アーサー王(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:10、防:10。固有能力は自軍の対人攻撃力が3倍になる『騎士王の号令(エクスカリバー)』。


アーチボルト(家名)
 Archibald。
 エルメロイ派を擁する魔術師の家系。名門。ケイネス・アーチボルト・エルメロイの代で九代目。
 先代のケイネス・アーチボルト・エルメロイの死後没落寸前までになったが、魔術師見習いとして所属していた後のロード・エルメロイU世の尽力で復興した。
 現在の跡継ぎは当時アーチボルトの末席にいた少女。彼女はアーチボルト家を立て直した功績と、もとを正せばおまえが悪いんだから一生私に仕えよ、ということで彼にエルメロイU世の名を与えた。


アーチャー(クラス)
 三騎士の一角で弓を主装とする。宝具の強大さが特徴。能力値の大小ではなく、強力な射撃武器や射撃武器に関する特殊能力を持っていることが該当する条件になる。
 クラスの固有能力は“対魔力”と“単独行動”。単独行動のスキルがあるために魔力の供給を断たれてもしばらくは行動可能。


アーチャー(人名/サーヴァント)
 身長187p。体重78s。
 第五回聖杯戦争において遠坂凛が召還した弓兵とは名ばかりのサーヴァント。格闘戦も武器戦闘も対魔術戦も家事手伝いもそつなくこなす。徹底した現実主義者だが忠義者で、妙に子供くさく憎めない性格。隠し事はするが嘘はつかない。皮肉屋だが、それは彼なりのアドバイス。一人称は『私』だが、感情が昂ぶると『オレ』になる。
 真名は衛宮士郎が世界と契約して英雄化した未来の英霊エミヤ。正英雄でも反英雄でもない。凛がランサーに殺された士郎を助けた時に使ったペンダントを最期まで持っていたために、凛が触媒を持っていなかったにもかかわらず召還された。
 召喚された当初は不完全な召喚のため自分の素性や真名についての記憶が曖昧だと言ったのは半分本当で半分嘘である。凛が眠ったあとに現状を把握、状況を推理、推測し、ようやく目的を可能とする機会を得たと確信した。だが『遠坂凛』という名称が磨耗していたため、自分を召喚した少女が遠坂凛であると確信したのは翌朝に彼女が自己紹介した瞬間であった。その直後のアーチャーの言葉は、狂おしいまでの親愛の情がこもった一言だった。
 災害時に目の前の数百人の命を救うため、現世で目に見えるだけの命を救うため、死後は英霊としてもっと多くの命を救うために20代後半から30代前半の頃に世界と契約して英雄になった。必死に戦争を終結させたが、味方の裏切りにより戦争の首謀者の汚名を着せられて絞首刑に処される。より多くの人々を救えると信じて英霊になったものの実際は自滅する人間の掃除屋になったに過ぎず、より多くの人間を殺し続けることになってしまった。そして、自らの理想に反して何度も人間の自滅を見せられるうちに狂ってしまった。そのために半ば八つ当たりでかつての自分を殺すことだけを希望にして存在し続けた。
 その強さは才能によるものではなく、自分の持っているものをただひたすらに鍛え上げたもの。武器を複製した際に使い手の技量を読み取ることができるため、様々なサーヴァントの宝具と戦闘技能を獲得している。戦いにおいては必勝の策を持って挑む。
 キャスターに施された空間の固定化を力尽くで解いた。
 宝具を持たず、強いて言うならば彼の固有結界『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』が宝具といえる。これで複製した宝具を『壊れた幻想』としても使う。『約束された勝利の剣』クラスの聖剣は正確に投影できず、それに匹敵するクラスの聖剣を持ち出したとしてもその全性能を引き出す魔力がない。
 彼が得意とする魔術は強化、投影のほか構造把握から派生する解錠、修復がある。初歩の初歩といわれる魔力感知、魔術抵抗も使用できるが、自然干渉からなる攻撃魔術はからきし。魔術師であるうえ三騎士の一角であるにもかかわらず彼の対魔力がDランクと低いのは、現代の英霊であり、魔術や魔法が当たり前だった古代の英霊に比べ魔術との親和性が大きく劣るため。
 彼の腰の外套はある聖人の聖骸布で作られており、外敵ではなく外界に対する一級品の守りの概念武装。赤い聖骸布は20歳を過ぎてフリーランスの魔術師として活動し始めた頃にとあるカレー好きの聖職者から譲られた、らしい。
 彼は単独行動スキルの他に霊核に致命的な損傷を受けても短時間ならば生存が可能な特性がある。
 元になった衛宮士郎とはかけ離れた人物。世界に二羽しかいない、種は同じでも違ってしまった存在。衛宮士郎の記憶は既にないが、第五次聖杯戦争においてセイバーを召還したときの光景は覚えている。彼の肌が浅黒いのは、投影魔術を使った反動である。生前体内にあった『全て遠き理想郷』はそれ自体がどうなったかは不明だが、聖杯戦争が解体された時にセイバーとのラインが切れて全て遠き理想郷のイメージも消えた。
 ガラクタいじりと家事全般が得意で、本人は否定するも家事全般が好き。正義の味方が苦手。遠坂凛、間桐桜、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが天敵。
 技能:執事があれば間違いなくA+。ランサーが名ウェイターなら、アーチャーは根っからのバトラー(執事)。ランサーにも似たようなところがあるが、ランサーが雑なのに対してアーチャーは神経質なまでに整理整頓する。このあたりも彼等の仲が悪い一因。ゲームに関しては無関心だが、やり始めれば器用にこなしてエンディングまでやり通す。
 なお彼(衛宮士郎)の詠唱である『体は剣で出来ている』の『剣』は『つるぎ』と読む。
 セイバーと戦った場合には、一騎討ちであれば無限の剣製を以ってしてもセイバーを抑えきれるかどうかは不明。戦術においても色濃く性格が出るが、勝敗を決するのは彼らではなくマスターの機転による。
 アサシンと戦った場合には、真っ当な殺し合いならばアーチャーが有利だが、アサシンは防性であるうえ柳洞寺というサーヴァント殺しの地形とキャスターが作り上げた対魔術の防御結界によって魔術、宝具を大幅に削減されるため強力な宝具でなければ致命傷は与えられない。よって戦いは剣技によるところが大きくなるが、地形効果によって狙撃を封じられたアーチャーがやや不利となる。
 ライダーと戦った場合には近距離戦においてはアーチャー有利、遠距離戦においてはライダー有利と彼女との相性はよくなく、ロー・アイアス単体でベルレフォーンを防ぎきれるかどうかが勝敗の分かれ目となる。
 第三次聖杯戦争の再現たる四日間で使用していた釣り道具は、99%カーボン製の高級ロッド、16個のベアリングに電動高速巻上げのリールをはじめ、すべて最先端かつ高級品。総額二十万三千円。リールは連日品切れのフ○セスーパーオートメーション。でもすべて投影による贋作。
 四日間の中では第五次聖杯戦争終結後に遠坂凛との契約が破棄され、現界のための触媒にこそなってもらっているが再契約しておらず、凛からの魔力供給はカットされているということになっており、条件次第で凛の手助けをしている。

 クラス別能力は次のとおり。
 対魔力:D…一工程による魔術行使を無効化する。魔力除けのアミュレット程度の対魔力。
 単独行動:B…マスターを失っても二日間現界可能。
 保有スキルは以下のとおり。
 千里眼:C
 魔術:C−…オーソドックスな魔術を習得。
 心眼(真):B…逆転の可能性が1パーセントでもあるならその作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。


アーチャー(人名/サーヴァント)
 第四次聖杯戦争におけるアーチャー。
 →ギルガメッシュ。


アーチャーの腕(用語:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるアーチャーの腕。黒い影に襲われて左腕を失った衛宮士郎に、霊核を破壊されたアーチャーが移植させた左腕。
 経験値の塊ではあるが、あまりの経験値の多さに聖骸布を緩めるだけでアーチャーの記憶が流れ込み、衛宮士郎の人格、意識、記憶を破壊する。一度使うと自滅へのスイッチが入り、剣製を使う度にアーチャーの固有結界が押さえきれなくなり、体内で無限の剣製が作られる。その結果は内側から千の剣に串刺しにされる。
 聖骸布を解かずとも士郎本体への影響はあり、肉体は強化され精神もアーチャーの経験に引きずられる。例えば通常なら躊躇するであろう地上20メートルから飛び降りるという行為も、アーチャーならば当たり前にできるためほぼ躊躇なく行ってしまう。
 ちなみに移植時のシーンタイトルは『アーティフィシャル・ファンタズム(人工的な幻想)』。


アーネンエルベ(地名)
 ドイツ語で『遺産』を意味する喫茶店。映画館の横にあり、なぜか出入口が二つある。
 都会の隠れ家をイメージしてひっそりとオープンした。マスターのジョージはイタリア料理の達人。他にアルバイト店員の桂木千鍵と日比乃ひびき、ランサーが働いている。
 偽志貴によるとストロベリーパイが逸品らしい。ラズベリー系がおいしい。自慢のメニューはブルーベリーパイ。基本的にジョージが趣味で焼いているシェフの気まぐれパイにハズレはない。
 年中無休で、営業時間は平日が午前9時から午後7時、日曜・祝日が午前10時から午後6時。猫の持ち込みは禁止。テーブル単位での貸切が可能で、貸切料金は半日単位で変わる。支払いにはカードの使用が可能。男性の制服はギャルソン服一式だが、ウェイトレスの制服は半袖ブラウスに膝上丈のスカートという冬でも半袖のものしかない。
 店内は壁や床もドイツを思わせる内装で、照明は薄暗く電灯を極力廃したものだが、アンティークで飾られていて雰囲気は悪くない。混雑していない時なら店内での勉強が可能。ひびきと千鍵は店内でよく宿題をしている。裏に焼却炉がある。
 基本的に客が少ない。桂木千鍵に会うために通う客がいるが、その客は千鍵をツンデレと称する類。ひびきと千鍵はレンにケーキを与えているが、その代金は志貴に払わせている。
 厨房の扉は防音らしい。厨房は一辺が最大3メートル。AATMでは厨房に黒い扉があり、それはグレートキャッツビレッジに通じていたが、GCVごと吹っ飛ばされて残ったのはドアノブだけ。そこのネコ精霊を倒せば倒すほどより強く店に縛り付けられるが、次の店長が来るか閉店時間になれば解放される。
 AATMでネコアルクらに乗っ取られていたときに出されたメニューには『にゃんこ雑炊』『鮭フレーク』『にぼしステーキドライ風味』『骨の味おせんべい』『にぼしフレーク北海道ミルクづくし』『かつおぶしに似たブラックハーブティー』などといった、明らかに改竄されたものだった。
 後に両儀式が店長になった際には『白玉ぜんざい』『白玉ぜんざい両儀スペシャル』といったごく真っ当なものが出された。
 メニューはコーヒー、紅茶などのドリンクからデザート類、軽食まで取り揃えており、店主こだわりの手作りパイが常連客に好評。明らかになっているメニューはストロベリーパイ、ブルーベリーのパイ、オレンジのパイ、オレンジとヒマワリのミックスパイ、ミートパイ、ラズベリーのトルテ、特製チーズケーキ、クラブサンド、カレー(ポークカレー)、イカリング(カレーのトッピング)、夏野菜サラダ、きのこのパスタ、フィッシュアンドチップス、セットメニュー(Bセット)、グレープフルーツ、バレンシアオレンジ、ジンジャーエール、珈琲、カフェラテ、アイスココア、アイスティー、ユーカリティー、ミルクティー、レモンティー、アールグレイ、煎茶、赤ワイン。コーヒーは普通より熱い。カレーライスは大盛りやトッピングを選択でき、サラダがセットで付属する模様。言峰綺礼によれば麻婆豆腐を含む中華セットがあるらしいが、千鍵はその存在を知らない。一番安いメニューは砂糖水、らしい。メニューにないものでも注文すれば作ってくれることがある。
 カレーライスはじっくり煮込んだポークカレーで、かなり人気がある。毎晩ジョージが大鍋一杯に仕込んでいるが、ひびきや千鍵が出勤する頃にはほとんどなくなっている。シエルが称して曰く、カレーを愛する者たちが密かに集う隠れ里、月光華麗村。このカレーは本来一日寝かせて完成するものなのだが、最近は仕込みが追いつかないうえ『最近味落ちたんじゃないですか?』と小言を言われるのでジョージ店長は密かに嘆いているらしい。
 狙われたアーネンエルベでは向かいにできたアーネンエノレベに客を奪われて危機に陥るが、ひびきと千鍵、スナオがメイド服で客寄せや接客をやったことに加えアーネンエノレベが接客担当も厨房担当も誰もいなくなっていたためそちらの客が退去して押し寄せた。その後カレン・オルテンシアとジャイアントアンリによって崩壊の危機に瀕するが、カレイドオレンジとカレイドグリーンの活躍により事なきを得る。
 普段出会えない人間に出会えるという噂がある。また一度入ると店内のものを自由に使うことができるが新たな客が入店しない限り出られないという噂もある。後者の噂についてはシエルが調査に訪れた。
 月姫世界と空の境界世界の接点であり境界。遠野志貴と両儀式、アルクェイド・ブリュンスタッドと蒼崎橙子など、どちらかの世界に深く関わっている人物同士が顔をあわせると矛盾が生じるため、正式な時間軸上の物語では入ることができない。なお複数の作品の登場人物が顔をあわせるときには作中時間のずれなどは解消され、登場した当時の年齢のままである。平行世界が交差する場所として、また眼鏡の男が女の子を連れ込む店として重宝されている。
 複数の場所に出現したり消えたりし、冬木市の場合は冬木大橋の近くに現れる。カレン・オルテンシアは、アーネンエルベはキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが建てさせた『魔法使いの匣』の一つではないかと考えている。そうだとすれば、この店で起こる不思議な現象にも説明が付く。


I○M(組織:MELTY BLOOD)
 おそらくインダストリアル・ライト・アンド・マジックのこと。ハリウッド在住のジョージから連絡を求められたネコカオスが口走った。


アイオニオン・ヘタイロイ(対軍宝具:Zero)
 →王の軍勢。


相川(人名:Fate)
 穂群原学園2年C組の生徒。『くん』付けであることから男子と思われる。


合田教会(地名:魔法使いの夜)
 三咲町に古くからある教会。1980年代後半での主任司祭は文柄詠梨で、周瀬律架と周瀬唯架が働いている。なお唯架はシスターだが、律架はシスターではない。


i-pob(用語:氷室の天地)
 携帯音楽プレーヤー。藤村組が出した縁日の型抜き屋の景品にあった。


愛の黒子(技能:Zero)
 第四次聖杯戦争におけるランサーのスキル。
 C…魔力を帯びた黒子による異性の魅惑。ディルムッドと対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を抱く。対魔力スキルで回避可能。


四十物(人名:Fate)
 あいもの。穂群原学園2年C組の生徒。『さん』付けであることから女子と思われる。


アイリスフィール・フォン・アインツベルン(人名/ホムンクルス:Zero)
 Irisviel von Einzbern。
 身長158cm。体重52kg。2月1日生まれ。B85 W56 H84。
 アインツベルンに鋳造されたホムンクルス。ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンの同型機の一人でユスティーツァ後期型という分類。究極のホムンクルスの母体となるべく設計されたホムンクルス。衛宮切嗣の妻にしてイリヤスフィールの母。アインツベルンの歴代のホムンクルスの中で唯一自らの母胎から継嗣を産み出した。
 アイリスフィールは鋳造後にイリヤスフィール受胎の計画が発案されたため、イリヤスフィールの出産のみならず育成という本来とは違う役割を兼任させられることとなったが、これは設計段階から用途を特定されたアインツベルンのホムンクルスとしては特例である。この特例は乳母役のホムンクルスを新造するより効率的であろうというユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンの判断。
 これによってアイリスフィールはホムンクルスでありながら人間の女性と同様に子を産み育てるという母親としての経験を積むこととなり、これが彼女の情操面においてユーブスタクハイトが予想だにしなかった影響を及ぼすことになる。
 他のアインツベルン製ホムンクルスと比べても9年の長きに亘り人間と交渉し、多彩で変則的な精神活動を行った個体は過去に例がない。換言すれば、彼女ほど人間同等の扱いを受け人間的な情緒を身に付けたホムンクルスはアインツベルンにおいて初だった。元来心身の機能では人間を凌駕する存在であるだけに、異例の成長を遂げた後もその精神構造は破綻せず、ついには一般的な人間と何ら遜色のない自意識と感情を備えるに至った。
 とはいえホムンクルスとして生まれつき持ち合わせている知識と理性がアインツベルン千年の結晶であるのに対し、情動面を育んだ人生経験はたったの9年に過ぎず、結果として彼女は貴婦人の風雅と幼児的な稚気を兼ね備えるお姫様となった。
 第四次聖杯戦争のため冬木市に赴くまで、アインツベルンの城を出たことがなかった。切嗣には『アイリ』と呼ばれていた。衛宮切嗣とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが好きで節約と交通安全が苦手。言峰綺礼が天敵。
 彼女が継承する伝来の魔術は物質の練成と創製、その応用。魔術師としての位階は衛宮切嗣よりも高位。彼女の武器は細く長い柔軟な針金。これは錬金術による即席ホムンクルスで、様々な形状に変化しながら敵を襲い、あるいは捕獲する。ホムンクルスである彼女にとって、自身の領域である魔法陣の中で休息をとることが唯一の休息。魔力供給さえあれば食事は必要ない。
 第四次聖杯戦争においてはセイバーとサーヴァントシステムによらない、騎士道に基づく主従契約を交わして仮の主人となった。そのときにはセイバーが霊体化できないのをいいことに男装をさせたのだが、それはアイリスフィールの趣味。来日に際してはボラーレ・イタリア航空のドイツ発チャーター便を使用した。
 アイリスフィールとセイバーの主従は派手に動いて敵を引き付けるための囮の役割を担っていた。衛宮切嗣がセイバーを召喚したあと、その触媒であった『全て遠き理想郷』は彼女を偽マスターとして前線に立たせるための保険として彼女の体内に封入されていた。
 アサシン、キャスター、ランサーが脱落してから遠坂時臣に持ちかけられた休戦協定に『ライダーとウェイバー・ベルベットの潜伏先の情報提供』と『言峰綺礼の国外退去』という条件で同意する。
 第四次聖杯戦争の聖杯の器であり、サーヴァントが消えるたびに彼女の人間としての機能が圧迫されていく。しかし切嗣が彼女の中に全て遠き理想郷を埋め込んだおかげでセイバーが側にいるときのみ比較的人間の機能が保全される。なお彼女はこのことをセイバーに伝えなかった。
 キャスター、アサシン、ライダーが脱落してからは聖杯としての機能に圧迫されて人間としての機能がほぼ失われてしまい、魔法陣の中で横たわって話す程度しかできなくなる。その後、別れを告げに来た切嗣に自身に封入されていた全て遠き理想郷を託した。
 切嗣の理想に賛同し、そのために我が身を犠牲にすることを肯定していたが、その理想を真実理解していたわけではなかった。本当はただ愛しい人と共に歩みたいと思っていたのだが、ただ夫のために死ぬ女よりも同じ理想のために死ぬ女の方が切嗣にとって重荷にならないと判断してそう振舞っていたのだ。しかし彼女自身切嗣とセイバーが勝ち残って戦いの終焉をもたらすことを望んでおり、対してアインツベルンの悲願である第三魔法の達成はさほど望んではいなかった。
 聖杯の器であるが、より洗練されたイリヤスフィールと違いただ器を内臓に溶け込ませただけだった。
 久宇舞弥の護衛のもと衛宮邸の土蔵に隠れていたが、ライダーを装ったバーサーカーに攫われ、冬木市民会館で言峰綺礼に殺された。その後は聖杯の中身がアイリスフィールの人格を纏い、切嗣と対話した。
 堂々とメルセデス・ベンツ300SLクーペを乗り回していたが、交通法規を知っていたかどうかは怪しい。なにしろ赤信号で“減速する”くらいだった。


アインス(人名:Talk.)
 埋葬機関のメンバー。
 アインナッシュの掃討任務に就いたシエルの手助けと監視に派遣される予定だったが、力不足と見たメレム・ソロモンに食われ、かわりにメレムがシエルの手助けに行った。
 五十過ぎだったらしい。


アインツさん家のイリヤさん。(用語)
 タイアップ企画だったのか、アニメ化も決定していた模様。
 穂群原学園小等部に通う、ドイツからやってきた女の子イリヤとセラお母さん、リズお姉ちゃんの家族のお話と思われる。第一話ではイリヤがカレイドルビーの犠牲者として事件に巻き込まれる。


アインツベルン(家名)
 Einzbern。
 聖杯戦争を始めた三つの家の一つ。本家はドイツのとある川の近くの山岳地帯に所在し、分家はない。魔術特性は力の流動、転移。伝来の魔術は物質の練成と創製で、貴金属の形態操作では他の追従を許さない。
 脳への情報を違うものから送ることで感覚や意識を別のものに移すことができるが、転移を得意とするアインツベルンや遠坂でさえ成功率が低すぎて攻撃には使わない。また、本体に刺激があたえられると肉体に意識が呼び戻される。
 アインツベルンにも治癒魔術はあるが、これも大元は錬金術であるため怪我人の肉体を再生するのではなく、魔力によって練成した新たな組織を移植して馴染ませるというものであるため、被術者の負担が非常に大きい。ホムンクルスの補修ならば問題ないが、これを人間の治療に応用するのは現代医学に例えると臓器移植も同然の大手術である。
 ラインの黄金の伝承に長けており、聖杯の器となる模造品を作り上げる。彼らが生み出したホムンクルスは失敗作であろうとも凡百の魔術師よりも手ごわい。だが彼ら自身は錬金術に特化するあまり、戦闘魔術の運用を不得手とすることで知られている。これが第三次聖杯戦争までのアインツベルンのマスターが緒戦で脱落した理由である。
 アインツベルンの術式では魔術が散逸しやすいらしく、工房を設置する建物は土か石で密閉された建物が望ましい。
 住処が冬山の城なので、城の中で花を育てる伝統はない。彼らの領地は酒を作れる気候ではないが、城には魔術用の素材を調達するためのアルコール醸造所がある。タルボ農園のアーリーオータムナルのダージリンはアインツベルンの当主や懇意の間柄、年来の客人にしか淹れない特別な茶。
 第四回聖杯戦争では外部から衛宮切嗣をマスターとして雇い、アーサー王を召還する触媒としてコーンウォールで発掘した聖剣の鞘を与えた。彼には一族に迎え入れてまで期待をかけたが最後の最後で裏切られ、聖杯を破壊された。
 色々と裏切られてきた結果、第五次聖杯戦争の頃には『命令を忠実に実行する忠犬』であるバーサーカーこそが最強と思い込んでおり、その考えがヘラクレスをバーサーカーとして召還させた。
 聖杯戦争による事故で失われた物品の補償にはアインツベルンの資金が充当される。


