ダーク(武装)
 第五次聖杯戦争における真アサシンが使うスコットランド由来の短剣。
 切り付ける物ではなく投擲に特化した形状で、先端に返しがついているため一度刺さると抜けにくくなっている。人間に命中すれば即死は免れない。使用後は必ず回収している。


体育祭(用語:氷室の天地)
 穂群原学園の行事。二学期に開催される。
 衛宮士郎らが二年生の年は生徒会の意向で一般種目とは別に特別三枠が公募され、将棋ボクシング、パン食い競争、マグロ投げが採用された。一般競技には確認できる限り100メートル走と大玉転がし、騎馬戦、男子リレーがある。この回の優勝は2年A組で、優勝旗と姉さんズからホットドッグ一年分が贈呈された。


第一次聖杯戦争(用語)
 聖杯戦争の創始から10年後の1800年頃に行われた。碌にルールが規定されておらず参加者のマスターとしての自覚が希薄なうえ、令呪が存在しなかったためサーヴァントが命令に従わないなど儀式の体を成さず失敗。聖杯降臨の地は柳洞寺。


第一の欠片(用語:魔法使いの夜)
 詳細不明。久遠寺有珠の使い魔の一つか。


第一魔法(用語)
 最も古い魔法の一つ。詳細は不明であるが、一部特権階級の間では第一魔法の内容は常識とされているらしい。第一魔法の使い手は既に死亡しているが、その直系の人物は辛うじて存命中。
 バゼット・フラガ・マクレミッツの言葉とエーテル塊の説明から『無の否定』と思われる。これを扱った魔法使いはすでに死亡している。
 死者の蘇生にはこれか第二魔法である『並行世界の運営』、あるいは同じく魔法である『時間旅行』が関わる。


大英博物館(地名・組織)
 イギリスにある世界中から略奪した品を展示してある博物館。時計塔ことロンドンの魔術協会の表の顔。


タイガ(人名:Fate)
 タイガー道場の道場主。旧ドイツ軍払い下げのヤークトティーガーをも一撃で破壊し、黒い影を相手に戦えるほどの凄まじい戦闘力を持つ。だが彼女は猫アルクとともにこの世に負ける相手も勝てる相手もいないという不思議キャラで、両者を戦わせるといわゆる千日手になる。月姫、Fate、空の境界、DDDの不思議系の中でマジカルルビー、ネコアルクに次いで強い。
 怪談と競馬の話は大嫌い。


タイガ(人名:花札)
 タイガー道場を開いて数年。空から降ってきたブルマによってそのサーヴァントとなる。クラスはサーヴァント。つまりサーヴァント(従者)のサーヴァントであり、主が許すまで消えることはできない。ブルマのサーヴァントながらその師匠。
 生前は地平を埋め尽くすヒロイン軍団に颯爽と立ち向かい、勢いあまってサブキャラたちのレジスタンスごと木っ端微塵にした。
 聖杯戦争のルールを花札に変える固有結界を持っているが、本人は特に意識せずに正月にはいつも使っている。毎日竹刀を振っていたらいつの間にか使えるようになっていたらしく、別段本人へのフィードバックなどはない。
 ちなみにこちらの聖杯戦争は百年周期で、七つの星を集めるもの。


タイガー道場・劇場版(用語:hollow)
 支離滅裂な映画。作中ではNECOARC-THE MOVIE-と同じ時期に上映していた。ネコアルクと同様に支離滅裂な喜劇だが、観に行った人は悲劇。


対界宝具(用語/武装)
 第四次聖杯戦争におけるアーチャーの『天地乖離す開闢の星』の種別。出力自体は第四次及び第五次聖杯戦争におけるセイバーの『約束された勝利の剣』と同等か少し上回る程度だが、世界を切り裂くという伝説に違わぬ効果が対界宝具の所以である。


大海魔(用語:Zero)
 第四次聖杯戦争においてキャスターが召還したモノ。通常の海魔はコントロールすることを前提に召還しているためさほど強力ではないが、これはコントロールすることを最初から放棄しているためきわめて強力。キャスター自身と螺湮城教本がこの内部に納まって心臓の役割を担っていた。構造的にはアメーバ程度の単純さらしい。
 数値こそ記されていないが鯨や大王烏賊をも凌駕する巨体と圧倒的な再生力により、通常の攻撃では歯が立たない。ギルガメッシュの宝剣・宝槍四挺をもってしてもその三割を吹き飛ばすにとどまった。
 ライダーが王の軍勢で足止めをし、ランサーの援護を受けたセイバーが約束された勝利の剣で焼き払った。
 これによる騒動は聖堂教会と魔術協会によってどうにか収められた。具体的には工業排水の化学反応によって幻覚作用のある有毒ガスが発生したことにされ、自覚症状のあったものはすぐさま緊急病院で診断を受けるように広報車から呼びかけを行った。無論夜間診療を行っているすべての病院に暗示洗脳の技術を修得した魔術師や代行者が紛れ込んでいた。
 なお損耗したF-15J二機については時計塔のコネクションによって中東の武器商人から中古のF-15Cを購入し、隙を見てJ型に化けさせることとなった。


太極(概念)
 古代中国で生まれた思想である陰陽説を表す図。万物の状態を概念的に捉えたもので、能動的・活動的であるものを上昇する陽(白)、その逆であるものを下降する陰(黒)と分けている。
 昼と夜、明と暗、雄と雌と相反するものを象徴しながら、影響しあい流れあう世界の縮図ともいえる。また陽の中には陰の一点、陰の中には陽の一点があるが、これは陰陽の区別は絶対的なものではなく、陽の中にも陰があるということを示している。
 太極は始まりの一であるが、この二つに分かれた陰陽を両儀という。


対軍宝具(用語/武装)
 サーヴァントが持つ宝具のなかでも対軍に特化したもの。例えるなら一発かぎりのミサイル。
 数十から数百人の軍勢を巻き込む、広範囲を対象とした宝具。膨大なエネルギーを拡散する攻撃で敵をまとめて吹き飛ばしたり、何かを喚び出したりするものが多い。


代行者(用語/組織)
 聖堂教会における異端審問員で、本来存在しないはずの第八秘蹟を身につけ、教義に存在しない異端を排除するモノたち。悪魔祓いのエクソシストではなく、悪魔殺しのエクスキューター。悪魔を追い払うのではなくその場で消滅させる。祓うのではなく斃す、救うのではなく消し去るという神父というよりも殺し屋じみた聖職者。端的に言うならば異端狩り。
 教会においては万物が、魔さえも神の創造物であると定義されるために人には魔を斃す権限がない。だが特例として主の御名のためならば被造物である魔さえも討ち滅ぼす使徒が赦された。彼らは神の教えを超越し、神の代行として異端を消滅させるために代行者と呼ばれる。法王を支える百二十の枢機卿たちによって立案された武装した戦闘信徒で、教会の虎の子部隊。破綻者が多い。
 魔は教義にない。教義に存在しないものを排除するため、彼らは教義に縛られない。つまり『不徳』を許される。
 聖堂教会の最高純度の信者であり、その信仰を守るため異端である魔術師、魔術協会とは法王ないし司教の許可なくして手を組むことはない。


第五架空要素(用語)
 エーテル。
 肉眼で捉えることはできない。現実の世界の説ではこれに冷温、乾湿が加わると通常の物体になるとされている。


第五次聖杯戦争(用語:hollow)
 間桐桜が黒化し、衛宮士郎は遠坂凛に脅迫状を送り付けられ、凛がキャスターを殴り、凛と契約したセイバーが聖杯を破壊した。
 宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグは制作されておらず、最終的な決着の場所は柳洞寺で、言峰綺礼は死亡した。また大聖杯は崩壊している。
 アーチャーは破棄された契約を結び直すことなく、条件次第で凛に手を貸すサーヴァントとなっている。葛木宗一郎と佐々木小次郎は柳洞寺に攻めてきたギルガメッシュに敗北して死亡(これはセイバールートでも同じと思われる)。
 なお上記はhollow ataraxia上で拾い集めたものであるので、四日間の元になったそれぞれの平行世界において微妙な差異があると思われる(セイバーが現界している世界と還った世界がある、など)。しかし言峰に関してはいかなる場合でも第五次聖杯戦争を生き延びることはない。
 参加したマスターとサーヴァントは以下の通り。
 衛宮士郎+セイバー
 遠坂凛+アーチャー
 間桐桜+ライダー
 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン+バーサーカー
 言峰綺礼+ランサー&ギルガメッシュ
 葛木宗一郎+キャスター
 キャスター+アサシン(佐々木小次郎)
 なお真アサシンについては佐々木小次郎が健在であるため、召還されていない。


第五法(用語/魔法)
 第五魔法。魔法・青のこと。


第三次聖杯戦争(用語)
 第四次聖杯戦争の60年前の1930年頃、第二次世界大戦前夜に行われた。監督役は言峰璃正。聖杯降臨の地は冬木教会。
 小聖杯を巡り帝国陸軍やナチスを交え、冬木市ではなく帝都で戦いが繰り広げられた。しかし勝者が決まる前に小聖杯が破壊されて失敗。この反省から第四次、第五次聖杯戦争の器には自己管理能力を備えたヒトガタの包装を施すようにした。
 エーデルフェルト家も参加したが、仲間割れをして早々に敗退。この回でアインツベルンが召還したアヴェンジャーによって大聖杯が悪性の力の渦に汚染された。


第三次聖杯戦争の再現たる四日間(用語:hollow)
 第五次聖杯戦争終結後の10月に発生した異常事態。モデルは第三次聖杯戦争で、第五次聖杯戦争の登場人物を使ってそれを再現している。この四日間が四日間しか続かない理由はその元凶であるアヴェンジャーが第三次聖杯戦争を四日間しか経験していないから。バゼット・フラガ・マクレミッツはこの四日間を第五次聖杯戦争だと思っていた。
 この四日間では並行世界におけるその四日間の部分が並列化され、衛宮士郎を始めとする何人かはその記憶を引き継ぐことができる。そうであってもこの四日間は作り物であり、五日目以降はすべてが元に戻り四日間が無かったことになって何の痕跡も残さない。はずなのだが、バゼットにはその記憶が残り、アヴェンジャーが遊んでいたパズルが完成している。いわばプレイヤーでありゲームマスターである二人だからこそだろう。
 この四日間における聖杯とは正規の聖杯(魔力の渦)ではなくアンリマユ。これには大した力はないが自分のできる範囲で持ち主の願いを叶えようとする、小さいが本物の聖杯。テンノサカヅキとはこれとの契約書のようなもの。そのため登場人物が揃って可能性としてありうるのならば、どんなことでも起きるという世界になっている。


第三次ネコミミ革命(用語:ネコアルク)
 『我々に萌え声優をつけろ』のスローガンのもとに起こされた反政府運動。後に地球全土を巻き込み、お姉さん、幼なじみ、後輩、ロリ、プニ、バニー、百合、などなど、様々なネコアルクを生み出した。その数は数百に及んだというが、メイドタイプだけは発見されていない。
 この事実から、ネコたちとメイドはまったく異なった系統樹の生物なのでは、という学説もささやかれている。


第三魔法(魔法)
 →ヘブンズフィール


第三要素(用語)
 精神のこと。
 現実世界の魔術などにおいては魂と肉体を結ぶものとされている。


対城宝具(用語/武装)
 サーヴァントが持つ宝具の中でも対城に特化したもの。
 城という堅牢な構造物すら吹き飛ばす強大な宝具。対人宝具と対軍宝具の違いは主に効果範囲の違いだが、対城宝具となると威力が桁違いになる。


対人手榴弾(用語/武装:Zero)
 いわゆる手榴弾の中でも人間を殺傷するためのもの。現在では爆発によって殺傷するよりも爆発によって撒き散らされる容器の破片やベアリング、鉄片などで殺傷する方が効率がよいため、破片手榴弾が一般的。球状、卵形、円筒が一般的だが旧式のものには棒の先に円筒状の爆発物がついた構造のものもある。
 爆発そのものには大人一人をわずかに浮かせる程度の力しかないが、爆散する破片によって周囲およそ10mから20m(手榴弾の型にもよる)以内の人員を殺傷する。このため数十センチメートルから一メートルほどの穴に落とせば周囲の人間が負傷することはないといわれる。また地表で爆発した場合には爆発は上や斜め方向にも向かうため、爆心から3メートルほど離れてピタリと地に伏せれば無事に済む。
 直接投擲するほか、ワイヤーや針金などを利用した仕掛け爆弾として罠を仕掛けることもある。この場合には信管を点火と同時に爆発するものに付け替えることもある。
 ピンやキャップなどの安全装置を解除し、レバーを外す、紐を引くなどして信管に点火すると数秒で爆発する。大抵は防水、密閉構造となっており、雨に濡れても水中でも使用できる。点火方式にはネズミとり式、摩擦発火式、衝撃作動式の三つがある。
 ネズミとり式は現在世界標準となっている方式で、安全装置であるピンを抜いてクリップを放すとスプリングが作動して撃鉄が雷管を叩き、発生した火花が延期薬に点火。数秒で発火薬に達し、最後に炸薬に点火して爆発する。このためクリップを放さない限りピンを戻すか針金などを差し込むことで再度安全装置をかけることができる。旧日本軍が使っていた手榴弾もこの方式だが、撃鉄のかわりに自分で何か硬いものにぶつけて点火する必要があるためワンアクション遅くなる欠点がある。
 摩擦発火式は旧ドイツ軍が使用した柄付手榴弾及び卵形手榴弾に採用された方式。柄の安全キャップを外し、中に繋がった握り玉付きの紐を引き抜くことで摩擦によってマッチのように導火線部に点火し、数秒で爆発する。この信管は対戦車地雷や固形爆薬にもセットでき非常に応用が利くものだったが、ドイツの敗北とともに消滅した。
 衝撃作動式は第二次大戦中にイタリアで作られたOTO M35型、ブレダ35型、S.R.C.M35型手榴弾に採用された方式。安全ピンを抜くことでセフティプレートが抜け、弾頭内の撃針が接触可能になる。その状態で本体に衝撃を与えることで撃針がスプリングの力で発火薬に直撃し、爆発を引き起こす。だが地面が固くないと爆発しないし、点火動作が不安定なため投げても爆発しない場合が多かった。しかもその不発弾が後から爆発することも多く、味方であるイタリア軍でさえこれを敬遠した。
 Character material収録のPreludeUにおいてシエルがミスター・ダウンに発注していたポテトマッシャーとはM24型柄付手榴弾のことである。


大神宣言(武装)
 グングニル。北欧の主神オーディンが持つ槍。


対人宝具(用語/武装)
 サーヴァントが持つ宝具の中でも対人に特化したもの。自分、敵一人など、非常に限定された対象に効果を与える宝具。例えるなら弾丸が無限の拳銃。
 魔力の消費量が少なく、一対一の戦闘では効率の良さが際立つ。


