館があり、夜中に近付くと二階の窓から女がじっと見つめてくるというもの。
 この洋館がどこかは明らかにされておらず、道に迷った人がたまたま見つけた。周囲は木ばかりで人気がないという。


マネジメント(用語:氷室の天地)
 ピーター・ファーディナンド・ドラッカーの著書。氷室鐘が読んでいた。


魔法(用語)
 魔術とは違う神秘。魔術師達の最終到達地点。現代の技術ではどうしても再現不可能な神秘、つまり奇跡を指す。その時代で実現不可能な出来事を可能とするのが『魔法』であり、時間と資金をかければ実現できる“結果”は魔術であり魔法とは呼ばれない。発動には根源につながる霊地が必要。
 文明が未熟だった頃は現代における魔術のほとんどが魔法であったが、文明の発展とともに不可能は可能となり、魔法は魔術に価値を落とすにいたった。
 現代における魔法は5つであり魔法使いも5人だが、第一魔法を扱った魔法使いは死亡しているので実際は4人である。人によって5人と4人とに人数が分かれるのは、既に存在しない人間はカウントしないか、死んでいようが消えていようがその痕跡が生きているのなら存命中とカウントするのかの違いである。
 明らかになっている魔法使いは蒼崎青子とキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。残りの二人は姿を眩ましているが、この二人は頻繁に現れてはトラブルを巻き起こして立ち去る迷惑な人物。
 第一魔法が『無の否定』と思われ、第二魔法がキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの『並行世界の運営』、第三魔法がアインツベルンから失われた『魂の物質化(天の杯)』、第五魔法が蒼崎青子の魔法・青(どんなものかは不明)。他に魔法とされるものは『純粋な空間転移』と『時間旅行』。第一魔法、第二魔法は魔術協会でも一部の人間にしか知らされていない。
 死者の蘇生には『無の否定』『並行世界の運営』『時間旅行』のいずれかが絡む。
 科学技術や魔術の進歩によって魔法は単なる技術(あるいは魔術)に堕ちて失われてきた。しかし魔法は減るばかりではなく、魔術師が既存の魔法を継承したり、全く新しい魔法に到達することで数を増やす可能性はある。『みんなを幸せにする』ということは未だ実現されていない魔法の一つで、最後に残るとされている。


魔法・青(用語)
 蒼崎青子が使う第五魔法。30年程度の魔法だが、またとないレアもの。破壊に関するものであること以外不明。


魔法少女カレイドルビー(人名?:hollow)
 Kareido-Ruby。
 カレイドステッキによって遠坂凛が多元転身した姿。噂の辻斬りアイドル、街のみんなに愛と頭痛を送る絶滅天使。赤いコスチュームにネコミミ、ネコ尻尾という痛々しい格好。
 話の流れで、この姿で文化祭のミスコンに参加することになってしまった。
 後に異なるジャンルの魔法少女、ファンタズムーンと出会ってオンリーワンを賭けて戦うことになる。夢と希望のファンタズムーンと、力と策謀のカレイドルビー。不思議系魔法少女と軍事系魔法少女の意地と人気を賭けた大激突である。
「これだから電波(不思議)系は!」
「ミリオタにつける薬はないわね!」


魔法少女ファンタズムーン(人名?:TAKE MOON)
 Phantas-Moon。
 アニメ作品『白き月姫ファンタズムーン』シリーズの主人公。
 白き月姫。その正体は誰も分かってはいけない。ジャンル・不思議系の魔法少女。まあギリギリ少女……?
 自然干渉を得意とする魔法少女で、天候操作、地層変動、果ては星の自転逆行による秩序崩壊系魔法『あ、ちょい今のナシ』まで使いこなす。また空中飛行一歩手前のジャンプ力とか熊も一撃の格闘能力とかを持つも、本人は「しっつれーい! これも魔法の力だもーん!」などと可愛コぶっている。しかしどう見ても只の力技で、本当に魔法関係ありません。
 コスチュームはアルクェイド・ブリュンスタッドのドレスをもとにしたもので、スカートはミニのプリーツスカート。二期ではスカートの前部分がなくなっており、ネコミミが追加されている。衣装についてはファンから『前の方がよかった』『下品』『ぱんつを隠してください』などといった不満の声が上がっている。なおネコミミはカレイドルビーに対抗するためらしい。
 魔法の杖であるファンタズムロッドは一期のものが先端にハートの意匠が施された40cmほどのもので、二期のものはF市在住の新妻モデラーMさん(仮名)から強引に奪い取ってきたものらしい。つまりキャスターの杖。
 後に異なるジャンルの魔法少女、カレイドルビーと出会ってオンリーワンを賭けて戦うことになる。夢と希望のファンタズムーンと、力と策謀のカレイドルビー。不思議系魔法少女と軍事系魔法少女の意地と人気を賭けた大激突である。
「これだから電波(不思議)系は!」
「ミリオタにつける薬はないわね!」


魔法少女マジカルアンバー(不明)
 琥珀色の魔法使い(偽)。フードを被った謎の女性。ケミカル!マジカル!メディカル!が合言葉。なんか飛ぶらしい。
 今日も今日とて怪しげなドラッグを作ることに余念がない、遠野家地下王国の参謀。愛とか夢とか白い粉で周りの人々に笑顔を振りまく。火炎瓶も振りまく。
 本当はホウキ少女マジカルアンバー。


魔法のお手伝いさんマジカルアンバー(人名?)
 Magical-Amber。
 白き月姫ファンタズムーンに登場する魔法少女。ある時は味方のような敵、ある時は頼れるいい人っぽい敵、またある時はどこからどう見ても敵という、いつもほがらかで笑顔がキュートなお手伝いさん。ホウキに乗って空を飛ぶオールドスタイルの魔法少女。ミニ丈の着物に割烹着、狐耳と尻尾、ピンクのサイハイソックス、黒いフードという出で立ちにひまわりが付いたホウキを持っている。
 全身を覆う黒フードがトレードマーク。町内を騒がせる魔法少女を撮影すると決まって背景に黒いフード姿が写るが、なんだかんだとにこやかにアリバイを提出する。
 キャラ的にはファンタズムーンと同じタイプだが、分かり合えることはたぶん一生ない。出会えば楽しげな会話が繰り広げられるが、言っていることは全くかみ合っていない。
 魔法少女属性(ジャンル)/黒幕。相手が真面目であればあるほど強くなるという魔術系統。そのため真剣に正気じゃない相手には効果が薄い。言葉巧みな言語療法と力技とも言える投薬治療が得意技。数々の怪人たちのスキルを研究していたのか、黒鍵を模した注射器やすごい中国拳法も使いこなす。ただしメカは作れないため、善意の協力者(住所不定の錬金術師)を無理やり働かせて作る。
 ちなみに当主には常に弱いが最後の一線では強く、長男相手には常に強いが最後の一押しで弱くなる。なお本当の長男相手には常時最高に鬼。


魔法使い(用語)
 魔術ではない神秘、ありえない事を可能とする人間の俗称。秩序と対峙する域にある者。かつて文明が未熟だった頃は魔術師の大部分が魔法使いだった。しかし文明の発展とともに不可能は可能となり、魔法は魔術として価値を落とすにいたった。
 現代における魔法は5つであり魔法使いも5人だが、第一魔法を扱った魔法使いは死亡しているので実際は4人である。数える人によって5人と4人とに人数が分かれるのは、既に存在しない人間はカウントしないか、死んでいようが消えていようがその痕跡が生きているのなら存命中とカウントするのかの違いである。
 明らかになっている魔法使いは蒼崎青子とキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。残りの二人は姿を眩ましているが、青子とゼルレッチの二人は頻繁に現れてはトラブルを巻き起こして立ち去る迷惑な人物。
 蒼崎青子以外の魔法使いは生き物をやめているらしい。時間を超越していると思われる。かなりの長命を誇るが、不死ではない。