アインツベルン城(地名)
 冬木市の郊外、アインツベルンの森の中心に建つアインツベルンの別荘の城。彼らの国から丸ごと運んできたもので、アインツベルンのマスターが聖杯戦争の際に利用する。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの工房でもある。上から見るとコの字型に建っている。
 内装はとんでもなく絢爛豪華。城の守りは完璧で、侵入者が近づけばイリヤスフィールの命により霊的防壁が起動する。完璧な対霊加工が施されており、アインツベルンの森にいる霊は入れないようになっている。
 公には存在していないとされているが、森で遭難した人間が偶然に城内まで迷い込んだことがあるようだ。
 十年前から使用されていないが、ロビーの左奥の通路から行ける地下にワインセラーがある。城の中で中庭が一番寒く、そこの管理はセラがしている。中庭にはイリヤの希望に沿って花壇が設けられている。ここは聖杯戦争のための出城であり、質素なものらしい。
 ウインチェスター事件のせいで大変なことになり、大掛かりな修繕をした。ウインチェスター事件で遠坂凛が目茶目茶にしたのは三階で、修繕が終わった十月になっても三階は危険。


アインツベルン城(地名)
 冬木市の別荘ではなく、本国のアインツベルンの本拠地。衛宮切嗣は第四次聖杯戦争に際してここの礼拝堂でセイバーを召喚した。


アインツベルンのホムンクルス(用語)
 アインツベルンに鋳造され、使役されるホムンクルス。リーズリットやセラと同型のホムンクルスで、何十人もいる。基本的に人間扱いされず、自由に喋ることも許されない。ただ黙々と作業をするだけの存在。同型であるリーズリットとセラの体格が大きく違うことから、外見的には完全に同一と言うわけではないらしい。
 基本的には設計段階から用途を特定され、肉体も精神もその目的に最適化された状態で産み落とされる。
 アインツベルンのホムンクルスの中でイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと言葉を交わす事が許されているのはリーズリットとセラの二人だけ。


アインツベルンの森(地名)
 冬木市郊外の未開拓の森、というよりも山々。冬木市市街地から直線距離にして西へ30kmあまりの地点にある。深山町から車で一時間ほど国道を走り、そこから雑木林の中を約1q歩いてようやく入口に辿り着く。
 登録上の名義は実体があるかどうかも定かでない外資系企業の私有地となっている。地主であるアインツベルンが開発を拒否しているため、樹海と化している。この中心にアインツベルン城が建っている。
 遠坂の直轄地に拠点を置くのを潔しとしなかったユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンが第三次聖杯戦争の前夜、冬木に最寄の霊脈を土地ごと購入したもの。それを丸ごと結界として外界から隔離し、アインツベルンの地元から支城の一つを移築した。これに伴う折衝や隠蔽工作には遠坂家が奔走した。
 空を覆い尽くすほどの木々が陽射しを遮り、森の中は数十メートル先も見通せない。内部には木々が開けた直径40メートルほどの広場や廃墟がある。
 そこには巨大な侵入者識別用の結界が張り巡らされており、気配と魔力を遮断しない限り容易に発見される。その結界に触れたときの侵入者への反応はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの思い通りにできるようだ。またさらに奥に入ると味方の戦闘を支援するエリア・エフェクトを発動できる。
 いろいろと怪談があるらしいが、城を目指して森に入ると旧帝国軍の亡霊が現れて侵入者を戦場に送り出し、幾つかの試練を乗り越えた勇者だけが幻の城で一泊できるうえメイド姉妹に介抱されるという新説が加わった。


アインナッシュ(人名/死徒)
 Einnashe。
 初代アインナッシュ。魔術師上がりの死徒。八百年前にアルクェイド・ブリュンスタッドによって倒された。
 催眠の達人で記憶の改竄に近く、意識させて改竄する。その催眠にはアルクェイド・ブリュンスタッドですら『アインナッシュなどという死徒はいない』と騙された。アルクェイドはこれを倒すために無意識にして思い出せなくする魔術師と手を組み、固有結界の使い方を忘れさせて倒した。また、アルクェイドはその魔術師から協力の交換条件としてレンを預かった。
 とにかく慎重で、少しでも彼のことを知ったものは記憶を書き換えられていた。
 その放置された死体から流れる血を吸った吸血植物が二代目アインナッシュであるが、代替わりをしていたことは知られていなかった。


アインナッシュ(幻想種・死徒:Talk.)
 Einnashe。
 死徒二十七祖の7位。腑海林、思考林と呼ばれる。幻想種に近く、意思を持つ一つの森。森に生きる者はシュバルツバルトの魔物と呼ぶ。月姫本編の翌年(2002年)に発生したのはドイツ。
 八百年前にアルクェイド・ブリュンスタッドによって倒された初代アインナッシュの死体から流れる血を吸った吸血植物が幻想種化したもの。
 その周囲に吸血植物にした木々が集まり、意思を持つ直径50キロほどの一つの森を形成している。活動期間中は全ての植物に血液が流れ、森全体が赤黒く点滅する。その血液は吸血したもののみならず、木々の内からも生じる。
 約五十年に一度目覚めて森ごと移動しながら生物の血を吸う。この森の中では全ての植物が意思を持って襲い掛かってくるので、教会ですら粛清はできない。またマナがすべてアインナッシュに独占されているため、魔術協会も放置している。
 数百人の血を吸い、活動期間を終えると冬眠に入る。
 あまりに巨大な事と大気中のマナを完全に支配下においている事で、森が初代アインナッシュの固有結界だと思われていた。
 数百年に一度、森の中心、アインナッシュの王座にたった一つだけ真紅の実が生るが、これはアインナッシュが吸った血が凝固したもので、食べると仮初めの不老不死を得ることが出来、真祖ならば吸血衝動を抑えられる。


アヴァロン(結界宝具:Fate)
 全て遠き理想郷。エクスカリバーの鞘の能力。アーサー王の失われた三つ目の宝具。
 アインツベルンによってコーンウォールで発掘され、衛宮切嗣にアーサー王召喚の触媒として与えられた。第四次聖杯戦争終結後、瀕死の衛宮士郎を助けるためにその体内に埋め込まれた。
 聖剣の真の能力はこの鞘による“不死の力”。所有者の傷を癒し、老化を停滞させる能力があるが、真名をもって鞘を展開することで数百のパーツに分解し、所有者を妖精郷に置いてあらゆる干渉から守りきる。魔法の域にある宝具で、あらゆる物理干渉、魔法である並行世界からのトランスライナー、六次元までの多次元からの交信をシャットアウトする。
この世界における最強の守りであり、五つの魔法さえ寄せ付けぬ究極の一。
 刀剣類ではないが、長年衛宮士郎の体内にあったことで士郎はあらゆる工程を省略して容易に投影できる。


アヴェスター(宝具)
 遍く示し記す万象。起きた出来事をひとりでに記録する補助タイプの宝具。タイプライターが自動化した程度のもので戦闘にはまるで役に立たない。その利点は言葉にならない感情や本人も気付いていない感情までも言葉として記録できること。
 すべてを正しく記録した経典(アヴェスタ)の名に相応しい誰も傷つけない宝具。アンリ・マユはこれから名前を削除されたことで秩序から自由になっている。


アヴェンジャー(武装)
 死徒二十七祖の十八位エンハウンスが使う魔剣。君主から譲り受けた(奪い取った)。


アヴェンジャー(クラス/サーヴァント:Fate)
 復讐者。第三次聖杯戦争における第八のクラス。第三回聖杯戦争でアインツベルンがルールを破って召還した、喚んではいけなかった反英雄アンリ・マユ。
 敗北した英霊は人格をなくして万能の魔力として聖杯に取り込まれるのだが、アンリ・マユは周りが願って創り上げられたためにアンリ・マユであり続け、聖杯がその願いを受諾してしまった。結果、この世全ての悪としてのアンリ・マユが形になろうとしている、つまり第三魔法の成功例になりつつある。またそのために聖杯は悪性の力の渦になった。黒い影の本体。
 正体はゾロアスター教の小さな村落(小さいながらも完成した世界)で世界中の人間の善性を証明するために、アンリ・マユの名を着せられて世界中の罪悪を背負わされた青年。
 英霊として扱われるがその力は本来の青年のものであり、第三回聖杯戦争でも序盤で敗北して聖杯に取り込まれた。その後は上記の理由から人が願ったとおり、『人間の願いをかなえる悪魔』に成長した。


アヴェンジャー(人名/サーヴァント:hollow)
 無限の残骸(アンリミテッド・レイズ・デッド)。怨天大聖アンリマユ。
 全身の紋様は『この世全ての悪』を現す呪い。それは時代・時間によって変動していくものなので、シンボルたる『アンリマユ』以外の模様は変化する。
 属性は虚無。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと契約したサーヴァント。もとはアインツベルンのサーヴァントだが、能力がただの青年のものであったため第三次聖杯戦争の四日目にあっけなく倒された。彼が五日目以降を知らないことが必ず四日目が終わると一日目に戻る原因。
 周りから呼ばれていた名(つまり真名)は『アンリマユ』。英霊としての格は低い。シルエットは衛宮士郎に酷似するが、バゼットと反英雄以外には現実感のないのっぺらぼうの影にしか見えない。ライダーが怪物に裏返りかけていたときには見えていたが、英霊に戻ったら見えなくなった。なお後日談。ではカレンにも見えていたようだが、なにぶん後日談。はFate版げっちゃであるので本当のところはわからない。
 生前は魔術も神秘も知らぬ一般人だったが、偶像として選ばれてその一生を魔として扱われた。
 最弱であるが、彼が娯楽と捉える殺害に関しては圧倒的な欲求を持ち、人間が相手ならば最強であると言う。バゼットに関しては人間として見ないことで殺害の対象から外している。
 殺人の質では最高だと自負するが、速さでなら犬と蜘蛛に譲ると話す。犬とは犬の姿をした死徒二十七祖の一位プライミッツ・マーダー、蜘蛛とは蜘蛛に酷似した姿を持つ死徒二十七祖の五位にしてアリストテレスタイプ・マアキュリーのORTであろうか。
 己の欲望には忠実に、他人の欲望には徹底抗戦という、自己快楽を最優先に考える性格。ひたすら受動的で面倒くさがり。口調はおどけ、おちゃらけている。おかしいことは笑い、悲しいことも笑う性格破綻者。この性格も『この世すべての悪』から分かれたものではなく、『無が取り憑いた人間』、つまり外見と共に衛宮士郎をモデルに形作ったもの。彼があそこまで人に親身になったのも士郎に反感を覚えた(魅せられた)から。しかし彼が奉られた所から見続けた風景は憶えており、美しいと感じていた。
 昼間は調子が出ず、夜でないと戦えない。昼はマスターに守ってもらわないと簡単に殺されるほど弱い。しかし防戦は非常にうまい。武器はいびつな大小二振りの短剣。ソードブレイカーであるそれを逆手に持ち、パワーが弱いため手数とスピードで戦う。その短剣の名は刃を絡めるための左歯噛咬(タルウィ)、敵の身を断つ右歯噛咬(ザリチェ)。
 モデルとなった衛宮士郎と同じく、錠前や簡単な機械をトレースして操作することができる。が、それなりに時間がかかるため、痺れを切らしたバゼットがぶち壊すという強攻策に出ることが多い。
 バゼットがこれと契約している限り第三次聖杯戦争の再現たる四日間を繰り返し、死亡するか四日目が終わると一日目に戻る。それには代償は必要ないが、バゼットはアンリマユの記憶を通るのでかなりの苦痛を伴う。この効果はバゼットの今わの願いの『死にたくない』を聖杯であるアンリマユが叶えたもの。本人の肉体を仮死状態にして保存し、魂を一人歩きさせて現実を舞台にした四日間を回し続けるものである。
 この四日間にしてもいずれすべての可能性を見てしまうことができ、すべてを見たときに四日間は終わり、アヴェンジャーは無に還る。バゼットが死亡するか四日間を終わらせることができないと知性をなくし、黒い獣(骸)になる。
 宝具は『遍く示し記す万象』(アヴェスター)の偽物である『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』。
 彼の本名であるが、彼がアンリマユとして祭り上げられた時点で呪術的に剥奪されてしまい、もはやこの世のどこにもその記録はない。名前を『遍く写し記す万象』から除外されたことで秩序からは自由になったが、それでも英霊と呼ばれるには力不足だった。アインツベルンのサーヴァントだった頃は宝具も使えなかった。
 後日談。では衛宮士郎がバゼットとカレン・オルテンシアによってアヴェンジャーの扮装をさせられた。


アウロフィゼターの刺身(用語:AATM)
 アーネンエルベでステンノとエウリュアレが注文したメニューだが、明らかにアーネンエルベ本来のメニューではないだろう。材料も作ったのもネロ・カオス。


蒼崎(家名)
 日本屈指の歪芯霊脈を管理する魔術師の一族。魔術師の世界における厄介ごとの代名詞。属性は風。魔術協会からは異端とされてきた。名門であるという記述と名門ではないという記述がある。
 古い家系であり、今代で6代目。3代目が大天才で『道』を掘り当て、そのために蒼崎の当主は高い確率で『魔法使い』を継承する。今代の後継者は不吉とされる姉妹で後継者争いの結果妹が魔法使いを継承し、姉は魔術協会に加入するも封印指定を受けて脱退した。妹も現在は脱退してフリーランス。
 なおその三代目、青子と橙子の祖父は怪物と称されるほどだったが、青子からは『偏屈で長生きしてるダメじじい』くらいにしか思われず、しかも蒼崎の遺産を青子に譲ったことで橙子に殺されてしまった。
 偉大な三代目も子供や弟子には恵まれなかった。蒼崎の人間は年々魔術回路が失われており、青子の両親に至ってはほぼ無しだった。そこで名門・蒼崎の歴史は終わるかと思われたが、その両親は魔術回路を20ほど持った神童を授かった。蒼崎橙子である。
 橙子は魔術師として山奥にある祖父の工房で、青子は両親の家で育てられた。だが青子の十六歳の誕生日、つまり橙子が十八歳のときに突如後継者が青子に変更された。それから蒼崎の遺産を青子が相続したショックで三代目は橙子に殺されてしまった。
 第五回聖杯戦争が行われている頃、姉は行方をくらましている最中、妹は全国行脚の最中だった。
 妹は壊すことしか能がないが、姉は何かと芸達者。


蒼崎青子(人名/魔法使い・魔術師)
 7月7日生まれ。A型。身長160p。体重50s。B88 W56 H84。
 現存する五人の魔法使いの一人。第五魔法の使い手で第四の魔法使い。最新の魔法使い。第五法の到達者。終末に立ち会うことのない放浪者。フリーランスの魔術師。誤差を改竄する者。ロンドンの問題児。蒼崎橙子の二歳下の妹。
 大それたことはしていないが、『可能である』ことが既に脅威なので煙たがられている。霊長の守護のため、際限のない生存を望む。極度の放任主義。格闘技好き。魔法使いであるのは『辿り着いてしまった』からだが、辿り着いた青子自身、そこが何処なのか、何なのかわからなかった。魔術協会から『青』の称号を与えられており、そのために彼女の魔法は『魔法・青』と呼ばれている。絵では赤髪だが、実際は黒髪。ミハイル・ロア・バルダムヨォンと似たような系統(ロアは数秘紋による雷霆)の使い手。カカト落しやボディブローなどの体術も使う。魔術協会ではマジックガンナー、ミスブルーと呼ばれている。
 オシリスの砂によるタタリの再演のような、タイムスリップもどきのトリックは効かない。ロアに対して「貴方がこの先も生き続けるならいつかどこかで出会っているかもしれない」と言った事から、時間を超越していると思われる(魔法使い全般についてだろう)。
 蒼崎の後継者になってからはトランク一つで西へ東への根無し草人生。遠野志貴と出会ったのは偶然。大きなトランクには大した物は入っておらず、パスポートとヘッドフォン、伸びきったカセットと一昔前のウォークマンくらいのもの。
 アオアオと続く自分の名前が嫌いらしく、フルネームで呼ばれると怒るらしい。本当はひどいひと。遠野志貴に接するときは気さくなお姉さんだが、基本的には他人と深くかかわらないスタンスをとっている。賢者としての青子、暴れん坊としての青子。そのどちらも本当の青子で、普段はこの中間の人となりをしている。冷めた感じで強きを認め弱きに呆れながらも無視しきれない正義感を持つ。天然であり自覚はない。
 彼女は魔術回路こそあるものの魔術師としてはごく平均的な性能として生まれた。そのため魔術関連のことはすべて神童と謳われた姉の橙子に任せて、魔術とは無関係に温かな両親に愛されて成長していった。が、十六歳の誕生日に突如橙子に替わって蒼崎の後継者にされて問答無用で魔術師の世界に引き込まれ、魔術師見習いとして久遠寺の家に下働きとして修行に出された。
 当時(1980年代後半)は魔法使いではあるものの魔術の腕前は半人前以下だったため、友人であり共犯者である久遠寺有珠の指導を受けてマイペースに成長していった。
 その十六歳のときに街の霊脈管理を任され、ちょこちょこと現れる外敵を迎撃していた。それは忙しい毎日だったが、文句を言いつつも楽しんでいた。ある時期までは魔術のみによるスタイルを重視していたが、新たな同居人が転がり込んできてからは格闘技に嵌り、白兵戦を前提とした魔術スタイルに切り替えた。
 恋愛観は極めてクールで、所詮他人と自分は別物なのだから愛し愛されるほか。自分の感情が確かなら相手の感情など知る必要がない、とまで悟りきっている。のだが、根はロマンチストなので少しだけ愛し愛される関係に憧れているらしい。家庭には振り返らない人間と思われがちだが、これで案外子煩悩とか。ちなみにその昔、男に首輪をつけて飼っていたらしい。
 遠野志貴に(橙子からかっぱらって作った)魔眼殺しを与えた。またそのときの『奇怪な眼を持っていても心まで奇怪になることはない』という教えが志貴の人格を形作ったともいえる。そのため彼女は志貴の恩師的存在であり、志貴は『先生』という呼称を彼女にしか使わない。
 魔術師としては半人前だが、体内の魔力の燃費効率が普通の100倍ほどよい。魔術特性は『物を壊す』ことにのみ特化しており、破壊に関してのみ稀代の魔女、人間ミサイルランチャーと呼ばれている。ノタリコンを基本とした魔術行使、無限回転と恐れられる高速詠唱を得意とする。反面、治療・創造・修復といった魔術の腕前は並以下。多様性、万能性は低いが一点突破的な戦況ならば他の追随を許さない破壊の魔女。
 スターマイン、スターボゥという彼女の魔術は肘から魔力を撃ち出して拳を通過した時点で魔術式を完成させるというもので、格闘系の魔術師といえる。魔術師としては珍しく、触媒によるバックアップを好まない。
 ごく平均的なサーヴァントと一対一でなら対等に戦うことができる。なおアルクェイド・ブリュンスタッドと戦った場合には3:7で不利だが、アルクェイドは青子にしてほしくないことがあるので敬遠している。
 また、祖父の遺産として『相続遺産・蒼崎家の魔術刻印』を所持している。なおその怪物と呼ばれる祖父を特別恐れておらず、仮にも魔法を汲み上げた大師父を『偏屈で長生きしてるダメじじい』くらいにしか思っていなかった。
 姉ともども焼肉大帝都での大食い記録保持者。
 幻影の夏の際には遠野秋葉から謝礼をもらっている。オシリスの砂による幻影の夏の再演の際には謝礼をもらうことができず、弱小組織の下請けで路銀を稼ぐことになるが、その依頼とは南米のアリマゴ島での封印指定の探索である。
 どうやら蒼崎橙子が一人だけイメチェンしたことが気に入らない様子。