大聖杯(用語)
 円冠回廊、心臓世界テンノサカズキ。遠坂の管理地を使った魔法陣。根源につながる門であり願望機。
 落ちた霊地である円蔵山(柳洞寺)の地下大空洞にある。すり鉢状の岩肌に刻まれた、製作途中で半径50メートル以上、完成時では直径1キロメートルの多重層刻印。これを創り上げたとき、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグも立ち会った。中心にはユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンが納まっているが、魂は完全に昇華されており大聖杯に意思と言えるものはない。
 これがマスターを選定し、英霊にクラスを当てはめてサーヴァントとして招く。マスターを選出する基準は魔術回路を備えた魔術師であること、英霊を召還するに足る偉人・異端者であること、そしてより真摯に聖杯を必要とする者から優先的にマスターを選抜する。加えて始まりの御三家は優先的に選出されるが、これは必ず選出されるようにシステム上の制限があるわけではなく、あくまでも聖杯戦争を創始したことから最も聖杯を希求すると判断されているためである。しかし中には第四次聖杯戦争における言峰綺礼のように全く目的意識のない者を選ぶというイレギュラーも稀にある。
 マスター候補によりサーヴァント召喚儀式が執り行われると大聖杯が英霊の座にアクセスし、儀式に使用された触媒に該当する英霊を探し出す。触媒がない場合はランダムに選定されるが、召還者の性格や境遇が影響を及ぼす。召還された英霊には現界と引き換えに令呪への絶対服従が強制される。
 その中身の本質は“無色の力”だが、第三次聖杯戦争以降はアンリ・マユに汚染されて悪性の“力の渦”(呪い、第三要素)になっている。よって精密な計算・相互作用による矛盾の修正などは絶対に不可能であり、持ち主の願いをあらゆる解釈による破壊のみによって叶える。また、ひとたび開けてしまえば際限なく溢れ出し、災厄を巻き起こす。
 第五次聖杯戦争後に崩壊するが、その底に黒い泥がたまっている。
 根源の渦に至るためには七騎すべてのサーヴァントを聖杯に捧げて大聖杯を起動する必要があるが、世界の内側にとどまる奇跡を願うだけならば六騎のサーヴァントを捧げるだけで事足りる。
 聖杯を降ろす場所は冬木の四方の門を利用して、失敗するたびに次の門に移行した。1度目は柳洞寺、2度目は遠坂邸、3度目は丘の教会、4度目は現在の焼け野原、5度目は再び柳洞寺。


大帝都(地名)
 月姫と空の境界の接点。三咲町の隣町にある焼肉屋。隣町でも有名で、ほぼ原価と思わせる低価格と一級品の肉の質が売りのパラダイス。三咲町からは電車に乗って行かなければならないが、それを補って余りある味と価格である。
 月に一度の割合で千円の食い放題をやっていて、そのたびに記録を打ち立てた人の名前を店内に飾っている。その一位、二位には『あおざきあおこ・とうこ』という名前が燦然と輝いている。


第七聖典(武装)
 シエルが使う輪廻転生を否定するキリスト教会が作り上げた転生批判の概念武装。『転生批判』『永劫無不滅』といった概念がくくられている。これで刺されたものは魂が消滅する。シエルでさえ、身体に第七聖典制御用刻印を刻まなければ使用できない。
 教会が魂を食べるといわれていた幻想種である一角馬を狩り出し、それを埋葬する過程でその角と人身御供の少女の霊を掛け合わせて生み出された。もとは一角馬の角にありとあらゆる転生否定の弾劾を刻んだもの。はじめは儀礼の最後にトドメとして使われていたが、実践的に槍・杭といった武器になり、武器から兵器にシフトするに従って銃剣になる。そのころまでは聖典としての威厳があったが、シエルに貸し出されて勝手にパイルバンカーに改造された。射出された銃剣(杭)は聖書のページになって崩れる。なお弾装から排出されるものも同じく聖書のページ。
 改造されるまでは霊体に対してのみ有効な概念武装だったが、現在では総重量60kgという物理攻撃力のみで吸血鬼を殴殺できる鉄塊と化している。さらにオプションパーツをつけると最大で二倍にもなる。
 ミハイル・ロア・バルダムヨォンのみならず、霊的ポテンシャルが優れている者には脅威となる。だが一般人にはただの物騒な武器でしかない。
 セブン(乾有彦はななこと命名)と呼ばれる精霊が祀られており、セブンが第七聖典に祀られてから千年が経過している。
 シエルが桂木千鍵に投げられたケータイさんをアーネンエルベに届けた際にシエルと言峰綺礼が喧嘩になり、ケータイさんの連絡を受けたカレン・オルテンシアがマグダラの聖骸布で言峰を捕らえたときに巻き添えを食ってシエルも捕獲されたため、アーネンエルベに置き去りにされた。それからなぜかセブンが視える日比乃ひびきとは良好な、ケータイさんとは険悪な関係を築き上げつつあった矢先にシエルに回収された。


第七聖典制御用刻印(武装)
 第七聖典を制御するための刻印。シエルが戦闘服姿のときに施してあるボディペイント。全部で七つの翼が描かれている。


第二次聖杯戦争(用語)
 1860年頃に行われた。第一次聖杯戦争の失敗を踏まえて細部のルールが整備され、令呪が導入されたことでマスターはサーヴァントを使役することができるようになった。しかし結果は失敗。聖杯降臨の地は遠坂邸。


第二要素(用語)
 →魂


第二魔法(用語)
 並行世界の運営。無数に存在する平行世界を観察し、自己の同一性を保ったまま任意の世界間を行き来するもの。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの魔法。
 ゼルレッチはこの魔法を応用して宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグやゼルレッチの宝箱、カレイドステッキといった礼装を作り出した。
 ゼルレッチが無数の並行世界を観測すると、その世界は事実になる。


第八秘蹟(用語)
 本来存在しないはずの第八の秘蹟。代行者が身に付ける。


第八秘蹟会(組織)
 第八秘蹟部とも。聖堂教会に属し、聖遺物の管理・回収を行う機関。聖杯戦争の監督役=冬木教会の神父は第八秘蹟会の構成員が赴任すると決まっている。が、ディーロが本職の司教であることやカレン・オルテンシアの身分が一介の修道女であることから、冬木の聖杯戦争が終結してからはその限りではないようだ。
 言峰璃正が生前ここに所属し、言峰綺礼も何度か転属をしたものの最終的にここに落ち着いた。


第八秘蹟部(組織)
 →第八秘蹟会。


大崩壊予報装置(用語:MBAA)
 琥珀がシオン・エルトナム・アトラシアと共同開発したもの。シャレで作った冗談みたいな装置だが、地震の揺れで地震を知らせる地震感知機と同じコンセプトなので正確。


退魔(用語・組織)
 魔、魔との混血と敵対する者の集まり。歪みを正す者の集まり。浅神・巫淨・両儀・七夜の4つの血族のこと。
 人が人の社会を守るために練り上げた法術系統なので、はじめから人を害するようにはできていない。ゆえに混血に対してはどうしても後手を踏むことになる。
 混血がヒトにあらざる鬼との交配で力を得たように、七夜は超能力者同士の交配をして人間としての純度を高めることで力を得た、遺伝的に子に特異能力を伝える超能力者の家系であり、人間の退魔意志を特出継承する。純粋の『魔』とは相性が悪く、肉体はただの人間であるため混血に対する暗殺を生業にしていた。
 巫淨は巫女の家系で子に特異能力を伝えるが、これは血の繋がりではなく技術・知識の伝承による。だが、没落した分家の翡翠・琥珀の家は血の繋がりによって能力を継承する。その分家が没落した原因は翡翠たちの母親が禁を破ったため。


大魔術(魔術)
 非常に強力な魔術。パラメーターで表すとAランク。
 第五回聖杯戦争におけるキャスターが柳洞寺で使用したものを一発発動するためには簡易的な魔法陣と瞬間契約(テンカウント)の詠唱をしなければならない。その詠唱時間は一人前の魔術師で一分、高速詠唱を使う魔術師で三十秒ほど。


対魔術宝具(用語/武装)
 第五次聖杯戦争におけるキャスターの『破戒すべき全ての符』の種別。
 『破戒すべき全ての符』は殺傷力はそれこそナイフ程度だが、魔術で強化された物体、契約によって繋がった関係、魔力によって生み出された生命などの概念的なものを対象とし、作られる前の状態に戻すことが対魔術宝具たる所以である。


対魔力(技能)
 魔術を無効化、あるいは効果を軽減する技能。狂化スキルの保有や闇属性に染まることで低下する。
 A:A(魔法陣及び瞬間契約を用いた大魔術)以下の魔術は全てキャンセル。事実上現代の魔術師では傷つけられない。一画ならば令呪の強制さえ食い止める。
 B:魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても傷つけるのは難しい。
 C:第二節以下の詠唱による魔術を無効化。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
 D:一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化。魔力避けのアミュレット程度。少し強い能力を持つ魔術師ならば容易に突破可能。
 E:無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。


第四次聖杯戦争(用語)
 第五次聖杯戦争の10年前、経済が飽和寸前だった頃の11月に開催された。監督役は言峰璃正で、言峰綺礼が聖杯に願って引き起こされた新都の大火災によって幕を閉じる。
 第四次聖杯戦争の開催時期は第五次聖杯戦争(2002年と思われる)の10年前という記述、また航空自衛隊築城基地にF-15Jが配備されている(築城基地に所属する航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊がF-4EJからF-15J/DJに機種改変したのは1990年4月1日)こと、第三次聖杯戦争が第五次聖杯戦争の60年前(ほぼ戦時下)に行われたという記述から、1992年前後と思われる。
 第四次聖杯戦争中に起こった様々な事件は魔術絡みのものが改竄され、連続した都市ゲリラ、猟奇殺人、幼児失踪事件、未遠川での工業排水災害などということにされた。約束された勝利の剣によって崩壊した冬木市民会館の瓦礫の中から黒い太陽が現れ、漏れ出した黒い泥が灼熱の呪いとなって殺戮を尽くす。その際に大火災が発生し、死者500名余、消失した建物134棟という未曾有の大災害となった。
 この大火災が言峰綺礼が引き起こしたと表現されるのは、『残ったサーヴァントがアーチャーのみ』であることと『聖杯は勝者の望みを叶える』ことが理由。実際には制御装置である聖杯の器を失った黒い太陽から漏れ出した黒い泥による殺戮が『灼熱の呪い』として現れたために引き起こされた。
 無差別に人を殺して回ったマスター(雨生龍之介)がおり、聖堂教会はそれを外敵として多くのペナルティを与えた。
 この回の聖杯の器は冬木教会に保管されている。
 参加したマスターとサーヴァントは以下の通り。
 衛宮切嗣+セイバー(アルトリア)
 言峰綺礼+アーチャー(ギルガメッシュ)+アサシン(ハサン・サッバーハ)
 遠坂時臣+アーチャー(ギルガメッシュ)
 ケイネス・エルメロイ・アーチボルト+ランサー(ディルムッド・オディナ)
 ウェイバー・ベルベット+ライダー(イスカンダル)
 間桐雁夜+バーサーカー(ランスロット)
 雨生龍之介+キャスター(ジル・ド・レェ)


第四次ネコミミ革命(用語:ネコアルク)
 ネコアルク・ザ・ムービーのクライマックスで起こった。ネコアルクたちの価値を引き上げはしたものの、同時にネコアルクたちのアイデンティティをゼロにした自滅行為。
 やはりポリゴンは萌えん、ポリゴンは。


第六架空要素(用語)
 悪魔のこと。人間の願いによって生み出され、人間の願いによって呼び出される受動的なモノ。実体化には『人々が創造したカタチ』が必要。
 エーテル?


第六法(用語)
 ズェピア・エルトナム・オベローンが挑み、曲解の末たどり着くも書き換えに失敗し敗北したもの。以後、ワラキアの夜やオシリスの砂が挑む。オシリスの砂の目的から、世界の滅びのことか。
 オシリスの砂が蒼崎青子を『第五法の到達者』と称したことから、第六魔法のことと思われる。


ダインスレフ(宝具:Fate)
 ニーベルンゲンの魔剣。持ち主に破滅をもたらす呪いの宝具。
 ヴォルスング・サガでは英雄シグルドを殺した一族がファフニール竜の黄金から手に入れた魔剣で、元はファフニール竜が収集していた宝具である。この剣には破滅をもたらす強力な呪いがかかっており、持つ者は全て死に至る事になる。
 女神フレイヤを巡る物語ではデンマーク王ホグニが所有しており、一度抜かれると人の命を奪うまで鞘には収まらないという呪われた魔剣である。この剣の呪いによりホグニはサラセン王ヘジンと永遠に戦い続けている。
 強力な“報復”の呪詛を持つが、同時に持ち主の運命さえも破滅に追い落とす。魔剣、聖剣は栄光と破滅を両立させるが、これは破滅のみを所有者に与えるという。


高田陽一(人名:月姫)
 遠野志貴のクラスメイト。肥満体型の人のいい青年。いつもチョコを食べている。クリスマスシーズンになるとサンタの格好をして袋にチョコをいっぱい詰めて食べているらしい。志貴はたまに彼から無期限で金を借りることがある。
 10月24日(日曜日)にバイクで衝突事故を起こし、24日の昼のニュースで報道された。この原因はブレーキペダルの異常で、負傷者を二名出しただけで幸い死者はなかった。


武内書店(地名:氷室の天地)
 冬木市にある書店。


駄犬X(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


多元転身(用語:hollow)
 プリズムトランス。カレイドステッキの契約者が並行世界の自分からスキルをダウンロードすること。決まりごととして、そのスキルに相応しい服装になることが必要。
 変身に掛け声が必要なのはお約束。凛が子供の頃に契約したときは当時一番はやっていて恥ずかしいものがチョイスされた。


他者封印・鮮血神殿(対軍宝具:Fate)
 ブラッドフォート・アンドロメダ。
 血の結界。第五回聖杯戦争におけるライダーの宝具たる広域結界。暗黒神殿と対になる大結界。世界を封じる暗黒神殿に対し、こちらは世界を覆うもの。
 幾つかの基点となる魔法陣を設置することで形成される。非常に高度で、ほとんど魔法の域。桁外れの技術で編まれており、遠坂凛でも呪刻から魔力を消すことはできてもそれ自体を撤去することはできない。完璧に発動させるには(2月2日から起算して)10日ほどかかる。その規模ゆえか、準備段階であっても魔術師には異常を察知されてしまう。
 結界はドーム状で、内側から見ると空に赤いドームがかかっているように見えるが、外側から見ると赤い空もドームも当然見えない。形成直後は結界内の人間の体力を僅かに奪う程度だが、本格的に発動すると結界内の人間を急速に溶解し、赤い血液として結界使用者が吸収する。本来の用途は魔力吸収。
 個人ではなくその場所にかける魔術であり、個人に対する魔力干渉は間接的なものになる。そのため魔力で自身を守っている魔術師には効きにくいが、魔力を持たない一般人であれば衰弱死しかねない。
 土地の霊脈を著しく傷つけるため、同じ土地での連続使用はできない。