魔蜂使い(用語/俗称:Zero)
 →オッド・ボルザーク。


魔力(用語)
 魔術師にとってのガソリンのようなもの。魔術を発動させる為の要素。神秘を起こすための燃料。生命力と言い換えてもいい。原初の生命力とも、命そのものともいわれる。風の流れや潮の満ち引きでも微細な魔力の動きがある。魔力の素は生命力で、魔術師は魔術回路を用いて生命力を魔力に変換する。
 世界、自然に満ちる星の息吹たる大魔力、大源(マナ)と魔術師(生物)の体内で作られる小源(オド)がある。両者の質にほとんど差はなく、単純にマナの量がオドの量よりも絶対的に多いというだけである。
 マナは大気に満ちる『その空間』が持つ魔力なので、魔術師であるのなら自由に行使することができるが、その行使量は魔術師のキャパシティ、魔術回路の数に見合ったものである。
 大抵の魔術師はオドを使って魔術を発動するが、歴史が浅い魔術師は古くから確立されている儀式を行い、自然界から汲み上げたマナを使って魔術を行使する。
 基本的に魔術を発動するための燃料だが、魔力そのものが魔術に近い特性を持っている場合に限ってカタチとして残る。
 一般人でも微弱な魔力を持つ者はいるが、魔術回路がなければ魔力の生成はできず、ただ保持するだけにとどまる。よって魔術師は一定以上の魔力を帯びた者のみを魔術師と認める。なお魔術師にとって己の体内を流れる魔力をイメージするのは大事なことであり、遠坂凛の場合は清流を舞うように泳ぐ魚のイメージ。
 魔術師の血液には魔力がよく溶けるため、これを飲むことで魔力の補給をすることも出来る。
 成熟した魔術師一人分の魔力量は25程度。


魔力殺し(武装)
 魔力を遮断する効果があるアーティファクト。


魔力針(用語:Zero)
 形状も構造も手の平サイズの方位磁針にそっくりで、常により強い魔力を発している方角を示すという魔道器としては簡素極まりないもの。


魔力放出(技能:Fate)
 武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。いわば魔力によるジェット噴射。
 第四回および第五回聖杯戦争におけるセイバーは剣戟はもとより防御や移動にも魔力を働かせている。少女の身でバーサーカーと打ち合えるのは膨大な魔力ゆえである。
 A:強力な加護のない通常の武器では一撃の下に破壊されるだろう。


マルセル・デュシャン(人名:氷室の天地)
 1887年7月28日〜1968年10月2日。
 アメリカで活躍したフランス出身の美術家。
 当初は画家であったが、油彩画の制作は1912年頃に放棄。チェスの腕前はセミプロレベルであり、絵画の放棄後はたまにレディ・メイドの作品を発表する他はチェスに没頭していた。
 油絵の放棄後は1913年制作の『自転車の車輪』を皮切りに、既成品をそのまま、もしくは少しだけ手を加えたものをオブジェとするレディ・メイドを数多く発表した。中でも普通の男子用小便器に『リチャード・マット』という署名をしただけの1917年制作の『泉』は特に有名。今日において『泉』を含む多くのレディ・メイド作品のオリジナルは紛失している。
 なおレディ・メイドとは、当初の目的とは違った使われ方をされた既製品、つまり芸術作品として展示された既製品を指している。
 デュシャンは芸術作品に既製品をそのまま用いることで『芸術作品は手仕事によるもの』『真作は一点限り』という概念を否定した。レディ・メイドは既製品へ美術的意味合いを見出そうとするものではなく、根底にあるのは『それが美しいかどうか』ではなく『観る人の思考を促すかどうか』ということであるらしい。


マンゴーラッシュ&クリーム(用語:Realta Nua)
 凛ルートのデートの際に小休憩のために入った喫茶店でセイバーが衛宮士郎に勧めたもの。というよりセイバーが食べたがったもの。



  


三重県代表(用語/組織:氷室の天地)
 陸上競技の大会の三重県代表。狡猾さ溢れるテクが持ち味で、薬師寺天膳などの忍者キャラクターのイメージ。


未遠川(地名)
 みおんがわ。冬木市を深山町と新都に二分し、海にそそぐ川。冬木大橋がかかっている。第四回聖杯戦争でセイバーがエクスカリバーを使用し、川が干上がった。
 昔は荒ぶる龍神が棲んでおり、柳洞寺の僧が法力をもって三日三晩の加持祈祷の末にこれを調伏したという伝承がある。が、柳洞零観らが語るには旅の僧が口八丁手八丁で純朴な龍神を騙して鎮めたという話。柳洞寺に伝わる柔術は静まった龍神が暇つぶしに寺の者に教えたものらしい。
 その僧が亡くなってから深山の民によって高僧の徳を慕い龍神を鎮めるために祭儀が行われていた。藤村大河らが子供の頃までは夏と秋にそのための龍神祭が行われていたが、現在では夏のみ行われている。現在の秋祭りとは関係ない。


右足の悪魔(用語)
 クラス:陸の王者。
 ユーザー願望:神罰、大海嘯の具現。
 デザイン参考:聖堂を飾っていた動物たちの彫像や剥製、または聖堂自体。
 メレム・ソロモンの四大魔獣のうちの一体。破壊の黒犬。終末の鐘。神の獣。鯨犬。メレムが好んで引き連れる、制圧・破壊専用の悪魔。これといった特殊能力はないが、全長200メートル近い巨体だけで充分すぎるほど悪魔として成立する。
 本当はもっと可愛い犬にしたかったらしいが、メレムの画力は偏っているようだ。メレムは犬好きなのか、左足よりは右足のほうが言うことを聞いてくれる。
 鯨と犬を掛け合わせたような姿をしており、腹と足の指(爪?)がメレム柄。


右腕の悪魔(用語)
 クラス:機巧令嬢。
 ユーザー願望:銃剣、戦争の具現……を建前にした人形萌えの具現。もしくは、天使を騙る悪魔。
 デザイン参考:聖堂の女神像、葬式。
 メレム・ソロモンの四大魔獣のうちの一体。巨大ガラクタ擬人化少女ソードちゃん。全長10メートル前後のリビングギアスタチュー。四大魔獣の中で唯一積極的にモデルチェンジをするオシャレさん。基本的にはダウナー系のやる気のない女神像さま。
 通常はマスクで顔を隠しており、滅多なことでは取らない。移動聖堂でもあり、腹部の王冠マークの付いた部分が開いて階段と入り口が現れる。
 偶像であるため最低限の知性しか持っておらず、あまり融通が利かない。命令されたコマンドをなかなかデリートできない。
 武器を象徴する悪魔だが、原則として個人が所有できる武装に限られる。兵器の発展とともにデザインは細かく変化していったが、百年ほど前から現在の形状に落ち着いている。武器を随所に組み込んだ少女像。前髪と腹部、フードと膝に王冠マークが刻まれており、様々な部分にメレム柄があしらわれている。


右歯噛咬(武装:hollow)
 ザリチェ。日本語読みではみぎししがみ。
 アヴェンジャーが使う歪な短剣のうちの右手用のもの。これで敵の身を断つ。獣の牙を模している。あるいはその時代にまだ実在した悪魔の牙を御神体としたものかもしれない。