蒼崎橙子(人名/魔術師)
 蒼崎青子の二歳上の姉だが関係は最悪。蒼崎が生んだ天才。空の境界の当時(1999年ごろ)は二十代後半の卓越した人形師で専攻魔術はルーン。工房・伽藍の堂のオーナー。礼園女学院のOG。スピード狂。新しもの好きで興味があるものをいじりまわしてはしゃいだりする。その昔、美少年を囲っていたらしい。本気の恋慕はしたことがない。ただ三咲町にいた頃には一人、わりと本気の候補がいたらしい。愛煙家で、煙草は一日一箱くらい吸う。
 魔術回路の数は平均的な20ほどだが、精密さで他を圧倒する美しいもの。さらに生まれ持った魔眼、世界の機微を感じ取る五感、自らの特異性を削ることなく摂理に適合する知性と非の打ち所のない才能の塊。魔術回路以外の才能で優れた魔術師となった。魔術師としての能力はトップランク。他の魔術師のように現代社会に寄り添う必要はない、と純粋培養で育てられた『魔法使いの卵』だった。
 ルーン魔術を専攻していたが、その腕前はさほど強くはなく、空の境界の時点での単純な戦闘力は黒桐鮮花に劣る。彼女の本領は人形造りとちょっとした生体改造である。『魔術師が最強である必要はなく、最強のものを作り出せばよい』という理論に基づき、戦闘は彼女が作り上げた使い魔に任せている。その使い魔はオレンジ色の鞄の幻灯機械によって生み出される影の猫と、匣じみた大きな鞄の黒い怪物。なおその理論はアトラスの錬金術師とまったく同じものである。
 人体を通して根源の渦に到達するための研究過程で自分とまったく同じものを作り上げ、『まったく同じならば自分ではなくても問題ない』という考えからそのとき生きている橙子が死ぬとストックされていた橙子にスウィッチする。そうして目覚めた橙子は、目的を達成してから自分をもとにして人形を作り再び眠りに就く。
 本人は『青』の称号が欲しかったが、魔術協会から『赤』(どんな『赤』かはわからない。少なくとも原色の赤ではない)の称号を与えられている。『傷んだ赤色』と呼ばれることを嫌い、そう呼んだ者は学院時代から例外なくブチ殺している。なおweb公開版では『傷んだ赤色』に『スカー・レッド』とルビが振られている。
 黒桐鮮花の師匠。鮮花との出会いは1997年の旅先で、ちょっとした猟奇事件に巻き込まれたときに正体がばれてしまったため。
 彼女は魔法使いの後継者として両親と妹とは離れ、山奥にある祖父の工房で育てられた。そのため18歳まで学校に行ったことがない。青子とはちょくちょく会っていたが、基本的には世間知らずの天才少女だった。それでも世捨て人のようなところはなく、有り余る魔術の才能、祖父の許で暮らしているという条件でありながら落ち着きのあるいい姉だった。
 蒼崎の魔法を受け継ぐため、大魔術の起動に偏った教育、修練を積んでいた。本人としてはそういった世界を動かすものではなく、もっと細やかな世界に残るものを作り上げることが好きなのだが、それは我慢していた。特別な子供である橙子から見ても怪物である祖父を怖れながらも尊敬しており、反面、一般人として気ままに生きている青子には複雑な姉妹愛を持っていた。なお祖父の期待に応えようとするあまり視力が落ち始めていたが、せっかくの魔眼も魔法に比べれば取るに足らぬものであるため視力の低下は秘密にしていた。
 幼時から魔術師の逸材として協会も注目していたが、彼らにとってもやはり魔法使いの跡取りという事実の方が大きかった。齢十歳にして多くの名門魔術師たちが訪れ、これを当然のように受け流した橙子の姿に、「ついに本物が現れた」とますます将来を期待された。だがどれほどの風説が流れても、近い将来に同胞となるであろう他の『魔法使い』たちは一人として彼女の前に現れることはなかった。この意味を薄々感付きながらも、決定的な答えが突きつけられる時まで『周囲が望む天才』であり続けた。
 その後、青子が十六歳になったときに突如青子が後継者となることになった。蒼崎の遺産を妹に横取りされたショックで師である祖父を殺し、修行時代に知り合った魔術師たちを頼って魔術協会に鞍替えした。人為的な二重人格者になったのはこの頃である。
 魔術協会では多くの負債を抱える代償を支払って時計塔に所属したが、わずか二年で負債を返済。さらに数年後、魔術協会から封印指定を受け、すぐさま工房を引き払って協会から行方をくらました。20代でマスタークラスになった。彼女はまったく同じもの(人体)を作る最高位の人形遣いであるが、それは魔術が全盛を誇った中世において下された『人間を超える人型は造れても、決して人間と同じモノは作れない』という絶対の法則を覆すものである。
 荒耶宗蓮とは師を同じくした学徒であり、同郷ゆえに気が合ったという事ではなく、志が似ていたために意見交換をするようになったという関係。コルネリウス・アルバともそれなりに親交はあったらしい。
 礼園女学院在学時は明朗活発、成績優秀、難事件をさらっと解決しアメリカンジョークもさらっとこなす寄宿舎の三大スターの一人として楽しく女子高生をやっていた。その頃はウインクでハリケーンが起き、ネクストサークルに立つだけでピッチャーが失禁し、全盛期には寝起きに眼鏡をかけただけで関西にいる磨伸映一郎が死亡することもあった。
 1995年9月頃は日本中で居心地のいいアジトを探していた。
 黒桐鮮花が叔父の家にいた頃には既に面識があった。というのも、鮮花がまだ叔父の家で暮らしていたときにおかしな事件があり、それを解決したのが橙子で巻き込まれつつも協力したのが鮮花。しかしその兄である幹也が工房・伽藍の堂を訪れたときは鮮花の兄であることを知らなかった。
 自分の名前が嫌いなのに必ずオレンジ色の装飾品を一つ身につける習性がある。同人版、新書版では胸は小ぶりだったが、文庫版及び劇場版では『女性らしい胸』になっている。
 本業は人形の製作だが、建築なども手がける。依頼を受けることはせずに直接依頼人に売り込み、全額前金で受け取ってから製作を開始する。ただし、『できればよい』という人なので資材調達などの細かな仕事はしない。医療、建築、ビジネス、物知り系の様々な資格を持っているが、『証拠に成り下がった資格はただの紙切れ』という考えから捏造したものらしい。
 製作した人形を売ることは基本的にないようだが、橙子が無一文になって「あー、ビール飲みてぇー」という気分になったら二束三文で売り払ってしまう。
 眼鏡をかける→はずす、で性格を意図的にスウィッチする。眼鏡をかけたときは主観的で人情家。眼鏡をかけていないときは客観的で酷薄。どちらが作為的でない蒼崎橙子なのかは本人にもよくわからないらしいが、どちらにしても根はロマンチスト。
 『魔法使いの夜』のラストでおそらく蒼崎青子と久遠寺有珠によって呪いをかけられてしまい、解呪するまで三咲町に帰れない身体になっている。
 遠野志貴の魔眼殺しはもともとこの人のものであり、青子に強奪されて志貴用に作り直された。お気に入りの魔眼殺しを強奪された腹いせに、青子名義で魔術協会から金を引き出して買い物にいそしんでいる。こんなことをしたら居所がばれてしまうが、自己保身より青子への嫌がらせのほうが優先順位が高いらしい。
 両儀式にいわば仕事の下請けをさせることがあるが、この際の報酬は一時的にせよ式の殺人衝動を解消できること。しかし実際には式が満足できる報酬を得られていないため、その代わりに義手を強化したり珍しい刃物を与えたりしている。
 Fate桜トゥルーエンドで破壊された士郎の肉体になった素体は彼女が過去に作ったもの。魔力の通りが悪い、というのは士郎のほうが彼女よりも魔術回路が多いことが関係していると思われる。
 愛車はモーリス・マイナー1000、アストンマーティン、ハーレー・ダビッドソン、200ccのバイクなど。地下ガレージには四輪が4台、二輪が2台、レシプロ機が1機置いてある。
 黒桐幹也と両儀式の恋路を見守っているのはある意味では暇つぶし。単純に面白がっているのと、式と幹也が迎えているであろう『自分のあり方としての山場』を既に卒業した者として後輩に最低限手を貸しているという状態。そのため殺人考察(後)(1999年2月)で式と幹也が答えを見つけたあと、あっさりと消えている。姿を消した後も、鮮花にはペーパーで課題を出したりその気があるならと弟子を派遣したりする。


朱い月(のブリュンスタッド)(人名/真祖・死徒・アリストテレス)
 Brunestud。
 死徒二十七祖の三位。現在空席。アルティミットワン。タイプ・ムーン。
 月のアリストテレス。おそらく男性。最初の真祖。何もなくなった月を見捨て、美しい世界を手に入れようとして地球に来た。魔術と魔法の違いをよく知っておらず、そのためキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグに殺された。だが単に殺されただけではなく、ゼルレッチの血を吸い死徒にした。
 これの消滅後はこれの能力に近い個体にのみブリュンスタッドの称号が贈られるが、その名を冠する真祖は長い歴史の中でもアルクェイドとアルトルージュの二体だけとされる。
 ガイアにもアラヤにも属さない自分がいずれ滅ぼされると予見しており、なおかつ永遠を求めたために、自分(朱い月)を内包し地球のシステムに属する後継者を作ろうとした。結果、真祖が誕生したが、生まれてきたのは自分の劣性コピーばかりであり、満足のいく器ではなかった。また後継者が生まれる前にゼルレッチに殺された。だが殺されたものの、この世界に“自らを潜在させる真祖という種”が生まれる固有結界を残した。その真祖の深層意識に潜在する行動理念のことを『朱い月』と呼ぶことがある。
 死徒二十七祖も同じく永遠を求めるものの集まりだったようだ。
 朱い月と同域の後継が誕生した場合にのみ朱い月が憑依し、覚醒したときに地球のシステムに属する朱い月となる。アルクェイドとアルトルージュが満足のいく後継者候補。
 現在はアルクェイド・ブリュンスタッドの中に潜在し、夢の中でミハイル・ロア・バルダムヨォンと共融した遠野志貴と出会っている。


アカシック・レコード(概念)
 アカシャの記録。世界の過去、現在、未来が記録されたもの。根源の渦の一部に付加された機能。
 サンスクリット語のアカシャ(原物質・空)から。


アカシャ(用語)
 アーカーシャとも。サンスクリット語で『空』『虚』あるいは『原物質』を表す言葉。万物の根源。輝くもの。


アカシャの蛇(俗称:月姫)
 死徒二十七祖の番外位、転生無限者ミハイル・ロア・バルダムヨォンの俗称。単に『蛇』とも。
 蛇は転生・無限・永遠の象徴であり、蛇のように執念深いことから、転生し生き続ける彼を死徒たちがこう名づけた。もとからロアは錬金術をかじっていたので、相応しいといえる。


アクア・ヴィタエ(用語:MBAA)
 →賢者の石


悪性情報(用語)
 タタリ発生の条件となる、閉じたコミュニティで流布される共有常識。
 匿名性の告発、蓋然性のない証言、浸透性の優れた流行といったものを利用して成長してゆく。状況によって様々な形に変化するが、その中心たる核には何もない。タタリが正体不在と呼ばれるのはこのためである。
 ワラキアの夜が扱う『バッドニュース』、吸血鬼シオンが扱う『テラーニュース』はこれを魔力によって具現化したもの。より高度な利用法に悪質なコピーを捏造して操るものがあり、こちらはワラキアの夜が扱うものを『レプリカントコーディネイター』、吸血鬼シオンが扱うものを『レプリカントコンダクター』と称する。


芥川龍之介(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は『ドッペルゲンガー分身』。


悪魔(用語)
 第六架空要素。人間の願いによって生み出され、人間の願いによって呼び出される受動的なモノ。モノの想念が集まってカタチをなした実像幻想。実体化には『人々が創造したカタチ』が必要。真性悪魔ではなく『個体名』になるもののこと。
 名前をつけてしまうと本当に自由になってしまうため、悪魔を安易に名付けてはならないという決まりがある。
 結果はどうあれ、人の苦悩を理解し取りのぞこうとするもので、見ようによっては人間の味方。


悪魔(用語:氷室の天地)
 蒔寺楓が氷室鐘に教えようとした折り紙の題名。


悪魔憑き(用語)
 西洋に知れる霊障のひとつで、日本でいうところの狐憑きや犬神憑きに近い。人間に人間ではない『何か』が取り憑き、その内面から崩壊させてゆくという呪術、呪いの親戚。日本の憑き物が呪う側の意志に基づいた行動であるのに対し、西洋の『呪い』は交通事故のような意志を持たない現象。
 症状は広すぎて系統化できないが、大抵は『悪魔』と呼ばれる概念によって発生する。悪魔は人知の及ばぬ理由・基準のもとに善良な人間に取り憑く。温床は健全な肉体。
 取り憑かれた者の初期症状は精神を病み、直接的な暴力ではなく理性の皮を脱ぎ捨てることによって道徳、神の教えを罵倒し、家族や隣人を脅かす。
 重度の悪魔憑きは取り憑いたものがカタチのない己を人体で再現しようと試みるため、精神面のみならず肉体面さえ変化させる。変化は通常からは考えられない人体運営から始まり、肉体の一部が変質する段階まである。変化は取り憑いたモノの階級によって定められ、強い魔ほど人からかけ離れた変質をする。
 だが人体で魔の再現は不可能であり、悪魔に取り憑かれた者は奇怪な変形を強制され当然のように命を落とす。しかし稀にそれに耐え切り、魂という設計図を食われながらも食らい付いたモノを利用して生き延びる異端も存在する。
 悪魔憑きはラップ音やポルターガイストなどの周囲への干渉から取り憑いた人体への干渉などの霊障を引き起こす。伝染はしないのだが、魔に憑かれた人間に近付いただけで同じ霊障を起こしてしまう人間もいる。
 また周囲に肉体的ではなく精神的に周囲の人間に伝播し、精神を醜悪に変えてしまう。
 悪魔祓いが祓えるのは成体になる前の悪魔だけであり、成体となった悪魔は代行者が払う。


悪魔祓い(用語/組織)
 エクソシスト。教区の司教から代行を許された特別な司祭。彼らには育ちきった悪魔を祓うことはできず、育ちきる前に発見して祓うのみ。魔を容認し、これを一時的に退ける聖職者。彼らが訪れる町は人の世界から逸脱している。
 カレン・オルテンシアの師はとりわけ厳しい方、つまり偽者の悪魔憑きや流行病のような怪物ではなく完全に『成った』ものを相手にしていた。熟練の悪魔祓いにとっても魔の判別は常に綱渡りである。真性の悪魔祓いには二度は耐えられないとされている。
 なお、育ちきった悪魔を倒すことができるのは代行者(エクスキューター)。ただ一人、ミスター・ダウンだけが成体となった悪魔憑きを祓った。


悪魔を哀れむ歌(用語:the dark six)
 Sympathy for the Devil。
 ミスター・ダウンが駈る、総重量35tを超える大陸横断大型車両。要は巨大トレーラー。


悪霊ガザミィ(俗称:魔術師)
 ロンドン塔の地下に幽閉されている一人の魔術師の通称。それほど危険な人物ではないが、魔術師たちにとってこれほど厄介な魔術特性を持った者はいないとされている。


浅神(家名:月姫)
 巫淨、両儀、七夜と並ぶ退魔の一族。分家に浅上がある。


浅上女学院(地名)
 私立浅上女学院。浅上が創始した女学院で、創立後五十年を数える。遠野秋葉が通っている。遠野の屋敷からは隣県にあり、車で一時間もかかる。1999年末(おそらく年末から年始にかけて)に寄宿舎を改装した。
 小・中・高・大学のエスカレーター式のお嬢様学校。原則全寮制で一度入学すると外出も満足にさせてもらえず、情報面でも外界と隔離されている。寄宿舎の正門には『この門をくぐるもの、一切の青春を捨てよ』との卒業生による落書きがある。遠野秋葉は志貴が帰ってくるまでは寄宿舎で生活していたが、志貴が帰ってきたので無理を通して特例として実家からの登校を許可されている。
 厳しい管理主義がしかれており、部活動をしている者は午後六時、していない者は午後五時には宿舎に帰っていなければならない。六時半になると廊下に並んで食堂に移動し、私語厳禁の食事をする。それが終わってから学年ごとの入浴時間になり、交友室(生徒が自由に使える大部屋で、お茶会やお喋りはここで行うことになっている)が開放される。交友室には管理人である職員がいて、彼女に断ってお茶やお菓子を調達する。その数に制限はないが、周りの目があるのであまりくつろげず、使用するのは中等部か高等部でも一年生くらい。私物の持ち込みが禁止されているが、上級生は隠れて自室でお茶会をしている。勉強が目的ならば午後十一時まで部屋の電気をつけていられる。
 寄宿舎内にはグループが出来ており、週に一回そのトップが集まる特殊なお茶会がある。グループ同士は仲が悪く、どこにつくかで学園生活が変わる。宿舎は三人部屋だが、特例としてグループのトップは一人部屋。部屋に暖房はない。
 生徒会役員は学園で、寄宿舎では自治会が幅を利かせるのが伝統で、互いに反目しあっているが、現在は副生徒会長の遠野秋葉と自治会長の環による融和が図られている。
 寄宿舎の空き部屋にある壊れた赤電話から死者の声が聞こえる、校舎の展望台、首吊りの鐘、動く庭園、裏庭にあるポストに宛名を書かず、唯一つの願いを書いた手紙を投函すると七日後に大切なものと引き換えに願いがかなう、標本室にホルマリン漬けの胎児がいる、などといった七不思議がある。四条つかさはその中の裏庭のポストの話を信じてノイローゼに陥った。その「紫の私書箱」は、手紙が戻ってくると出した者が死ぬらしい。
 『紫の私書箱』は元々は学園側が用意したアンケート箱で、一般郵便物と区別するために紫の封筒を使っていた。
 第二図書室はもと倉庫なので生徒受けが悪い。


アサシン(クラス/サーヴァント:Fate)
 暗殺者。姿と気配を消して隠密行動に徹するクラス。
 選ばれるために必要な条件は“気配遮断”のスキルを持つことのみで、アサシンというクラスそのものがアサシン召還の触媒となる。ハサン・サッバーハという群体の中から誰か一人が選ばれる。宝具名はいずれのハサンであろうとすべて『ザバーニーヤ』。
 暗殺者であるため誰一人として華々しい伝説を持たず、能力値は低い。クラス固有の能力は“気配遮断”。個々の能力値の高さではなく、そのスキルのみで戦っていく。マスターを失っても40時間ほどは現世にとどまれる。


アサシン(人名/サーヴァント)
 第五次聖杯戦争におけるアサシン。
 →佐々木小次郎。


アサシン(人名/サーヴァント:hollow)
 おそらく第三次聖杯戦争に参加したサーヴァント。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと戦った。真名は無論『ハサン・サッバーハ』。
 大人の膝ほどもない小人で、マスターが操る自律人形にまぎれて攻撃する。武器は毒針、宝具は『空想電脳(ザバーニーヤ)』。


アサシン(人名/サーヴァント:Zero)
 第四次聖杯戦争において言峰綺礼が召喚し、契約したサーヴァント。真名はもちろんハサン・サッバーハ。中でも『百の貌のハサン』である。宝具は『妄想幻像』。多種多様な特技を持つ。噂話とディスカッションが好きで仲間はずれが苦手。ギルガメッシュが天敵。
 個であるはずのサーヴァントであるが、群体として現界する能力を持つ。その理由は、彼(あるいは彼女)が生前、患っていた多重人格障害を逆手にとって活用することで正体不明の暗殺者として活躍していたから。
 生前は肉体という縛りがあったため場合によって人格が交代していたが、サーヴァントとして現れた場合には肉体のくびきを脱して分断された魂の全てが別個の実体化を果たしている。とはいえ備えている霊力が一体分であることに変わりはなく、現界する人数が増えれば増えるほどに一体ごとの能力は低下する。分割された個々の能力はきわめて低く、サーヴァントとして通用する最低レベルしかない。
 各々の別人格は得手不得手もまちまちで、中には功を焦って命令無視する者や不意討ちで失敗する者なども含まれる。彼らの個性を全て把握し、適材適所を考えて計画的に運用した場合には絶大な脅威となるサーヴァントだが、マスターの綺礼に本気で勝ちを狙う意志がなかったためにひたすら諜報活動に徹することになる。
 実は聖杯を求める秘めたる想いは持ち合わせており、戦いが佳境を越えたら綺礼や遠坂時臣を出し抜いて聖杯を横取りする心算だった。聖杯にかける願いは『統合された完璧な人格』。
 彼らのうちザイードと呼ばれる一体は言峰綺礼が敗退したと装うためギルガメッシュに倒され、残るすべてのアサシンもアインツベルン城で行われていたセイバー、ギルガメッシュ、ライダーの三者による酒宴を襲撃した際にライダーによってことごとく倒された。
 生前の肉体自体は凡庸だったが多重人格による多彩な能力のため、他の代のハサン・サッバーハとは異なり『ザバーニーヤ』なる肉体改造をすることは一切なかった。『彼』という記述から生前は(というより肉体は)男性だったと思われる。
 『犠牲を厭わず勝利せよ』という言峰の令呪を受け、アインツベルン城で催されていた聖杯問答に乱入するが、ライダーの『王の軍勢』によってことごとく倒されつくした。

 クラス別能力は以下の通り。
 気配遮断:A+…完全に気配を断てば発見することは不可能に近い。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 保有スキルは以下の通り。
 蔵知の司書:C…多重人格による記憶の分散処理。LUC判定に成功すると過去に知覚した知識、情報を、たとえ認識していなかった場合でも明確に記憶に再現できる。
 専科百般:A+…多重人格の恣意的な切り替えによる専門スキルの使い分け。戦術、学術、隠密術、暗殺術、詐術、話術、その他総数32種類に及ぶ専業スキルについてBクラス以上の習熟度を発揮できる。


アサシンのマスター(人名/魔術師:hollow)
 氏名不詳。おそらく第三次聖杯戦争に参加したマスター。第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツと戦った。
 優れた人形遣いで、手足となる自律人形(オートマタ)を何体も従えている。それらは精密な殺人機巧を備えたフランス人形。


アサシンを召還するはずだったマスター(人名)
 詳細不明。
 第五次聖杯戦争においてアサシンを召還するはずだったが、召還の前にキャスターに発見されて殺された。


AJIOH(用語:氷室の天地)
 氷室鐘らが修学旅行で訪れた科学未来館に展示されていたロボット。アシモに髪と髭を生やしたような外見をしており、『ウマイ』という声を発する。


芦家(人名:月姫)
 七夜志貴が遠野四季に殺されたときに入院した病院の脳外科医。


亜人(用語)
 幻想種の分類の一つ。
 妖精や巨人といったものが亜人のカテゴリに含まれる。


アストレイ三人娘(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会における氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子による2年A組セパタクローチームの名称案。


アゾット剣(武装)
 魔術協会では一般的な礼装。成人の儀に師や両親から贈られる記念品。所持者の魔力を増幅し、魔術行使を補助・強化する剣の形をした魔杖。魔法陣の形成や固体化した神秘への介入に使われる。パラケルススのものがオリジナル。
 遠坂凛のアゾット剣は遠坂家伝来の宝石細工で、魔力を充填しておけば礼装としても使える。もとは遠坂時臣が国外に退去する(と思い込んでいた)言峰綺礼に遠坂の魔道を修め、見習いの課程を終えた証として贈ったもの。その直後に綺礼はこれで時臣を刺殺する。第四次聖杯戦争の半年後に行われた時臣の葬儀のあと、悪辣な皮肉を込めて綺礼から遠坂凛に贈られた。


アタックライド(用語:氷室の天地)
 後藤劾以が何らかの本の影響を受けることのイメージ。登場人物になりきるゴトウライドとは異なり、こちらは登場人物の攻撃をトレースする。
 トリックスターという創造を担う秘石を内蔵した次元転換解放機ディケイドライバーで2次元に封じられている本のエネルギーを3次元に解放し、自身に投影することで登場人物の技を使用する。……わけではなく、単に後藤自身の極めて影響を受けやすい性格によるものである。


アタランテー(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:2、防:4。固有能力は自軍の全体速度が2倍になる『徒歩競争』。


アトゴウラ(用語)
 四枝の浅瀬。赤枝の騎士に伝わる一騎討ちの大禁戒。四隅にそれぞれアルギズ、ナウシズ、アンサズ、イングズを刻むというもので、この陣を布いた戦士に敗走は許されず、この陣を見た戦士に退却は許されない。


アドミラブル大戦略W(用語:Zero)
 第四次聖杯戦争におけるライダーが購入したTシャツにプリントされていたゲームソフトのタイトル。ハードは家庭用ゲーム機らしい。第四次聖杯戦争中に発売され、ライダーは初回限定版を購入した。
 第二次世界大戦を舞台に枢軸国を操って連合国と戦う超人気ウォーゲームのシリーズ第4作。副題は『ポルシェ博士の憂鬱』。
 既にルールの複雑さや難易度において進化の袋小路にあった前作を、さらに参加国、追加ステージ、追加マップで拡張。トリープフリューゲルや報復兵器V3号、クローン総統といった錚々たる追加ユニットによってもはやウォーゲームの域に留まらないカオスの坩堝と化した名状しがたいゲームバランスを誇る。
 今も一部マニアの間で根強い人気を誇っている。
 なお、後年ロード・エルメロイU世が着用していたTシャツにも『大戦略』とプリントされている。


後より出でて先に断つもの(用語:hollow)
 アンサラー。バゼット・フラガ・マクレミッツが使用する宝具フラガラックの二つ名。発動の前にこれを詠唱する。


アトラシア(用語)
 →アトラスの名


アトラス院(組織)
 アトラス学院、アトラス協会、巨人の穴倉ともいう。
 魔術協会三大部門の一つである蓄積と計測の院。エジプトのアトラス山脈にある魔術師・錬金術師の協会。中世から主流となった現代錬金術とは異なる、魔術の祖、世界の理を解明する錬金術師の集まり。会長の言語そのものには絶対的命令権があるという。
 三大部門といえば聞こえはいいが、実際は独立した頭脳集団。時計塔との交流は希薄になっているが、要請があれば魔術師を含む人材を貸し出すこともある。稀に他協会や聖堂教会からの要請で錬金術師を貸し出すこともある。そのためには過去アトラス院が発行した“契約書”が必要となる。七枚しか発行していないこの契約書を回収することがアトラス院の当面の目的。
 他の部門に比しても徹底した秘密主義のため詳細は不明。紀元前から存在している。彷徨海と並んで魔術協会の原形と呼べる組織。
 所属するには最低3つの分割思考と高速思考が必要とされる。分割思考は5つで天才といわれ、過去の会長では最高8つというものもいた。まず高速思考と分割思考を体得し、その後に変換式や加速式といった錬金術を修得する。
 かつては未来を予測して誰にでも平等な世界を運営しようとしていたが、はじめに見たものが滅びであり、現在はひたすらに新しいものを研究・開発している。初代の院長が辿り着いてしまった滅びという『終末』を否定するための兵器を造っているが、対抗策を取れば取るほど滅びは凄まじくなるために未来永劫に兵器を作り上げ、廃棄し続けるといわれている。
 アトラスの錬金術師は端的に言えば『技術屋』『兵器鍛造屋』である。その性格から、魔術師からは武器職人扱いされている。『アトラスの封を解くな。世界を七度滅ぼすぞ』とはプラハの錬金術師の言。世界を救うために作り上げた兵器は、更に惨たらしく星を焼く道具に過ぎなかったわけである。
 この協会が研究している錬金術とはありがちな物質の変換ではなく『事象の変換』。唯一の規則は『自己の研究成果は自己にのみ公開する』こと。ほかに絶対というわけではないが『アトラスから出ることは違反』という不文律がある。
 ゴドーワード・メイデイこと玄霧皐月も在籍した。
 同じく錬金術を研究しているプラハ協会とは致命的に仲が悪く、魔術協会の心臓部である時計塔からも煙たがられている。
 アトラス院が研究しているのは西洋魔術に傾倒した錬金術とは別物で、万物、物質の流転は共通のテーマだがアトラスの錬金術師はミハイル・ロア・バルダムヨォンを軽視している。