多重次元屈折現象(用語・技能)
 キシュア・ゼルレッチ。無限に列なる並行世界に隙間を空けること。第二魔法の一端。
 佐々木小次郎の燕返しと宝石剣が該当する。


タタリ(現象・人名/死徒・錬金術師・魔術師)
 TATARI/Walachia。
 死徒二十七祖の13位。正体不在(アンノウン)。ワラキアの夜。シオン・エルトナム・アトラシアが追っている死徒。ほぼ同じものを指す言葉ではあるが、タタリが方程式を、ワラキアの夜が現象を指す。
 ズェピア・エルトナム・オベローンが組み上げたタタリという式によって引き起こされる現象。ワラキアの夜と呼ばれる現象が人々の噂を纏って具現化したもの。誰も見たことはないが、存在するとされる死徒。環境に依存し、生物ではなく現象として永遠を目指したモノ。人々の噂、人間が最も恐れるイメージを操り、流布させ、局地的に増大・収束させることで最終的に一つの明確な決まりごとにまで育て上げるシステム。第六法に敗れて霧散したズェピアの霊子を、社会の噂で指向性を付与するタタリという方程式でまとめたもの。
 一種の固有結界であり、効果は『そのカタチを他人の心のカタチにする』というもの。つまり、あるコミュニティのなかで噂が真実味を帯びたときに具現化し、その噂に従って殺戮を行う(その一晩だけそのコミュニティがタタリの固有結界となる)。日付が変わる隙間を利用して事象を書き換え、依代となる噂がどんな内容でも『自分に血を吸われて死ぬ』ように曲解して実行する。
 正体不在と称されるのは、時には山村を一足で踏み潰すほどの巨獣、時には実在の殺人鬼とそのカタチ、能力が人々の噂の規模や内容で毎回異なるためである。なお具現化されたモノは人々が恐れるイメージであるため、決して倒すことも逃れることもできない。『ワラキアの夜』とはそういったホラー映画じみた世界に町を閉じ込める固有結界を指している。
 固有結界であるために完全に具現化できるのは一晩限りだが、依代となる噂がいまだ決定していないときに倒しても効果はない。だが決定したカタチを崩すことはでき、その場合は現象のまま殺戮を行う。また、一度駆動式が成立すればタタリは一夜中続くが、噂の元となる人間を殺し尽くせば依代がなくなってタタリは終わる。
 ごく稀にタタリと波長の合う者がいるとそれに取り憑く。その場合、取り憑かれた者はタタリが力を持っているときに限りタタリの恩恵を一身に受け(本人の可能性の延長ではあるが)思い通りに物事が進む。タタリが映し出したものには本来自我は宿らないが、軋間紅摩のように飛びぬけた力を持つものは自我を持ち得る。
 現象であるために直死の魔眼で殺したとしても『そのときに具現化したタタリ』を殺しただけであり、条件が揃えば次のタタリが発動する。起動式を理解できないために完全には殺すことはできず、消滅させるには起動式が終わる数千年後を待つしかない。
 ズェピアの目的は真祖の体を得て第六法を組み替えること。そのためにアルトルージュ・ブリュンスタッドと契約して赤い月から力を得、1000年後の赤い月の時まで現象として存在できる力を得ていた。つまり再び赤い月の夜になれば起動式が終わってワラキアの夜という現象からズェピアという死徒に戻る。
 ただしズェピア・エルトナム・オベローンという概念はタタリと化した時点で消滅しており、かつての渇望も吸血鬼としての執着もタタリには存在しない。ズェピアの姿で具現化したタタリはミハイル・ロア・バルダムヨォンを『死に損ない、転生をもって永遠を定義しようとした愚か者』と蔑視している。
 吸血鬼としては半端で力は弱く、また発生している時期もきわめて短いために子をつくっても強制力は弱い。第六法に敗れ、タタリのまま世界を漂うことになった。
 他人の情報によって発生するため、他者から情報を搾取するシオン・エルトナム・アトラシアとは同類といえ、そのために3年前にシオンを噛んで吸血鬼にした。その理由はシオンに自己の世界が形成されて情報の搾取が阻害されることを防ぐため。
 『ワラキアの夜』という通称は、初めて発生した場所がルーマニアのワラキア地方ということに由来する。吸血鬼と恐れられた旧領主ヴラド・ツェペシュ・ドゥラクルを祟り、村一つの生物内のものを含めたあらゆる水分を飲みつくした。その直後に到着した教会の騎士団があまりにもひどい有様を見て、その後このように呼称される。またワラキアは人間の血液を大量に摂取することから飲血鬼とも呼ばれる。
 一つ前のタタリは3年前にイタリアの片田舎で発生し、派遣されたリーズバイフェ率いるヴェステル弦楯騎士団を壊滅させた。次のタタリは20年後のオーストラリアか30年後のトランシルヴァニアで発生する予定だったが、タタリの内部で次世代のタタリであるオシリスの砂が生まれて機能を制圧されてしまったため、発生することはないと思われる。
 三咲町のタタリの一年後にワラキアの夜の後継機たるオシリスの砂によって構成されたタタリでは、これまで通りに自分(ワラキアの夜)がタタリの主だと思い込んでいた。ワラキアの夜ルートではオシリスの砂によってズェピアの姿で再現されながらも、『破滅を回避する未来を見つけられずに正気を失った』ズェピアは『滅びは回避できないと諦めてその後の方法に逃げ出した』オシリスの砂を本末転倒と断じて倒した。
 ワラキアの夜の後継機たるオシリスの砂が打倒されたことで、タタリは完全に消滅した。

 タタリが発生する条件は4つ。
1、噂となるものは個体、できれば人間の延長でなければならない。これは絶対条件ではなく、もとが人間であるワラキアの夜が知性を働かせるため。
2、伝説が広まる区域は社会的に孤立していなければならない。
3、噂が広まる区域の中には一名もしくは数名の受け取り手がいなくてはならない。
4、噂が広まる区域はあらかじめタタリが定めた場所でなければならない。

 ワラキアの夜の後継であるオシリスの砂が行うタタリは、一般人は正しい時間に残し、ワラキアの夜に関わる者達のみをタタリの中に取り込む。要するにワラキアの夜に関わる者達が一年前にタイムスリップするようなもの。この規模の魔術式を使うとスタンティアがやってこないとも限らない。
 オシリスの砂によるタタリはワラキアの夜によるタタリ『幻影の夏』の再演であり、不安や噂の実現などはしない。


タタリの夜(用語:MELTY BLOOD)
 タタリが発動する夜のこと。タタリは悪い噂を纏って具現化するため、タタリの夜は悪夢が降りるといわれる。


TATSUYA(地名:氷室の天地)
 レンタルビデオチェーンと思われる。


楽しい家庭科・初級編(用語:hollow)
 間桐桜が所有する本。


(用語)
 第二要素。扱いが難しく、有るとされ、魔術において必要な要素とされていながらも、確立したのはただ一人だけ。記憶、魔術回路などは肉体ではなく魂にある。
 物質界ではなく、その上にある星幽界という概念に所属する物体の記録、世界そのものの記憶体。
 物質界において唯一永劫不滅なものだが、単体でこの世に留めることはできない。肉体がなければ留まれないが、その時点で“有限(肉体)の死”がついてくる。肉体に宿ると肉体を魂のカタチに作り変えるかわりに肉体に固定される。死亡すると霊子が拡散し、だんだんと根源に落ちてゆき、次の変換を待つ。
 通常は“内容を調べるモノ”“器に移し替えるモノ”に留まる。ミハイル・ロア・バルダムヨォンは変換不可能な魂を変換可能な情報に加工し、それによって転生無限者となった。だが魂の再現が難しく、本来のロアではなくその執念のみが転生していたようなもの。
 生前の能力が百パーセント受け継がれないならばそれは複製であり、過去の自分より劣ってしまう。
 魂が繋ぎ止められている核たる部分は頭部。


(人名:歌月十夜)
 たまき。私立浅上女学園の寮長。高等部副生徒会長の遠野秋葉の中等部からの友人で、ともに生徒会にいたこともある。現在は秋葉と協力して生徒会と自治会の不仲を解消しようとしている。
 どうやら秋葉たちの部屋にお菓子の差し入れをしてくれるらしい。


ダミアンアーミー(組織:AATM)
 詳細不明。おそらくネコアルクの軍団か、デフォルメキャラの集団と思われる。


ダメと野望でキラキラ地球会(組織:路地裏ピラミッドナイト)
 オシリス改が会長を務める組織。
 分不相応な野望でどす黒く燃え上がるハートと外界の全てを頑なに拒むダメソウルの結晶で地球をミラーボールのようにキラキラさせてしまおう、というのが趣旨の秘密結社。


ダミアンフォース(組織)
 エリートネコ部隊。
 ネコアルク・ブラック、ネコアルク・ノワール、ネコアルク・シュバルツ、ネコアルク・ネロで構成される。要するにみんな黒くて声が渋いネコアルク。
 琥珀にそそのかされてネコカオスに対して反乱を起こす。


タリアッテレ(地名:hollow)
 冬木市の新都にある食事処と思われる。


タルウィ(武装:hollow)
 左歯噛咬。アヴェンジャーが使う歪な短剣のうちの左手用のもの。これで敵の刃を絡める。獣の牙を模している。あるいはその時代にまだ実在した悪魔の牙を御神体としたものかもしれない。


ダレイオス(人名:Zero)
 ペルシア王。在位紀元前336年〜330年。
 征服王イスカンダルの侵略を受け、逃走中にバクトリア総督ベッソスに殺害された。相当な大柄だったようで、大柄な第四次聖杯戦争におけるライダー(イスカンダル)でさえその玉座に座るために踏み台がわりにテーブルを使ったほど。


誰にも言えない!貴方のストレス発散法!(用語:hollow)
 間桐桜が所有する本。


単独行動(技能)
 マスターからの魔力供給がなくても行動できるサーヴァントの能力。マスターが最大魔力を動員した魔術を発動したい場合や、サーヴァントに充分な魔力を供給できない場合などに重宝する。反面、マスターが完全にサーヴァントを支配下に置いておく事が難しくなる。
 遠坂時臣と契約していたときのギルガメッシュの単独行動スキルはA相当。
 A+:マスター不在でも行動できる。大規模な魔力を行使する際にもマスターのバックアップが不要。
 A:現界の維持、戦闘、宝具の使用まで一切をマスターのバックアップなしにこなせる。ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
 B:マスターを失っても二日間現界可能。ただしこれは戦闘や宝具使用などの魔力消費を極力抑えた場合の理想値。
 C:マスターを失っても一日間現界可能。
 E-:最大30ターンに及ぶ現界が可能。



  



(用語・魔術)
 魔術師の属性(五大元素)の一つ。


力の流動・転移(魔術:Fate)
 何かを他のものに移すこと。アインツベルンに伝わる特性。遠坂に伝わる転換とは似て非なるものであるようだ。
 アインツベルンはこれを使用した物質の練成と創製、つまり錬金術を得意とし、ホムンクルスの製造において高い技能を誇る。
 応用で脳への情報を違うものから送ることで感覚や意識を別のものに移すことができるが、転移を得意とするアインツベルンや遠坂でさえ成功率が低すぎて攻撃には使わない。また、本体に刺激があたえられると肉体に意識が呼び戻される。そのために意識の転移は自分にかける自己保身のための魔術。つまり自分の意識を使い魔や身動きできる人形に転移して安全に魔道の探求をするために使う。ただし魂があるもの、つまり理性(ちゃんとした命令系統)を持っているモノに転移すると主導権は“魂のあるほう”にいってしまうので、それが見ている映像を一緒に見ているだけになる。魂のある使い魔に自分の意識を移して支配するのは転移ではなく転生の域の魔術で、それだけで大魔術なので並大抵の魔術師にはできない。
 また本体が死ねば転移させた意識も消えるので、不老不死にはなれない。


力の流動・変換(魔術)
 →転換


秩序(用語)
 この世の果てに第六に敗れるらしい。


千葉ディスティニーランド(地名:氷室の天地)
 妙に機動戦士っぽい遊園地。氷室鐘らが修学旅行で訪れた。
 千葉県浦安市舞浜にあるあの遊園地ではないが、そこでおなじみの大きな耳つきカチューシャも販売している模様。またチケット形式はかつてのあの遊園地のようにパスポート(全てのアトラクションを利用できるチケット)のほかに回数券のようなものもあるようで、アトラクションの入口でスタッフ(あるいはキャストと呼ぶのだろうか)が検札をしている。
 名称が明らかにされているアトラクション及び施設は『ホーンテッドユニウス7』『Cafeバルドフェルト』『ロドニアラボ』。ほかにアーケード街がある。


地脈(用語)
 霊脈とも。
 大地にあるマナが流れる経路のことで、これが集合する土地を霊地という。


チャイナ破れたり(用語:MBAA)
 グレートキャッツビレッジの有間都古に対する無抵抗主義作戦。


Chariot(用語:Zero)
 7。勝利。
 魔力の煌きによる狼煙。魔術師にとっての共通認識と思われる。


中央図書館(地名:Zero)
 冬木市の中央図書館。第四次聖杯戦争において召喚されたライダーが地図帳とイリアスを強奪した場所で、新都の市民公園の中にあった。


中華料理百の罠!中華料理人はこう倒せ!(用語:hollow)
 間桐桜が所有する本。


忠犬ハチ公(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は死ぬことで自軍の気力を5秒間MAXにする『忠義の死』。


チュックボール(用語:氷室の天地)
 コートのエンドライン上のネットにボールをシュートするハンドボールに似た球技。1970年にスイスの生物学者ヘルマン・ブラントが考案した。
 攻撃側がシュートしてネットから跳ね返ったボールを守備側がノーバウンドでキャッチできなければ攻撃側の得点となる。キャッチできればそのチームにシュート権が移る。ドリブルはなく、ボールを持ったまま三歩まで移動でき、三回以内の味方同士のパスのみでボールを運びシュートする。
 相手チームのシュートやパスを妨害してはならない。
 衛宮士郎らが二年生の時の穂群原学園の球技大会で採用された。蒔寺楓が2-Aチームとして出場したが、一回戦で敗退した。


超高層ネコアルクロボ対メガヒスイ(用語:Ladies in the water)
 ネコアルクが撮影をしていた映画。内容は萌えと戦隊モノと巨大ロボと額面通りのキャットファイトを無作為にフィーチャーした一大諸行無常巨編。新年早々全米が泣く予定だが、早くも全世界DVDスルー決定。制作はグレートキャッツビレッジメディアミックス部門。
 三咲町あるいはその近くの海岸で撮影をしていたが、埋設した爆炎用のナパームがどこにあるかわからなくなったためとても危険。なおナパームのドラム缶に書かれた『Z』はゼットンの意味で、実は琥珀が用意した対巨大ロボ地雷。ちなみに普通、爆発シーンの撮影では爆薬やガソリンを使って小規模な爆発を起こし、それをデジタル処理で大きくする手法が一般的。
 CGを作る予算が無いため、実物大メガヒスイを使っている。それは脚だけで10メートルはある金属製のもので、中にはぎっしりと爆発物が詰まっている。このメガヒスイは愛憎半ばする相手からのもらい物である。


超人血盟軍(組織:氷室の天地)
 2年生のときの家庭科調理実習で氷室鐘、沙条綾香、遠坂凛のチームと対決するため結成された美綴綾子、蒔寺楓、三枝由紀香の三人組。蒔寺が白身魚の天麩羅にてんぷら粉と間違えてベーキングパウダーを使用してしまい、自爆敗北。


鳥葬式典(魔術)
 シエルが使う黒鍵に付与した魔術作用。刀身に呪刻されており、標的に当たるとカラスがたかる。
 もとはミハイル・ロア・バルダムヨォンから受け継いだ知識の一環。教会は表立っては魔術を禁じており、これを使用する代行者は少ないが、シエルは根っからの信者ではないので平気で魔術を使う。シエル自身ロアの知識を扱うことに抵抗はあるものの、死徒殲滅のためなら躊躇なく魔術(禁忌)を行使する。


超能力(技能)
 異能。ヒトという種がヒトの普遍的無意識(阿頼耶識)から生み出した抑止力で、偶発的に発現する一代限りの変異遺伝。抑止の対象は霊長類として頂点に立つヒトに仇すモノたち。
 本来、人間という生き物を運営するに含まれない機能のことで、超常現象を引き起こす回線。つまり脳のチャンネルが人間の常識ではないチャンネルに合うことで得られる能力。
 魔術とは違い、先天的な才能が必要不可欠。異能の回線を持つ者たちは息を吸うかの如く超常現象を引き起こす。本人たちにとってそれは『出来て』当たり前のことなので、一般常識を持った外部からの指摘で初めて自分が異常なのだと気付く。
 陰陽の理を無視した、自然から独立した人間種が持つ最果ての能力。自然干渉法。だが超能力は陰陽の理にそぐわないだけのちっぽけな力であり、魔や混血の自然干渉には敵うわけもなく、超能力者単体では魔や混血には到底敵わない。


超能力者(用語)
 生まれながらにして特異な機能を持つ人間。純粋な人間として異能を保有するモノ。先天的な能力なので一代限りで終わる偶発的な発現者。先天的な自然干渉法を保有しているので魔術などといった後天的な技術を学ぶ必要がない。
 生まれながら人間に共通ではないチャンネル(常識)を持っている者の事だが、普通は共通のチャンネルも持っていて使い分けて生きている。共通のチャンネルを持っていない超能力者を『存在不適合者』という。
 魔と退魔は反発しながらもその力の大元を同じくし、共通のルールで対決するが、超能力者はそのルールを覆す。だが超能力は陰陽の理にそぐわないだけのちっぽけな力であり、魔や混血の自然干渉には敵うわけもなく、超能力者単体では魔や混血には到底敵わない。
 しかし規則の外の力は規則に生きる混血には脅威になるため、退魔は彼らを隠し玉として用意して争いの最中に登場させて混血の不意を突く。つまり、一瞬の隙を作る鉄砲玉というのが退魔の超能力者に対する認識であり、使用法。ゆえに混血にとっては邪魔者に他ならない。