(人名:Fate)
 穂群原学園弓道部員。


三咲町(地名)
 月姫、歌月十夜の舞台となる町。首都圏にあり、南社木市と隣接している。冬木市とは関東と九州くらい離れている。町内に空港とプール施設がある。
 遠野志貴らが通う学校から見ると遠野の屋敷は正門方向、有間の家は裏門方向にある。


三澤羽居(人名:歌月十夜)
 みさわ はねい。
 6月7日生まれ。O型。身長162p。体重46s。B90 W59 H87。
 私立浅上女学院高等部の生徒。出席番号十番。遠野秋葉と月姫蒼香のルームメイト。通称羽ピン。部活動はしていない。
 おっとりした性格で、常にぽやぽやしてアルファー波を放出しているよう。どんな相手に対しても素直に対応し、相手の毒気を抜いてしまう。健忘症のごとく物忘れが激しい。まるで整理整頓が出来ないたちで自分の机の上が散らかっているので、時おり遠野秋葉や月姫蒼香の机の上を占拠する。ハンダやハサミなどの七つ道具が詰まった巾着袋を持っている。
 手先がなかなかに器用で丁寧な性格なので小物作りはなかなかのもの。そのため先輩方や教師から一つ返事でアルバイト(といっても金銭は絡まないが)を引き受けている。頼まれると断れない性格で、依頼された仕事はどんなものでもこなす。なのでいつも何か忙しそう。
 その執念はすさまじいもので、投函された宛名のない白紙の手紙を投函者の元に返すほど。
 本人は恋愛をしたいらしい。ぼんやりしているため周りからは夢見がちな子だと思われているが、「夢は幸せなお嫁さんだよー」というくらいしっかりした恋愛観を持っている。
 わりと大柄で、小柄な月姫蒼香とはデコボココンビだが“お似合いすぎて死ぬ”とは周りの生徒の言葉。蒼香は否定しているが、羽居と蒼香はベストカップルと認知されているらしい。


(用語・魔術)
 魔術師の属性(五大元素)の一つ。
 間桐家の属性。


ミスター・ダウン(人名/エクソシスト:the dark six)
 Mr. Dawn。
 聖堂教会のエクソシスト。30t級のトレーラー『悪魔を哀れむ歌(Sympathy for the Devil)』を移動手段にするドライバー。埋葬機関の第六位(暫定)。埋葬機関の穀潰し。彼ともう一人の悪魔祓い師の二人で正式の六位となる。元V&Vインダストリィ第六開発部主任。
 彼自身に悪魔祓いの力はなく、主な役割は“道から外れやすい”もう一人の悪魔祓い師の輸送とされる。彼には攻撃手段も自衛手段もないので、悪魔祓いの仕事はもっぱら輸送しているもう一人の悪魔祓い師が行っている。
 険のある顔つきだが温和で人当たりのいい性格をしている。エクソシストというよりは学校の教師といった風貌だが、本人曰く人にものを教える資格がないそうで、一人でのんびり生きる方が誰にとっても幸福なことらしい。
 静かな平和主義者。アルズベリという戦場に赴くことを承諾しながらも自衛のためですら銃器は持たない。血や暴力に弱く、ホラームービーにも弱い。異端者による殺戮現場を見ると途端にパニクって足を引っ張ることから、代行者たちには『一緒に任務につきたくない男・ぶっちぎりで第一位』と恐れられている。
 貴重なタイプのエクソシストで、今のところある条件下において彼の代わりになるエクソシストはいないとされている。聖母の予言において、生涯で三度悪魔祓いをすると啓示された。教会においてただ一人、成体となった悪魔憑きを祓った男。
 代行者としての秘蹟・異能も魔術的な素養もないため、一般人サイドの理解者として活躍する。教会側の人物たちからは『殺し合いに参加しないのだから雑用係として死ね』とこき使われる苦労人。おもに武器の運搬・調達係として活躍する。
 技術者としてはエリート中のエリートだったがある事件をきっかけにV&Vを退社、事件解決の功績を買われて埋葬機関局長ナルバレックにスカウトされる。しかし信徒としての在り方は平均よりやや下といったところで、聖書を机の引き出しに寝かせておく程度。これは事件後からも変わっていない。
 ダウンというのは無論本名ではない。彼は本名を取り戻したがっているのだが、同時に本名だけを認識できない狂気にいる。


ミスター・ダウンの相棒(人名/エクソシスト:the dark six)
 聖堂教会のエクソシスト。ミスター・ダウンと二人で埋葬機関の第六位。道から外れやすい。悪魔を哀れむ歌の荷台で輸送される。荷台の気温が20℃を下回るとこれを投棄・爆破しなければならないらしい。
 他人の心に反応して形を変える、麻婆豆腐に欠かせないスパイスを持っているなどからカレン・オルテンシアではないかと思われる。


ミス・フライング・ヴィクトリー(仮宝具)
 →先行し炸裂しまくる誤認勝利。


ミックス定食(用語:Fate)
 穂群原学園の学食のメニュー。エビフライまで肉の味。


美綴綾子(人名)
 みつづり あやこ。
 身長162p。体重50s。B83 W58 H83。
 遠坂凛のクラスメイトで友人だか天敵だかよくわからない関係。本音になると男前な口調になる。蝉菜マンションに住んでいる。武道と日本文化を愛する大和撫子。
 『美人は武道をしていなければならない』という妙な美意識の持ち主で、武芸百般に精通した豪傑。一番の得手は薙刀。唯一心得のない弓道をやるために弓道部に入り、主将を務めていた。三年生になってからは部長の座を間桐桜に譲り、その補佐というか相談役のようなポジションについている。間桐慎二の後輩いじめを抑制する目的もあり、士郎に弓道部復帰を呼びかけ続けている。
 テレビゲームが好きで、単純作業を繰り返すゲームなら一晩中やっていられる。氷室鐘に世界文化大戦4やコマンドアンドコンカー レッドアラート3といったゲームを勧め、一緒にプレイしている。囲碁と将棋が苦手。情報家電に詳しい。お祭り好き。料理では大量生産のものが得意で、大雑把になるほどに味がよくなる。ベーキングパウダーを使うケーキが得意。藤村大河が天敵らしい。
 2年生の春の段階で弓道部主将に任命された女傑で、穂群原学園で喧嘩を売ってはいけない人間ベスト3にランクインしている。しかしながら自室を少女趣味で固めたり、女友達の前では地の女の子然とした性格を出したりする。遠坂凛が愛用しているネコ柄のパジャマは綾子からの贈り物である。行けるなら池袋に行ってみたい人。しかし家は格式高い武芸の家柄なので、現代っ子ということは表向き隠している。
 冬木空手道場の師範代。2年生の夏には師範がギアナ高地に修行に行っていたため美綴が門下生を指導していた。当然ながら黒帯である。下心のある男性門下生をフルコン空手で叩きのめしていた性で冬木空手道場には男性門下生が少なく、美綴に憧れを抱く女性門下生が多い。
 どちらが先に彼氏を見つけるかで凛と競争していたが、その賭けには第五次聖杯戦争後の四月ごろに凛と衛宮士郎が付き合い始めたということで負けた。そのときに負けまいと焦って彼氏候補を探したが見つからず、仕方なく彼氏と偽って弟の実典を紹介したことがある。もちろんそれで騙しおおせるはずもなく、実典は大恥をかいた。よって彼女は現在でもフリーである。またぱっと見、衛宮士郎が誰ともくっついている様子がないことから勝負のノーカウントを主張している。ちなみに年上好みのため、学園の男子生徒には恋愛対象としての興味が持てない。
 ルートによってはライダーに血を吸われるが、『誰かに襲われて血を吸われた』という記憶はあるものの相手が誰かは覚えておらず、また別段命に問題はない。しかしそのためライダーが苦手。
 日本文化をこよなく愛する彼女にとって正月元旦に高級振袖に身を包み、凛と背を伸ばしてお参りに向かうのが至上の喜び。それだけに真逆の方向で振袖を着こなす蒔寺楓が『イヤイヤ着ているクセに似合っているのが許せない』。
 二年生のときの球技大会では沙条綾香、氷室鐘と組んでセパタクローに参加した。決勝に進出したが、衛宮士郎、柳洞一成、間桐慎二の2年C組チームと故意に乱闘を起こし、ともに失格。なお蒔寺楓は最初美綴と組もうとしていたが、その誘い方が意味不明な手紙を下駄箱に忍ばせておくというものであったためにそれと気づくことはなかった。
 氷室たちが英雄史大戦で盛り上がっているのを見て興味を持ち、家でもできるならとマソップで家庭用ゲーム機版の英雄史大戦のDXパックを発売日に購入した。その帰り道で出会った氷室を、柳洞との一件を知っていたこともあり一緒にプレイしようと家に誘ったのだが、いざプレイしようとする段になって氷室は用事があると言って帰ってしまった。
 体育祭では特別三枠のうち将棋ボクシングに出場した。美綴は将棋が苦手なため、氷室の策に従いボクシングのラウンドで攻めに攻め、将棋のラウンドでは長考と穴熊による防御で長引かせる戦略で勝ち進む。しかし準決勝では2年C組代表の柳洞一成と対戦することになり、ボクシングでは防御に徹して『負けない』戦い方をし、得意な将棋で攻めるという戦略を取られたため美綴は将棋ラウンドで投了。
 体育祭の翌日にjonafulで蒔寺と会食し、恋愛感情に起因するものかはわからないものの不自然なほど柳洞一成を避ける氷室をどうにかしようと相談し、頼られれば努力は惜しまないという結論に至った。
 hollow ataraxiaの時期には文化祭実行委員長を務めている。