アトラスの名(用語)
 アトラシア。アトラス協会会長、および次期会長候補に与えられる称号。
 得る条件はただ1つ、『不可能を可能にする』こと。


アトラスの錬金術師(用語)
 アトラス院に所属する錬金術師のこと。
 その全員が高速思考と分割思考を体得していることからもわかるように、人体を演算装置として用いる術に特化している。肉体に対する考え方も独特で、脳が身体をコントロールするのではなく脳をよりよく機能させるために肉体があると考えている。
 単純に演算能力の怪物を生み出すだけならば技術者になればいい。彼らにとって人体とは『肉体・精神・魂の三位含めて計算、実践、成長するに優れた個体』なのである。
 彼らには魔術師にとって明確な機能の証明となる魔術回路が少なく、単体では自然干渉系の魔術はまったく使えないのだが、彼らはそれをよしとしている。曰く、『最強である必要はない。最強であるものを作ればいいだけなのだから』。


アハト(俗称:Zero)
 ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンのこと。アインツベルンの八代目当主であることから。


アバドンフォース(用語:MELTY BLOOD・ネコアルク)
 グレートキャッツビレッジ唯一の軍事機能。ネコアルクが召喚するネコアルクたちのこと。エリートネコ部隊。新しくなったMELTY BLOOD Act Cadenzaで垣間見られる怪現象。
 野生をたぎらせ、優れた身体能力と知性を抑えられない選ばれたネコアルクたちによる自衛部隊。選ばれた者はネコアルクたちから羨望を込めてアバドン☆ベレーと呼ばれる。ただしネコアルクですらネコアルクを制御できない。
 一匹のネコアルクは百匹のアバドンフォースを召喚できる。夏場のアレと同じく、ネコを一匹見たら百匹いると思え。
 地上を埋め尽くすエリートネコ部隊を前にした兵士たちは「キャット! ファック! キャット! ここは地獄だネコッタレ!」と神に祈りを捧げながらネコたちに蹂躙されていった。
 グレートキャッツビレッジに有間都古が侵入した際には真っ先に無条件降伏し、「フクロにするのはリーダーだけにしてくれ」と一億総土下座した。
 最近は更なる暗黒混沌部隊が組織されたらしい。


アバドン☆ベレー(用語:ネコアルク)
 アバドンフォースの中でも選ばれたネコアルク。他のネコアルクから羨望を込めてこう呼ばれる。


アベレージ・ワン(称号)
 五大元素使い。魔術協会において、属性が五大元素の者をこう称する。


遍く示し記す万象(宝具)
 アヴェスター。起きた出来事をひとりでに記録する補助タイプの宝具。タイプライターが自動化した程度のもので戦闘にはまるで役に立たない。その利点は言葉にならない感情や本人も気付いていない感情までも言葉として記録できること。
 すべてを正しく記録した経典(アヴェスタ)の名に相応しい誰も傷つけない宝具。アンリ・マユはこれから名前を削除されたことで秩序から自由になっている。


阿頼耶識(概念)
 アラヤ識。ヒトの普遍的無意識領域のこと。総てのヒトがこれと繋がっている。
 コレから生じる抑止力を『アラヤの怪物』と呼び、コレは霊長全体への危害が及ぶのを阻止しようとする。たとえ英雄でも霊長全体に有害と判断された場合は抹殺される。間接的に働く場合は特定の人間を強力に後押しする。近代ではジャンヌ・ダルクがアラヤに後押しされたらしい。
 これと契約することで支援を得て人間の規格を外れた力を持つ英雄になることができるが、死後は抑止力として永遠に使役される英霊(守護者)に成ってしまう。


荒耶宗蓮(人名/魔術師:空の境界)
 あらや そうれん。
 身長183cm。体重90kg。
 外見は四十代後半だが、二百年以上を生きる元台密の僧。魔術師としての能力は穴だらけだが、自己の強さは何者をも凌駕している。苦悩が刻まれた貌と魔術師にあるまじき強靭な肉体が、対峙した者に嘔吐感に似た重圧を与える。左腕(左手という記述もある)に仏舎利を埋め込んでいる。魔術回路は30ほど。長く生きすぎてもはや一つの概念になっている。防御力ならば(おそらくTYPE-MOONのキャラクターのなかで)トップクラス。起源は“静止”。
 魔術師としては平凡だが、結界作りに関しては屈指の冴えを見せる。特殊な才能を持たない彼は、歳月と信念を積み重ねて自己を完成させ、一流の結界師になった。三重の静止の結界を常に『連れて』いる。結界の呼称はそれぞれ『不倶、金剛、蛇蝎、戴天、頂経、王顕』であり、平面と立体に張り巡らされている。その結界の名は『六道境界』。
 かつて時計塔に所属していた。蒼崎橙子とは師を同じくした学徒であり、同郷ゆえに気が合ったという事ではなく、志が似ていたために意見交換をするようになったという関係。
 ヒトの意味を検分するためにヒトの魂を通して根源の渦を目指した。また、何度も運命を繰り返せば変化が起きるかもしれないと思い、小川マンションを一日で生と死のループを繰り返す異界にした。荒耶が求めた根源とは、つまり歴史の終末、人間の価値を記したものである。
 両儀式にぶつけるため、巫条霧絵に二重存在を与え、浅上藤乃の背骨のヒビのみを治療し、白純里緒の起源を覚醒させた。巫条霧絵の治療費を出していたのも荒耶。霧絵は荒耶を父の知り合いだと思っていたが、それは霧絵の医療費を肩代わりし続けるための建前に過ぎない。観布病院に勤務していた頃は多少の社交性があったらしい。勤務セクションは心療内科。
 1996年2月に両儀式に殺されかけた黒桐幹也を助けた。
 何度も自身の身体のスペアを作り、破壊されるたびに交換してきた。最終的には根源に至るハードウェアである両儀式の肉体を奪おうとした。小川マンション(奉納殿六十四層)は本来、そのためのものである。
 最期は小川マンションで両儀式の肉体を奪おうとしたが、式に殺された。
 かつては人を救わんとあちこちの戦場を駆け回っていたが、やがて自分には誰も救えないということに行き当たり、救えないならばせめてその死を明確に記録しようと死の蒐集を始めた。
 ネコカオスとはペンフレンド。AATMではネコカオスにアーネンエルベの店長を任されたが、あまりに料理は下手であったのでキレた両儀式に殺された。


アラヤの怪物(用語)
 阿頼耶識から生じる抑止力。霊長の抑止力。守護者。英霊のこと。
 人間という種を存続させるために、その破滅を防ぐ。だが人間は自滅によって滅ぶため、破滅の原因となる場所に呼び出され、その場にいる人間を一人残らず殺すことで人間全体を救う。対象がたとえ英雄でも例外ではない。
 人間全体が生み出すコレは、星さえも食い潰して人間の世を存続させようとする。カウンターガーディアンであり、既に発生した事態に対してのみ発動する。世界を滅ぼす要因が発生した瞬間に出現してこの要因を抹消する。
 抑止力自体はカタチのない力の渦で、絶対に勝利できるよう抹消すべき対象を上回るように規模を変えて出現する。大抵は抑止力によって後押しされた『一般人』が滅びの要因を排除し、結果として『英雄』として扱われる。アラヤ側の抑止力によって英雄になった人間は、その死後はアラヤに組み込まれる。
 無意識から生じたものであるために発生しても誰の眼にもとまらず、誰にも意識されることはない。
 Fateの桜ルートでは間桐桜が黒化し、『この世全ての悪』の母体となるが、あの時点ではまだアラヤの怪物は発生していないらしい。もっとも。アラヤの怪物が発生したかどうかは水掛け論になりかねないという。


アリスマーダー(用語:魔法使いの夜)
 詳細不明。久遠寺有珠の使い魔の一つか。


有間(家名)
 遠野志貴が9歳から預けられた遠野家の分家で、遠野としての血が最も薄く、能力を持たない。華道の家元で教室をやっている。なぜか剣道の道場まである。牛乳は宅配。おそらく高校の所在地から見て隣街にある。
 父は文臣、母は啓子、長女は都古。


有間啓子(人名)
 有間文臣の妻で都古の母。


アリマゴ島(地名:Zero)
 衛宮矩賢が研究のために隠棲していた島。入り江に30戸余りの漁村があるだけで、ジャングルの最奥に衛宮邸があった。島全体に自動車は四台しかなかった。
 矩賢の試薬が漏れ出したために島の住人全員が死徒となってしまい、魔術協会と聖堂教会によって殲滅された。
 オシリスの砂による幻影の夏の再演の後、蒼崎青子が路銀を稼ぐためにこの島での封印指定の探索の仕事を請ける。
 アリマゴとは蟹の意。大昔にはこの島は神に供物を捧げる場であり、病気の母に食べさせるために供物に手を付けた少女が祟りに遭って沢蟹に姿を変えられた。それ以降、この島で獲れる蟹を食べるとどんな病気も治癒するようになり、少女の母もそれで回復した、という伝説がある。なおその神を祀ってあった社は既に無く(というかもともと存在したかも不明)、噂ではジャングルの奥の衛宮邸の辺りにあったとされていた。


有間文臣(人名)
 有間啓子の夫で都古の父。


有間都古(人名)
 5月4日生まれ。血液型O型。身長131p。体重35s。B60 W46 H62。
 自己流なんちゃって八極拳の使い手。小学生六年生。喜怒哀楽が激しい。ほとんど一目惚れ状態だったらしく、志貴をお兄ちゃんと(心の中で)慕うがどう接していいかわからない状態でぐるぐるしていた。それから志貴は数年で遠野の屋敷に帰ってしまったため、まともに話したことは一度もなかった。
 好きな相手の前では混乱してしまう性格で、志貴の前では緊張のあまりうまく喋れず、また志貴の声も聞こえなくなり、緊張が極限に達したときにもっぱら攻撃という愛情表現をする。時折むー、と不機嫌そう(周囲からはそう見える)に唸ったあげく志貴の鳩尾に頭突きを食らわせて笑いながら去っていくという奇行が日常となった。志貴が遠野の屋敷に帰ってから少しは話せるようになった模様。
 有間の家にある使われていない道場で日々拳法の鍛錬をしているが、腕前は子供の遊びの域を出ない。MELTY BLOODではタタリの影響で本物の八極拳使いになってしまい、本人は大喜びしていた。
 ネコアルクには将来楽しみなライバルとして認識されている。
 中学は浅上女学院に入学する予定だが、本人にそのつもりはない。
 四年後には三咲町の市立高校に通うごく普通の学生となる。子供の頃から趣味で続けてきた拳法がちょっと特別だが、空を飛んだりビームを撃ったりはできない。その頃には本人もよく覚えていないのだが、幼い頃にいなくなった『お兄ちゃん』をなんとなく探している。
 女の子というより男の子な嗜好・外見で、男子に混じってスポーツに夢中になっている。女の子っぽくないのは『お兄ちゃんは悪い魔女に連れて行かれたんだ』と覚えているため。これがトラウマとなっていまいち恋愛の話に興味がもてない。
 スポーツ全般が得意だが、有り余る才能とガッツをスーパー合気道部で浪費している。中学からは裏の空き地に棲んでいるパンダに弟子入りしているとか。
 下校中に二人の魔法少女の戦いに巻き込まれ、あまりのウザさに崩拳を一発くれて撃退。それまで負け知らずだった不思議系魔法少女と軍事系魔法少女は都古の強さに驚愕し、「し、新ジャンルの魔法少女―――!」と勝手に誤認。以後、『属性(ジャンル)/一撃必殺』系魔法少女に登録されてしまう。
 高校のクラスは一年B組。スーパー合気道部と秘境料理研究会に所属する。恋愛相談と年上の女性が苦手。好きな食べ物は中華まんといつかどこかで食べた真っ赤なマーボー、苦手な食べ物はサプリメントといつかどこかで食べた真っ赤なサンドイッチ。趣味は野球、サッカー、コンフー。将来の夢はおいしい中華料理のお店を開くこと。尊敬する人はパンダ師匠。


アルキメデス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:1、防:1。固有能力は『憎しみの光』。巨大な凹面鏡でローマ軍艦を焼き払ったという伝承からと思われる。


アルクェイドのマンション(地名)
 アルクェイド・ブリュンスタッドが住むマンション。1フロアに5部屋ある。アルクェイドは6階をフロアごと借り上げ、その3号室に住んでいる。


アルクェイド・ブリュンスタッド(人名/真祖)
 Arcueid Brunestud。
 12世紀の12月25日生まれ(誕生月日は自称)。血液型不明。身長167cm。体重52s。B88 W55 H85。Eカップ。好きな歌はナーヴ・カッツェの『クレイジードリーム』。
 真祖の姫君。堕ちて魔王となった真祖を狩るために12世紀ごろに生み出された。ほかの真祖と違い、秘密の多い人の手で完全な無から創り出された。長く生き過ぎたために限界以上に吸血衝動が蓄積しているが、血は絶対に吸わない。
 最高の素体であり朱い月を内包するため、堕ちた場合は朱い月の再来になってしまう。故にそれを恐れる真祖たちによって魔王を狩ることのみに運用され、それ以外のことは一切せず(させてもらえず)に、魔王を狩り終えたら記憶を消されて眠りについていた。魔王を狩り終えた後は死徒も狩り出すように命じられた。
 だが初めての吸血衝動に苦しんでいるところをミハイル・ロア・バルダムヨォンの姦計にかかって知らずに血を飲んでしまい、暴走。細々と生き残っていた真祖たちの大半を消滅させてしまい、固有結界である千年城ブリュンスタッドに自らを封じた。以後、怨敵ロアが転生するたびに城から出てロアを処刑してゆくのみの存在となった。
 元は長髪だったが、アルトルージュとの戦いの折に奪われた。それを取り戻さないかぎり伸びることはない。
 遠野志貴と出会うまでは無意味なことなので言葉を発しなかった(実際は少なくとも幼い頃にゼルレッチと会話している)。また感情を使用しない存在だったが、志貴との出会い(殺害)によってその在り方から大きく外れていく。一度壊された機械が、組み立て直したときに違った機能を持ってしまったようなものである。
 そのため高貴で白が似合う吸血姫のはずがお気軽お天気吸血姫に。以後、天真爛漫に街を闊歩するお姫さまと化したが、怖いときはやっぱり怖い。楽観的なようで根は悲観的なので滅多に怒らないのが救いか。
 性格は自由奔放だが器用で、きちんと空気を読める。怖いものは自由にならない『時間』。休日はずっとゴロゴロしている。突発的にわけのわからない行動をするが理屈に弱い。無条件で懐くメレム・ソロモンが苦手。物語はひたすら爆破するアクション物が好き。真祖は死徒狩りをするもの……なのだが、路地裏同盟のシオン・エルトナム・アトラシアや弓塚さつきとは仲がいい。三咲町ではマンションの6階をフロアごと借りてその3号室に住んでいる。普段は親しみのこもった口調だが、千年城ブリュンスタッドにいるときは王族口調になる。
 深層意識に『朱い月』という行動原理があり、ごく稀に表層に現れる。アルクェイドの夢に迷い込んだ志貴が出会ったものや二十七祖との対面で現れたのがそれである。暴走したときのものは単純に彼女自身が暴走しただけなので朱い月とは違う。
 戦闘能力としては出力30%時で平均的なサーヴァント四人分、ネコアルク換算で二匹分。個体面の能力はほぼサーヴァントと同格で、通常時の個体能力はサーヴァント約二体分。蒼崎青子と戦った場合は7:3でアルクェイドに有利だが、青子にやってほしくないことをやられるかもしれないので敬遠している。オシリスの砂による三咲町の二度目のタタリの際に手合わせするまで蒼崎青子に勝ったことはない。志貴に殺されて破損した状態のアルクェイドはロアの十七番目の転生体でも打倒し得るが、朱い月が現れれば魔術回路をすべて防御に回したところでロアは数秒程しか持たない。
 彼女は星からの無限のバックアップを持つが、同時に星からの絶対命令により相手よりもやや上の出力しか許されない。この『相手』というのは相手の『個体能力』のことである。シンプルイズベストであるためオールラウンダーであり、総じて勝率が高い。
 しかしどうしても苦手な相手は存在する。それは本人の能力はアルクェイドと同格でも武装がとんでもなく多く、用途も多岐にわたる場合などである。例を挙げるならばギルガメッシュ。彼は個体能力ではなく『火力』がサーヴァント五体分以上である。
 ルーンやカバラなどの秘術には抗体耐性ができているためアルクェイドに効果がない。抗体耐性ができていない、つまり経験したことのない魔術は日本の古神道や南米の秘宝くらいのもの。環境破壊系の爆発には弱い。
 月姫、Fate、空の境界、DDDの中で(サーヴァントを除き)最強。なおORTは『単純に実力でいえば』最強とのことなので、様々な特殊能力を含めてのことと思われる。
 長生きだが実質活動時間は1年に満たず、その間に何百という死徒を処罰してきた。魔術協会の人外専門の換金屋がアルクェイドのファンなので純金や貴金属・宝石類を多く持っている。経済観念はしっかりしている。運転免許を持っているかは不明だが、自動車を運転することができる。
 AATMでは出会ったばかりの両儀式を『空の容れ物』だと看破した。


アルゴンコイン(宝具・技能:Fate)
 金羊の皮。コルキスの秘宝で、とても高価。
 これ自体にさしたる能力はないが、地に放ると竜が現れるという。もとは金羊の皮を守護していた竜が、いつしか金羊の皮に呼ばれるものに成り代わった。
 精霊が宿っている。
 第五次聖杯戦争におけるキャスターが所有するが、彼女には竜召喚技能がないので使用不可。


アルズベリ(地名:the dark six)
 イギリスの片田舎にある工業地帯。中世の町並みと鉄筋コンクリートの工場が混ざり合った風景をしている。
 もとは過疎化によって滅びかけていたただの村だったがわずか十年でプラントを持つ工業地帯に変貌してしまった。その目的は死徒による牧場だが、あくまで人間の手だけで発展した。聖堂教会も魔術協会も地獄が開くと分かっていながら傍観してきたのは、あくまで人間の手によって正しく発展したからであり、彼らが手を出せるのは正しさが崩壊した後のみだからである。
 工業地帯建設に出資したのはV&Vインダストリィ。アルズベリの発展に出資したのはヴァン=フェム。


アルズベリ監察連盟(用語:the dark six)
 詳細不明。おそらくアルズベリの儀式を阻止する実行部隊のこと。リーダーはバルトメロイ・ローレライ。


アルズベリの儀式(用語:the dark six)
 詳細不明。白翼公トラフィム・オーテンロッゼが何十年とかけて用意してきた儀式で、これを阻止するための実行部隊にバルトメロイ・ローレライが参列する。なお事前に妨害工作は行われていないが、これは白翼公をおびき出して儀式中にこれを阻止し、無念の声を上げる吸血鬼どもの無様を見るため。


アルズベリ・バレステイン(用語)
 詳細不明。アルズベリの儀式のことだろうか。
 数十年前から進められてきた大儀式。魔術協会も聖堂教会も知りながら傍観し、あわよくば旨みを独占しようと監視しあっている。ちょっとした聖地となっている。
 死徒、魔術協会、聖堂教会のそれぞれが敵対しつつ参列し、アルトルージュ・ブリュンスタッドも参列するらしい。
 朱い月が定めたもので第六が関係しているらしく、メレム・ソロモンやグランスルグ・ブラックモアとしては成功してほしくはないようだ。しかしトラフィム・オーテンロッゼが主催するため万が一にも成功してしまう可能性がある。


アルトルージュ・ブリュンスタッド(人名/死徒)
 Altrouge Brunestud。
 死徒二十七祖の九位。死徒における吸血姫で実質的な死徒二十七祖の頂点。アルクェイド・ブリュンスタッドの姉といえる。プライミッツ・マーダーの持ち主。真祖と死徒の混血。血と契約の支配者。黒。
 外見は14歳の可憐な少女。普段はそう優れた能力も持たず、空想具現化も不可能。二段変身をする。プライミッツ・マーダーと白騎士、黒騎士を連れている。ガイアの怪物であるプライミッツ・マーダーを従えているために、ある意味では最強。
 ズェピア・エルトナム・オベローンと契約し、彼を現象にしてワラキア具現化の力を与えた。


ALEXANDER THE GREAT(用語:Zero)
 ウェイバー・ベルベットが深山町の駅前の書店で立ち読みした本。征服王イスカンダルの伝記であり、洋書。


アロンダイト(宝具:Zero)
 →無毀なる湖光。


暗黒翡翠拳(用語)
 一子相伝の洗脳空手。歌月十夜では瀬尾晶に借りた『エクソシスターシエル』に名前のみ登場。
 MELTY BLOODでは翡翠のゲージ300%技として登場。両手を回転させて謎のエネルギーを溜め込み、前方に放つメイド殺法。謎のエネルギーは日々の過酷な労働への不平不満が変換されたものと思われる。


アンゴルモノハンマー(用語:ネコアルク)
 2005年八の月に落ちると言われている破滅の大王。正体はネコアルクが電波キャッチでケンカをふっかけてしまった知らない星のアルティミットワン。


暗殺大陸(兵器:ネコアルク)
 コードネーム、レッドラム・ランド・アイロン。
 某軍事大国がみんなに誇る誰も知らない秘密兵器。その正体は全長3000mもの超高高度爆撃機。核兵器をしのぐ次世代の戦略兵器として開発され、単体で宇宙飛行も可能。地上に現れたグレートキャッツビレッジを消去するため、その威容を白日の下にさらすことになる。
 艦長はマッコイシロヒゲ。彼は「GCV? ハハハ、あんなネコの額ほどの土地、たやすく燃やし尽くせるネ!」と意気揚々と出撃したのだが…
 この人類最悪の兵器とネコアルクとの空中戦はネコアルクTHE MOVIE最大の見せ場といえよう。


アンサラー(用語:hollow)
 後より出でて先に断つもの。バゼット・フラガ・マクレミッツが使用する宝具フラガラックの二つ名。発動の前にこれを詠唱する。


暗示(用語)
 リライト。
 物事の捉え方を逸らすもの。よって本人が嫌がっていることはさせられない。土地そのものに暗示をかけることは魔術協会の魔術師でもうまくいかないが、シエルは可能。