超抜能力(用語)
 死徒としての特殊能力。


超日焼け止め(用語:Ladies in the water)
 琥珀謹製の日焼け止め。
 基本は緑色の液体だが虹色に輝いており、例えるなら三年間くらい放置した炊飯器の中の色。ゲル状で見た目も手触りもアレだが効用は保証つき。錬金術のエキスパートであるシオン・エルトナム・アトラシアでも成分を解析することができない。
 日焼け止めだが、付ければ褐色であっても青白く変色する。人間ならば素手で触ることは危険で、水に溶かすにも専用のバケツを使わなければならない。水溶性なので、水に触れる場合は別売りのウォータープルーフパックを塗り重ねる必要がある。訳も無く生肉ミント味。
 価格は超日焼け止めとウォータープルーフパックのセット二人分でリーズバイフェ・ストリンドヴァリの一週間分の給金。これでも大いにまけた額。


直死の魔眼(技能・超能力)
 遠野志貴と両儀式が保持する眼。モノの『死』を視る眼。魔眼の中で最高位のもの。
 脳髄と眼球のセットで初めて機能する。ただし眼球を潰しても、死は眼球だけで視るのではないので死の概念を掴み取れることに変わりはない。つまり視覚ではなく知覚できるということ。
 脳髄の回線が根源の渦に対して開いており、それを通して理解した万物が誕生と同時に内包した『死(物質の寿命、発生した瞬間に定められた存在限界)』を視覚的に表すもの。モノの死に易い黒い『線』と、モノの『死』そのものである『点』が視える。線を断たれればその箇所は本体が生きていようと死滅し、二度と動くことはなくなる。点を突かれればその個体は完全に停止する。線は意識しなくとも視えてしまうが、線を流している原因たる点を視るためには極度の精神集中が必要。
 判りやすく言うと、線を断たれた腕はたとえ物理的に肉体に繋がっていようと二度と動くことはないし、切断された場合は繋ぐこともできない。点を突かれた場合はいくら頑強なものであろうと必ず死ぬ。死の点はその存在にとっての死という概念そのものだからである。
 突き詰めるとモノの『概念』を殺すので基本的に何でも殺せるが、『死』を捉えることが重要なので『死』は死を視ている(捉えている)者が貫かねばならない。
 また、本人に理解できないもの、その時代において殺せない(壊せない)ものはその『死』も理解できないので線も点も視えず、殺せない。人間である保持者の基準はその時代の人間の限界に準じるからである。
 『死』を視るにはそれを理解しなくてはならず、根源の渦の対象のチャンネルにあわせねばならない。つまり生物以外の『死』を視よう(理解しよう)とすると脳の回線が本来ありえない方向に飛ぶので、遠野志貴の場合は脳の負荷が極めて大きくなり、強い頭痛が起きる。そのまま視つづけると脳が破壊されて廃人になる。
 遠野志貴の場合はもともと持っていた才能(視えないものを視る『淨眼』)が8年前に『死』を体験したことで発展したもので、厳密には超能力、上人が持つとされる浄眼である。両儀式のものは肉体に装備されていた能力が2年間の昏睡で覚醒したもの。
 両儀式は蒼崎橙子に制御法を教わってからは自分の意思で制御でき、高度な直死の保持者といえる。だが常に死が視えている状態である。また遠野志貴のような頭痛はない。ただし式は『点』と、意識しなければ生物以外の『死』は視られないようだ。
 両儀式の場合は「 」に繋がっているうえ死の概念を学習したために死を視る事は呼吸をするくらい当然のこと。遠野志貴が死を視ることで脳に負担がかかっていたのは、もともとが淨眼レベルで死を視るほどの異能ではなかったためである。死を視ても脳に負担がかからない式も、死を視ることが奇怪で気持ち悪いことは変わりない。
 通常、両儀式は概念を視ることができるが遠野志貴は概念を視ることができない。これは脳のスペックの違いで、志貴は『概念』を捉えることに向いていないため。式は「 」に触れて事象の視覚化に特化し、志貴は死に沈んで生物殺しに特化した。
 だが式とて何でも殺せるわけではなく、本人が『生きている』と認識するものしか殺せない。例えば壊れた電話を『壊れている=死んでいる』と認識した場合にはその電話を殺すことが出来ない。
 また遠野志貴も極限状態になると脳に多大な負荷が掛かるとはいえ混沌や地球そのものといった概念的なものの死をも視ることが可能となる。なお鉱物や植物などに関しては通常でも線を視ることが可能であるが、生物である志貴の脳は基本的に生物の死しか理解できないため非生物の死を視ると脳に負荷が掛かる。
 未来とはあやふやなものなので式であっても殺すことはできないが、瓶倉光溜のような自らの意思で未来を確定させる未来測定は未来に明確なカタチを付与してしまうため死の概念が適用され、直死によって殺し得るものとなる。
 これは『魔眼』と呼ばれることがままあるが、これほどの能力は魔術によってでは為しえない『超能力』であり、『直死の眼』と呼ぶほうが正しい。そのためか『死』を視ようとすると瞳が蒼くなる。
 厳密に言うと遠野志貴のものは浄眼、両儀式のものは直死の眼で、ともに超能力。
 18代目のミハイル・ロア・バルダムヨォンの転生体も似たような魔眼を保持していたが、彼はモノの死ではなく『モノを生かしている部分』を視ていた。


直死の眼(技能・超能力)
 →直死の魔眼


直感(技能:Fate)
 戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。
 A:研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。
 B:黒化したセイバー。常に凶暴性を抑えている為に直感が鈍っている。


治療ポッド(用語:AATM)
 アーネンエルベの厨房の設備の一つ。最新のネコ医療学による治療を施す……が、実際はただのロッカー。



  


築城基地(地名:Zero)
 航空自衛隊築城基地。
 1942年10月に旧海軍築城航空基地が設置されたことに始まり、1945年8月からは大蔵省所管となる。1946年10月に米軍の不時着場となり、1955年1月に航空自衛隊臨時築城派遣隊が編成。1957年10月に航空自衛隊築城基地が設置されて今に至る。
 現在の所在部隊は九州西北部から中国地方北部の防空を任務としている航空総隊西部航空方面隊第8航空団(第6飛行隊、第304飛行隊)である。近年は在日アメリカ空軍第18航空団第44/67戦闘飛行隊の訓練基地にもなっている。
 第四次聖杯戦争に巻き込まれて殉職した仰木一等空尉と小林三等空尉、ディアボロT/Uというコールサインを割り振られたF-15Jが(第304飛行隊に)所属した。

 飛行場名:築城飛行場
 IACOコード:RJFZ
 所在地:福岡県築上郡築城町西八田
 標点:N33°40′54″2/E131°02′34″
 標高:17m(55ft)
 滑走路:2,400m×45m(7,870ft×150ft)07/25
 管制運用時間:24時間


使い魔(用語・魔術)
 魔術師が使役するモノ。
 魔術師は自室に引きこもって研究をするためにめったに外出しない。そのため、お使いをする使い魔を作って使役する。あくまで雑用をするためのモノなので術者以上の実力を持つことはありえない。主人とは因果線(ライン)で結ばれ、主人(製作者)である魔術師の能力が使い魔に付与される。
 作り方には自分の魔術回路(血液、眼球、髪など)に手を加えて作る擬似生命と、自然の精霊を捕獲して使い魔にする方法がある。レンは前者で、黒猫の死骸に少女の死霊を掛け合わせて作られた。後者だと知らず知らずに精霊に使われることもあるのであまり好まれない。
 分類としては魔術師が自身の肉体の一部を使って作る分身としての使い魔と、他の生物を前身にして作り上げる手足としての使い魔に大別される。
 異界から生物を召喚して使役するものもあるが、この場合は使役する使い魔の格に自ずと上限がある。しかしながら、使役(コントロール)することを度外視してただ召喚するだけならば、理論上どんな強力な魔物であろうとでも呼び出すことだけはできる。
 人に手を出した使い魔は廃棄しなくてはならない。
 遠野志貴のように他人の作った使い魔と契約することもできる。
 故にサーヴァントは本来の意味では使い魔ではないが、一対一の主人契約を交わす事と、使い魔と主人を結ぶ因果線と似たパスが主人との間に形成されるため、便宜的に使い魔と呼ばれる。


突き穿つ死翔の槍(対軍宝具:Fate)
 ゲイ・ボルク。第五回聖杯戦争におけるランサーことクー・フーリンの宝具。
 ゲイボルクの呪いを最大限に開放し、渾身の力で投擲する特殊使用宝具。本来ゲイボルクは投げ槍であり、使用法はこちらが正しい。敵に放てば無数の鏃を撒き散らしたという伝説の宝具。
 刺し穿つ死棘の槍と違い、心臓命中よりも破壊力を重視し、一投で一部隊を吹き飛ばす。そのさまはまさに炸裂弾。魔力消費が激しいが、刺し穿つ死棘の槍に比べ威力・攻撃範囲ともに増大している。強固な防壁があろうと、身を躱そうと一団をまとめて吹き飛ばすことが可能。伝説では魔槍が30に分裂して降り注ぐとされているが、英霊化後はさらにその数を増している。
 ダメージ、形状ともにクー・フーリンの父であるケルトの光神ルーの“轟く五星(ブリューナグ)”に迫るが、『幾たび躱されようと必ず相手を貫く』という能力から北欧の主神オーディンの“大神宣言(グングニル)”よりの宝具。


槻司鳶丸(人名:魔法使いの夜)
 つきじ とびまる。
 蒼崎青子らが通う高校の生徒会副会長にして理事長の息子。裕福な家のお坊ちゃんだが口調や態度は荒っぽく、ついたあだ名はヤンキー殿下。
 同じ生徒会役員である青子とは腐れ縁で、恋人関係と噂されることもあるが、『アレと付き合うなんて世界が滅びてもない』とのこと。転入したばかりの静希草十郎の面倒を見るうちに彼の相談役になる。


月姫蒼香(人名:歌月十夜)
 2月28日生まれ。B型。身長150p。体重40s。B70 W55 H76。
 浅上女学園の生徒。二人称は『おまえさん』。なぜか蹴り技に精通しており、マーシャルアーツの達人。無断外泊の常習犯。遠野秋葉と三澤羽居のルームメイトでいい相談相手にして両極端なルームメイトのバランスをとる参謀役。紅茶・コーヒーは受け付けず、日本茶を好む。
 秋葉以上に厳しい口調で、何事も簡潔に処理しようとする。外見は小柄で可愛らしく女性的だが、秋葉曰く男前な性格だそうだ。男のようにかっこいい女の子、ではなくかっこいい女の子。普段から斜に構えているため、ひとたび真剣になるととことんまで突っ走る。友情も恋愛も叩きつけあうような鬩ぎあいが大好きらしい。
 恋愛を幻想の押し付け合いと語る彼女は、男にあまり興味がないらしい。バイとの噂がある。
 寄宿舎では頼れる生徒だが話しかけづらい、と密かに人望がある。当然ながら面倒見がよい。
 無類のロック好きで、週に一度は寄宿舎を抜け出してライヴハウスに出かけている。学園内では髪を下ろしてお嬢様ぶっているが、いったん外に出れば髪を結ってロッカーとなる。
 実家は長野の山奥にある寺の娘。地域一帯の地主で山王と呼ばれているとか。複雑な家庭環境にあるらしく、ロック好きは家への反動と思われる。
 わりと大柄な三澤羽居とは“お似合いすぎて死ぬ”ほどのベストカップルと認知されていて、卒業後は三澤羽居と共同生活をしながら大学に通うことになる。


土ころび(用語:氷室の天地)
 水木しげるの『妖怪画談』にある妖怪。中国地方の山間部に土色の毛を生やした鞠の様な物が道に現れるという。同じ話が山田野理夫の『おばけ文庫 二 ぬらりひょん』にもあるが、そうした記述がある民俗資料はない。
 鳥取県東伯郡小鹿村中津には同じ読みで『槌転び』という妖怪がある。これは槌のような形の蛇が足元に転がってきて噛み付くというもの。
 冬木山中で野草を採取しまくり、野草にまみれて力尽きた沙条綾香を見て氷室が土ころびと見間違えた。


燕返し(技能:Fate)
 対人魔剣。最大捕捉・1人。相手を三つの円で『同時に』断ち切る絶技。第五回聖杯戦争におけるアサシン、佐々木小次郎の技能。多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)と呼ばれる物の一つらしい。
 ゲイボルクとは違った意味で回避不可能。
 他にやることがなかったからここまで磨き上げたらしい。



  


ディアボロT(武装/用語:Zero)
 仰木一等空尉が搭乗した航空自衛隊のF-15Jのコールサイン。築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)に所属した。搭載兵装はM61A1ヴァルカン砲(弾丸940発)、AIM-7スパロー×4発、AIM-9サイドワインダー×4発。
 ディアボロUとともに領海哨戒中だったところを冬木市警察からの災害派遣要請により未遠川河口の偵察に移行。ディアボロUが大海魔に食われたのを目撃し、大海魔を攻撃しようとするが、その直前にバーサーカーに強奪された。仰木一尉はバーサーカーに乗っ取られたあと、ギルガメッシュのヴィマーナとのドグファイトの大G機動において死亡。
 現実には築城基地に所属する第304飛行隊のコールサインは『MACE』であり、実際の第304飛行隊に当てはめるなら『MACE1』となる。


ディアボロU(武装/用語:Zero)
 小林三等空尉が搭乗した航空自衛隊のF-15Jのコールサイン。築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)に所属した。機体番号は42-8829(挿絵から。僚機は長機の斜め後方に占位するため)。
 ディアボロTとともに領海哨戒中だったところを冬木市警察からの災害派遣要請により未遠川河口の偵察に移行。大海魔に接近した際に触手に絡め取られ、小林三尉もろとも食われた。
 現実には築城基地に所属する第304飛行隊のコールサインは『MACE』であり、実際の第304飛行隊に当てはめるなら『MACE2』となる。


TCMC(用語:MELTY BLOOD)
 ティーンカオスモンスターキャットルズ。ネコカオスが視聴しているテレビ番組。


DC3(用語:氷室の天地)
 ゲーム機。藤村組が出した縁日の型抜き屋の景品にあった。形状はおよそプレイステーション3に酷似しており、縦置きにも対応している。


ディーロ(人名)
 言峰綺礼の後釜として冬木教会に赴任した司教。もともとは聖杯戦争の事後調査に来たので、正式な後任が決まるまでの中継ぎのようなもの。なお、本職の司教であり、それに相応しい性格をしている。


停止(用語/魔術)
 宝石殺しが持つ特性。


蹄鉄投げ(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠に、2年A組の生徒が提案した競技。
 地上に50センチ出した鉄の杭に一定の距離(17歳以上の男子は12メートル、以外は8メートル)から蹄鉄を投げる。杭の15cm以内に入れば1点、蹄鉄が杭に入れば3点を得る。
 2投ずつ交互で投げ二人でその点数の合計を競い合う。決められた点数に早く到達した方が勝ちというポイント制と回数を決めてその合計点で勝敗を決めるイニング制がある。


出崎(人名)
 穂群原学園2年D組の生徒。なんだか死狂いな漫画のような人物。球技大会では牛股、藤木とともにセパタクローに出場し、三位だったが2-Aチームと2-Cチームが乱闘で失格になったため繰上げ優勝。