美綴実典(人名)
 みつづり みのり。
 身長175cm。体重65kg。
 美綴綾子の弟。穂群原学園1年生(綾子の二年下)、弓道部員。弓の腕は間桐桜が太鼓判を押すほど。桜が三年になる頃には弓道部の主将になる。
 桜に恋心を抱いており、そのためか衛宮士郎にはちょっと突っかかるような態度をとる。多少ぶっきらぼうではあるが、士郎以外の年上目上の者には礼儀正しい。ぶっきらぼうな物言いと姉ゆずりの端正な顔立ちで誤解されるのだが、根は善人でクールな照れ屋。小心者であるらしい。綾子とは正反対で、武道や和式の美には興味がない。
 これまで気風のいい姉に振り回されてきた為か大人しい上級生に免疫がなく、桜にほとんど一目惚れだった。後に穂群原一の美男子と評されるも、卒業まで彼女なし。
 弓道部員たちに押さえつけられて桜に全身をマッサージされ、翌日揉み返しの全身筋肉痛に苦しんだことがある。
 姉の綾子が遠坂凛とのどっちが早く彼氏を見つけるか競争に負けそうになった折に彼氏として紹介され、大恥をかいた。


ミトリネス(人名/サーヴァント:Zero)
 征服王イスカンダルの親衛隊の一人。第四次聖杯戦争におけるライダーの王の軍勢によって召還される。
 キャスターが大海魔を召還した際にライダーがそれを王の軍勢に取り込んで足止めをしたのだが、結界の外からの指令を伝えるための伝令の役を担ったのが彼。


皆殺しバルカン(用語)
 ネコアルクが使用するガトリング砲。毒茸流格闘術に同名の技があるが、関連は不明。


(地名)
 冬木市を流れる未遠川の新都側の河口にある港。釣り人がランサーだったからかもしれないが、やたら釣れる。魚市場はない。


南社木市(地名)
 みなみやしろぎし。三咲町の隣町で、ここに蒼崎青子の住んでいた洋館があるらしい。


ミハイル・ロア・バルダムヨォン(人名/死徒・魔術師)
 Michael‐Roa‐Valdamjong。
 12世紀の9月29日生まれ。
 死徒二十七祖の番外位。転生無限者。蛇のように執念深いことからアカシャの蛇と呼ばれる。教会では二十七祖の一人と数えられるが、二十七祖の間では番外として嫌悪されていた。
 数紋魔術を得意とし、数秘紋による雷霆を使う。これは地味かつ正統派のものであるらしい。固有結界オーバーロード(過負荷)を有す。ネロ・カオス、タタリと面識があった。ネロ・カオスとは術理戦をしたことがあり、また混沌をカタチにする研究を共同で行った。
 オリジナルは男性であるが、依代によって肉体の性別は変わる。人格は転生体をベースとするが、本来のロアは根は冷酷で徹底した利己主義だったが理知的で穏やかな人物だった。アルクェイド・ブリュンスタッドの死徒で、その力の一部を奪っている。
 もとは教会の神官(司祭)で、ナルバレックとともに現在の埋葬機関の原型である埋葬教室を作り上げた。他の死徒たちとは異なる不老不死を実現しようとしたが限界に辿りつき、更なる上を目指すために仕方なく吸血種となる。永遠という命題以外は要らぬという信念を持っていた。生まれたときから無感動で人間というよりも一つのパーツじみていたが、司祭の頃は人徳もありかなりの人気者だったらしい。
 彼はほかの人間に転生することによる永遠を実現した。彼曰く『永遠とは観測者がいてこそ成り立つもの』であり、自分がその観測者になろうとした。また、依代である人間が滅びた場合は観測すべき対象がいなくなり、自身も滅びるのでそこで永遠は終わるという。
 彼の転生はあらかじめ次に転生する者を(富豪であり、魔術の才能を持っていることを条件として)選定しておき、現在の肉体が滅ぶと新しい依代に転生する。転生体はその現在生まれていなくてもよい。転生体の魂はロアだがまったくの別人として育ち、社会的コミュニティに属し、肉体的・精神的に充分に成長したらロアとしての知性が目覚める。ロアが目覚めた後は吸血鬼化するが、もとの肉体の人格は残る。
 魂はそのままでは拡散して根源に統合してしまうので、彼は魂を転送可能な情報に変えた。だが、そのために彼本来の自我は薄れてしまい、本来のロアの望みを繰り返すものに成り果てている。しかしそれは自我を余計なものというロア本人にしてみれば本来の目的だったようだ。
 最後の転生体(18代目)は遠野四季、一代前の転生体はエレイシア(シエル)。幾度も死を体験しているからか、四季に転生したときには直死の魔眼に似た『モノを生かしているところ』を視る魔眼を持っていた。ただしロアが表面化している場合は遠野四季の肉体が持つ不死の特性は全く使えない。とはいえ吸血鬼としての復元呪詛があるため、不要な能力であると言える。十七回の転生をなしたが、本来のロアの肉体のポテンシャルに及ぶ肉体はなかった。
 あくまで死徒になるための道具として扱うはずだったアルクェイド・ブリュンスタッドを一目見た瞬間に心を奪われ、以後本人は気付かないまま彼の計画は狂っていく。本人は純粋すぎたためにアルクェイドに恋していたことに気付いていなかったが。だがそのために、研究以外のことに心を向けるようになったことを純粋ではなくなったと思い、アルクェイドを憎んだ。
 しかしながらロアが恋焦がれるのは真祖の姫君アルクェイド・ブリュンスタッドであり、遠野志貴に殺されて人の世を省みるようになったアルクェイド・ブリュンスタッドではない。そのため志貴に殺されて人好きがするようになったアルクェイドを堕姫と断じ、ロアと姫君への侮辱だと切り捨てた。
 永遠を求めるあまり、その当時最強の真祖であり初めての吸血衝動に苦しんでいたアルクェイドを騙して自らの血を吸わせ、その死徒と成った。その力はすさまじく、教会によって封印されていた空席の二十七祖の派閥を纏め上げ、一大勢力を築き上げた。この新参者の死徒を諌めるためにアルトルージュ・ブリュンスタッドが出向くが、これを逆に返り討ちにするほど当時のロアの力は強大だった。それもそのはず、優れた魔術師としてのロアと当時最高潮のアルクェイドの力を同時に使用できたのだから。
 結果、二十七祖はロアを放置し、数年後に教会と共同戦線を張ったアルクェイドによって討ち滅ぼされる。以後、自らが選抜した赤子に転生を繰り返し、実に十七回もの間アルクェイドと終わりのない殺し合いをするにいたる。
 遠野志貴に殺されたが、それは『今代のロア』であり、それに引きずられて消えようとしているもののかすかな本来の意識が志貴と共融していて、志貴とともにアルクェイドの中の朱い月と出会った。
 三咲町の二回目のタタリにおいて土地の記憶となったものが具現化し、その際にリーズバイフェ・ストリンドヴァリがまだ生きていることを看破した。最終的にアルクェイド・ブリュンスタッドをも打倒するが、その後現れた『真祖の姫君』アルクェイド・ブリュンスタッドにより倒された。