アンソニー(人名:hollow)
 遠坂凛とルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがノーリッジ学生寮で喧嘩になったときにオクタヴィア・レイランドが救援を求めた人物。


アンディ・ウォーホル(人名:氷室の天地)
 1928年8月6日〜1987年2月22日。
 アメリカの画家・版画家・芸術家。本名アンドリュー・ヴァーコラ。
 ペンシルベニア州ピッツバーグでチェコスロバキア移民の子として生まれる。父は1942年に死去し、その後は母のジュリア一人に育てられる。アルバイトをして地元の高校に通う。カーネギー工科大学に進学し広告芸術を学び1949年に卒業。
 1950年代、ニューヨークへ移り雑誌の広告やイラストを手がける。1952年には新聞広告美術の部門で『アート・ディレクターズ・クラブ賞』を受賞。
 1960年、コミックをモチーフに作品を制作するが、同じくコミックをモチーフにしたロイ・リキテンスタインの作品を見てこのテーマから手を引く。
 1961年、身近にあったスープ缶や紙幣をモチーフに作品を描く。これがポップアートの誕生とされる。1962年にはシルクスクリーン印刷で作品を量産するようになる。
 1964年からはニューヨークにファクトリーというスタジオを構える。ここでアート・ワーカーを雇い、シルクスクリーン印刷や靴、映画などを制作する。
 1968年6月3日、全男性抹殺団のメンバーだったバレリー・ソラナスに拳銃で狙撃される。
 1970年代から1980年代は社交界から依頼を受け、ポートレートのシルクスクリーンプリントを多数制作。1974年に初来日。1982年から1986年にかけては災害や神話をモチーフとした一連の作品を作成する。
 1987年2月21日、ニューヨークのコーネル医療センターで胆嚢手術を受けるが、翌日に容態が急変し心臓発作で死去。


アンドリア・モホロビチッチ(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 固有能力は地震を起こす『不連続面』。


アンバーグラウンド(地名:Ladies in the water)
 遠野邸地下に設けられた琥珀の研究室兼商店。発見され次第完全装備の特殊部隊に襲撃される類の店。遠野邸内部からの扉は象がラインダンスを踊っても壊れない防爆扉。
 ファンシーなネオンライトと箒に乗った魔女の看板が目印。マジカルケミカルよろず取扱。営業時間は遠野秋葉の外出から帰宅まで。休業日は秋葉が一日中在宅の日。弓塚さつきの食事の手配をしているので、人間の血液も販売しているようである。


アンリ・マユ(用語:Fate)
 ゾロアスター教の最大の悪魔で、光明神アフラ・マズダと九千年間戦い続けるという悪性の容認者。
 とはいえ本来のアンリ・マユは神霊なので聖杯では召還できない。


アンリ・マユ(用語・サーヴァント)
 絶対悪。この世全ての悪。最も古き悪心。第三回聖杯戦争でアインツベルンが異国の経典を触媒にアヴェンジャーとして召還した、喚んではいけなかった反英雄。
 彼の本名であるが、彼がアンリ・マユとして祭り上げられた時点で呪術的に剥奪されてしまい、もはやこの世のどこにもその記録はない。名前を『遍く写し記す万象』から除外されたことで秩序からは自由になったが、それでも英霊と呼ばれるには力不足で、アインツベルンのサーヴァントだった頃は宝具も使えなかった。
 もとはゾロアスター教の小さな村落(小さいながらも完成した世界)のさして裕福ではないごく平凡な家に生まれ、歳の離れた兄弟がいた。魔術も神秘も知らない一般人だったが、ある日突然世界中の人間の善性を証明するためにアンリ・マユの名を着せられて世界中の罪悪を背負わされた。それから右目とのどを潰され手足の腱を切られ舌を引き抜かれ指を落とされ、絶対的な悪として蔑まれ拷問され続けた。そして彼は、『この世すべての悪』という真実の魔、救罪の反英雄となった。奉られてから数年は人々を恨んだが、結局は明確な誰かを恨むことはできず最後には人々を許した。その憎悪は感情ではなくもはや生態になっている。
 その後、彼の村には『悪心は山頂にありて、我々に魔を吹き込む』という言い伝えができた。
 英霊として扱われるがその力は本来の青年のものであり、第三回聖杯戦争でも序盤で敗北して聖杯に取り込まれた。
 敗北した英霊は人格をなくして万能の魔力として聖杯に取り込まれるのだが、アンリ・マユは周りが願って創り上げられたためにアンリ・マユであり続け、聖杯がその願いを受諾してしまった。結果、この世全ての悪としてのアンリ・マユが形になろうとしている、つまり第三魔法の成功例になりつつあるのだが、この受肉は第三魔法の完成ではなく、『人間たちを殺し尽す』という本来の属性によるもの。仮に受肉してこちらに出てきてしまった場合には六十億の人間を呪える宝具を備えたサーヴァントとなっていた。
 これが取り込まれたために、冬木の聖杯は悪性の力の渦になった。
 第五次聖杯戦争から第三次聖杯戦争の再現たる四日間に召還されたアヴェンジャーの人格は『この世すべての悪』から分かれたものではなく、『無が取り憑いた人間』、つまり衛宮士郎をモデルに形作ったもの。


アンリミテッドブレイドワークス(宝具・魔術:Fate)
 Unlimited Blade Works。無限の剣製。衛宮士郎と英霊エミヤの固有結界。とはいえ、衛宮士郎とエミヤの世界は異なる。
 全ての剣を形成する要素があり、オリジナルを見た事があれば容易く複製できる。ただし複製した武器はランクが一つ下がる。防具も複製可能だが、通常投影の二〜三倍の魔力を必要とする。なお結界形成時に用意されている武装は結界形成から維持まで魔力を消費し続ける。破壊されたものを新しく創造する、また結界形成時に存在しなかったものを作る場合は激しく魔力を消費する。
 一度複製した武具は結界内に登録され、固有結界を起動させずとも投影魔術として作り出せる。
 武器の『担い手』であるサーヴァントには多少厄介なだけだが、武器の『持ち主』であるギルガメッシュに対しては既に武器が用意されている分だけ有利で、天敵となる。


アンリミテッド・レイズ・デッド(用語:hollow)
 無限の残骸。第三次聖杯戦争の再現たる四日間におけるアヴェンジャーのこと。



  


いいなづけ 17世紀ミラーノの物語(用語:氷室の天地)
 穂群原学園図書室の蔵書。アレッサンドロ・マンゾーニ著。


Eの食卓(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


位階(用語)
 魔術協会が実力に応じて魔術師に与える階級。最上位は『王冠(グランド)』。


胃界教典(武装・俗称)
 死徒二十七祖の二十四位エル・ナハトの胃で作られたエル・ナハト本体の呼出端末でもある強力な召喚書。本体の二つ名でもある。埋葬機関の1と2がこれを持って動くと、事実上無敵である。


井垣(人名)
 穂群原学園の二年生(間桐桜と同級)で弓道部員。


射殺す百頭(宝具:Fate)
 ナインライブズ。
 英霊ヘラクレスが最も信頼する宝具。状況・対象によってカタチを変える万能宝具で、いわば『流派・射殺す百頭』。そのためどんな武器でも使用できる。 かつてヘラクレス不死身の九頭蛇ヒュドラを退治した宝具で、武器としては弓矢の形をしている。一つの武器というよりも一つの流派で、弓、剣、盾など様々な武器で発動できる。いかなる武器によって発動しようとも変わらない本質は『全ての攻撃が重なるほどの高速で放たれる9連撃』。
 この流派を生み出すきっかけになったのは何度首を断ち切ろうが蘇生する九頭の大蛇ヒュドラ殺しで、その際に弓で100頭同時殲滅を行った。以後はこの弓矢の能力を模した攻撃方法を大剣でも使用するに至る。
 第五次聖杯戦争において衛宮士郎が使用したものは対人用の射殺す百頭で、簡単に言えばハイスピードな九連撃。ヘラクレスがメインで使う射殺す百頭は対幻想種用のもので、ドラゴン型ホーミングレーザーを九発同時発射。これはおそらく撃ち下ろした剣からマルチにレーザーが広がるものと思われる。
 ただし第五回聖杯戦争ではヘラクレスはバーサーカーなので、使用できない。


イシス(用語:MELTY BLOOD)
 詳細不明。
 アトラス院に所属する錬金術師、あるいは部署と思われる。


小黄魚焼豆腐(用語:氷室の天地)
 イシモチと豆腐の煮込み。発音はxiao huang yu shao dou fu。
 2年生のときの家庭科調理実習で遠坂凛が作った料理。中華の中でも日本人の口に合うと言われる上海の家庭料理。


イスカンダル(人名/サーヴァント:Fate)
 →ライダー。


イタリアンレストラン銀の脚(地名:氷室の天地)
 冬木市郊外にある高級レストラン。氷室鐘の見立てでは、値は相当張るが間違いなくうまい。
 店名がトラサルディーではないので、蒔寺楓の『肩の肉がえぐれたり歯が生えかわるほどうまいんだろう』という予想は外れていると思われる。
 氷室が見つけた日のお勧め料理は『ポルコ・ロッソ(豚肉の赤ワイン煮)』と『カニベースのスープスパゲティ』。


一工程(用語/魔術)
 シングルアクション。
 指差しや歯鳴らしなどの一動作による詠唱で、瞬間的に魔術を発動できる。指差しで起動するガンドや視ることで起動する魔眼が含まれる。必要時間は一秒以下。


一小節(用語/魔術)
 呪文を用いる詠唱で、どんなに早口で行っても最低一秒はかかる。これを二つ並べると二小節、三つで三小節とどんどん長くなっていき、当然一小節増えるごとに約一秒ずつ時間も延びていく。


偽り写し記す万象(宝具:hollow)
 ヴェルグ・アヴェスター。アヴェンジャーの宝具。受けた傷を相手に返す、最もシンプルな報復の呪い。よって攻撃を受けなければ攻撃できない。
 魂に傷を写すのでアヴェンジャーの傷が治らない限りその痛みは消えず、そのため痛みを受けるが傷は受けない。またアヴェンジャーの傷がなくなるわけではない。
 発動条件は一人の相手に一度きりの使用であり、呪いを行う術者が死亡していないこと。これさえ揃えば相手の魔力抵抗に関係なく成立する。なお、自動的なものではなく術者が発動させる呪術。


乾有彦(人名)
 10月24日生まれ。B型。身長174p。体重62s。
 小学校時代の『プリン事件』からの遠野志貴のマブ。放浪癖があり、趣味はシーズン外の観光パックで逃避行。オカルト関係には滅法弱い。オレンジの髪、ラフな服装をした夜型人間。女好き。
 模範的なアウトローで、好き放題生きているが極力まっとうな方たちに迷惑をかけないように不良生活を満喫している。不良になりたいから悪ぶっているのではなく、好きな生き方が不良っぽかっただけ。志貴が周りの為に輪の外に出るのに対し、有彦は自分の為に輪の外に出る。
 刹那的な恋愛観を持ち、気に入った女は即口説くようで、女友達はたくさんいる。好感と愛情を区別しており、快楽としてのセックスと愛情としてのセックスを実践している。だが愛情としての行為はいまだ数回しかしていない。こういったことから女癖が悪いという噂があるが、遊び相手に対しても真摯に真面目に向き合うため、別れた女の子達からの評判はいい。別れても相手を幸せにするタイプ。
 数日だけシエルの元から逃げ出してきたセブンのマスター(仮)になったことがあるが、そのときセブンに欲情して襲いそうになった。
 両親と祖母は以前住んでいたマンションの倒壊事故で死亡しており、幼いころから姉の一子と二人暮しをしている。そのため成熟した人生観を持つ。


乾一子(人名)
 10月10日生まれ。A型。身長169p。体重50s。B86 W57 H85。
 乾有彦の姉。愛称はいちごさん。刹那的で退廃的な快楽主義者。煙草はマルボロライト。夜型人間であるという以外は謎。志貴と有彦が知るかぎりで一年ごとに職業が変わり、有彦でさえ職業すら知らない。有彦以上に自堕落でやりたいことだけをやるタイプだが、立派に自立したオトナの女性。普段着はいつものワイシャツとドレスしか持っていないという徹底ぶり。
 気に入った人に自分のお気に入りの小物を無理やり押し付ける、変わった愛情表現をするひと。何かいいことがあると志貴におみやげをくれる。
 恋愛に関しては実にずぼらで、面倒なことはみんな相手まかせにしていつもつまらなそうにしている。
 芸術家肌で、やりたいこと以外の行動はすべて面倒なことだと思っている。食事なんかもっと簡単にならないもんかねー、などとよく志貴にぼやいているとか。こんな不精な性格ながら、決めるときはびしっと決める。
 遠野志貴のことを有間と呼び、気に入っている。志貴は中学時代から乾家に入り浸っていたため、一子とも面識がある。というか頭の上がらない存在。


犬神(用語:氷室の天地)
 中国、四国、九州地方の農村地帯でいう憑き物。沖縄ではインガメという。
 突然人に憑く場合と代々家系に憑く犬神持ちとがあり、ほぼ狐憑きと同じ特徴が語られる。犬神に憑かれると様々な病気となり、発作を起こして犬の真似をするなどという。これは医者では治せず、呪術者に頼んで落としてもらう。徳島県では犬神に憑かれた者は驚くほど飯を食うようになり、死ぬとその身体に犬の歯型がついているという。また人間だけでなく牛馬に憑いたり、鋸に憑いて使い物にならなくすることもある。
 犬神持ちや犬神筋とは犬神がついた家系のことを言い、愛媛県では常に家族と同じ数の犬神がいるとされ、家族が増えると犬神も増える。犬神持ちの家系の者が嫁に出た場合は嫁ぎ先に憑いて行き、たちまち実家の犬神と同じ数になるという。犬神持ちの家族の者が他家の物を欲しいと思えば犬神がその家に行って品物を奪ったり、あるいはその家の者に憑いて病気にしたりする。
 犬神の正体は鼠の様な小動物とも、白黒斑の鼬の様な動物、赤と黒の斑がある掌に乗るほどの犬などとも言われる。愛媛県周桑郡での犬神は鼠の様なもので、家族には姿が見えるが他人には見えないという。不従順で時折家族の者にさえ噛み付くことがあるという。
 犬神の由来については、源頼政に退治された鵺の身体が四つに分かれて飛び散り、それが落ちた土地に犬神が生じたとか、弘法大師が猪避けに描いた絵の犬が飛び出て犬神になったなどの話がある。
 犬神の作り方は、飢えた犬を頭だけ出して地中に埋め、餓死寸前の時に食べ物をぎりぎり届かない場所に置いて犬が首を伸ばしたところで首を刎ね、その首または怨霊を祀り上げるというものや、多くの獰猛な犬を戦わせて勝ち残った一匹に魚を与え、犬の首を切り落として残った魚を食べるというものなどが伝えられている。
 2年生の時の文化祭における陸上部の出し物について氷室鐘、蒔寺楓、三枝由紀香が話し合っていたのを後ろから聞いていた沙条綾香が、フォアグラやキビヤックを作る話から犬神の作り方を連想して三人に聞かせた。


イヌシエル(人名:ネコアルク)
 イヌ精霊サイドの代行者。イヌ精霊たちの間では「イヌシエルに狙われて来期を迎えたカレー屋はない」と言われるほどのハンター。犬だけに狩猟は得意分野らしい。
 ネコアルクとは旧知の間柄らしいが、本人たちは頑なに関係を否定する。というか、本気で一秒後には忘れていそう。
 ネコアルク-THE MOVIE-はイヌ精霊との戦いを描いたものではないため活躍の機会はゼロのはずなのだが、映画を観終わった後はなぜかイヌシエルの勇姿が脳裏にこびりついて離れない。サブリミナル。
 なおサブリミナルは1980年代から1990年代前半までのアニメ作品ではお遊びとして用いられていたらしい。ちなみに現在では『見て気付かないものが無意識領域に届くはずがない』という意見が主流で、サブリミナルによる刷り込みは心理学的に有効と認められていないようだ。
 それでもサブリミナルを用いた番組やCMが禁止されたのは、サブリミナル効果が有効だと認められたからではなく倫理的に問題視されたからであるらしい。


イマヒサ(人名:hollow)
 ギルガメッシュの取り巻き。ギルガメッシュの金ぴかの竿を褒め、アーチャーの竿をけなしたことでガリガリさんをおごってもらった。


イリヤスフィール症候群(用語:ネコアルク)
 世界を脅かした正体不明のウイルス。保菌者に噛まれることで感染するため、現代の吸血鬼病とも呼ばれている。症状が末期まで進んだ者をウェアキャットとも呼ぶ。
 感染した者は頭部に生体アンテナが生え、なんか全体的にまろやかになる。感染者同士の結びつきは異様に高く、ともすれば感染していない人間に激しい敵意を持ち、争いに発展することも少なくない。
 症状が進行するに従って人間離れした身体機能を発現させ、感染者を増やすために街を徘徊しだす。
 ネコアルク-THE MOVIE-はこのウイルスへのワクチンを巡る戦いといっても過言ではないだろう。
 病名はネコ嫌いで有名な独立小国の女王から取られている。


イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(人名/ホムンクルス)
 Illyasviel von Einzbern。
 身長133p。体重34s。B61 W47 H62。
 ドイツ出身。無邪気ゆえに残酷。第五次聖杯戦争のマスターで、バーサーカーと契約する。魔術回路を人間にしたモノ。聖杯になるために作られたホムンクルス。
 アインツベルンを裏切って自分を捨てた(と思い込んでいる)衛宮切嗣と、その養子の衛宮士郎に復讐しようとする。精神的に幼いため、ヘタに怒らせると殺される危険がある。
 彼女の心臓が第五次聖杯戦争の聖杯の器となる。母アイリスフィールよりも洗練された聖杯の器であり、アイリスフィールが内臓に器を溶け込ませていただけだったのに対し、追加の魔術回路を外装として被せることにより肉体そのものを聖杯の器としている。聖杯の器としての容量はサーヴァント四人が限度で、それ以降は人間としての機能不全を起こしていく。その容量不足を補うためにいるのがリーズリットとセラ。
 ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルンと同型機のアイリスフィール・フォン・アインツベルンの卵子と衛宮切嗣の精子から生まれた娘。ホムンクルスの母胎から魔術師の精を受けて産み落とされた錬金魔術の集大成。第四次聖杯戦争の八年前に誕生した。第四次聖杯戦争の時点でセイバーと面識があった。
 第五次聖杯戦争においてセイバーが彼女に対して容赦なかったのは、アイリスフィールから娘の名前をしっかり聞いていなかったことと、彼女の外見年齢がアイリスフィールの娘にしては幼すぎることから、イリヤスフィールをアイリスフィールとは無縁のアインツベルン製ホムンクルスと認識したため。
 ホムンクルスでありながら人間であり、一段階上の高次生命でもある。ホムンクルスから見れば奇跡以外の何者でもない存在で、他のホムンクルスとは違い赤子から今の姿まで成長した。しかしアイリスフィールの胎内にいるときから魔術的な処置を受けていたため成長が極めて遅く、第二次性徴を前に止まってしまった。さほど長くは生きられない。
 生まれてから魔術を習ったのではなく、生まれつき魔術を習得している。彼女の魔術は理論を飛ばして結果を出すというもので、小規模な聖杯というか、彼女の望みが彼女の魔力で可能ならばその方法を知らなくても実現できる。
 令呪は人間としての機能がないインダストリアルなもの。イリヤスフィールの場合、令呪が即ち魔術回路であるため、魔力の生成は令呪起動と同義である。
 魔術師ではないため魔術師と比較するのは難しいが、サーヴァントを使役するマスターとしての能力は歴代のマスター中最高で、全身に刻まれた令呪とあいまって聖杯戦争の2ヶ月も前、聖杯がサーヴァントを呼び出す前にヘラクレスをバーサーカーとして召還し、聖杯のバックアップなしに現界させ、従えるほど。バーサーカーの召還には大聖杯に溜まっていた魔力を流用した上、アインツベルンならではのチート行為を併用したのだが、この成功はアハト翁でさえ予想外であったらしい。
 聖杯戦争のために来日し、冬木市郊外のアインツベルンの森に建つアインツベルン城でバーサーカーとリーゼリット、セラとともに暮らしている。
 辛いものと納豆と猫と寒いところが苦手。雪と衛宮士郎のエプロン姿が好き。同じ聖杯の器である間桐桜が嫌い。祖父直伝の間違った日本観を持つ。料理では卵焼きが得意だが、彼女がトーストを焼くとガリガリになる。衛宮切嗣と胡桃の冬芽探しをしていたとき、切嗣は普通の胡桃しか知らないイリヤを尻目にサワグルミやノグルミなどをカウントしていた。そのため胡桃の種類に詳しい。滅多に泳がないが水泳は得意中の得意で、その気になれば荒波の中でも泳げる。セラに教えたのはイリヤで、その過程で知識でしかなかった水泳が上達した。
 一日の半分は睡眠で、もう半分は優雅で出来ているらしい。イリヤにとっての睡眠とは人間にとっての睡眠ではなく、定期的な機能停止。
 衛宮邸に遊びに行くときは自分で自動車を運転してくる。その車とはメルセデス・ベンツェ300SLクーペ。


色の階位(用語)
 魔術協会が位階とは別に、特別な存在となった魔術師に与える称号。
 最高位は三原色である赤、青、黄。それに合成色である橙、紫、黒と続き、後になるほどランクが下がる。一色につき一人という決まりはなく、偉大な魔術師や特異な才能を持つ者には色の階位は惜しみなく与えられる。


因果線(用語/魔術)
 ライン。
 魔術師とその使い魔を繋ぐもの。これで結ばれた使い魔には主人の能力の一部が付与される。


飲血鬼(俗称)
 死徒二十七祖の十三位、ワラキアの夜(タタリ)の俗称。大量の血液を摂取することから。


淫虫(用語:Fate)
 間桐臓硯が飼っている蛭めいた虫。人間の血液、精液、骨髄を好む魔物。
 男にたかれば背骨を砕き、脳を吸って廃人にする。女にたかれば神経のみを侵すように変態し、人体の隅々まで触手を伸ばしてひたすらに精を貪り尽くす。
 淫虫は女の肌をその粘液で刺し、濡らし、肉ではなく精神、快楽中枢を高揚、崩壊させて飢えを満たす。女の肉は食わないが、その子宮が好物である。肉を好まない淫虫が子宮に至る道は一つである。脳神経を焼ききるほどの快楽を与えながら胎盤を食い尽くす。そのため、淫虫にたかられた女は心と体を完全に破壊される。
 間桐慎二はこれによって間桐桜の令呪から偽臣の書を作っていた。


インドネシア仮面(人名:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会におけるセパタクローの決勝戦に乱入しようとした謎の仮面の人物。正体は蒔寺楓。


インビジブル・エア(対人宝具・魔術)
 →風王結界。



  


ヴァジュラ(宝具:Fate)
 古代インド神話における雷神インドラの神格象徴の一つ。インドラはもともとアーリア人から伝わった現象で、ヴァジュラは正式にはヴィジャヤと呼ばれる。時代が仏教に移り変わった折に帝釈天と名を換えた彼の神格象徴も名を変えることになった。ヴァジュラとは仏教の神々が持つ金剛杵の意。
 ダディーチャ聖仙の骨を元に工芸の神トヴァシュトリが作ったとされる。またインドラの雷を具現化したものだという解釈もある。インドラは悪龍ヴリトラとの決戦でこの武器を使用し、ヴリトラを倒したと伝えられている。
 一度限りの射出宝具で、ダメージはB+に相当する。使用者の魔力に関係なくダメージ数値を出すお手軽兵装。


ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム(人名/死徒)
 ヴァン=フェムの本名。


ヴァン=フェム(人名/死徒)
 Van-Fem。
 死徒二十七祖の十四位。最古参の三人のうちの一人。魔術師上がりの死徒。財界の魔王。俗称、魔城のヴァン=フェム。本名ヴァレリー・フェルナンド・ヴァンデルシュターム。
 精巧さにかけるものの巨大な物を作ることにかけては最高の人形師。七大ゴーレム『魔城』を想像する。
 以前、白騎士フィナ=ヴラド・スヴェルテンと戦争になったおり第五城マトリを幽霊船団、パレードによって攻め落とされてからはアルトルージュ派を嫌っている。トラフィム・オーテンロッゼは古いといって離反し、トラフィムとの関係は最悪。
 人間社会に関心を持ち、第一次大戦後から吸血手段を用いずに勢力図を増やしていくという試みを始めた変わり者。世界有数の巨大財閥のトップであり、闇の世界ではなく財界に君臨する魔王と呼ばれる。ここ数百年の趣味はエコロジー。瑣末事を好む。地球環境を憂えたりするあたり、わりと俗人。
 この頃はモナコにビルを構え、週に一度はカジノ船で人々の挑戦を受けているのだとか。
 アルズベリを発展させるために出資した。


ヴィア・エクスプグナティオ(対軍宝具:Zero)
 →遥かなる蹂躙制覇。


ウィッチクラフト(魔術)
 陰性の魔術。旧セイバー曰く『婉曲な嫌がらせ』。


ヴィマーナ(宝具:Zero)
 第四次聖杯戦争においてアーチャー(ギルガメッシュ)が使用した飛行宝具。黄金とエメラルドで形成された光り輝く舟。水銀を燃料とする太陽水晶によって太陽エネルギーを発生させて駆動し、思考と同じ速度で天を駆けるとされる。玉座は収納可能。操縦桿も玉座の手前に収納されているが、王の財宝の邪魔になるため使用していない。
 バーサーカーが強奪したF-15Jの追尾性の焼夷兵器にまで凶悪化したフレアによって撃墜された。
 ヴィマーナとはバビロンから散逸したあとに古代インドの二大叙事詩『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』に記述されている名称であるため、本来の名称ではない可能性がある。


ウイルスバスター(用語:MBAA)
 琥珀がまききゅーX廃棄用に作ったもの。メカヒスイが滅菌用に搭載している。


ウインチェスター事件(用語:hollow)
 遠坂凛が時計塔に行くにあたり貫禄をつけるために、アインツベルン城の三階で宝石剣キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグのミニチュアのミニチュアである平行世界からの波を観測するペンダントを作ろうとした際に大失敗して起きた事件。凛はそのままでは封印指定を受けかねないのでねじれを直すため自ら時計塔に行った。
 それは武器として加工していない特異点を解放したもので、厳密には『冬木市で起こりうる可能性がすべて引き寄せられた世界』になりかけた。実際には不思議の国のアリスよろしく童話のような命を賭けた迷路城脱出ゲームだった。
 色々な童話や寓話と溶け合ったアインツベルン城から脱出するというもので、男女一組のカップルになって童話をなぞらえることで脱出できるのだが、衛宮士郎だけはそのルールに気付かずに真面目に脱出を図ったらしい。
 それにより間桐桜に借金してまでそろえた資料や機材もすべてパーになった。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン曰く命があるだけでも化物とのことだが、凛は通帳を見て完全に生ける屍と化した。
 その後、十月になってもアインツベルン城の三階は危険らしい。
 なお、ネーミングのもとはウィンチェスター邸からきている。これは稀代の名銃といわれたウィンチェスターライフルの原型を作ったオリバー・F・ウィンチェスターの息子ウィリアム・ワート・ウィンチェスターの夫人であるサラ・パーディー・ウィンチェスターが、ウィンチェスターライフルで殺された人々の怨念から逃れるため(封じるためともいわれている)その屋敷に無秩序な増改築を繰り返したもの。
 39年間絶え間なく増改築を繰り返され、サラが死去した1922年にようやく建築が終了した。最初は八部屋だったが、最終的には160部屋、2000枚のドア、10000以上の窓を備えた迷宮になっていた。
 現在は観光地となっているが、地図を持ったガイドがいないと確実に迷う上に、構造や建具の配置が滅茶苦茶であるため非常に危険である。


ウェイバー・ベルベット(人名/魔術師)
 Waver Velvet。
 身長157cm。体重50kg。血液型B。10月3日生まれ。第四次聖杯戦争の時点で19歳。
 第四次聖杯戦争におけるライダーのマスター。令呪は右手の甲に現れた。英語しか喋れない。推察と要点の整理が得意。パズル全般と推理小説が好きで腕力が苦手。自分が天敵。大男が嫌い。
 ベルベット家の三代目で、家系で初めて本気で魔道の探求に乗り出した。しかし母親は魔術師社会のヒエラルキーを鬱陶しく思っていた節があり、息子が本格的な師について魔術の教導を受けることに難色を示していた。しかしウェイバーが魔術に傾ける愛顧は強く、両親が病没した途端に家財一式を擲って入学資金を捻出し、裸一貫で時計塔に乗り込む。
 魔術の腕前はどこまでも平凡だが、ほとんど独学で魔術を学び時計塔に招聘された自分を時計塔開闢以来の天才だと思い込んでいた。そのため構想に三年、執筆に一年をかけた論文『新世紀に問う魔導の道』をケイネス・エルメロイ・アーチボルトに提出したのだが、斜め読みしただけで破り捨てられた。
 時計塔での苦労と挫折に腹を立て、己の力を証明するためロード・エルメロイ宛に送られてきた征服王イスカンダルの聖遺物を盗んで聖杯戦争に参加した。しかしサーヴァントシステムについてよくわかっておらず、サーヴァントを通常の使い魔の延長と思い込んでいた。サーヴァント召喚の場所は冬木市深山町の雑木林の奥の空き地。サーヴァント召喚の際には昂奮のあまり射精しそうになった。
 幼い頃から本を手にすると時間を忘れる気質で、テクストを読み解いて把握する能力については誰にも負けないという自負がある。だが時計塔では調べ物に便利な見習い司書としてこき使われるだけだった。速読ができる。
 魔術を実践する素養はないが、研究者としての観察力・洞察力には際立った才能がある。ランナーで喩えるなら、脚力はからきしだが理想の走行フォームを思い描くことは出来るというようなもの。選手にはなれないが、コーチとしてはその才覚を遺憾なく発揮できる。
 誰にも顧みられることもなく、物心ついて以来賞賛を受けたことはなかった。それだからこそ、第四次聖杯戦争においてライダーに師のケイネス・エルメロイ・アーチボルトよりも自らの主に相応しいと認められたことがとても嬉しかった。
 第四次聖杯戦争中に契約していたライダーの過去を夢に見て、あまりにも雄大で強大なライダーと未熟な自分の格差に悩み始めた。だがライダーは彼が自分の小ささを自覚していることが即ち覇道の芽吹きである、よってウェイバーとの契約は快いと言い放った。
 キャスター戦後のライダーの極度の消耗に丸一日経って気付き、栄養ドリンクや鰻玉丼を摂ってライダーの召喚場所でひたすら寝るという方法で魔力を与え、回復させた。
 魔術の心得のないグレン・マッケンジーに対する暗示さえ満足にかけられず、第四次聖杯戦争中にその暗示が解けてしまった。
 第四次聖杯戦争の二週間で自分がいかにちっぽけであるかを思い知り、三画の令呪を一度に使いライダーに『最後まで勝ち抜け』『聖杯を掴め』『世界を掴め』と命じて自由にする。だがライダーはその行き過ぎた卑下を『マスターでなくなっても朋友であることに違いない』と一蹴し、ともに決戦に臨む。
 アーチャーとの最終決戦の際に征服王イスカンダルの臣下となり、その夢を後世に伝える務めを負う。ライダーの敗北後、アーチャーに『ライダーのマスターか』と問われるが『イスカンダルの臣下だ』と答え、並びに『忠臣ならば王の仇を討つ義務があるのでは』と問われるも『生きろと命じられた』と不屈の精神を以て答える。その姿はギルガメッシュを以てして「忠道、大儀である」と言わしめた。
 第四次聖杯戦争終結後、旅をする資金を溜めるためマッケンジー邸に逗留したままアルバイトを始める。それからライダーが買ったきり手付かずのままだったアドミラブル大戦略Wをプレイした。
 第四次聖杯戦争の後は当主のケイネス卿が戦死し、いろいろあって没落しかけたエルメロイ派(アーチボルト家)の復興に尽力。事が落ち着いたあと、『アーチボルトを持ち直した男』『新なるエルメロイ』としてロード・エルメロイU世と呼ばれることになった。


ウェイバー・ベルベットの祖母(人名:魔術師)
 魔術師の家系であるベルベット家の初代。
 魔術師といっても、さる魔術師の愛人としてピロートークついでに初歩魔術を習ったに過ぎない。


ウェイバー・ベルベットの母親(人名:魔術師)
 魔術師の家系であるベルベット家の二代目。
 初代である彼女の母はさる魔術師の愛人としてピロートークついでに初歩魔術を習ったに過ぎず、二代目となった彼女も「ママの思い出を大事にしよう」程度の覚悟で秘蹟を継承したため、本気で魔導の探求に乗り出したのは息子であるウェイバーの代から。そのため魔術回路の数も魔術刻印の質も、ともにお粗末極まりない。
 魔術師社会のヒエラルキーを鬱陶しく思っていた節があり、息子が本格的な師について魔術の教導を受けることに難色を示していた。
 ウェイバーが15歳になる以前に病没。


ヴェステル弦楯騎士団(組織)
 リーズバイフェ・ストリンドヴァリが団長を務めた聖堂教会の騎士団。MELTY BLOODの三年前(Actress Againの四年前)のタタリに挑んで壊滅した。


上姉様めくり中パンチ(用語:AATM)
 ステンノの技。


ヴェルグ・アヴェスター(宝具:hollow)
 偽り写し記す万象。アヴェンジャーの宝具。受けた傷を相手に返す、最もシンプルな報復の呪い。よって攻撃を受けなければ攻撃できない。
 魂に傷を写すのでアヴェンジャーの傷が治らない限りその痛みは消えず、そのため痛みを受けるが傷は受けない。またアヴェンジャーの傷がなくなるわけではない。
 発動条件は一人の相手に一度きりの使用であり、呪いを行う術者が死亡していないこと。これさえ揃えば相手の魔力抵抗に関係なく成立する。なお、自動的なものではなく術者が発動させる呪術。


ヴェルデ(地名:Fate)
 新都の川沿いにある喫茶店。メニューには日本語訳もついているが、値段はかなり高い。第五次聖杯戦争の一年後には閉店し、跡地には映画館ができている。


ヴェルデ(地名:hollow)
 駅前にある新都最大の百貨店。書店、日用品店、衣料品店、食品店、模型店、アミューズメント施設、レストランなどが入っている。
 地下の食品売り場の隅の軽食スペースが柳洞一成のお気に入り。


ウォータープルーフパック(用語:Ladies in the water)
 琥珀特製の防水パック。水溶性である超日焼け止めに塗り重ねることで水中でも落ちなくなる。屋内で開封することは危険なので使用は必ず屋外で、しかも周囲に人がいないことを確認してからでなければならない。
 価格は超日焼け止めとウォータープルーフパックのセット二人分でリーズバイフェ・ストリンドヴァリの一週間分の給金。これでも大いにまけた額。


ウォータープルーフパックを落とす薬(用語:Ladies in the water)
 琥珀特製のウォータープルーフパックを落とすために必要な薬。これは毒ではなく舐めても平気だが、衝撃を与えるとプラズマを伴い爆発する。


ヴォールメン・ハイドラグラム(礼装:Zero)
 →月霊髄液。


WAR WORLD Z(用語:氷室の天地)
 氷室鐘が所有する小説。ゾンビもの。
 氷室が読んだあと、三枝由紀香に貸し出されて彼女と弟たちが読んだ。読みたがっていた蒔寺楓に貸し出されたかは不明。
 装丁や内容など、マックス・ブルックス著『WOLD WAR Z』に酷似している。これはゾンビ戦争後の国連戦後委員会報告書を編纂するに当たり、その取材に当たった一人の委員が自分の原稿の半分(主に内面に踏み込んだ部分)が削除されていることに憤り、その原稿を元にまとめた多くの人々から聴取した回想談となっている。


牛股(人名)
 穂群原学園2年D組の生徒。なんだか死狂いな漫画のような人物。球技大会では出崎、藤木とともにセパタクローに出場し、三位だったが2-Aチームと2-Cチームが乱闘で失格になったため繰上げ優勝。


鰻玉丼弁当(用語:Zero)
 コンビニ弁当の一種。第四次聖杯戦争中にウェイバー・ベルベットが購入した。


雨生(家名:Zero)
 うりゅう。かつての魔術師の家系。現在では子孫にすら忘れ去られていたが、魔術回路がなくなったわけではない。土蔵に慶応九年に記された聖杯戦争に関する古文書があった。


雨生龍之介(人名:Zero)
 うりゅう りゅうのすけ。
 身長174cm。体重65kg。血液型B。1月31日生まれ。
 軽妙なトークと証拠隠滅が特技。退屈が好きで家族愛が苦手。
 明朗快活。他人の心情の機微をよく読みつつも細かいことには拘らず、常にポジティブで建設的。失敗にめげず、持ち前の探究心と好奇心の旺盛さで人生を精一杯に楽しむ好青年。ただし趣味は拷問、殺人、死体遺棄。夜の街では洒脱で剽軽、それでいてどこか謎めいた居住まいから醸し出す余裕と威厳は魅力となって女性を惑わした。その成果を彼は酒の肴の感覚で愉しみ、本当に気に入った女性については血みどろの肉塊に変えてしまうこともしばしばだった。
 第四次聖杯戦争の頃、冬木市を恐怖に陥れた猟奇殺人鬼であり、第四次聖杯戦争におけるキャスターのマスター。令呪は右手の甲に現れた。連続殺人鬼としての異名は『冬木の悪魔』。キャスターを敬意を込めて『旦那』と呼ぶ。学生時代に漢書を齧ったことがある。キャスターと意思疎通が成立していることから、Aランク相当の精神汚染スキルを持っていると思われる。
 倫理観を全く持ち合わせていない破綻者。『死』というものを知りたかったがために殺人鬼になり、人を殺す際にはその『死』を時には半日以上もかけて徹底的に堪能する。そのためスプラッター映画を軽蔑していた。普段はしゃべるのも億劫なほどだが、血を見ると、そして死に瀕した者の前に立つと人が変わったように饒舌になる。
 別段幼少期に性格を歪ませるようなトラウマがあったわけでもなく、彼の悪性は持って生まれたものというほかない。同様に悪性を持って生まれながらも既存の道徳観念を受け付けられた言峰綺礼とは違い、道徳観念を持たない彼は自らの欲求を満たすことに何の躊躇も忌避も抱かなかった。
 動物番組で豹を見てその優雅な身のこなしに魅せられてから豹のイメージを自意識として持ち合わせるようになり、必ず衣服のどこかに豹柄をあしらうようになった。また琥珀色の猫目石の指輪と本物の豹の牙のペンダントも常に持ち歩いていた。第四次聖杯戦争中に着用していた豹柄は靴。
 動物愛好家でサファリパークや自然科学系の特番などが大好き。ただし残虐行為の対象として愛でるのはヒト科ヒト目に限られる。鮫や肉食獣には憧れはするものの生まれ変わりたいとまでは思っていない。なぜなら人間を狩る上で最も巧みなハンターは人間だからである。
 神を信じているが、それはごく一般的な宗教観ではなく、『世界の書き手』としての神であり、彼にとっては涜神も礼賛も等しく崇拝である。
 第四次聖杯戦争の五年前に姉を殺害し、家人にも放棄された土蔵の中に隠したのが最初の殺人。キャスターを召喚する以前で既に42人も殺害しておきながら龍之介は一度として捜査線上に上がらず、警察の捜査は全て迷宮入りのまま、一部についてはそもそも殺人事件として立件すらされていない。計画性皆無の快楽殺人鬼でありながら証拠隠滅と操作攪乱の手際は卓越しており、プロの暗殺者になれば伝説的存在になれたかもしれない逸材である。だが当人は趣味と実益に一線を引く主義だったため、犠牲者の金品にも一切手をつけることなく、平素は地味なアルバイトを転転として生計を立てていた。
 姉の死体を隠した実家の土蔵で慶応九年に記された聖杯戦争に関する古文書を見つけ、それに従った儀式殺人を思い立つ。三回までは被害者の血液が尽きたために魔法陣を描くことが出来ずに失敗したが、四回目で四人家族のうち三人を殺害したことで魔法陣を描くことに成功し、しかも適当に呪文を詠唱していた彼自身忘れ去られた魔術師の血統に連なる者だったためにキャスターを召喚し、わけも分からぬ間に契約する。彼にとっては青髭と名乗るキャスターの殺人の美学に惚れ込んだためであった。
 キャスター召喚の場所は冬木市内の住宅街にある家のリビングルーム。
 第四次聖杯戦争中にはキャスターの助力により人体を使った工作を以前よりものびのびと行っていた。だがマスターでありながらあまりにもおおっぴらに誘拐、殺人を行ったために監督役の言峰璃正により他のマスターに対して龍之介とキャスターの粛清が命じられた。
 キャスターが大海魔を召還した際に未遠川の川縁で群集たちとともにそれを見物していたが、その最中に衛宮切嗣の狙撃により死亡。腹を撃たれたときに探していたモノを見つけ、笑って死んだ。


雨生龍之介の姉(人名:Zero)
 第四次聖杯戦争の五年前に龍之介によって殺害され、遺体は土蔵に隠された。



  


エアバスA300(用語:Zero)
 エアバス・インダストリー社が開発した旅客機。双発のワイドボディ旅客機で、300とは客席数を表している。1972年10月28日に初飛行。3メンクルー機。
 原型機であるA300B1が二機造られ、それをもとに量産機のA300B2が、続いて航続距離延長型のA300B4が造られた。さらにA310の技術を取り入れたA300B4-600(通称A300-600)が造られたが、一般的にA300と呼ばれないので本項では割愛する。
 A300B1は220kNの推力を得られるゼネラル・エレクトリックCF6-50Aエンジンを搭載したもの。最大離陸重量132,000kg、座席数259。
 A300B2は227kNおよび236kNの推力を得られるゼネラル・エレクトリックCF6かプラット・アンド・ホイットニーJT9Dエンジンを搭載したもの。全幅44.84m、全長53.62m、全高16.53m、乗客数最大345名、最大巡航速度848km/h、航続距離1,850km。
 A300B4はB2の航続距離延長型。全幅44.84m、全長53.62m、全高16.53m、乗客数最大345名、最大離陸重量165,147kg、最大巡航速度848km/h、航続距離4,070km。
 オッド・ボルザークがパリ発ニューヨーク意味のこれに搭乗しており、ナタリア・カミンスキーがボルザークを殺したが、ボルザークの死徒蜂によって乗客乗員の全てが食屍鬼となってしまい、衛宮切嗣によってナタリアごと撃墜された。


永久機関ともいえる生命種(用語:月姫)
 深海に棲息している。
 ネロ・カオスの言葉によれば複数おり、知性を持っていない。ミハイル・ロア・バルダムヨォンの記憶によれば、それは海月などの群体。自らの体を食料とし、それを糧に繁殖する。古くなった細胞は栄養となり、新しい細胞を作る。ただしこれは知性という余分な機能を持たないがための永久機関であり、知性を持たないでいいというのならそれは死をもって永遠とすることと何ら変わりないというのがロアの考え。


詠唱(用語・魔術)
 魔術を起動させるための動作。呪文を唱えるだけではなく、身振り手振りといった動作も含まれる。
 詠唱の中でも呪文は特に術者や流派ごとのアレンジの自由度が高く、守るべき法則さえ押さえておけばあとは自分の使いやすいようにアレンジできる。
 一工程(シングルアクション)は指差しや歯鳴らしなどの一動作、または魔力を通すだけの詠唱で、瞬間的に魔術を発動できる。指差しで起動するガンドや視ることで起動する魔眼が含まれる。必要時間は一秒以下。
 一つの事柄を自身の中で固定化する一小節は呪文を用いる詠唱で、どんなに早口で行っても最低一秒はかかる。これを二つ並べると二小節、三つで三小節とどんどん長くなっていき、当然一小節増えるごとに約一秒ずつ時間も延びていく。
 遠坂凛の『Es ist gros, Es ist klein』(身体の軽量化と重力調整)が一小節であり、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの『shape ist Leben』(針金使用)が二小節であることから、小節とは文章の長短ではないと思われる。衛宮士郎、アーチャーの詠唱は五小節以上のほとんど瞬間契約に近い長詠唱。
 瞬間契約(テンカウント)瞬間契約は本来ならば何時間もかかる契約を簡易的に成立させるもの。詠唱としては十小節以上を行うことになるため、瞬間契約といっても十秒ほどはかかる。
 魔術を引き出すための最低限の韻を踏んでいれば細部の味付けは術者によって異なり、長く詠唱するほうがより深く自己暗示をかけられるので威力は増大する。
 身体に刻み付けた魔術の性能に差はないが、詠唱でどれだけ自己の中の魔術を引き出すかによって効果に差が出る。
 高速神言はそれ自体が“神言”であるので詠唱の括りにとらわれないが、敢えて適用するなら大規模な魔術を一小節で発動できるうえ、その一小節は一工程と同じかより早い。
 大規模な魔術になると魔術式の起動に儀式や契約が必要となるが、こうなると無数の工程や小節を含むため詠唱としては扱わない。


詠鳥庵(地名:氷室の天地)
 エイドリアン、ではなく、えいちょうあん。
 蒔寺楓の実家である老舗呉服店の屋号。瀬戸内で海賊をしていた祖先が鳥の詠に導かれて呉服屋に転じたことが由縁。広大な敷地と相当数の従業員を抱えている。なぜか墓石のパンフレットも備えている。
 先祖の行いの報いか祟られており、家屋の長い廊下が夏になると雨も降っていないのにたまに濡れる事がある。そんなこともあって蒔寺楓は怖い話が大の苦手。
 なお鳥の詠とは以下の様なもの。

 かいぞくの
 るてんもおわり
 いくせいそう。
 てんからきたりて
 つげしとり。
 しまからしまへ
 るろうのはてには
 えいちょうあん。


英雄(用語)
 偉大な功績をあげた者。真偽問わず、伝承の中で活躍し確固たる存在となった超人。
 自らの力のみで英雄になる方法と、世界(阿頼耶識)と契約してその力を借り受けてなる方法がある。前者ならば死後も何者にも囚われることはないが、後者ならば死後、抑止力として行使される英霊になる。前者でも英霊にはなるが、抑止力として行使されることはない。