鉄甲作用(技能)
 シエルが黒鍵に付加する作用。ヒットした対象を吹き飛ばす。魔術作用ではなく埋葬機関に伝わる投擲技法。アルクェイド・ブリュンスタッドにいたっては公園の端から端までゴロゴロと吹き飛んだ。


デッドエンド・カタルシス(用語/固有結界)
 →地獄極楽おとし


デビルズサンデー(用語:Realta Nua)
 凛ルートのデートの際に小休憩のために入った喫茶店で遠坂凛がセイバーのために注文したもの。


テムズトロル(用語:魔法使いの夜)
 久遠寺有珠が持つ四つの神秘の一つ。第四の神秘。見上げるほどの巨人。その大きさに見合う破壊的な力を秘めており、有珠はこれを自在に操る術を持つ。


デモニッション(能力)
 メレム・ソロモンが持つ異能。第一階位の降霊能力。
 願いを具現化して悪魔を召喚するものだが、具現化できるのは他人の願いであって自分の願いではない。空想具現化に近いが、これは人々の願望をモデルにしてそれを自分の憧憬によって彩色し、類似品を作るというもの。
 悪魔たちの能力は人々のイメージに沿ったものだが、その造形は能力者のイメージによって形作られ、能力の大小は能力者の魔力によって変動する。


テュポン(用語)
 神獣の中でも有名なもので、生き物というよりもはや超兵器のようなもの。


デュランダル(武装:Fate)
 中世ヨーロッパにおけるパラディン、ローランが愛用した聖剣。三つの奇跡を持ち、所有者の魔力が尽きようと切れ味を落とさない輝煌の剣。
 シャルルマーニュ王が天使から授けられたそれを、誉れ高き十二騎士筆頭ローランが賜った。騎士ローランが戦死する際に敵の手に渡すのは惜しいとして打ち折ろうとするもまったく折れることはなかったとされる。その後シャルルマーニュに関する伝説の中で様々な形で描かれ、騎士ローランの武勇の象徴となった。
 『勝利すべき黄金の剣』同様、華美に鍛えられた権威の象徴でもある。


テラーニュース(用語)
 吸血鬼シオンの技の一つ。悪性情報を魔力で具現化したもの。


出櫓浬庵(用語:氷室の天地)
 デロリアン。
 氷室鐘が考えた詠鳥庵に代わる屋号の案。


天下餅ボール(用語:氷室の天地)
 沙条が受け、美綴が放てし狙い球、飛ぶがままに打つは氷室。
 氷室鐘らが二年生のときの球技大会における氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子の2年A組セパタクローチームの戦術。沙条が受けて美綴が上げ、氷室が打つというもの。
 事前の打ち合わせではこう決められていたが、氷室は『氷室剣富士山返し』と宣言した。


転換(魔術:Fate)
 遠坂家やエーデルフェルト家に伝わる特性。力の流動・変換とも。アインツベルンに伝わる力の流動・転移とは似て非なるものであるようだ。遠坂凛はこの特性を使った魔術で自分の魔力を宝石に移している。
 この応用で脳への情報を違うものから送ることで感覚や意識を別のものに移すことができるが、転移を得意とするアインツベルンや遠坂でさえ成功率が低すぎて攻撃には使わない。また、本体に刺激があたえられると肉体に意識が呼び戻される。そのために意識の転移は自分にかける自己保身のための魔術。つまり自分の意識を使い魔や身動きできる人形に転移して安全に魔道の探求をするために使う。ただし魂があるもの、つまり理性(ちゃんとした命令系統)を持っているモノに転移すると主導権は“魂のあるほう”にいってしまうので、それが見ている映像を一緒に見ているだけになる。魂のある使い魔に自分の意識を移して支配するのは転移ではなく転生の域の魔術で、それだけで大魔術なので並大抵の魔術師にはできない。
 また本体が死ねば転移させた意識も消えるので、不老不死にはなれない。


伝承保菌者(俗称:hollow)
 ゴッズ・ホルダー。バゼット・フラガ・マクレミッツの二つ名。彼女の家系の古い血を生かした魔術特性から。
 神代の神秘(ウィルス)を残しているという意味。魔術回路ではない、神代から脈々と伝えられてきた魔術特性。血筋による遺伝ではなく、代々保管してきたものに病原体が生きていたためらしい。


転生(魔術)
 死後、自らの魂を受け継いだ子を生み出す魔術。魂の再現が難しい。


天地乖離す開闢の星(対界宝具:Fate)
 エヌマ・エリシュ。
 乖離剣・エアによる空間切断。厳密にはエアの最大出力時の名称で、宝具はエア。
 乖離剣エアの個別に回転する三枚の円柱状の刃が風圧の断層を作り出し、それが擬似的な空間の断層となる。約束された勝利の剣と同等か、それ以上の出力を持つ“世界を切り裂いた”剣である。
 対粛清ACか、同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない攻撃数値。筋力×20のダメージだが、ランダムで魔力の数値もプラスされる。最大ダメージは4000だが、宝物庫の宝具のバックアップによってはさらに跳ね上がる。
 バビロニア神話の創世記叙事詩であるエヌマ・エリシュにちなんで命名されたものと思われる。


天の鎖(対人宝具:Fate)
 エルキドゥ。ギルガメッシュが好んで使用する宝具。かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖で、ギルガメッシュがエア以上に信頼する宝具。
 能力は“神を律する”もの。捕縛した対象の神性が高ければ高いほど硬度を増す宝具で、数少ない対神兵装といえる。ただし、神性の無い者にとってはただの頑丈なだけの鎖に過ぎない。


天の杯(魔法)
 ヘブンズフィール。第三魔法。現存する魔法のうちの三番目に位置する黄金の杯。アインツベルンから失われたとされる真の不老不死、魂の物質化のこと。
 過去にいた魂から複製体を作るのではなく、精神体でありながら単体で物質界に干渉できる高次元の存在を作る業。魂そのものを生き物にして生命体として次の段階に向かうもの。


テンノサカズキ(地名:Fate)
 二百年前に作られた柳洞寺の地下にある大空洞。大聖杯が収められている最初の約束の地。最初の聖杯召喚儀式がおこなわれた。


天の逆月(用語:hollow)
 テンノサカヅキ。ヘブンズフィール(天意)ではなくヘブンズフォール(堕天)。
 大聖杯ではなく、第三次聖杯戦争の再現たる四日間をまわし続けるモノ。正体はアンリ・マユだが、アヴェンジャーとしてバゼット・フラガ・マクレミッツに従う者でも衛宮士郎に取り付いたものでもなく、いわば聖杯の中身である。
 テンノサカヅキとはアンリ・マユとの契約書のようなもの。
 魔力の渦である聖杯とは違い大した力はないが、出来る範囲で願いを叶えようとする、小さいながらも本物の聖杯である。
 黒い月として現れ、新都のセンタービルの上から伸びる階段を上ることで行けるが、辿り着けるのはもとからそこにいるアヴェンジャーと契約者であるバゼットのみ。内部はあちら側とこちら側の中間のようなもので、そこのステンドグラスのようなものに全てのピースがはまることで四日間は終わる。


天のドレス(武装)
 アインツベルンに伝わる魔術兵装。3番目のドレス。ヘブンズフィール。アインツベルンの魔術師が千年かけて積み上げてきた、第三魔法に至るための外付けの魔術回路。大聖杯を制御する心臓にして、魂を数秒間だけ物質化させる魔術を帯びている。
 純白のドレスだが、材質は黄金。万物・他人の魂を支配するといわれる“指輪”を七つはめ込んでいる。縦に並ぶ七つの孔は指輪が変形したもので、サーヴァントの魂が収納される度に一つずつ光を帯びていく。
 人間が触ると黄金になってしまうため、運営は精霊や小人、ホムンクルスでなければならない。小聖杯として作られたイリヤスフィール・フォン・アインツベルンはこれを着ることで本来の完璧なイリヤスフィールとなる。


電波奥義ネコエステ(用語:ネコアルク)
 ネコアルクの奥義。肉球スタンプで相手の肉体を押しまくる。
 旧バージョンではしゃがみA連打だけで無限コンボになったが、新バージョンでは単純な百烈系の技になった。


天馬(幻想種)
 幻想種の一。翼の生えた馬の姿をとる。ペガサスとも。第五次聖杯戦争におけるライダーが乗る天馬の最高速度は500km/h。
 普通の天馬は成長しても魔獣クラスであり風王結界で打倒しうるが、ライダーのものは神代から存在し続けているため既に幻獣の域に達しており、こと護りに関しては既に竜種を上回っている。
 なおそれは海の神ポセイドンからメドゥーサへの贈り物だが、ステンノとエウリュアレにほとんど奪われていた。



  


統一言語(用語)
 人々が別れる前にあったとされる『真理』のようなもので、真言(神言の誤りか?)よりも数ランク上の言葉。玄霧皐月が現代において唯一行使でき、加えて三咲町の二度目のタタリの際にのみ出現した死徒二十七祖の13位を継ぐオシリスの砂も行使できる。統一言語で世界の記録を引き出すことができる。
 太古のバビロニアで神に乱される以前の力ある言語。その頃は人間・動物・植物・無機物の区別なしにこの言語を使っていた。脳ではなく、根源の渦を通して魂に効果を及ぼす強力なテレパシーのようなものと考えれば概ね当たっている。これが太古における現代では不可能な神秘の実現の重要な要素になっていた。だが、それを恐れた神により根源の渦を介さず、魂ではなく脳に作用する乱された言語に置き換えられた。
 現在ではコレを操れる者は玄霧皐月のみであり、他の者はこの言語で言い返せないので強制的にこの言語に従ってしまう。なぜなら、この言語は根源の渦を介して魂に作用するので、コレを拒否するのは自身の存在を否定するのと同義だからである。
 統一言語と根源に通じている両儀式の肉体は同じ階級。そのため式個人に対しては効き目が薄いが、統一言語の対象を式個人に限定しない場合はちゃんと効果がある(『あなたには見えない』では効果が薄いが、『ここでは見えない』ならば『ここ』にいる者全ての視覚を奪えるため有効)。
 話し掛ける時の手間暇にもよるが、効果の持続時間は基本的には一日単位。


トゥーレ協会(組織)
 ルーン文字のオリジナルがあるらしい。
 現実ではナチ党の原型になった魔術結社。


投影(魔術)
 グラデーション・エア。自己のイメージからそれに沿ったオリジナルの鏡像を魔力によって複製する魔術。
 イメージが自分の中で完璧でなければ投影はできない。ゆえに投影で生み出したものは自己のイメージどおりの強度をもち(幻想としてはこの時点で完璧)、術者の知識が本物に近いほど現実においても完璧になる。だがイメージに綻びができると存在強度を失い、霧散する。
 投影でレプリカを作るよりもちゃんとした材料でレプリカを作ったほうが手軽で実用に耐えるため、きわめて効率が悪い。
 すでに失われたものを儀式などのために一時的(数分間だけ)にカタチだけ複製する魔術があり、それを外見のみならず中身まで本物に近づけるのが投影。魔力は外部に出ると気化し、投影した“すでに無いもの”を世界が修正するため長時間の具現化は基本的に不可能。また、投影で全てを自分で作るよりもすでにあるものを強化した方がよほど消費魔力と効果の効率がよい。たとえば十の魔力を使った場合は投影したものの力が三か四、既にあるものを強化した場合は二十にも三十にもなる。
 現代では儀式において道具が揃えられなかったときに代用品としてすぐに消える複製を用意するためにし
か使われない。持続時間は僅か数分間で、極めて効率が悪く、投影は虚影といわれるほど意味がない。
 衛宮士郎はすでにあるものに魔力を通す強化よりすべてを自分で用意する投影のほうが簡単だと言っているが、そんなことは断じてない。衛宮士郎や英霊エミヤの長時間にわたって持続する投影こそが異常なのである。
 衛宮士郎は創造理念を鑑定し、基本骨子を想定し、構成材質を複製し、製作技術を模倣し、憑依経験(成長にいたる経験に共感し)、蓄積年月を再現するが、普通の術者は創造理念から再現することはなく、設計図から入って材質、性質、歴史を再現する。
 普通の投影使いならばすでにあるモノを『投影』によって『補強』することが可能だが、衛宮士郎と英霊エミヤは固有結界として投影するために一から十まで本人のイメージで作らねばならず、『補強』はできない。
 Fate/hollow ataraxiaではアーチャーが釣竿やリールなどの釣り道具を投影した。


透化(技能:Fate)
 明鏡止水。精神面への干渉を無効化する精神防御。常に澄み切った心で、己の死にさえ動じることがない。第五回聖杯戦争におけるアサシン、佐々木小次郎の技能。
 B+:暗殺者ではないのでアサシンのクラス別能力『気配遮断』を使うことはできないが、武芸者の無想の域としての気配遮断を行うことが出来る。


等価交換(用語)
 魔術における基本原則。
 『目の前にあるものを出現させるには、どこかから持ってくる』というイメージ。ただし衛宮士郎や第五次聖杯戦争におけるアーチャーこと英霊エミヤの場合はすべてを自身のイメージと魔力によって魔術をなすために、この原則から逸脱する。


道具作成(技能:Fate)
 魔力を帯びた器具を作成できる技能。キャスターのクラス別能力。
 戦いのための道具や魔術礼装から日用品に至るまで、様々な道具を作り出すことができる。Aランクの道具作成スキルを持つキャスターが作り出す魔術礼装は他の魔術師のそれとは雲泥の差がある。だがこのスキルには材料を調達や作成の手間がかかる。
 A:擬似的ながらも不死の薬さえ作り上げられる。


凍結(技能)
 遠野秋葉の能力の効果。檻髪で熱を略奪して極低温で対象を乾燥・気化する。


刀崎(家名:月姫)
 遠野の分家の一つ。骨師と呼ばれる鍛冶師の一族。
 普段は鉄で刀を鍛えるが、これは、という使い手に出会った時には自分の腕を差し出して、その骨で作刀する。鍛冶師として最後にして最高の逸品となる骨刀は、大陸に伝わる破山剣と似て非なる性質を持つという。
 七夜らの退魔と協定を結んでおり、七夜とは黄理の先代の代から交流があった。


投擲(短刀)(技能:Fate)
 短刀を弾丸として放つ能力。
 B:真アサシン


貴い幻想(用語:Fate)
 ノウブル・ファンタズム。宝具のこと。


童話の怪物(用語:魔法使いの夜)
 詳細不明。久遠寺有珠の使い魔の一つか。


遠坂(家名)
 聖杯戦争を創始した三家の一。魔術師の一族。一族に伝わる特性は力の流動・転換(転移)で、宝石に力を移している。その応用として他人の意識をほかのものに移し変えることもできるが、転移を得意とする遠坂やアインツベルンでさえ成功率が低すぎて攻撃には使わない。魔眼持ちではない。血統であるのか、代々ドジ。
 遠坂に魔術を授けたのが降霊術の大家であり魔法使いである魔導元帥キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグであるため、日本の家系でありながら呪文の詠唱や儀礼はドイツ語で行う。遠坂の魔術師は翡翠で作られた鳥の傀儡を好んで用いる。
 『どんな時でも余裕を持って優雅たれ』『勝負は何でも手を抜かない』『酒は飲んでも飲まれるな』が家訓。最後のものは凛の代で追加されたっぽい。
 魔術協会と聖堂教会にパイプラインがあるため、冬木市の霊地を管理している。二百年前にマキリが移り住んできたときに協力者として土地を提供して同盟したが、互いに不可侵であり、無闇に関わってはならないと盟約に縛られている。冬木市一の大地主。イタリアのトリノに別荘を持つ。
 これまでの当主が積み上げてきた魔術の特許収入により、何もせずとも年収数千万円ほどはある。研究資金はこれら過去の遺産だが、何にでも手を出せて宝石魔術を得意とするためにいつも資金難。跡継ぎは資産を食い潰す前に魔術師として大成し、次の代への資金をためる義務がある。時臣が時計塔に登録した『魔術を簡略化する魔術式』の特許料が毎月入っているが、天才と呼ばれた時臣の魔術式とはいえいかんせん現代では時代遅れになりつつあるうえ、現当主である凛が特に何もしていないため日々収入は厳しくなっている。
 魔術に用いる宝石は専用の入手ルートを使って購入している。