ミミ(人名:hollow)
 ギルガメッシュの取り巻き。アタリがきた竿を引いていいか尋ねた。


深山町(地名)
 冬木市の西側に広がる住宅街。北側(海側)には武家屋敷が多い地域があり、町の中央にある交差点をはさんだ南側(山側)には洋館が多い。それは過去に移住者が多かったかららしいが、現在外国人はいない。両地域の中間は普通の住宅街。


未来(用語/魔術)
 ヘルメス・シリス・アトラシアが持つ特性。


未来視(用語/超能力)
 未来を視る能力。
 基本的に『視る』だけであり、未来からの交信を受けたり、未来を視ることで平行世界にシフトしたりといったものは含まない。また超能力であるため、魔術でいう予見や神託でいう預言とは別物。
 未来予測と未来測定に分類される。とりわけ未来予測が多く、高度なものになると予測内容を映像として脳内に再現するようになる。実際に役に立ちやすいのは未来測定だが、社会にかみ合いやすいのは未来予測。
 未来予測は一般的な人間が処理せずに捨てている膨大な情報を無意識に拾い集め、高度な情報処理の結果として未来を予測しているのであり、決して根拠のない直感などではない。また未来予測によって導き出される未来は確定されたものではなく起こりうる未来であるので、行動如何で変更することができる。
 何の関係もない人物や場所に関する未来は視ることができず、対象を視認することが必要となる。例えば『AがBに殺される未来』を視る場合にはAとBの双方を視る必要がある。Aのみを見た場合には『誰かに殺される未来』が視え、Bのみを見た場合には『誰かを殺す未来』が視える。
 瀬尾晶のものは過去視の延長としての未来視。つまり過去を読み取ってそこから未来を予測するというもの。そのためか未来は映像ではなく単語(情報)で理解し、経時劣化も少ない。観測者として視るため、価値観や記憶の混濁もない。ただし自分の意識では発動できない。視える未来は大抵一日先。頻度は平均して月に一度以下。
 瀬尾静音の場合は現在の情報から未来を予測するもの。視える未来は大抵一日後だが、風景としてなら三日後くらいまで視え、風景というよりもイメージがざっと流れる程度のものなら一月後や一年後くらいまで視える。頻度は三日先までの風景なら日に2、3回ほどで、断片的なものは極稀。
 未来が視えるときは前触れがなく、眩暈のあとに風景が切り替わり、未来が客観的に視える。このときは例えばバックミラーに映った風景をバックミラーに映った自分が視ている様な不自然な感覚となる。また未来を視ている時間は、感覚的には10分などまちまちだが概してゆったりと感じるものの、実時間では2秒程度。自分で発動することはできない。
 瓶倉光溜の場合は右目のみで、左目にはその未来を実現するための方法が映し出される。これは未来視の中でも現在の情報から未来を予測する未来予測ではなく自らの意思で未来を確定させる未来測定である。これは未来予測を上回る異能だが、未来に明確なカタチを付与してしまうため死の概念が適用され、直死によって殺し得るものとなる。またこれは数値を埋めて未来を視るものであるため、現場に居合わせることが未来視の条件となる。
 観布子の母の能力は未来予測でも未来測定でもない、神の目とさえ言える稀代の未来視。


ミリョネカリオン(人名/魔術師)
 『封印指定総与』の二つ名で知られる魔術世界屈指の魔術師。特性は『繁栄』。委細は不明。


魅惑の魔眼(用語/魔術)
 吸血鬼が一般的に持つ魔眼。魔眼で視た者を魅惑するのではなく、魔眼を見た者を魅惑する。



  


(用語・魔術)
 魔術師の属性(架空元素)の一つ。
 魔術においては『有り得ないが物質化するもの』と定義される。物理学や数学における無とは意味が異なる。


ムエカッチュアー(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠の募集に対するクラス内選考のあと、これを提案すればよかったと氷室鐘が悔やんだ競技。
 ビルマの伝統的立ち技格闘技で、ラウェイ、バンドー、ビルマ拳法とも呼ばれる。
 金的や噛み付きなど僅かな反則を除いて基本的に何でもありで、勝敗の判定は倒すか倒されるかのノックアウト方式。そのため、あらゆる格闘技の中でもっとも過酷なルールとされている。


無毀なる湖光(宝具:Zero)
 アロンダイト。
 かつて最強と謳われた騎士ランスロットが愛用した宝具。約束された勝利の剣と対を成す、人類が精霊より委ねられた至高の宝剣。約束された勝利の剣と起源を同じくする神造兵装であり、その強靭さは約束された勝利の剣に匹敵する。約束された勝利の剣と相通ずる意匠、精霊文字の刻印、月下に輝く湖水のような怜悧さ、決して毀れることのない刃が特徴。
 彼が持つ他の二つの宝具(騎士は徒手にて死せず、己が栄光の為でなく)を封印することにより初めて解放される、ランスロットの真の宝具。
 この剣を抜いている間はランスロットの全てのパラメーターは1ランク上昇し、また全てのST判定において成功率が2倍になる。さらに龍退治の逸話を持つため、龍属性を持つ英霊に対しては追加ダメージを負わせる。
 当代最高の騎士だけが帯びることを許された誉れの剣だが、同胞だった騎士の親族を斬ったことで聖剣としての格を喪失し、魔剣としての属性を得てしまった。


無窮の武練(技能:Zero)
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーの技能。一つの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。
 A+…第四次聖杯戦争におけるバーサーカー。