英雄史大戦(用語:氷室の天地)
 世界中の英雄、偉人、悪漢で闘うオンラインカードアーケードゲーム。プレイヤーは任意で5枚のICカードで自軍を編成してテーブル型読み取り筐体の上に乗せて操作し、敵陣を攻略するのが目的。
 後にDC3で家庭用ゲーム機版が発売される。美綴綾子が購入したDXパックは、専用マットの上で操作用擬似カードを動かし、テレビに付けたカメラが擬似カードの動きをキャッチしてゲームに反映するという方法で、アーケード版と同じ操作感覚を実現している。


英霊(用語)
 人間の守護精霊。人間から輩出された優れた霊格。生前偉大な功績をあげ、死後においてなお信仰の対象となった英雄がなるモノ。輪廻の輪を外れて一段階上に昇華したモノ。死後に霊格を昇華させ、精霊、聖霊と同格になった者。
 “人間を守る”力としては最高位で、分類は亡霊ではなく精霊、悪魔、天使に近い。ただし、精霊とは違い中身も人々の理想で編まれている。
 英霊は時間軸を離れた存在で、あらゆる時代に召還され、あらゆる時代から召還される。英霊には伝説上のもの、実在したもの、観測されなかったものがある。真偽は関係なく、伝説としての確かな知名度と信仰があれば具現化する。
 英霊本体を召還できるのは『世界』のみであり、冬木の聖杯戦争で召還されるのはそのコピー(分身)である。サーヴァントを構成する情報(魂)はサーヴァントが死亡すると英霊の座の本体に還り、本体は本を読むようにそのサーヴァントの記録を知ることができる。英霊の座についた時点で、その英霊は抑止の対象が何であるかを知ることになる。
 人が英霊に成るためには、自力で英雄になってから死ぬ以外に、世界と『死後に英霊になるかわりにこの世で英雄にしてもらう』契約をすることで成れる。
 近代兵器をメインとする者は英霊のカテゴリーには含まれにくい。これは近代兵器は強力ではあるが、鍛えれば誰にでも使える物であるためであり、たった一人の存在になりづらいため。近代兵器に身を包んだ英霊がいたとしても、英霊として扱われるのは『鍛えれば誰でもなれるエキスパート』たる所有者ではなく『その時代で最も優れた兵器』そのものが英霊として祭り上げられる。もっともこの場合には兵器そのものに魂が宿らなくてはならない。
 信仰が薄いもの、世界との契約によって英雄になったものは“守護者”という大きな分類に含まれ、意思のない“抑止力”として行使される。Fateに登場する中ではエミヤのみが守護者であり、他の英霊たちは神性が高い、星寄りの存在になっているなどの理由で守護者に取り込まれずに済んでいる。
 守護者には自由意志などなく、ただ“力”として扱われる。人の世を護るために『世界を滅ぼす要因』が発生した場合にのみ呼び出され、これを消滅させる殲滅兵器。人間は自らの業によって滅ぶため、消滅させる『要因』とは人間である。つまり呼び出された土地にいる全ての人間を殺すことで人間全体を救うのである。
 守護者ではない英霊は単純に構成の人々に力を貸す伝承として扱われ、星寄りになった英霊は人間とは相容れないため、神霊、精霊の類となる。
 霊体であるために完成しており、英霊になってからの記憶や召還された後の記憶は持ち得ず、成長もしない。ただし、召還された分身から送られてくる情報は保存される。それは最初からすべての記録が順不同で保存されているようなもの。
 また英霊になった時点で意思を剥奪されるが、サーヴァントとして召還される場合は生前の人間性を取り戻す。大聖杯が『向こう側』への門を開く方法からするとサーヴァントは本体を召還しているので敗北すると英霊の座に還るが、それ以外の方法で召還されたものは分身なので英霊の座の本体に還ることなくそのまま消滅する。しかしサーヴァントも使い捨てクローンであるという記述もあり、本体かどうかの断定は難しい。
 偶然で呼び出されることはなく、召還者と英霊の間には必ず物質的な縁が必要になる。その触媒は必ず召還者側になければならないわけではなく、英霊エミヤのように英霊側にある場合もある。
 口寄せや交霊術は彼らの力の一端を借り受けて行う。サーヴァントに限らず、英霊は全盛期の姿で召還される。ただし何らかの強力な呪いないし本人の執着がある場合は死の直前の姿で現れることがある。
 人間でも令呪を10画近く消費すれば英霊にダメージを与えることができる。


エウメネス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:2、防:8。固有能力は特定範囲を封鎖する『鳥籠』。


エウリュアレ(人名:hollow)
 身長134cm。体重30kg。
 『遠く飛ぶもの』を意味するゴルゴン三姉妹の次女。物語はデュラス(レズ文学)が好き。
 自由奔放な性格、屈託のない仕草、こぼれるほどの笑顔、無垢な言動、どれをとっても理想の少女といわれた女神で、彼女に名を呼ばれただけで男は余りの名誉に身を震わせ、命を賭した守護を約束したという。とことん甘えて男をその気にさせてくれる『可愛い少女』。綺麗なもの、可愛らしいものを無条件に惜しみなく愛し、醜いものを無条件に嫌う。
 が、匿名希望の妹に言わせれば究極の気分屋で、しかもズルいところがあり、黙っていれば怒られない、バレなければイカサマじゃないという考えを持っている。しかも後でちょっと自己嫌悪に陥る、小悪魔小心次姉。ステンノと違い臆病で小心な面があり、大人として成長しているメドゥーサに八つ当たりする事もあった。ライダーの『黙っていれば怒られない』『バレなきゃイカサマじゃない、けどちょっと自己嫌悪』という小心者なところは彼女の影響。
 ステンノとともにメドゥーサの血が好物。
 メドゥーサのような怪力も魔眼もなく、ただ不老不死であるだけのか弱い少女。男たちの憧れが具現化したもので、戦う力はなく、一人では飢えてしまい、誰かの手を借りねば生きられない。
 ステンノとエウリュアレは末女メドゥーサとは違いよく人間を好み、島に訪れた男たちを歓迎し、癒し、新たな冒険に送り出した。が、その実人間という生き物を愛しているのではなく気に入った人間たちが自分たちの言葉に翻弄され、困惑して破滅するのを眺めるのが三度の飯より好きだった。
 その実体は無理難題をふっかけて人間たちが右往左往するのを愉しむ、まさに悪魔のような女神。男好きというよりは人間好きで、人間という生き物を愛しているのではなく、人間が慌てたり困ったりジタバタするのを見るのが好き。そのため人間を超越した気になっている英雄などは大嫌い。
 ステンノとエウリュアレは名前と性格を除き細胞のひとつ、髪の一本まで永遠に同一の存在であり、以心伝心を超えたお互いがお互いを感じあう共同体である。そのため、互いを呼ぶときは『私』と呼ぶ。
 後にメドゥーサは形のない島に攻めてくる人間たちを殺すことに歓喜を覚えるようになり、怪物として成長していった。そしてメドゥーサではなく怪物になってしまったときにステンノとエウリュアレは自ら怪物に身を捧げ、命を絶った。
 AATMではステンノとともにライダーを探してアーネンエルベに訪れる。ライダーは入れ違いに退店していたが、そこで見つけた男に二人で絡んだ挙句ボコボコにする。


AIM-7(武装:Zero)
 航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のディアボロTが搭載していた兵装。通称はスパロー。1946年にアメリカ海軍が開発を開始し、1948年にはAAM-N-2スパローTとして計画がまとめられたが、当時の電子技術の限界から初期生産品は1951年の生産開始から1953年の実験まで一度も目標に命中することはなかった。
 1956年からは改良されたAAM-N-2が実戦部隊に配備されるようになったが、それでも命中を期待できるのは大型で速度の遅い戦略爆撃機くらいのものだった。
 ベトナム戦争ではF-4ファントムの主兵装として運用されたが、熱帯気候における電子機器の信頼性の低下、米海軍の作業員の粗末な扱いによる破損、満足に点検をしなかったこと、攻撃対象が小型高速の戦闘機であったこと、米海軍のF-4が味方のF-4を誤撃墜したことによる目視外戦闘の禁止などにより命中率は一割程度だった。
 湾岸戦争ではベトナム戦争の教訓や電子機器の発達により高い命中率を誇り、イラク軍機を多数撃墜した。
 第四次聖杯戦争においてバーサーカーに奪われた航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のF-15J(ディアボロT)がこれを4発携行していた。

 AIM-7A
 誘導方式:ビームライディング

 AIM-7B
 試作のみ。

 AIM-7C
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー

 AIM-7D
 詳細不明。

 AIM-7E
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:205kg
 速度:マッハ3.7
 射程:44km
 弾頭:39kg連続ロッド

 AIM-7F
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:230kg
 速度:マッハ4
 射程:44〜70km
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7M
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:3.66m
 胴体直径:20.3cm
 発射重量:230kg
 速度:マッハ2.5
 射程:45km
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7P
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 弾頭:39kg爆風破片型

 AIM-7R
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー+赤外線
 弾頭:39kg爆風破片型
 開発中止。


AIM-9(武装:Zero)
 航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のディアボロTが搭載していた兵装。通称はサイドワインダー。1940年代にフィルコ、ゼネラル・エレクトリック、レイセオンによって開発が開始され、現在生産はレイセオンが一括して行っている。
 AIM-9Lより前のモデルは排気熱を感知して追尾するものであったため敵後方からのロックオンしかできず、また単に高温のものを追尾するためフレアの散布や太陽に向って飛ぶことで回避される可能性が高かった。だがL型以降では空気摩擦の熱を捉えるため全方位からのロックオンが可能となり、フレアによって回避される可能性も少なくなった。
 現在米軍では大きく改良を加えたAIM-9Xサイドワインダー2000が配備されている。主な改良点は誘導方式を画像赤外線にすることでフレアをほぼ無効化、発射後ロックオン(LOAL:Lock On After Launch)が可能、射程の増加(一説には40kmとも)、推力偏向ノズルによる機動性向上、ヘルメットを使用してロックオンするシステム(JHMCS:Joint Helmet Mounted Cueing System)により真横の目標をロックオンすることが可能、というもの。
 航空自衛隊はAAM-9Lを導入している。
 第四次聖杯戦争においてバーサーカーに奪われた航空自衛隊築城基地(航空総隊西部航空方面隊第8航空団第304飛行隊)所属のF-15J(ディアボロT)がこれを4発携行していた。

 AIM-9A
 プロトタイプ。詳細不明。

 AIM-9B
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.83m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:70kg
 速度:マッハ1.7
 射程:4.8km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9C
 誘導方式:セミアクティヴ・レーダー
 全長:2.83m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:70kg
 速度:マッハ1.7
 射程:15km
 弾頭:22kg爆風破片型

 AIM-9D
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88kg
 速度:マッハ2.5
 射程:18km
 弾頭:11kg爆風破片型

 AIM-9E
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.00m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:74kg
 速度:マッハ2.5
 射程:4.2km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9G
 E型の海軍向けモデル。このモデルからミサイルシーカーとキャリアの搭載レーダーが連動するようになった。

 AIM-9H(海軍仕様)
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:84kg
 速度:マッハ2.4
 射程:17.7km
 弾頭:11kg爆風破片型

 AIM-9J
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.05m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:77kg
 速度:マッハ2.5
 射程:18km
 弾頭:4.5kg爆風破片型

 AIM-9N
 B型とE型の仕様変更型。

 AAM-9L/M
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88.7kg
 速度:マッハ2.5
 射程:16km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型

 AIM-9R(海軍向け・開発中止)
 誘導方式:可視光CCD
 全長:2.87m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:88.7kg
 射程:16km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型

 AIM-9P
 誘導方式:パッシヴ赤外線
 全長:3.05m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:77kg
 速度:マッハ2.5
 射程:16km以上
 弾頭:12kg爆風破片型

 AIM-9Xサイドワインダー
 誘導方式:画像赤外線
 全長:3.02m
 胴体直径:12.7cm
 発射重量:85.3kg
 速度:マッハ3
 射程:20km以上
 弾頭:9.4kg爆風破片型


AN/PVS04暗視スコープ(用語:Zero)
 衛宮切嗣が使用したワルサーWA2000狙撃銃に装備された暗視スコープ。本来ならば技術漏洩を防ぐために国外輸出を禁止された米軍の最新鋭装備であった。
 月明かりの下ならば600ヤード、星明りだけでも400ヤードの視界を倍率3.6倍で捕捉する。


A氏(人名:hollow)
 二十歳になったばかりの学生で、内向的な性格で引きこもりがちながら高級志向。新都玄木坂四番地、蝉菜マンション十一階二号室に春先に入居した。
 隣人の××家の一家心中をドア越しに無視した。その後、死んだはずの娘の*♯がドアを叩く音に悩まされて、ドアを開けて確かめた彼の前には*♯の死体が――
 という美綴綾子の怪談の登場人物。しかしモデルとなった青年は実在し、一家心中の一ヵ月後に行方不明になり捜索願が出された。


エースウォンバット(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


エーテライト(武装:MELTY BLOOD)
 正式にはエーテル・ライト。
 エルトナム家に伝わる第五架空元素(エーテル)を編んで作られたミクロン単位のモノフィラメント。本来は医療用に開発された擬似神経。生物に接触すると神経とリンクして擬似神経となる。脳髄からは情報を、魂の設計図である霊子からは思考法則を偽造する。また、肉体を操ることも可能。だがそのためには対象の理性・本能といった数々のプロテクトを突破しなくてはならず、使いこなせるのは才能ある者かエルトナムの者だけである。
 相手の思考を読むという機能よりも『知識・経験を共有・複写する』という事柄こそが脅威といえ、エーテライトは非人道的かつ悪魔的な『相手の人生の獲得』としてアトラス院でも忌避されているエルトナム独特の技法である。
 他者の情報中枢への侵入は他者の常識への浸透と同意であり、自己の世界が発達するとハッキングできなくなる。そのためにその使い手であるシオン・エルトナム・アトラシアは自我が希薄。
 その場所の記憶を読み取ることもできる。
 武器としては鞭のように使用することができる。火力不足ではあるが、相手の思考を読み行動を縛るエーテライトは対人戦闘に用いるには一級品。


エーテル(用語)
 魔術協会において第五架空元素。すべての物質の素。
 四大の要素に溶け合い、形を成す為に必要な媒介とされる。単体ではカタチはなく、しかしこれがなくては魔術が成立しない要素。
 魔術師の属性として扱う場合は『空』である。


エーテル(用語)
 第六架空元素?


エーテル塊(用語)
 水粘土。本来は地水火風のいずれかを成すエーテルが不出来な術者によって四大のいずれにもならず、成りそこないとして実体化したもの。
 どんなに手を加えても、どんなに強い魔力で括っても一日でもとの塊に戻ってしまう材質。とても魔力の通りがいい。
 これにはいかなる使い道もない。ある意味で無を作るようなもの。こう言うと魔法のようだが、エーテル塊はそも第一魔法の――――


エーデルフェルト(家名)
 湖の国(フィンランド)の魔術の名門家系で、ガンドの名手を多く輩出する。鉱石を計る天秤。魔術特性は“姉妹”、つまり本来は忌み嫌われるが、後継者が二人いるということである。これが『天秤』の由来。一族に伝わる特性は『転換』。転換の特性を用いた宝石魔術を得意とする。
 第三次聖杯戦争に参加した姉妹(姉)が先代の党首で、現在の党首はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。
 第三次聖杯戦争に当時の当主姉妹が参加したが、彼女らは尋常ではないほど仲が悪く、仲間割れをして早々に退場した。それが原因で日本人、とりわけ遠坂家を毛嫌いしている。なお、その当主姉妹のうち妹は戦死、姉は何とか生還した。
 貴族であるが傭兵のような家訓を持ち、争いごとには喜んで顔を出しておいしいところをかっさらう『地上で最も優美なハイエナ』と恐れられている。


エーデルフェルト姉妹(人名/魔術師)
 第三次聖杯戦争に参加したエーデルフェルトの先代党首姉妹。尋常ではないほど仲が悪く、仲間割れをして早々に退場した。それが原因でエーデルフェルトは日本人、とりわけ遠坂家を毛嫌いしている。なお、その当主姉妹のうち妹は戦死、姉は何とか生還した。
 彼女らがアインツベルンへのあてつけとして森の中に建てた、現在は幽霊洋館と呼ばれている洋館すらほとんど同じものを姉は深山町に、妹は新都に別々に建てた。現在、その洋館そのものは魔術協会に委譲されている。というか、その双子姉妹はよその戦場に出かけては洋館を建てていた。
 第三次聖杯戦争の再現たる四日間によれば、彼女らはセイバー(四日間の中でバゼット・フラガ・マクレミッツが見た姿はアルトリア・ペンドラゴン)をそれぞれ善悪の両面から召還していた。つまりセイバーのクラスのサーヴァントが二人いたということ。また四日間の中では姉妹の容姿はそれぞれ遠坂凛と間桐桜にそっくりであった。


エーテル・ライト(武装:MELTY BLOOD)
 エーテライトの正式名称。


駅前の書店(地名:Zero)
 店名不明。深山町の駅前にある書店。移民の多い土地柄か、洋書コーナーには観光ガイドとペーパーバックだけではなく、小規模ながらそれなりの品揃えがある。
 第四次聖杯戦争中にウェイバー・ベルベットがALEXANDER THE GREATという本を立ち読みした。


駅前パーク(地名)
 新都を代表する歓楽街。駅前という格好の立地条件にあり、ブティックやボウリング場など、遊ぶ場所には事欠かない。海浜公園に並ぶデートスポットで、ここの店は平日休日を問わず開店時間から賑わいを見せる。
 吸殻やゴミのポイ捨ては条例で禁止されており、違反者には罰金が科せられる。


エクスカリバー(対城宝具)
 →約束された勝利の剣。


エクスカリバー(対城宝具:Fate)
 黒化したセイバーの宝具。
 →約束された勝利の剣。


エクストリームアイロニング(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の年の穂群原学園の体育祭での特別三枠に採用される可能性があるとして蒔寺楓が出した。
 人里離れた場所でアイロン台を広げて服にアイロンを掛けるエクストリームスポーツ。このスポーツのプレイヤーはアイロニストと呼ばれる。
 行う場所としては、クライミングを伴う山の斜面や、森、カヌーの上、スキーやスノーボードの最中、大きな銅像の頂上、大通りの真ん中、スキューバ・ダイビングをしながらなどがある。
 極限状態の場所で平然とアイロン台を出し、涼しい顔でアイロンがけを行う事が基本原則であり、衣服のシワを伸ばすというアイロンがけ本来の目的は重要視されない。その為、アイロンがけに適さない環境でも行われる。


エクトル(人名:Fate)
 サー・エクトル。ウーサー・ペンドラゴンに仕えた忠実な老騎士。マーリンからアルトリアを預かって養子として育てた。


エト(用語:歌月十夜)
 ネロ・カオスの混沌の獣。喋る鹿。鹿島神宮出身。必殺技は立体忍者活劇。


江戸前屋(地名)
 マウント深山商店街にある和菓子屋。タイヤキは一つ80円。大判焼のレパートリーにカスタード、チーズ、チョコレートはない。


エヌマ・エリシュ(対界宝具・技能:Fate)
 天地乖離す開闢の星。乖離剣・エアによる空間切断。厳密にはエアの最大出力時の名称で、宝具はエア。
 圧縮され鬩ぎ合う風圧の断層は、擬似的な時空断層となる。約束された勝利の剣と同等か、それ以上の出力を持つ“世界を切り裂いた”剣である。
 対粛清ACか、同レベルのダメージによる相殺でなければ防げない攻撃数値。筋力×20のダメージだが、ランダムで魔力の数値もプラスされる。最大ダメージは4000だが、宝物庫の宝具のバックアップによってはさらに跳ね上がる。


F空港(地名:Zero)
 冬木市の最寄空港。


F-15C(武装・Zero)
 本項では断りのない限りアメリカ合衆国で運用されている機体について記述する。
 F-15の公式愛称はイーグルで、アメリカ空軍や航空自衛隊ではこのパイロットを特に『イーグルドライバー』と称し、最高のパイロットとして尊敬されている。
 F-15に搭載されたレーダーは初のパルスドップラーレーダーで、これにより低高度で飛行している目標を発見することができる。初めはAN/APG-63が搭載されていたが、E型向けに開発されたAN/APG-70が戦闘機仕様のF-15にも搭載された。これは2発のAMRAAMを異なった目標に向けて発射できるTWSという機能が追加されている。またこのレーダーのNCTRという目標認識機能により目標の機種が判断できるが、これの詳細は未だに機密である。ただしこれは目標とほぼ正面にいなければ判別できない。
 なおAN/APG-70は製造が終了しており、後継はAPG-63 V1である。アラスカに装備されている18機にのみAPG-63 V2が搭載されている。E型の多くはAPG-70を装備しているが、後期型ではAPG-63 (V)1を装備しており、これは戦闘機向けのものにいくつかの空対地レーダーモードが追加されている。
 開発当時にはきわめて革新的な技術が多用されており、特にコクピットは重要である。それまでの戦闘機は戦闘中にパイロットが計器を見るためには下を向かなければならなかったが、F-15では同世代機では初めてという装備を多数備えることで下を見る必要を最小限に抑えている。代表的なものはHUD(Head Up Display:コクピット正面の透過型ディスプレイ)やHOTAS(Hands On Throttle And Stick:手はスロットルや操縦桿を握ったまま)で、前者は目標と自機の重要な情報を表示し、後者はスロットルや操縦桿に多くのスイッチを備えて手を放すことなく操作できるようにしたものである。
 HUDの下にはその操作パネルや敵味方識別装置、通信装置操作パネルがあり、その右側には戦術電子戦システムの脅威警報画面、左側にはレーダーのスコープがある。計器盤の中央には基本的な飛行計器がまとめられているが、高度や速度といった重要な情報はHUDにも表示される。計器盤の右側にはエンジン関連の計器があり、左側には兵装操作パネルがある。戦闘中にはそれほど必要ではない機体のシステムや通信装置、航法装置の操作パネルはパイロットの左右のコンソールに配されている。
 MSIPUでは兵装操作パネルが大型の多目的画面に変更され、各種情報を表示できるようにされた。中でも重要なものが状況表示装置で、他のイーグルやAWACSなどの情報源からのデータにより完全な戦術画面を表示できる。
 F-15Eのコクピットはまったくの別物となっている。前席には3台、後席のWSO(兵装システム士官)席には4台の大型の多機能表示装置が並んでおり、各画面には機体のチェックリスト、航法データ、移動地図、赤外線センサーからの画像、パイロットのHUD画面、パッチマップなど、別々の画像を表示できる。
 エンジン技術はアポロ宇宙計画からもたらされたもので、オーギュメンター型ターボファンと呼ばれる形式のエンジンは少ない燃料消費で大きな推力を生み出すことができる。なお大韓民国向けのF-15Kとシンガポール向けのF-15SGはゼネラル・エレクトリックF100エンジンを装備している。航空自衛隊が装備している機体のエンジンは石川島播磨重工業(現IHI)がライセンス生産した。エンジンは一基ずつチタン製のキールで覆われており、どちらかが被弾・破損してももう片方に影響を及ぼさないようになっている。
 大型のエアインテークは上下二段階で可変し、これによりあらゆる速度でも、また大迎え角飛行時でも最適な空気流入量を確保することができる。
 機内燃料タンクは胴体内と主翼内に設けられており、胴体内のタンクには耐火性が持たされている。C/D/E型では胴体側面にコンフォーマル型燃料タンクを装備でき、また本体下と主翼下のパイロンにドロップタンクを計3本装備することが可能。ちなみにE型のコンフォーマルタンクには3箇所のハードポイントを持つ長いパイロンが一つと、小さな3つのパイロンが縦に並んでいる。
 電子機器用の搭載ラックはレーダーとコクピットの間に設けられており、追加のシステムはコクピット後方に収められている。ちなみに複座のD型では後席を設けるために戦術電子戦システムを撤去しているため、C型に比べて電子戦能力に劣る。これはA型とB型でも同様である。
 油圧で作動する操縦翼面は、主翼の簡素な補助翼とフラップ、垂直安定板の二枚の方向舵、全遊動式の水平安定板である。胴体背中には大きな引込み式のエアブレーキが、胴体下部にはアレスティングフックが備えられている。降着装置は油圧により前方に振り上げて引き込まれ、車輪のカーボンブレーキにはアンチスキッドシステムが備えられている。
 ハードポイントはA/B/C/D型ではエンジントランク角に四箇所、主翼下に四箇所である。E型では主翼下と胴体下のパイロンに加えてコンフォーマルタンクに左右合計で十二箇所あり、さらに通常のパイロンに各種パイロンを組み合わせることで驚くほど柔軟な兵器運用が可能となっている。
 F-15CはF-15Aの改良型で、B型の改良型であるD型とともに戦闘行動半径の拡大というアメリカ空軍の要望にこたえるべく開発された。だが搭載電子機器のアップグレードによってより高性能な戦闘機として熟成されていった。またC/D型には1989年から多段階能力向上計画(MSIP)Uが実施され、1985年6月にF-15C MSIPUが初飛行を行った。なおMSIPUの内容はレーダーの換装、アナログコンピュータから高性能なデジタルコンピュータへの換装、コックピット正面計器パネルをMFD(AN/AWG-20)に変更、AIM-9Xに対応した機器の追加、LINK16JTIDSへの対応など。
 製造はミズーリ州セントルイスのマクダネル・ダグラス社(現ボーイング社)の工場で、1979年から1985年まで合計で481機が製造された。アメリカ空軍、イスラエル空軍、サウジアラビア王立空軍が運用している。
 言峰璃正が撃墜された航空自衛隊のF-15J二機の代わりとして時計塔のコネクションを通じて中東の武器商人に手配したものはおそらくイスラエル空軍のテル・ノフ基地の第106飛行隊か第148飛行隊、あるいはサウジアラビア王立空軍のタイフ基地の第5飛行隊かカミス・ムシャイト基地の第6飛行隊、ダーラン基地の第13飛行隊か第34飛行隊、アル・ハージ基地の第42飛行隊のいずれかに所属したものと思われる。
 戦闘機は極めて厳重な管理下におかれているため、武器商人が手配したと思われるもっとも有力なのは以下の二機であろう。
 ・レバノン戦争(イスラエル軍呼称ではガリラヤの平和作戦)におけるベカー渓谷の戦いでMiG-21が発射したR-60M(AA-8)に被弾し、基地に無事帰還した(シリア軍は撃墜を主張している)が、その後廃棄されたか修復されたかは不明となっているイスラエル国防軍のF-15。
 ・訓練中にA-4スカイホークと衝突して右翼を完全に失いながらも基地に帰還し、後に修復され作戦機として再就役したとされているが定かではないイスラエル国防軍のF-15(ただしF-15B)。