遠坂葵(人名:Zero)
 身長160cm。体重50kg。B78 W57 H82。血液型O。9月5日生まれ。
 場の空気を和ませることが得意。神秘的なものと夜の散歩が好きで水泳が苦手。旧姓禅城。
 遠坂時臣の妻にして凛と桜の母。間桐雁夜の幼馴染で、第五次聖杯戦争から数えて19年前に遠坂時臣と結婚した。禅城家は現在魔術師の家系ではないが、体質的に類稀な資質を継承している血筋の人間。それに目をつけた遠坂時臣が禅城葵を妻に迎え、葵は途方もない魔術的素養を持つ姉妹を産み出すことになった。
 言峰綺礼の策略によって間桐雁夜が時臣を殺したと思い込み、雁夜を罵倒したことで逆上した彼に絞殺されかける。辛うじて死は免れたのだが、酸欠によって脳に障害を負い、現実を正しく認識する能力を失った。以後は空想の時臣と桜、凛との幸せな時間を送る。その後、第五次聖杯戦争までの間に死亡。
 娘の凛とは違い、時臣が非人間的な価値観の持ち主であることを充分に理解していた。その上で夫を盲愛していた彼女は、やはり時臣と同様に大きな歪みを抱えていたのかもしれない。


遠坂うっかりエフェクト(用語)
 遠坂家に伝わる特徴。あらゆることをそつなくこなし、ここぞというところで失敗する癖のこと。
 遠坂凛は結構頻繁に失敗するが、遠坂時臣は生死に関わる場面でのみ失敗する。


遠坂邸(地名)
 冬木市深山町の洋館が立ち並ぶ丘の頂上に建つ、遠坂の歴史ある屋敷。
 冬木市で最上の霊脈である円蔵山は強力すぎて次代の術師を育成する生活の場としては危険すぎたため、遠坂家は第二位の霊脈に居城を構えた。第二位とはいえ、聖杯を降臨させるには充分な霊力で支えられている。なおこの土地の土は吸血種が寝床にしていたという曰くつきの霊脈。
 周辺の土地は遠坂の私有地で部外者の立ち入りが禁止されているのみならず、他者を寄せ付けない結界が張られており、泥棒や迷子、野良猫どころかお隣さんが挨拶にも来ていない。幽霊屋敷と噂されている。その霊気からセイバーはかつて戦った怪異の巣食う古城のように感じ、ライダーは住みなれた実家のような懐かしさを感じている。
 遠坂時臣が設置した結界は対魔術師向けの防御システムとして極上の部類に入り、正攻法では一年がかりでも切り崩せないほど。しかし魔術師殺しである衛宮切嗣により僅か三時間弱で解体された。
 当然のごとく15メートルほどの規模のプライベートプールがあるが、金の無駄なので使用していない。地下室にはトレーニング用具やプロテインなどがたくさん置かれている。遠坂凛の部屋は二階。
 遠坂時臣の代まで(凛が中学生の頃)は長く勤めた家政婦がいたが、実家に帰ってしまった。


遠坂時臣(人名/魔術師)
 とおさか ときおみ。
 身長177cm。体重68kg。血液型O。6月16日生まれ。
 チェスが得意でティータイムが好き。反則攻撃と不慮の事態が苦手でアイリスフィール・フォン・アインツベルンが天敵。時臣の遠坂うっかりエフェクトが発動するのは命に関わるほどの重大な局面であり、普段の家庭における彼はまさに非の打ち所のない完璧な人間だった。
 遠坂家五代目当主。遠坂葵の夫にして遠坂凛と間桐桜の実父。第四回聖杯戦争におけるアーチャーのマスター。遠坂凛と言峰綺礼の師。属性は『火』。ギルガメッシュ曰く、退屈で面白みのない男。第四回聖杯戦争中に弟子であった言峰綺礼に騙し討ちにあい殺害された。
 第四次聖杯戦争において、遠坂邸地下の工房で蛇の抜け殻の化石(不老不死の薬を盗んだ蛇)を用いてギルガメッシュを召還した。高貴であることを尊ぶため、アーチャーに対しては主従としてではなく賓客として遇した。海浜倉庫街で勝手にバーサーカーと戦ったアーチャーを止めるために第一の令呪を使用した。
 彼の礼装は時臣が生涯をかけて練成してきた魔力が封入された特大のルビーで、これは樫材のステッキの握りの部分に象嵌されている。
 言峰璃正と親交があった。『本物の貴族』であり『本物の魔術師』。準備においては用意周到だが、それを実行する段になると足元を見なくなる癖がある。換言すれば凛と同じ癖があるということ。
 魔術協会で名の通った人物で、遠坂には彼の遺産の資金も魔術品もかなりあったが、凛はその貯蓄を既に使い潰しかけている。
 優秀な魔術師だったが決して天才というわけではなく、むしろ歴代の遠坂の中では凡庸だった。それでも彼が練達の術者として一目置かれるまでになったのは『常に余裕を持って優雅たれ』という家訓に従い、10の結果を求められれば20の修練を積んで課せられた試練を優雅に綽綽と通過するという、克己と努力の賜物である。
 桜を間桐に養子に出したのは、類稀な魔導の才能を持つ凛と桜のどちらか一方を凡俗に堕とすことを良しとしなかったため。そうしなければ魔道の加護を受けなかったほうにはその血に誘われた怪魔が災厄をもたらし、魔術協会がそれを発見すれば嬉々として保護の名の下にホルマリン漬けの標本にしてしまっただろう。
 彼は『英雄王ギルガメッシュ』にこそ掛け値なしの敬意を払っていたが、『アーチャーのサーヴァント』には道具としてそれなりの敬意を払うものの大聖杯を起動させるためにはためらわずに自害させる、という徹底した魔術師の対応をしていた。
 アサシン、キャスター、ランサーの脱落後にアインツベルンと『ライダーとウェイバー・ベルベットの拠点の情報提供』と『言峰綺礼の国外退去』という条件を容れて休戦協定を結ぶ。
 言峰綺礼という弟子を得たことを誇りに思っていた。そのため国外に退去する(と思い込んでいた)綺礼にアゾット剣を贈り、そのアゾット剣で刺殺された。
 事後を魔術協会に託した書簡により遺体の移送と魔術刻印の摘出は時計塔において行われ、全ての魔術刻印は信頼出来る時臣の知己によって保管されている。第四次聖杯戦争の半年後の時点で魔術刻印のうち一割ほどが凛に移植された。
 遺体の搬送や魔術刻印の摘出、様々な手続きや折衝のため、亡骸が日本に戻るまでには半年かかった。葬儀において、妻の葵は現実を正しく認識できなくなったため喪主は凛が務めた。
 時臣とその先代は霊脈上の要所として押さえてあった地所を積極的に商業用地として転用したため、そのことごとくが『何故か金運に恵まれて』事業を成功させ、遠坂家に莫大なテナント料をもたらした。これは時臣からすれば遠坂の土地を耕す小作人たちの収穫は行き届いた霊脈管理によって悪運や災難、霊障の類から保護されていればこそのものであり、当然の権利として租税を徴収していたに過ぎない。他の土地のセカンドオーナーでもここまで金銭的な利潤を生み出す者はそう多くはない。しかしこれら遠坂の権益は時臣の死後葵に相続され、さらにその死後凛に相続する段になって凛の後見人である言峰綺礼が愚直かつ大雑把な管理をしたため、実入りのいい物件は大部分が人手に渡ってしまった。
 『魔術を簡略化する魔術式』の特許を時計塔に登録しているため、彼の死後もこれの特許料が遠坂家に入っている。
 第五次聖杯戦争において凛がサーヴァントを召還した日に時計が一時間早まっていたのは時臣の仕業。『この程度の身近な狂いに気が付かないようなら聖杯戦争に参加するのはまだ早い』というちょっとした茶目っ気だった。


遠坂永人(人名/魔術師:Fate)
 とおさか ながと。マキリ臓硯、ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンに協力を求められて200年前に聖杯戦争を始めた、遠坂凛から数えて六代前の遠坂の当主。隠れキリシタン。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの弟子だが、その弟子の中では最も芽がないと思われていた。わりとドジ。
 魔術と武術を等しく見ていた人物で、無の境地を経て根源に触れようとしていた。
 魔術の才能は娘のほうにあったらしく、大聖杯作成には娘のほうが力になったらしい。


遠坂凛(人名/魔術師)
 2月3日生まれ(Zero material以前は2月4日生まれとされていた)。身長159p。体重47s。B77 W57 H80。血液型O。第四次聖杯戦争当時は身長124cm。体重29kg。
 遠坂家六代目当主。私立穂群原学園2年A組。朝が弱い。第五次聖杯戦争におけるアーチャーのマスター。父親の遠坂時臣を師とし、言峰綺礼は兄弟子。外見は母である遠坂葵よりも遠坂時臣の母に似ている。凛にとって友人と部下は似たようなもの。凛と生きている限り、衛宮士郎はアーチャー化しない。
 第四次聖杯戦争のころには既に初歩的な魔術を使うことができた。得意な魔術は魔力の流動・変換だが、戦闘には適していないために戦闘には魔力を込めた宝石を使用する。戦闘に使用する宝石は平均して一つ50万円ほどのもの。十七年間1日も休むことなく10個の宝石に魔力を移し続けており、それを使えばA判定の大魔術を一瞬で発動できる。結界も教室くらいならば形だけは整えられる。
 属性は『五大元素』。遠坂の一族が得意とする転移の他に強化の特性を身に着けている。魔術回路はメインが40でサブがそれぞれ30。自分の体内を流れる魔力のイメージは清流を舞うように泳ぐ魚のイメージ。
 五大元素(空・風・火・水・地)すべてを扱うことができ、彼女のアゾット剣は彼女専用に組み替えられており、各元素の割合は美しいダイヤ形を描く。凛の能力は安定していて、ステータスをダイアグラムで表すと綺麗な円形を描く。魔術の才能としては天才で、数値で表すならシエルを100として凛は70〜100。長ずれば歴代の魔術協会の中でも百番以内に入る。またその令呪は調和、安定、秩序を表す。
 他の物に自分の魔力だけでなく他人の魔力や、難しいが魔力以外も移しかえられる。それに最も相性がいいものが宝石。宝石魔術を得意とするために冬木市きっての出費家かつ万年金欠で、金銭感覚はシビア。遠坂家の収入は年間で数千万円ほどあるのだが、それはこれまでの当主たちが積み上げてきた魔術特許の収入であるため肩身の狭い思いをしている。
 卓越した魔術師であるが、魔術の狙いはわりと粗い。魔術師としてピークになる時間帯は午前二時ジャスト。ガンドを得意とするが、それは強力すぎて威力、見た目、効果ともに弾丸そのもの。子供の頃から図星を突かれるとガンドを乱射するという癖がある。
 護身用として空手もどきを嗜むが、その師匠は言峰綺礼。スペックでは言峰に勝るが、植えつけられたトラウマと十年以上の代行者としての経験から言峰と戦った場合の凛の勝率は二割程度。他人同士だったとしても経験の差から苦戦する。カレン・オルテンシアと戦った場合にはほぼ確実に勝利するが、権力とトラウマを使って没収試合にされる可能性もある。
 純血の日本人ではなくクォーター。父親の時臣は第四次聖杯戦争で戦死を遂げ、母親の葵もすでに死去している。言峰綺礼が身元引受人だった。
 幼い凛にとって父時臣は敬愛すべき偉大な魔術師であり、その理念から来る冷酷さといった人格の負の側面を理解するには至っていない。もし彼女が時臣の人間性を理解できる頃まで時臣が存命であったら、凛の人格形成に深刻な影響を及ぼしたと思われる。非人間性に反発して魔道そのものに背を向けていたか、あるいは父同様『完璧にして酷薄』な魔女として完成していたか。また、時臣のあまりにも早い死のせいで『世界の外への孔をあける』という聖杯戦争の真の目的を知らなかった。
 第四次聖杯戦争当時は開戦前に母の実家である禅城邸へ疎開していた。その頃の聖杯戦争に対する理解度は第五次聖杯戦争における衛宮士郎のそれとほぼ同程度であった。なお第四次聖杯戦争中に行方不明になった友人のコトネを探すため、魔力針を携えて冬木市を探索したことがある。しかしコトネは雨生龍之介とキャスターの手にかかっていた。
 凛ルートでの士郎への魔力供給は、PC版では性交によって凛から士郎への一方的な霊脈を繋げたが、PS2版では遠坂の魔術刻印を移植してそれを魔力の受信装置に作り変えるという手法を取った。
 優秀だが、ここ一番というところで大ポカをやらかすことがあるのはもはや遺伝的なもの。
 香水は結構細かく使い分ける。が、これは魔術刻印を制御するための薬によって変化した体臭を誤魔化すためらしい。シャンプーも特別なものを使っているようで、衛宮士郎がそれにまみれた後は超敏感肌になった。低血圧なのでいろいろと凝りやすい。なにか説明するときにかける黒縁眼鏡は伊達。
 衛宮士郎が作った弁当を学校の机に隠しもせず入れておくなど、わりと注意力散漫。学校ではまじめな優等生だがそれは擬態で、根がいたずらっ子なので本性は他人をからかって遊ぶのが好き。唯我独尊な性格。攻撃的で突き放す口調だが姉御肌で面倒見がよく、そのため解説役に回ることが多い。集団行動では妙に上品に振舞う。
 辛いものと猫、宝石磨きと士郎いじりが好きで、電子機器全般と突発的なアクシデントに弱い。片付けが下手で衛宮邸の彼女の部屋は常に散らかっている。湯飲みはネコ柄。ネコ柄のパジャマは美綴綾子からの貰い物。得意料理は中華。ギャンブルではモナコよりもビジネスライクなラスベガスが好み。体力測定では肺活量以外のことごとくが美綴綾子に勝る。幼い頃から綺礼のことが苦手で好いておらず、しかし綺礼はそんな凛をからかうのが好きだった。
 電子機器に弱いのでパソコンの導入を頑として拒否している。機械音痴もはなはだしく、ウォシュレットの存在すら知らなかったようだ。なおウォシュレットとは東洋陶器(TOTO)の登録商標であり、温水洗浄便座の一種でしかない。日本初の温水洗浄便座は伊奈製陶(現INAX)が販売した。また衛宮士郎とのデートではホテルのエアコンのリモコンを壊し、部屋が極寒になった。ビデオデッキと再生専用DVDプレイヤーが外見では判別できない。
 赤い携帯電話は持っているが、操作方法が分からずアドレス帳には一件の登録もない。FAXを購入したようだが、送信順が適当だったり裏表逆だったりと使いこなせてはいない。
 特技はポジティブシンキング。父に褒められることが好きで父に叱られることが苦手。天敵は言峰綺礼。インスタント飲料はミルクティーを好み、それ以外はありがたみがランクダウンするらしい。酒を飲むと躁鬱状態になる。酒には強いが、酔うと(といっても実験試料での酩酊だが)にゃーにゃーいう。ぐっすり眠りたいときには寝酒を飲む。度数を読み間違えてウォッカを飲んで倒れたことがある。大概の誘惑には打ち勝つがお金には弱い。年末年始には冬木市内の神社で巫女のアルバイトをしている。
 穂群原学園入学前に通っていた学校は柳洞一成と同じところで、衛宮士郎と間桐桜が通っていた学校とは別の学校。そこで一成が会長を務めていた生徒会の副会長を務め、生徒会の用事で士郎の学校に訪れたときに偶然、跳べるはずもない走り高跳びをやっていた士郎を目撃した。
 1年生のときにミス穂群原に選ばれた。
 二年生の年の神社の縁日では巨大テディベアを一発で取ったが、それを狙っていた蒔寺楓に因縁を付けられて金魚すくいで勝負をすることになる。蒔寺は様々ないかさまを使って勝ちを狙うが、凛は更なるいかさま(魔術でもなかポイを強化)で蒔寺を圧倒した。なおテディベアはアンティークで高価なものだったが、そうとは知らなかった当初は特に執着する素振りは見せなかったが、蒔寺が口を滑らせて『高く売れる』と言ったら『まあ絶対に譲りませんけどね』と態度を翻した。
 体育祭ではあまり目立ちたくないという思惑から蒔寺と一緒に一般競技に出場した。
 たまたまドラム缶に入ったまま川を流れている蒔寺を救助し、その場で持ち合わせていたスイーツを与えたことで蒔寺から恩返しとしてミス穂群原の二冠獲得に向けての協力を申し出られる。その協力とは詠鳥庵の高級和服を貸与するというものだったが、これは純粋な好意ではなく、遠坂凛という美人が和服を着るというインパクトをコンテスト会場にいる人たちに与えることで詠鳥庵の新規顧客開拓につなげるためのもの。もっとも凛の方も一生に一度着られるかどうかという高級和服を選り取り見取りできるという利点を考えてこの申し出を受けていた。こうしてニュー・マシンガンズが結成されたのであった。
 聖杯戦争に備えジャズコで食料を買い出しているときに氷室鐘、三枝由紀香、蒔寺楓と偶然に会い、『親族のパーティのため』と誤魔化したために話の成り行きで衛宮士郎を加えてパーティの準備をする破目になった。後日、アーチャーは歓迎の準備がされた部屋を見て感動の涙を流した。
 桜が間桐にもらわれていくときに髪留めを贈ったが、そのときも対価を要求した。それはエメラルド3カラット、年利3%というもの。というのも、凛は大切な人にこそ貸しを多く作って繋がりを持っていたいがため。ただし借りに関しては署名捺印入りの借用書でもない限り認めようとしない。
 彼女がよく言う無駄の表現である『心の〜』は、通常の無駄が『心の贅肉』、最上級の無駄が『心の税金』となる。
 彼女の部屋にあるゼルレッチの宝箱には連絡帳やカレイドステッキ、虎の置物などが入っている。またそれは中に入るならば大きさに関係なく収めてしまう屈折空間で、ちょっとした魔法の箱。収納されたら簡単には出られない。
 第五次聖杯戦争後に時計塔に行くにあたり貫禄をつけるために宝石剣のミニチュアのミニチュア、平行世界からの波を観測するペンダントを作ろうとして大失敗した。その際の場所はアインツベルン城の三階だが、やっぱりえらいことになった。桜に借金してまでそろえた資料や機材もすべてパー。イリヤ曰く命があるだけでも化物とのことだが、通帳を見て完全に生ける屍と化した。
 そのせいで後にウインチェスター事件と呼ばれる事件が起こり、凛はそのままでは封印指定を受けかねないのでねじれを直すため自ら時計塔に行った。それは武器として加工していない特異点を解放したもので、厳密には『冬木市で起こりうる可能性がすべて引き寄せられた世界』になりかけた。実際には不思議の国のアリスよろしく童話のような命を賭けた迷路城脱出ゲームだった。
 魔術協会では鉱石学科に所属する。
 四月くらいから衛宮士郎と付き合っているということだが、士郎はハーレム状態である。
 ゼルレッチの宝箱の中から電話をかけておよそ3年後の並行世界につながったとき、そちらの世界では時計塔で七月のポピンズというあだ名がつけられているようだ。
 将来的には教授になる実力はあるが、ここ一番のポカのせいで名誉教授にはなれない感じ。ただし晩年にはポカ癖は治るようで、『ある意味手を出してもいいことのない大物』として扱われるようだ。
 AATMではアーネンエルベの調査のために来店するが、言峰綺礼を殺害(実際はカレン・オルテンシアによる毒殺だが)したため両儀式の後釜として店長にされる。
 『赤いケータイさん』では、取り込んだまま放置されていた洗濯物(下着を含む)をアーチャーが勝手に畳んで仕舞った事に対して怒ったうえ、アーチャーを維持するための魔力をケチったためアーチャーをキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ御手製の赤い携帯電話に封じる。さらにアーチャーに勝負下着について批評したことでその携帯電話を思い切り放り投げ、その後それを探しているうちにアーネンエルベに訪れる。しかし記憶の混乱もあり自分をアーチャーであると認めず同行も拒否したアーチャーにより、桂木千鍵と日比乃ひびきとともに固有結界アンリミテッドモバイルワークスに引き込まれる。
 アーチャーにアンリミテッドモバイルワークスの中にとどまる限り電話料金の請求がどんどん増えていくと教えられ、脱出に向けて努力をする。しかし最終的にアーチャーにクリアさせる気がないことを知るとぶち切れて宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグと思われる物を構成し、無数に出現した赤いケータイさんを根こそぎぶっ飛ばした。ちなみに宝石剣らしき物を構成し、使用したことでパケット料金はかなりの額になった。
 狙われたアーネンエルベの頃にはロンドンの魔術協会で学んでいるらしい。
 unlimited codesでは戦闘は自分に任せて邸に篭っていろと言ったアーチャーに腹を立て、『宝石による近接格闘礼装全種』という魔導書を携え単身で戦いに赴く。セイバーに勝ち言峰綺礼を打ち倒して聖杯を手に入れるも、厄介すぎて現状の凛では扱えないため封印。生き残ったアーチャーを供給魔力の削減のためミニチュアサイズにして契約を続けている。