(用語:hollow)
 一頭一頭の戦闘能力は低い。とはいえ、大型の狩猟犬や野猿を人間サイズに拡大したようなものであり、十年程度武術をやったくらいでは倒すどころか数秒間持ちこたえるのがせいぜいだろう。それに加え、何しろ数が非常に多い。
 自発的に害をなすのはアヴェンジャーが取り憑いた衛宮士郎に対してのみで、人に害を及ぼすことはなくただ徘徊するだけ。士郎だけを殺そうとするのは、聖杯戦争の再現たる四日間ですべてを見尽くさないようにするため。眠っている者には完全に無害である。
 発生地点は柳洞寺の裏の高台で、そこで死ぬ。この正体は終わらせることができなかったアヴェンジャーであり、クリアしそうになる己を追い落とすことを目的とする。始まりから四日間しか存在できない。
 人を殺すという単一の性能しかないが、使い魔として大量に使役するには適している。
 バカ正直なため発生した深山町を覆いつくして新都に入ろうとするときにほとんどのモノは頑なに冬木大橋を使用する。が、橋が落ちれば未遠川を渡ってゆく。


骸塚の弥八郎、景山の臓物墓場(用語:hollow)
 柳洞一成が披露した怪談で、柳洞寺に伝わる竜洞の死人増やしの昔話。死んだ息子を蘇らせるためにその母が左道邪術を用い村人を犠牲にし、蘇った弥八が死んだ母を蘇らせようと同じ邪術を使う。しかし弥八はすでに死者であるためにいくら血肉を集めようと母を蘇らせることはできない、という話。
 なお、弥八が手足を集めるのは竜洞(りゅうどう)とされている。
 バゼット・フラガ・マクレミッツとアヴェンジャーの関係、第三次聖杯戦争の再現たる四日間はこの怪談に非常に酷似している。


無限の剣製(宝具・魔術:Fate)
 アンリミテッドブレイドワークス。
 衛宮士郎と英霊エミヤの固有結界。とはいえ、衛宮士郎とエミヤの世界は異なる。
 全ての剣を形成する要素があり、オリジナルを見た事があれば容易く複製できる。ただし複製した武器はランクが一つ下がる。防具も複製可能だが、通常投影の二〜三倍の魔力を必要とする。なお結界形成時に用意されている武装は結界形成から維持まで魔力を消費し続ける。破壊されたものを新しく創造する、また結界形成時に存在しなかったものを作る場合は激しく魔力を消費する。
 一度複製した武具は結界内に登録され、固有結界を起動させずとも投影魔術として作り出せる。第五次聖杯戦争の時点で、千を越す数の武器が貯蔵されている。衛宮士郎の起源が『剣』になりつつあるため、貯蔵できる武器は白兵武器のみ。ギルガメッシュの『王の財宝』のように、結界内から複数の武器を矢のように放つことも可能。
 『約束された勝利の剣』や『乖離剣エア』のような神造兵装は複製できないが、似たような性能の型落ち宝具ならばいくつか貯蔵があるらしい。
 武器の『担い手』であるサーヴァントには多少厄介なだけだが、武器の『持ち主』であるギルガメッシュに対しては既に武器が用意されている分だけ有利で、天敵となる。


無限の残骸(用語:hollow)
 アンリミテッド・レイズ・デッド。第三次聖杯戦争の再現たる四日間におけるアヴェンジャーのこと。


無限妖精カレイドルビー(用語)
 『白き月姫ファンタズムーン』と鎬を削りあった魔法少女アニメ。どちらが裏番組かは不明。
 並行転写プリズムロッド・カレイドステッキによって愛と正義の魔法少女となったある少女の、正義と鉄槌と大勝利の物語。自分の世界を平和にしたあと、並行世界をスライドしてゆく魔法特性を生かして色々な世界に顔を出すことに。しかし自分の世界を離れた彼女はヒロインのライバル役としてしかキャラ立てができなくなってしまった。


虫王(用語:氷室の天地)
 昆虫をモチーフにしたカードゲーム。


夢魔(用語)
 夢を操る魔。レンがこれにあたる。レンのような現世に肉体を持った夢魔は簡単には成立しない。


無銘・短剣(武装:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるライダーが使用する巨大な“釘”。遠距離から投擲するのが主な運用方法で、一度刺さるとなかなか抜けない。
 出自は不明だが、彼女の内面を表した武装と思われる。


無銘・斧剣(武装:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるバーサーカーが使用する岩の剣。アインツベルンが用意した神殿の礎で、英霊ヘラクレス召還の触媒でもある。
 単純な石器で、刃毀れがそのまま研磨の代わりになる。



  


(技能)
 見てはいけないもの、見られてはいけないもの。眼球と脳の認識能力が向上することで得られる能力。超能力としての魔眼に似た能力。超能力によって眼球(と脳髄)の視認能力が向上し、本来見えないものが視えるようになる。またその術者に視られただけで術中にはまるもの。
 魔眼は魔術師が霊的な手術で認識能力を向上させるが、その場合は『魅惑』『暗示』『束縛』程度の力しか持ちえない。平均的なものは『束縛』。
 それに似たものだが、より強力な『石化』『直死』『束縛』『強制』『契約』『炎焼』『幻覚』『凶運』などの能力で、こういったものは魔術で再現できない生まれついてのもの、つまり“超能力”。こちらは術者が視るだけでいい。またこれら超能力は『〜の眼』と呼ばれる。
 能力にはいろいろあり、本来見えないものを視る『淨眼』、遠隔視・透視の『千里眼』、吸血鬼が多く持つ『魅了』、モノの死を視る『直死』モノを石に変える『石化』などがある。
 魔眼のランクは色分けができ、通常の魔眼は赤や緑色に光る。強力なものは黄金に輝き、神域の魔眼は宝石の如く虹の如く多彩に偏光するとか。黄金、宝石、虹はノウブルカラー、つまり超能力である。


メイガス(用語)
 Magi(英語発音メイジャイ)の単数形Magus。魔術師のこと。
 マギとはキリスト生誕を祝った東方の三賢者(カスパール、メルキオール、バルタザール)のこと。ならびにゾロアスター教の司祭のこと。


銘記(用語)
 記憶のシステムの一つ。見た印象を情報として脳に書き込む事。


メーディア(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:5、防:5。固有能力は実弟を切り刻むことで発動する魔術である、敵軍の動きを止める『強制停止(アトラス)』。


メガネドラグン(地名:氷室の天地)
 冬木市にある眼鏡屋。マスコット人形はOKSG氏の自画像。


メカヒスイ(用語)
 タタリが巻き起こした噂の一つ。可能性だけの存在。琥珀が遠野グループ兵器部門に命じて秘密裏に作らせた、都市潜伏・制圧を目的とした愉快型兵器。翡翠をモデルとしたメガデウス。
 ロボット三原則は搭載されているが、広義に解釈してほとんどの命令を殲滅任務と受け取る。琥珀による改造のほかにも自己改造により勝手にパワーアップしていく。琥珀をドクター、または悪魔と呼ぶ。全人類ご主人さま計画を実行している。
 レーザー、火炎放射器、小型ミサイルなどを装備し、全身是兵器。主動力はマジカルハート、二次動力にゴム巻き機構を搭載。道連れ機能が装備されており、標的はデフォルトで遠野秋葉。ただし自爆しても炸裂閃光手榴弾の効果。
 リーズバイフェ・ストリンドヴァリはメカヒスイの駆動音を「精妙で大ざっぱな音程」と言い表した。
 ネコアルクに鹵獲された機体は色々されてネコアルクに従っているが、『下等生物』『下種』『ダメ生物』と書いて『マスター』『マイ・マスター』と読む関係。もちろんグレートキャッツビレッジを『掃除』するつもりでいる。なお捕獲のために向かったネコアルク1000匹中1000匹を返り討ちにした。
 MELTY BLOODのエンディングで登場する巨大メカヒスイは戦略陸上制圧タイプ。Act Cadenzaでは量産体制に入ってしまった。
 オシリスの砂による三咲町の二度目のタタリの際には機体361に感情のようなものが芽生え、勝利確率0.001%と算出しながらも遠野志貴を守るために撤退を拒否し、オシリスの砂を撃破する。しかし機体の90%以上が破壊され、メモリーのサルベージも不可能となった。