トオノ(人名)
 そういう生徒が穂群原学園のライバル女学院にいると間桐桜が言った。明らかに『遠坂』と言おうとしたのをごまかすためのでまかせだが、遠野秋葉を端的に捉えているといえばその通りである。


遠野(家名)
 三咲町一帯に根を張る『混血』の一族の宗主たる家。遥かな昔、鬼種(人から成った鬼人ではなく、元から鬼であるもの)と交わり、長く土地を治めた豪族の末裔であるとか。古い血族であるためか分家は数多くあり、揃って資産家のため財閥めいた巨大グループを成している。
 財力では分家の久我峰に劣り、血の濃さでも分家の軋間に劣るが、もっと尊い血を受け継ぐために宗主になっている。宗主である遠野の当主の務めは一族の中で反転した者があればそれを処罰・処刑すること。そのため、退魔に協力的である。


遠野秋葉(人名)
 9月22日生まれ。A型。身長160p。体重45s。B73 W57 H79。
 遠野家当主。遠野志貴の義妹で遠野四季の妹。遠野よりの血は薄いが、その起源は古く、紅赤朱として上質。猫が嫌い。好きな歌はスゥインキング・ポプシクルの『サテツの塔』。七夜志貴とは天敵同士。学校が終わってから夕食の時間まで習い事があるため、帰宅時間は午後7時前。木曜はヴァイオリンを習っている。
 長い黒髪に凛とした姿勢、気丈な物言い、可愛げのない性格、規律を重んじる棘ありまくりだがお淑やかなお嬢様。根は一途で健気だが、素直ではなく負けず嫌いなので滅多なことでは自分の本性を表には出さない。胸が薄いことをコンプレックスに思っている。美しいもの、可愛らしいもの、綺麗なものには少し歪んだ愛着を見せる。
 8年前はおとなしい性格で志貴と四季が遊んでいるのを後ろから見ているだけだったが、その頃もいざ勝負事になると積極的に勝ち負けを競りあった。現在は遠野家当主としての厳格な教育のせいか、八年間彼女をほっぽっていた志貴にとっては小言が痛い怖い妹である。そのくせ単純で、琥珀にはよくだまされる。
 『志貴の特別になれないなら、せめて家族として一緒にいたい』と思い、志貴を兄として慕っている。
 気に入らない人間には冷たくあたるが、気に入った相手には厚意を惜しまない。自ら喧嘩を仕掛けることはないが、相手に売られれば相手が負けを認めても自分の気が済むまで容赦しない。
 アルコールに異常に強く、本人は酒仙・酒豪と言い張るがザルといったほうが合っている。だがまったく酔わないわけではなく、大量に飲めば多少はふらふらする。そして一定量を超えるとそれまでの酔いが一気に回り、眠ってしまう。つまり秋葉にとっては酔う=眠る、ということである。よって自分が酔うとは思っていない。
 私立浅上女学園高等部1年生で高等部生徒会副会長を務める。寄宿舎の遊戯派閥は麻雀派。寮長の環とは友人で、互いに反目しあう生徒会と自治会の和平に力を出し合っている。人望は厚いが尊敬と畏怖の割合が真っ二つ。
 わりと一途で健気な性格で面倒見もよく、中等部の生徒には『完璧なる遠野先輩』と慕われているが、好きなものをいじめたくなるサドっ気があり、学園内ではかなり恐れられている。
 金持ち特有の慢心・無神経さはないが、やはり金銭感覚は一般庶民とは大きくズレている。『しばらく休んでいなさい』と言う場合の『しばらく』とは、本人が飽きるまでか死ぬまでという意味である。それでいて倹約家でもある。
 能力は視認した生物から熱を奪い去る略奪(その最大出力時が射程・視界による略奪呪界『檻髪』)と『共融』、『式神行使』。檻髪は強力だが、琥珀と感応していないと満足に使えない。また略奪は熱以外の何かも一緒に取り込んでしまう。遠野四季を処罰したときは反転衝動と『蝕離』の異能を取り込んでしまい反転、吸血鬼じみた能力を持つようになった。炎焼の能力を持つと思われがちだが、秋葉の能力は『凍結』。相手の熱を奪うことで灼熱感を誤認させているのだ。
 8年前に自分の身代わりになって四季に殺された志貴を『共融』で蘇生させた(遠野の血はその時に目覚めた)。そのために自分では命の半分しか使えず、残りを最も栄養能率のよい血液を摂取して補っている。だがそれによって遠野寄りに傾いてしまっている。
 秋葉は二人分の負荷を負っているので毎晩のように発作に襲われ、琥珀の提案で彼女の血を飲むことで体を維持していた。それが自分を人でなくする琥珀の姦計だとはなんとなく悟っていたが。なお養分を得るためや吸血衝動を抑えるために血を吸われた犠牲者は後遺症が残る程度で、死にはしない。
 彼女はその素質ゆえか本来ならば紅赤朱化が進んだ時点で理性を失うはずが紅赤朱をコントロールでき、むしろ半ば紅赤朱になった状態こそが彼女のいわば通常の状態で、普段の黒髪の状態は力を使って混血を押さえつけているのだ。
 シオン・エルトナム・アトラシアからエーテライトの使い方を教わった。
 翡翠と琥珀には一応有給休暇があるが、一度も使わせたことはない。
 AATMでは志貴の襟元に仕掛けた発信機を辿って琥珀とともにアーネンエルベに来店。


遠野秋葉の母親(人名:月姫)
 詳細不明。
 遠野秋葉が生まれたときに病死した。


遠野家地下王国(地名:MELTY BLOOD)
 遠野家には家系のみならず屋敷自体にも秘密がある。遠野の血に目覚めたモノを処理する地下室や一生監禁できる地下牢、一介の使用人が入り浸る研究室など、実に怪しげ。そしてその最たるものが地下に広がる大空洞、遠野家地下王国である。
 誰が何のために作り上げたかは不明だが、どうやら絶対王政を模した小世界であるらしい。テンパったお金持ちが設計した核シェルターそのものだが、見た目・設備ともに世界征服を企む秘密結社のアジトそのもの。
 後日、遠野志貴が探し回っても地下王国への道は見つからなかったという。


遠野志貴(人名)
 10月15日生まれ。AB型。身長169p。体重57s。
 直死の魔眼の保持者。殺人を嗜好しながらもヒトを殺していない殺人鬼。和風びいき。夢を見ない。刃物の扱いは病的にうまく、ナイフを常備している。要領がよく、何でもそれなりにこなせる。
 私物は極めて少ない。突き詰めれば衣服と鞄、教科書、眼鏡、遠野の家から出たときに琥珀に渡された白いリボンくらいなもの。
 もともとは七夜一族の当主・七夜黄理の長男だが、七夜一族が遠野家に滅ぼされてからは『自分の息子と同じシキである』という遠野槙久の気まぐれで遠野家の養子になる。その後9歳のときに反転した遠野四季に殺され、現在は遠野秋葉に命を共融されて生かされている。四季に殺されたことは自動車事故で重傷を負ったと偽装されている。
 四季が処罰されて死んでからは『身分ある遠野家の長男を殺すことはできない』という身勝手な理由で七夜志貴の戸籍は抹消され、四季に成り代わって『遠野志貴』にされた。結果として戸籍上死亡したのは養子の七夜志貴になった。しかし、七夜の人間なので混血の遠野家を継ぐことはできず、最も力の弱い有間家に預けられた。遠野から有間の家に預けられたとき、二度と敷居をまたぐなと言い渡されている。
 有間の家に住んでいたころは長い休みになると家に遠慮して、手ぶらで乾家に泊まりに行っていた。かといって有間家との関係が悪かったかといえば実に良好で、養子にならないかと誘われてさえいた。
 殺された影響による慢性的な貧血持ちで、その貧血は治るものではない。というかいつ死んでもおかしくない状態。大抵の無茶に耐えることができるが、回復力が著しく弱い。医者からあまり食事を摂ってはいけないと忠告を受けている。月に一度の頻度で時南医院に通っている。
 四季に殺されたことで本来持っていた淨眼が発展し、直死の魔眼となる。志貴が持つ直死の魔眼は厳密には超能力であり、上人が持つという浄眼である。直死の魔眼フル活動時に蒼い浄眼になる。通常、志貴は概念を切ることは出来ない。これは脳のスペックによるもので、死に沈んで生物殺しに特化した志貴は『概念』を捉えることに向いていないためである。また死を視ることが出来るが、あくまで視るだけで過去視・未来視のような探るといったことは出来ない。
 根源に繋がった超能力者同士の交配を続けて人間としての純度を極限まで高めた七夜の者なので、『人間以外のモノ』に過剰反応してしまい、人間を律する存在のアルクェイド・ブリュンスタッドや鬼種との混血の秋葉にも殺害衝動を抱いてしまう。
 七夜の戦闘訓練と直死の魔眼によって殺人に特化した人間。生命の危機に陥るかブチキレた場合は七夜の戦闘術を遺憾なく発揮する。また、志貴と同じスペックを持つ七夜志貴が使った『極死・七夜』も(七夜志貴は志貴と同一存在なので)使用可。ただしサーヴァントには及ばない。だが限定解除した場合にはシエルを圧倒する戦闘力を持つ。なおトランプに例えると、月姫ではハートの3、MELTY BLOODではスペードのジャックに相当する。危機感知能力はシエルが驚嘆するほど高い。
 ワラキアの夜を殺したせいか、オシリスの砂による幻影の夏の再演ではわずかに幻影の夏のことを思い出し、タタリという固有結界に何の魔術も使わずに亀裂を生んだ。またタタリの影響下にありながらオシリスの砂の正体をシオン・エルトナム・アトラシアだと看破し、それをきっかけに幻影の夏のことをすべて思い出した。
 衛宮士郎と戦った場合は士郎が投影する宝具を片っ端から殺すことができるので志貴が勝つが、それは戦闘後のことを一切考えない場合であり、このように戦ったあとはオーバーフローで自滅する。だが士郎がエクスカリバーのような魔力放出が可能であったら話は違ってくる。
 魔術師ではないただの一般人だが、レンと契約できるほどの魔力を秘めている。
 蒼崎青子との約束で『正しい大人になろう』と生きてきたのでどうしようもないほどの善人だが根はわりとクールであり、人生は何でもあり、何が起こってもなんとかなるさ的な生き方をしている。そのある意味捨て鉢な人生観は世捨て人に近い。誰とでも平等に接するがやはり普通とは違うために、自分のためではなく周囲のためにある一線を引いている。それを超えて付き合うことができるのは、志貴と同じような価値観を持つ者だけである。基本的に人畜無害だが、悪意を持って彼に接すると決まって破滅させられるという特異なタイプの正義の味方。
 恋愛に鈍感で、誰も彼も大切に感じている。だがそこから頭一つ抜きん出た人がいると脇目も振らずにその人を一番にする。
 経済観念はなかなかのもので、放っておけば勝手にやりくりする。だが生活力は低く、どんな職についてもトラブルを引き寄せることは明白。唯一安心なのは殺し屋家業。財布はがま口で中身は大体500円。毎日の昼食代として秋葉に1日500円渡されている。
 初めての性交は有間家時代に憧れていた時南朱鷺恵と。彼の性交渉は2回3回としつこく、終わった後は相手の女性がとても疲れる。
 AATMではアーネンエルベで待ち合わせをするも突発的にジョージ店長(に取り憑いたネロ・カオスの悪性)を殺害、それをカレン・オルテンシアに目撃されたため店員として働かされることになる。ネガポジウム光線によって七夜志貴になるが、秋葉にしばかれて元にもどる。