メガヒスイ(用語:Ladies in the water)
 超高層ネコアルクロボ対メガヒスイの撮影に使われた巨大メカヒスイ。金属製で、脚だけで10メートルはある巨大なもの。中にはぎっしりと爆発物が詰まっている。一応動くようで、埋設したナパームを踏んで海に倒れ、大爆発して50メートルもの高波を引き起こした。


飯庵(地名:氷室の天地)
 海の家飯庵。冬木市もしくはその近郊の海水浴場にある海の家。シエルに似た人物が働いている。メニューはカニ、サザエ、カレー。


メシ使い(俗称:hollow)
 召使いではなく、メシ使い。ギルガメッシュが衛宮士郎を『セイバーのメシ使い』と称した。


メターボウ・マルチドライブ(用語:MBAA)
 琥珀が開発した並行世界転移装置。


メデューサウイルス(用語:氷室の天地)
 沙条綾香が採集した大量の野草が美綴綾子の部屋からあふれ出した際に、それを見た氷室鐘がその有様をこう表現した。おそらく『いばらの王』のメデューサウイルスであると思われる。


メルセデス・ベンツ300SLクーペ(用語:Zero)
 衛宮切嗣が本国のアインツベルン城に持ち込んだ自動車で、切嗣がアイリスフィール・フォン・アインツベルンの近代科学啓蒙のために買い与えた彼女のお気に入りの(彼女にとっては)玩具。アイリスフィールとセイバーの移動手段にするため、切嗣によって冬木市に運び込まれていた。
 第四次聖杯戦争の40年前のクラシックカーだが、最高速度260km/hをマークする。啓蒙にしてはクラシカルだが、おそらくアイリスフィールの好みもあったのだろう。
 切嗣によるカスタムが施されているらしい。
 第四次聖杯戦争終結後は冬木市のアインツベルン城に保管され、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの玩具になる(→メルセデス・ベンツェ300SLクーペ)。


メルセデス・ベンツェ300SLクーペ(用語:hollow)
 アインツベルン城にある自動車。最高時速270キロ。セラが運転するほか、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが衛宮邸に訪れるときは自ら運転することもある。
 ベンツではないのがアレではあるが。


メレム・ソロモン(人名/死徒・異端審問官)
 Merm Solomon。
 死徒二十七祖の20位にして埋葬機関の5位。王冠。フォーデーモン・ザ・グレイトビースト。古今東西の秘宝コレクター。四大の魔獣と呼ばれる架空の魔獣を作り上げる悪魔使い。奇異な色彩を誇る二十七祖たちの中でも更に一段際立つ異物として扱われる。
 指という指に指輪をはめている。外見は天使のような容貌の12歳くらいの少年だが、実際は1000年以上を生きている。なお少年の姿から成長できない。ミハイル・ロア・バルダムヨォンやコーバック・アルカトラスと同じくもとは神論者だった。ソロモンというのは単にあだ名なので、ソロモン王とは多少の類似性しかない。
 もともとは小さな部落で生まれたが、動物と心を通わせ、人の身勝手な願いを具現化する力を持った神子(星の端末)であった。そのため幼くして四肢を切断されて人ならざるモノとして祭壇に祭られた。四肢を切断したのは神子は人のカタチをしていてはならないという信仰と、単純に便利な道具を逃がさないため。アンリ・マユと境遇こそ同じだが、こちらは本物の神子であった。
 その状態が長らく続けばそれこそ生きながら神になっていたか、あるいは死ぬまで村人たちの慰みモノとして生涯を終えるかだったが、偶然通りがかった朱い月に見初められる。人々の願望をカタチにする異能を愉快に思った朱い月は、村人たちに『夜が明けたら皆殺しにする、命が惜しいのなら汝らの願望で私を殺してみよ』と宣言してゲームを開始。村人たちの死にたくないという願望は実に醜く強大で、それを実行に移すメレムへの負担もかまわずに次々と“都合のいい神獣”を想像して朱い月に挑ませる。が、無論そんなものが朱い月に敵うはずもない。村人たちの願望は果てがないが、夜明けまであと少しというところでメレムが限界を迎えて死亡。村人たちはメレムと朱い月を呪いながら死んでいった。
 その後、太陽が昇りだした黎明時に朱い月は息絶えたメレムに口づけを与え、死徒として蘇生させてソロモンの二つ名を与えた。
 “戯れだ、好きに生きるがよい。己が手足の代わりなぞ、汝は幾つも描きあげてきたであろう。元となった願望は醜悪であったが、汝の描いた相は名画であった。―――あれほどの偶像ならば、汝の手足を担うに相応しいと想うのだが”という朱い月の言葉に魅入られたのか。メレムは『村人たちの信仰が作り上げた』聖堂から四つの偶像を思い描き、彼らに自身の手足の能力を付加させ、初めて人型として地面に立った。
 以後、朱い月に憧れに似た感情を抱き、朱い月、つまりブリュンスタッドにのみ忠誠を誓う死徒となった。二十七祖が真祖側から離反し、朱い月が崩御したあとは隠遁を決め込んでいたが、なにを思ったか敵である聖堂教会に所属する。
 彼の能力はデモニッションという第一階位の降霊能力。具現化できるのは他人の願いであって自分の願いではない。いかに強力な能力を持っていようと自分一人では何もできないというのがメレムの在り方。まさに悪魔のそれである。空想具現化に近いが、メレムの悪魔召喚は人々の願望をモデルにしてメレムの憧憬で彩色し、類似品を作るというもの。
 悪魔たちの能力は人々のイメージに沿ったものだが、その造形はメレムのイメージによって形作られ、能力の大小はメレムの魔力によって変動する。またメレムはその性格上、現実的・打算的な悪魔の具現化は得意ではない。彼はあくまで空想の世界に生きるピーターパンなので、得意とする絵、描きたい空想は童話に見るような悪魔なのである。
 ちなみに四大魔獣には名前がない。これは『悪魔に安易に名付けてはならない』という決まりからで、メレム自身もかっこいい名前をつけてやりたいらしいが、名前を付けてしまうと本当に自由になってしまうためできない。
 左腕の悪魔とメレムは固い絆で結ばれているが、意見の交換はネズミたちを介さないと出来ない。
 左腕の悪魔は戦闘能力は皆無だが人間であれば完璧に姿を模すという変身能力を持つため、これを年功序列制が根強い埋葬機関での身代わりの司祭にしている。右足は鯨のような巨大な獣だが、思考林アインナッシュに倒された。これは相性が最悪だったためである。魔獣を放っているときにはその部分が薄れ、魔獣と共感できる。また、魔獣が倒されると四肢のその部分が破裂する。
 子供ゆえに極端に人が良いときもあれば極端に残忍なときもある。
 埋葬機関にいるのは教会が封印している秘宝の傍にいたいためだという。死徒にとっては裏切り者だが、なぜか黙認されている。埋葬機関は年功序列制が根強いため、本当の姿を知っているのは埋葬機関の中ではナルバレックとシエルのみ。
 彼が唯一憧れ、恋した存在は朱い月のみであり、以後は月をモチーフにした想像はタブーとしている。
 無条件に死徒の敵であるアルクェイド・ブリュンスタッドに懐き、彼女の話をすると顔を赤らめて外見相応の反応をする。アルクェイドが金を通貨に変えたり飛行機のチケットを手配したりするのは彼の入れ知恵。逆にアルトルージュ・ブリュンスタッドを憎んでいる。
 グランスルグ・ブラックモアに対しては同じく朱い月を慕うものとして生涯の友というほどの親愛の情を持っているが、グランスルグからすればメレムの恋慕を交えた忠誠は我慢がならないものである。


メロダック(武装:Fate)
 原罪。“王を選定する岩に刺さった剣”カリバーン、“支配を与える樹に刺された剣”グラムの原型となった剣。



  


妄想幻像(対人宝具:Zero)
 ザバーニーヤ。第四次聖杯戦争におけるアサシンの宝具。対人宝具であるが、対象は自身である。
 単一の個体でありながら複数に分断された魂を持つことで、自らの霊的ポテンシャルを細分化して複数のサーヴァントとして現界できる。最大で80人にまで分裂可能。さらに無自覚な自我が出現する可能性もある。


妄想心音(対人宝具:Fate)
 ザバーニーヤ。
 第五回聖杯戦争における(真)アサシンことハサン・サッバーハの宝具。
 悪性の精霊シャイターンの腕。人を呪うという事にのみ特化した中東魔術の“呪いの手”。ハサンの右腕である。
 エーテル塊を用いて鏡に映した殺害対象の反響存在から本物と影響しあう二重存在を作成し、殺害対象と共鳴しあう偽者を潰すことで本物には指一本触れずに対象を呪い殺す。対象には指一本触れずに擬似心臓を潰すので、耐久の高さや物理防御は無意味。
 いわば極めて高度な類感呪術だが、射程には限りがあるため一定範囲の外に出ることで無効化できる。また二重存在を作成させない能力や、呪いをはねのけるほどの高い対魔力によって無効化する、高い幸運によって回避するといったことでも逃れることができる。


モードレッド(人名/ホムンクルス)
 Mordred。
 アルトリアの姉であるモルガンの子。モルガンが擬似的に男性になったアルトリアを魔術で幻惑し、精子を採取して自分の卵巣で育てたという、割と正真正銘のアルトリアの息子。アルトリアのクローン。ホムンクルス。仮面の騎士。素顔はアルトリアにそっくり。
 いずれアーサー王を倒して王位に就け、というモルガンの野望を背負って彼女の推薦だけを持ってキャメロットを訪れ、卓越した剣技を披露して円卓の騎士の一人となった。だが彼の胸中にはモルガンの妄念よりも先にアーサー王への憧れがあった。
 ホムンクルスであるため成長速度が人間より早く短命。出生の歪な自分を恥じ入っており、無意識にまっとうな人間に嫉妬していたのだが、子供特有の純真さで完璧な王であるアーサー王を崇拝していた。人間嫌いを隠しながら騎士道を守り、正しい騎士であろうと努力するが、その純真さも一向に彼が反逆心を抱かないことに業を煮やしたモルガンによって打ち砕かれる。彼がアルトリアとモルガンの間にできた不貞の子であることを暴露したのだ。モードレッドはこれにショックを受けるが、同時にアーサー王と同じ血を持つという歓喜に包まれた。
 あれほど卓越した王の息子として人間でないことはむしろ誇るべきこと、名実ともに心身ともに自分はアーサー王の跡継ぎにふさわしいと喜び勇んで王に詰め寄るが、アルトリアははっきりと彼を拒絶した。
 貴公は私から生まれた者だが、息子とは認めぬし王位も与えない。
 これによって深かった愛情は憎悪へと変わる。円卓の騎士内部からアーサー王への不信を広め、王がローマ遠征に行った隙にキャメロットを掌握。疲れ果てて帰還してきたアーサー王を国を挙げて攻め立てた。
 アーサー王憎し、王座は私にこそふさわしいと猛るモードレッドだが、本心はただ王に息子と呼ばれたかっただけであった。最後の戦いでそれほどモルガンの分身である自分が憎いかと問うモードレッドに、アーサー王はこう答える。『貴公を憎んだことはない。王位を譲らなかったのは貴公に王の器がないからだ』と。
 一騎打ちに敗れ、槍に貫かれて崩れ落ちるモードレッド。せめて一度王に触れようと伸ばした手は、叶うことなく崩れ落ちた。


物干し竿(武装:Fate)
 剣豪・佐々木小次郎が携えていたとされ、第五回聖杯戦争におけるアサシン・佐々木小次郎が使う長刀。『物干し竿』はあくまでも限りなく蔑称に近い通称にすぎず、銘は二天記に伝えられる備前長船長光ではなく備中青江。青江一門ではあるが、どの刀工かは不明。刀身の装飾と鍔はともになく、樋も掻かれていない。
 記録では長さ三尺余とされるが、アサシンのものは五尺余に及ぶ規格外の長刀で、その間合いは槍に近い。そのあまりの長さと重さによって、“秘剣”を操るアサシン以外にこれを満足に扱える剣士はいないだろう。


モビー・ディック(用語)
 白鯨。
 神獣の中でも有名なもので、生き物というよりもはや超兵器のようなもの。


モラルタ(武装)
 第四次聖杯戦争におけるランサーであるディルムッド・オディナが使用した二振りの短剣のうちの一つ。もう一つはベガルタ。
 伝承では使用していたが、第四次聖杯戦争においてはランサーのクラスで剣を使うのはどうかと空気を読んで持っていなかった。


森宗意軒(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 河内国石川郡の水分五社大明神の南木大明神の神司の家に生まれる。父は豊臣秀吉の医師の森長意こと西村孫兵衛。
 幼名は傅之丞。後に武士となって小西行長へ奉公し、文禄・慶長の役では行長の荷物を運ぶ船宰領として朝鮮へ渡る。しかし途中で難破したところを南蛮船に救助され、南蛮へ行く。オランダにも行き、6〜7年間を過ごした。その後、中国で入廟老について火術、外科治療の法、火攻めの方法などを学ぶ。
 帰国した時には主の行長が刑死していたため、高野山にしばらく身を潜めた。大坂の役では真田幸村の軍について戦うが落城し、肥後国天草島へ落ちのびて森宗意軒と改名し定住。
 島原の乱に参加し、一揆軍の徒士大将兼評定衆の一人として戦う。
 寛永15年2月28日(1638年4月12日)、島原の乱で戦死。
 固有能力は死亡した味方を復活させる『魔界転生』。山田風太郎の小説『魔界転生』では島原の乱の後も生き延びて物語の黒幕となり、その名も妖術『魔界転生』で未練を残して死んだ兵法者を黄泉返らせて使役したことからきていると思われる。


森の廃墟(地名)
 アインツベルンの森の中、アインツベルン城の南東15kmほどの場所にある。かつて冬木に移住してきたが土着の民と相容れなかった人々が住んだといわれている。長らく人の手が入っておらず廃墟と化しているが、二階部分ならば部屋として使用できる。


モルガン(人名)
 アルトリアの異父姉。アーサー王を守護する湖の妖精でありながら、同じく王の守護者たるヴィヴィアンとは対極の存在であり、アーサー王の終生の敵。
 擬似的に男性になったアルトリアを魔術で幻惑して精子を採取し、自分の卵巣で育ててアーサー王の息子にしてクローンのモードレッドを産んだ。モードレッドにはアーサー王を倒して王位を継げという野望を託したが、モードレッド自身が純真で王に反逆心を抱かないことに業を煮やし、彼が王と自分の間にできた不貞の子であると暴露した。


紋御吏庵(用語:氷室の天地)
 モンゴリアン。
 氷室鐘が考えた詠鳥庵に代わる屋号の案。




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