遠野四季(人名/反転・死徒)
 遠野秋葉の実の兄で遠野家の本当の長男。転生無限者ミハイル・ロア・バルダムヨォンの18代目の転生体。殺人鬼。能力は『不死』と射程・接触による融合呪詛『蝕離』、『共融』。不死による拒死性肉体を持ち、自身の肉体を自在に運用する。
 頭の回転が速く、元からお喋りで図々しい性格で、ロアが表層に出てきてからは更にお喋りになった。周りが見えていないタイプで癇癪持ち。よほど優れた相手しか記憶せず、自分から他者へ恋愛感情を抱くことはまれ。だが、遠野志貴とは馬のあう好人物。秋葉に並々ならぬ愛着を寄せる。不味い不味いと言いながらも1時間で缶コーヒーを10本ほど空けた。
 遠野の血が濃く、八年前にロアが目覚めたことで反転し、その場に居合わせた最愛の妹・秋葉を殺そうとするが秋葉をかばった志貴を殺害する。その後、槙久に処罰されるも殺した志貴の命を共融したために蘇生する。臨死したためか、姿カタチは変わったままだが理性が多少戻ったために殺されることはなかった。だが、反転したために遠野の屋敷に置くことはできず、屋敷の地下の座敷牢に幽閉された。
 自分は生きているのに自分の在るべき位置には志貴がいるという、ある意味では志貴に殺された哀れな人物。
 その後、槙久を殺害して脱出し、志貴が通う学校を根城にして連続殺人をしていた。そのときに夜中も繁華街を歩いていた弓塚さつきを殺害・吸血し、死徒にした。
 ナイフを使うが、本当の武器は不死、つまり自身の体内(内界)を操る能力によって作った血でできた剣、血刀。
 ロアの転生体であるが反転したことによって人格が崩壊し、人格を依り代にするロアは顕在化できなかった。といっても彼もやはりロアであり、ロアの意識が強いか四季の意識が強いかの違いである。


遠野志貴の母親(人名:月姫)
 詳細不明。
 遠野志貴(七夜志貴)の実母。遠野による七夜襲撃の際に志貴をかばって死亡。


トオノシティ(用語・地名)
 メイドという概念が失われた絶望世界。洗脳探偵が姉を捜して活躍する場所。


遠野邸(地名)
 遠野家の屋敷。坂の上の洋館。
 屋敷はロビーを挟んで鳥の翼のように左右対称の東館と西館に別れていて、その方翼だけでも小さな病院ほどの規模がある。書庫と使用人の部屋は西館一階にある。地下には座敷牢などの施設がある。
 学校のグラウンドくらいの敷地、多くの施設を持つものの、先代当主である遠野槙久の死後は遠野秋葉によりほとんどの使用人が解雇され、琥珀と翡翠の二人だけになったために厨房、屋外浴場などが閉鎖された。
 三咲町のマンホールから下水道に入り、公式の地図に記載されていないルートを通ることで遠野邸地下の琥珀の研究室(アンバーグラウンド)に辿り付く事ができる。このルートは下水道に偽装されているものの下水道として使われたことはなく、防音処理が施されていて、さらに下水道とは逆に入り口が一つで出口が多数という構造になっている。
 午後7時に正門を施錠し、8時に出入り口を全て施錠。就寝時間は午後10時で、それ以降は部屋から出ることが禁じられる。
 久我峰斗波の家族、刀崎の三女とその婚約者、軋間紅摩が三年ほど逗留していたが、遠野志貴を呼び戻すにあたって追い出された。


遠野槙久(人名/反転)
 遠野家前当主。遠野秋葉と遠野四季の父親。七夜一族襲撃の首謀者。七夜一族の生き残りの志貴を『名前が自分の息子の四季と同じだから』という理由でおもしろがって養子にした。
 自分に甘く被害者意識が強い人物で、彼の弱さが遠野家の悲劇を招いてしまったといえる。家族(血族)に対して人並み以上の保護欲を持ち、遠野家を磐石とするために当時冷戦状態にあった退魔組織とパイプラインを作り、彼らと協力関係になることで三咲市一帯の支配権を得るに至った。
 青年期には斎木翁に仕えていて、斎木翁を売ったときにその監視役として同室していたので、初めて殺人に酔った七夜黄理に殺されかける。身内に対する愛情に篤く、そのために七夜を危険視し、七夜の里を襲撃して滅ぼした。
 普段は温厚だったが40歳ぐらいから遠野よりの血が強くなりはじめ、性格が頻繁に反転するようになり、猫などの小動物をたくさん買ってきてはそれらを惨殺していた。それを抑えるために感応者の娘である翡翠と琥珀を引き取り、琥珀の能力で体力・精神力を強化していた。
 親戚の進言には逆らわなかった。志貴を有間の家に預けたのももとは槙久ではなく親戚の者の意見。
 後に遠野四季に殺される。
 まめに手記をつけていた。


遠見の水晶球(用語)
 遠隔視に用いる水晶の球。これに映像を投影する。


ドカゴッグ(用語:氷室の天地)
 Jポリスの『THE クイズ SHOW』のジャンル『オヤジ系まんが』のクイズの答え。


特性(用語)
 魔術の効果を決定する要素の一つ。投影や強化など、多くのジャンルがある。
 魔術の基本は五大元素魔術で、それに特性を与えることで意味合いを付与していく。単純なものでは五大元素魔術に強化を付与すると、火属性ならば火がより強く燃え、水属性ならばより勢いよく水量を増して流れる。強化は最も単純な例で、もう少し高度な特性になると傍目には属性よりも特性のほうが明白になり、もととなった属性は分かりにくくなる。例えばイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが使った視覚の転移は『転移』という特性を付与した魔術だということは分かるがもととなった属性はもはや不明である。
 魔術師の一族にはそれぞれ得意な特性がある。これは代々どんな研究をし、どんな神秘を魔術刻印に遺してきたかに由来し、一朝一夕で変えられるものではない。しかしながら一流の魔術師ならば複数の特性を身に着けている。


特製バケツ(用語:Ladies in the water)
 琥珀特製のバケツ。これに満たした水に超日焼け止めを溶かし、その中で瞬きをしたり発声練習をしたりすることで体内まで超日焼け止めでコーティングする。
 また騎士のバケツ型ヘルメットとしても使用でき、首がもげさえしなければ遠野秋葉の踵落しにも耐える強度がある。


特例(用語)
 ノウブルカラー。
 持って生まれた特殊な資質のことをこう呼び、主に魔眼持ちに使われる。広く使われる用語ではなく、主に魔術協会に所属する魔術師が使う。
 ノウブルカラーとはその魔術回路の働きが天体運営に近く、先天的で特殊なものであることを表す。なお通常の魔術回路の働きは地殻流動に近い。
 『直死』『束縛』『強制』『契約』『炎焼』『幻覚』『凶運』などの他者の運命に介入する強力な魔眼(眼)のこと。これの最高位とされるものが『石化の魔眼』である。第五次聖杯戦争におけるライダーのものは最上級の吸血種が持つという『黄金』の上をいく『宝石』。その上に七色が万華鏡の如く混同した『虹』があり、月の王の証であるという。
 『黄金』は強力な吸血種ならば当然のように持っており、『宝石』『虹』を持つ存在も稀少ではあるが現存する。


時計塔(用語/地名・組織)
 大英博物館ことロンドンの魔術協会のこと。魔術協会の三大の部門の一角を担い、魔術協会全体の本部である。魔術に関する特許を扱っている。ここに東洋系の者は多くない。
 時計塔は他の部門よりも新しく、西暦元年を境に創立されて最新の研究機関として成長を遂げた。院長は創立以来2000年に渡って同一人物が在任し続けている。
 表向きはただの博物館。時計塔とはそのままの意味であるが、大英博物館の建造物地下には工房や書庫などの魔術師たちの研究区画が広がる。下に行けば行くほど狂気の度合いを増す。大英博物館そのものについても、その最奥部には『橋の底』と呼ばれる特別区画があり、封印指定された魔術師たちが幽閉されている。またロンドン塔の地下には悪霊ガザミィが幽閉されている。
 魔術協会で最大の基本にして至高の学舎であり、魔術協会の本部。ほかの魔術師たちもここを手本にしている。世界中の魔術師が日夜魔術の研究に励んでいるが、他派閥との足の引っ張り合いや権力闘争、予算獲得競争などが繰り広げられており、組織としては複雑怪奇で一枚岩とはとても言えない。しかしその魔術研究が世界最先端であることだけは確か。
 鉱石学科、降霊科(ユリフィス)、霊媒科などが存在する。メレム・ソロモン曰く「ホントにつまらない」。血統の古さを鼻にかける優待生とその取り巻きたちが時計塔の主流であり、講師も血の浅い研究者には術の伝承はおろか魔導書の閲覧すら渋る。
 時計塔には古くから続く家系がいくつも存在し、彼らは貴族と呼ばれて畏怖されている。貴族には大貴族が三家、親族が20家ほど存在し、表の社会でも名の知れた名門である。
 蒼崎青子がここに在籍し、蒼崎橙子が在籍するも封印指定を受けて脱退している。


土葬式典(魔術)
 シエルが使う黒鍵に付与した魔術作用。刀身に呪刻されており、標的に当たると刺さった部位が石化する。
 もとはミハイル・ロア・バルダムヨォンから受け継いだ知識の一環。教会は表立っては魔術を禁じており、これを使用する代行者は少ないが、シエルは根っからの信者ではないので平気で魔術を使う。シエル自身ロアの知識を扱うことに抵抗はあるものの、死徒殲滅のためなら躊躇なく魔術(禁忌)を行使する。


独角(用語)
 どっかく。軋間紅摩が使用する体術の名称。
 独りで悟りを得た修行僧のように、単一、即ち『同じもの』にしか伝えられない体術。『同じもの』とはこの場合、軋間の一族を指す。
 四脚獣ならば継承可能な七夜の体術とは違い、こちらは軋間しか使うことができない。


轟く五星(武装)
 ブリューナグ。
 ケルトの光神ルーが持つ槍。『刺し穿つ死棘の槍』と『突き穿つ死翔の槍』を合わせたような効果を持つらしい。いわば上位版『斬り抉る戦神の剣』と言える。


となみんZ(用語:MELTY BLOOD)
 アンチまききゅーX。まききゅーXを使用した時点では未開発。


トパーズ(用語)
 対霊宝石。


トペ・アインツベルン(用語:hollow)
 弓道部にはまったく関係ない弓道部必殺技。藤村大河とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの合体攻撃。藤村大河がイリヤスフィールの足を持ってぐるぐる回した後、ハンマー投げの要領で発射するという荒技。


トヨエツ(地名:hollow)
 マウント深山商店街の食品スーパーと思われる。


豊臣秀吉(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。


ドラクルアンカー(用語/武装)
 吸血鬼狩りの杭。シエルの第七聖典とリーズバイフェ・ストリンドヴァリの正式外典ガマリエルが該当する。


虎竹刀(武装:Fate)
 藤村大河の愛剣。
 時代を先取りすること五年。竹刀に虎のストラップをつけ、その無作法から試合に出られなかった事数回。この竹刀さえなければ全国に名が轟いていただろうと当時の剣道部員たちは嘆きながらもホッとしたという。
 通常の竹刀、竹部分が虎柄のもの、竹部分が虎柄で先革・中結・柄が黒いものの三つがある様子。どれにも共通して鍔元に虎のストラップがついている。
 抜けば血を見ずには納まらない妖刀として、今も藤村組に封印されている。


トラフィム・オーテンロッゼ(人名/死徒・魔術師)
 Trhvmn Ortenrosse。
 死徒二十七祖の17位。白翼公。最古参の三人のうちの一人。魔術師から吸血種になったモノ。朱い月の最初の従者。
 特殊能力(ネロ・カオス、グランスルグ・ブラックモア、エル・ナハトのような)は必要なく、ただ純粋に吸血鬼としての能力が優れていればよい、という考えの典型的貴族。その結果は17位。
 死徒二十七祖の代表で、形式的には最大の発言力と最大の領地を持つ。死徒における現段階の王。実質上の頂点であるアルトルージュとは反目している。ヴァン=フェムとの関係は最悪。
 戯れに真祖狩りを提案し、ネロ・カオスが極東の地で果てる原因を作った。
 古き君臨者である真祖たちを嫌い、唯一にして絶対の真祖ブリュンスタッドに敬意を表しているのだが―――


(用語)
 魔術世界において『死後の魂を運ぶもの』として扱われている。


トリプルベリーパイ(用語)
 ラ・フルールのパイ。パイの上にクリームと各種ベリーをのせたこれの見た目は赤色の競演。値段は一つ500円。


取美庵(用語:氷室の天地)
 トレヴィアン。
 美綴綾子が考えた詠鳥庵に代わる屋号の案。


トロイの翡翠ちゃん作戦(用語:Ladies in the water)
 琥珀がネコアルクらに打撃を与えるために立案・実行した作戦。
 ネコアルクが制作する映画『超高層ネコアルクロボ対メガヒスイ』に自爆装置を仕掛けた実物大メガヒスイと爆炎用ナパームと偽った対巨大ロボ地雷を提供し、自爆させることでネコアルクらに損害を与えるというもの。
 この計画の副次的な収穫として、琥珀は巨大ロボ二足歩行技術を獲得した。


泥サッカー(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の時の穂群原学園の体育祭での特別三枠に採用される可能性があるとして出された。
 泥濘状になったコートで行うサッカー。フィンランドで世界大会が行われている。


トンプソンセンターアームズ・コンテンダー(用語/武装・礼装:Zero)
 1967年にアメリカのトンプソン・センターアームズが開発した中折れ式の狩猟用単発式拳銃。主に射撃競技に使用される。装弾数一発。シンプルなだけに強度が高く、バレルとわずかな部品の交換・調整だけで.22LRからライフル弾まで多種多様な弾薬を発射できる。シンプルな構造のため命中精度も高い。
 構造は極めて単純で、中折れ式のバレルとトリガー、発射に必要な最低限の部品しかない。排莢もいちいち手で行う。
 12インチモデルは全長394mm、重量1587g。14インチモデルは全長444mm、重量1700g。
 衛宮切嗣が礼装として使用していたものは狩猟用ライフル弾を発射できる魔術的工程で鍛造した手製の14インチバレルを装着し、『魔弾』使用のためライフリングと撃針に魔術的処置を施してある。使用弾薬は.30-06スプリングフィールド弾(これは現実に流通しているものでは発射できない口径)。魔弾を装填した総重量が2060g。
 第四次聖杯戦争の九年前に12発の魔弾とともに久宇舞弥に預けていた。


トンプソン・コンテンダー(用語/武装・礼装:Zero)
 →トンプソンセンターアームズ・コンテンダー




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