 主なA型からの改良点は以下の通り。
 能力改良余地のスペースを燃料タンクとして燃料搭載量をA型の6572リットルから7836リットルに向上。胴体側部に密着させるコンフォーマル型燃料タンク(FASTパック)の携行能力が付与され、これは片方で2839リットルの搭載が可能。
 射出座席をゼロ-ゼロ能力(高度・速度ともにゼロの状態でも脱出できる能力)を持つACESU(発達能力射出座席U)に換装。
 増加した重量に対応するための降着装置の強化。
 無線機器(UHF)の追加。
 機体構造部材の強化。

 諸元
 任務:単座の航空優勢戦闘機
 初飛行:1969年2月26日
 パワープラント:プラット&ホイットニー F100-PW-100 ターボファン2基(初期生産機)またはF100-PW-220(1985年11月以降)
 レーダー:ヒューズ(現レイセオン)AN/APG-63 PSPまたはAN/APG-70(1989年以降)
 全幅:13.05m
 全長:19.43m
 全高:5.63m
 水平安定板幅:8.61m
 主翼面積:56.48u
 ホイールスペース:5.42m
 ホイールトラック:2.75m
 運用自重:12,793kg
 通常離陸自重:20,244kg
 最大離陸重量:30,844kg
 機内最大燃料重量:6,103kg
 機外最大燃料重量:9,818kg
 最大兵装搭載量:10,705kg
 最大速度(高高度):2,655km/h
 経済巡航速度:917km/h
 実用上昇限度:18,290m
 フェリー航続距離(CFT搭載時):5,745km
 フェリー航続距離(CFT非搭載時):4,633km
 戦闘行動半径(迎撃ミッション時):1,967km
 航続時間:5時間15分

 兵装
 M61A1 ヴァルカン砲(6砲身回転式機関砲/口径:20mm/弾数:512(940)発/弾倉:中央胴体内のドラム/設置位置:右舷主翼付け根)
 AIM-7M スパロー(誘導方式:セミアクティヴ・レーダー誘導/全長:3.66m/胴体直径:20.3cm/発射重量:230kg/速度:マッハ2.5/射程:45km/弾頭:39kg爆風破片型)
 AIM-9M サイドワインダー(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.87 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:88.7kg/速度:マッハ2.5/射程:16km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AIM-9X サイドワインダー2000(誘導方式:赤外線画像方式/全長:3.02 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:85.3kg/射程:40km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AIM-120  AMRAAM(誘導方式:慣性+アクティヴ・レーダー/全長:3.65m/胴体直径:17.8cm/発射重量:156.5 kg/速度:マッハ4/射程:55km/弾頭:22kg指向性破片型)

 自由落下兵器
 Mk 82(クラス:500lb(227kg))
 Mk 83(クラス:1,000lb(454kg))
 Mk 84(クラス:2,000lb(907kg))
 CBU-59(Mk 20)(クラス:クラスター爆弾)
 CBU-87(クラス:クラスター爆弾)
 CBU-89(クラス:クラスター爆弾)

 滑空爆弾
 GBU-15(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:電子光学または画像赤外線/弾頭:Mk 82またはBLU-109/B)

 ペイヴウェイ・レーザー誘導爆弾
 GBU-10(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:ペイヴウェイU/弾体:Mk 84またはBLU-109/B)
 GBU-12(クラス:500lb(227kg)/誘導装置:ペイヴウェイU/弾体:Mk 82)
 GBU-24(クラス:2,000lb(907kg)/誘導装置:ペイヴウェイV/弾体:Mk 84またはBLU-109/B)
 GBU-28(クラス:推定2,020 kg)/誘導装置:ペイヴウェイV/弾体:BLU-113/B)

 その他の精密誘導兵器
 AGM-65 マヴェリック(重量:670lb(304kg)/誘導装置:赤外線)


F-15J(武装:Zero)
 F-15Cブロック26をベースに日本向けの改修を施したモデル。
 1974年に提出された来年度予算案にF-104J/DJおよびF-4EJの後継機である第三次F-X調査費が盛り込まれ、翌1975年に13機あった候補をグラマン(現ノースロップ・グラマン)F-14トムキャット、マクダネル・ダグラス(現ボーイング)F-15イーグル、ゼネラル・ダイナミクスF-16ファイティングファルコン、ノースロップ(現ノースロップ・グラマン)YF-17コブラ、ダッソー ミラージュF1、サーブ37ビゲン、トーネードIDSの7機種まで絞り込んだ。
 1976年にF-14、F-15、F-16の3機種に絞り込み、熾烈な売り込み合戦の末に(そうでなくともF-15が優勢だったが)F-15の導入が決定した。この導入計画をアメリカでは『ピースイーグル計画』と呼称した。
 F-15Jは1978年度予算で初めて調達され、1980年7月にマクダネル・ダグラス社のセントルイス工場で完成した機体の引渡しが行われた。10月にエドワード空軍基地で29回の検査を受け、一旦アメリカ空軍に返されて1981年3月1日に米軍パイロットによって嘉手納基地に空輸された。だがその時点で航空自衛隊のパイロットの訓練が終了していなかったため3月27日に岐阜基地に空輸される。この時点で機体から米軍のマークが消され、日の丸が描き込まれた。
 最初の二機(02-8801/802)は三菱重工業にて再組み立てが行われた。ライセンス生産時には図面がフィート・インチ法からメートル法に書き換えられた。
 諸元はほぼF-15Cと同じだが、仕様上の相違点として自動警戒管制組織(BADGE)とE-2Cホークアイから迎撃管制を受けるための高速データリンク装置(日立製作所製J/ASW-10)が追加されている点、コンピュータの一部が供与されなかったため国産でまかなっている点、アメリカから戦術電子戦システム(AN/ALQ-135)がライセンスされなかったために国産の戦術電子戦システム(三菱電機製J/ALQ-8)を搭載している点がある。なお国産のJ/ALQ-8の性能は(比較試験されたことがないため真偽は不明だが)オリジナルと同等か、やや優れているといわれている。
 レーダー警報装置(三菱電機製J/APR-4)と後方警戒装置(三菱電機製J/APQ-1)も国産である。
 導入時にはアジア周辺諸国に脅威を与えるとして空中受油装置は撤去されたが、現在では再び装備されている。C/D型にあった対地攻撃能力はJ/DJ型においては削除されているが、対地攻撃装備は保有しているため改修を行えば対地攻撃能力の復活は可能。
 生産はライセンス方式で三菱重工業が主契約企業として請け負い、愛知県小牧市の工場でJ型を173機、DJ型を28機生産したが、最初期のF-15J(30機)とF-15DJ(12機)はアメリカ合衆国ミズーリ州セントルイスのマクダネル・ダグラス社の工場で生産して輸入(J型02-8801/502、DJ型12-8051〜52-8062)、または日本国内でノックダウン生産(J型12-8803〜22-8810、DJ型82-8063〜92-8070)である。
 エンジンは石川島播磨重工業(現IHI)がライセンス生産したもので、F100-IHI-220Eはプラット&ホイットニーF100-PW-220に独自の改良を施したもの。これはデジタル制御が可能。
 なおF-15導入国でライセンス生産を許されたのは日本のみである。
 2007年現在までに事故などでJ型を7機、DJ型を3機損耗している。
 作中では哨戒任務に就いていた築城基地(おそらく第304飛行隊所属)のF-15J二機(コールサインはディアボロT・ディアボロU)が冬木市警察からの災害派遣要請を受けて未遠川河口の偵察任務に移行するが、ディアボロUはキャスターが召喚した海魔に食われ、ディアボロTはバーサーカーに乗っ取られたあと未遠川に墜落した。なおディアボロTについては20mmヴァルカン砲がゼネラル・エレクトリック製との記述があるので最初期に生産されたものと思われる(が、ライセンス生産のJM61A1であっても開発元だけを記述した可能性も高い)。
 上記二機の代替としてF-15Cが手配され、隙を見て差異部品を交換してJ型に化けさせることになったが、そこまでのことになると航空自衛隊はもちろん防衛庁、三菱重工業、石川島播磨重工業、日立製作所、三菱電機など、国内だけでもかなり広い範囲に亘る情報統制が必要となっただろう。
 導入された時期によって複数のバリエーションがある。以下、現在存在するバリエーションのみ、もっとも大まかな分類で紹介する。

 Pre-MSIP
 1981年から1984年までに導入された機体。主な特徴はAIM-120やAAM-4などの新型ミサイルに未対応であること、計器の多くがアナログ式であること、チャフ/フレアディスペンサーが装備されていないこと。なおチャフ/フレアディスペンサーは1983年に納入された機体から装備された。
 J型801から898まで、DJ型051から061の108機が該当する(欠番除く)。

 J-MSIP(Japan Multi-Stage Improvement Program:日本版多段階能力向上計画)
 1985年以降に調達された機体。J型899号機以降、DJ型063号機以降が該当。主な特徴は以下の通り。
 セントラルコンピュータの処理能力向上とAAM-4への対応を目的とした兵器管制装置のアップグレードに対応するための電気配線の追加。
 セントラルコンピュータをIBM製AP-1からAP-1Rに変更。
 兵装コントロールパネルをアナログ式からディスプレイ式に変更。
 J型42-8944以降、DJ型52-8088以降はエンジンをF100-IHI-220Eに変更。
 J型62-8958以降にJ/APQ-1後方警戒装置を追加。
 このうちエンジンの換装と後方警戒装置の追加はIRAN入りしたPre-MSIP機にも適応されている。

 F-15近代化改修
 J-MSIP機(J型53機:899から965、DJ型36機:063から098)を対象とした近代化計画で、形態一型と形態二型に分けられる。
 平成17〜21年度対象の中期防衛力整備計画では、期間内までに26機(形態二型を含む)を量産改修することが盛り込まれた。計画では約90機を改修して4個飛行隊を整備する事となっており、目標では2009年度に改修F-15(形態一型)による最初の飛行隊を結成する予定である。航空雑誌でF-15J改と呼ばれるものである。
 2007年現在では形態一型が12-8928号機、形態二型が32-8942号機の合計二機のみが存在する。

 形態一型
 1997年に三菱重工業を主契約企業としてシステム設計に着手、1998年に細部設計、1999年に一部機材の購入を開始、2000年にレーダー、セントラルコンピュータ等の主要機材を購入し、2002年に試改修作業が開始されて三菱へF-15J改修初号機(12-8928)が引き渡された。2003年7月24日に初飛行、10月21日に再納入され、飛行開発実験団で技術的追認を行った。量産改修は18〜20機程度(予算状況に応じる)に施される予定で、2004年に量産2機の予算を初めて取得し、2005年に4機、2006年に2機の予算取得が行われたが、2007年はF-2支援戦闘機の一括取得のために見送られた。
 主な特徴は以下の通り。
 セントラルコンピュータをロッキード・マーチン製のVHSICに再換装。
 レーダーをAPG-63(V)1に換装。
 通信システムの近代化。
 AAM-4/4改の運用能力獲得。
 空調設備と電気系統の改良。
 発電機の換装。

 形態二型
 形態二型改修作業は2002年に開始された。試改修機は32-8942で、2007年3月8日に再納入され、飛行開発実験団の実用試験を経て一連の試改修事業は終了する。約70機が改修されたあと形態一型も形態二型に再改修される予定。
 形態一型の改修点に加え、以下のものも追加される。
 射出座席の改良。
 統合電子戦システムとNATO標準の戦術データリンク(JTIDS)の搭載。
 開発中のIRST(赤外線捜索追尾装置)の搭載。
 AAM-5の運用能力獲得。
 チャフ/フレアディスペンサーをAN/ALE-45JからAN/ALE-47に換装。

 諸元
 任務:単座の航空優勢戦闘機
 初飛行:1980年6月4日
 パワープラント:F100-PW(IHI)-100 ターボファン2基(Pre-MSIP機)またはF100-IHI -220E(改良型:F-15J 42-8944以降およびF-15DJ 52-8088以降、並びにIRAN入りしたPre-MSIP機)
 レーダー:ヒューズ(現レイセオン)AN/APG-63(J-MSIP以前)またはAN/APG-63(V)1(近代化改修形態一型以降)
 最大出力:6,654kg(アフターバーナー使用時10,809kg)×2基(F100-IHI -220Eは6,520kg(アフターバーナー使用時10,640kg)×2基)
 全幅:13.05m
 全長:19.43m
 全高:5.63m
 水平安定板幅:8.61m
 主翼面積:56.48u
 ホイールスペース:5.42m
 ホイールトラック:2.75m
 自重:13,757 kg
 最大全備重量:約25,000kg
 最大離陸重量:30,600kg
 最大速度:約マッハ2.5
 最大巡航速度:約マッハ2.3
 実用上昇限度:19,697 m
 絶対上昇限度:30.480m
 航続距離:4,630km
 離陸距離:600m
 着陸距離:1,202m

 兵装
 M61A1(輸入・ノックダウン生産機/ゼネラル・エレクトリック製)またはJM61A1(ライセンス生産機/日本特殊金属、現在は住友重機械工業がM61A1をライセンス生産したもの) ヴァルカン砲(6砲身回転式機関砲/口径:20mm/弾数:940(950、512)発/弾倉:中央胴体内のドラム/設置位置:右舷主翼付け根)
 AIM-7M スパロー(誘導方式:セミアクティヴ・レーダー誘導/全長:3.66m/胴体直径:20.3cm/発射重量:230kg/速度:マッハ2.5/射程:45km/弾頭:39kg爆風破片型)
 AIM-9M サイドワインダー(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.87 m/胴体直径:12.7cm/発射重量:88.7kg/速度:マッハ2.5/射程:16km以上/弾頭:9.4 kg爆風破片型)
 AAM-3 90式空対空誘導弾(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:3.1m/胴体直径:12.7 cm/発射重量:91 kg/射程:13km/弾頭:指向性弾頭)
 AAM-4 99式空対空誘導弾(誘導方式:慣性+アクティヴ・レーダー/全長:3.667m/胴体直径:20.3cm/発射重量:222kg/速度:マッハ4-5/射程:非公開(おそらく100km前後))
 AAM-5 04式空対空誘導弾(誘導方式:パッシヴ赤外線/全長:2.86 m/胴体直径:12.6 cm/発射重量:83.9 kg/速度:マッハ3/射程:35km)

 自由落下兵器
 Mk 82(クラス:500lb(227kg))
 CBU-87(クラス:クラスター爆弾)


衛宮(家名)
 魔術師の家系。代々時間操作について魔術探求を継承してきた。


エミヤ(用語・人名:Fate)
 第五回聖杯戦争におけるアーチャーの真名。錬鉄の英雄。衛宮士郎が世界と契約して英雄・英霊になったもの。正英雄でも反英雄でもない。人助けそのものを報酬に人助けをしていた。元になった衛宮士郎とはかけ離れた人物、世界に二羽しかいない、種は同じでも違ってしまった存在。衛宮士郎の記憶は既にない。
 災害時に目の前の数百人の命を救うため、現世で目に見えるだけの命を救うため、死後は英霊としてもっと多くの命を救うために世界と契約して英雄になった。必死に戦争を終結させたが、戦争の首謀者の汚名を着せられて絞首刑に処される。
 より多くの人々を救えると信じて英霊になったものの実際は自滅する人間の掃除屋になったに過ぎず、より多くの人間を殺し続けることになってしまった。そして、自らの理想に反して何度も人間の自滅を見せられるうちに狂ってしまった。そのために半ば八つ当たりでかつての自分を殺すことだけを希望にして存在し続けた。
 その強さは才能によるものではなく、自分の持っているものをただひたすらに鍛え上げたもの。
 遠坂凛が触媒もなしに彼を召還できたのは、エミヤのほうに触媒があったから。つまり、ランサーに殺された衛宮士郎を助けたときに使われた凛のペンダントを彼が生涯持ち続けたため。


衛宮切嗣(人名/魔術師)
 えみや きりつぐ。
 身長175cm。体重67kg。血液型AB。11月11日生まれ。
 衛宮家五代継承者。衛宮矩賢の息子。衛宮士郎の養父でイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの父親。彼の精子とアイリスフィールの卵子からイリヤスフィールが生まれた。第四次聖杯戦争の生き残り。近代武装を良しとしない魔術師世界において、平気でタブーを犯す『魔術師殺し』の異名を持っていた。衛宮の魔術刻印は背中にある。令呪は右手の甲に顕現した。
 射撃と破壊工作が得意で効率が好き。家族愛が苦手でセイバーが天敵。目的のためには手段を選ばないという言葉の体現者。世界平和を願う夢想家でありながら、その実現においては冷酷非情のリアリスト。あらゆる人間を愛し、あらゆる人間を殺す覚悟を決めた男。その心に葛藤はなく、しかし悲しみを捨てきれない。
 人生のあらゆる局面において女性を惹きつけ、なおかつ惹きつけられた女性を悉く不幸な末路に追いやっている呪いのような男。このジンクスを打ち破った女性は藤村大河ただ一人である。また藤村大河は切嗣の初恋の女性シャーレイに似ていたため、必要以上に甘やかしてしまった。
 属性の大別は『火』と『土』の二重属性、詳細(起源)は『切断』と『結合』の複合属性。切断と結合というのは破壊と修復ではない。というのも、『切断』した糸を『結合』した場合には結び目の部分がもとよりも太くなるため。また彼は一応は手先が器用だが、複雑な機械を修理しようと手を加えれば加えるだけ壊れていく。
 彼は礼装を作製するにあたり『切断』と『結合』という特異な起源を最大限に活用した。両脇腹の第十二肋骨を摘出して擂り潰し、霊的加工で凝縮して66発の銃弾に芯材として封入して魔弾とした。
 第四次聖杯戦争におけるセイバーのマスター。魔術師一般の見方でいえば久宇舞弥の師匠に当たるが、彼としては戦う術を教えただけであり、切嗣にとって舞弥は忠実な部下だった。舞弥自身、己を切嗣の部品と割り切っていた。
 第四次聖杯戦争の8年前にアインツベルンに招かれ、アイリスフィール・フォン・アインツベルンと一子イリヤスフィールを設ける。アインツベルンによってもたらされた聖杯という万能の釜に救済を見出した彼は、以後はそれまで行っていた正義の味方としての活動をやめ、育児と聖杯戦争への布石を続けた。なおアイリスフィール・フォン・アインツベルンと初めて出会ったのは第四次聖杯戦争の9年前で、アイリスフィールは羊水槽の中で眠っていた。
 聖杯戦争のために本国のアインツベルン城の礼拝堂でアインツベルンに与えられた聖剣の鞘を触媒にセイバーを召還、契約した。セイバーを召喚してからは彼女をひたすら無視し、聖杯戦争でもセイバーにアイリスフィールを守らせ、自分とは別行動を取らせた。これはアルトリアに過酷な王という役目を押し付けた人々への憤りからであろう、とアイリスフィールは推測した。
 また別行動は能力的にも性格的にも真っ向勝負を前提とした戦士であるセイバーと、策謀を巡らす暗殺者である自分との相性が最悪であることから導かれる運用方法であった。なおアイリスフィールをセイバーのパートナーとしたのは彼女たちが互いに敬意を交わす間柄となっていたことに加え、アイリスフィールが聖杯の降霊に絶対不可欠な聖杯の器を隠し持っていたためである。
 第四次聖杯戦争の際にはアイリスフィールとイリヤスフィールを国に残してきたとされていたが、実際にはアイリスフィールを冬木市に連れて来ており、アイリスフィールは冬木で命を落とした。また本国のアインツベルンの森ではイリヤスフィールと胡桃の冬芽探しをして遊んでいた。
 アイリスフィールを娶り、イリヤスフィールが生まれてからは『喪うもの』を得てしまったため、第四次聖杯戦争において冷徹な殺し屋に徹するだけでも相当の無理を強いられていた。セイバーへの拒絶も、自分を保つだけで精一杯であったからでもある。
 第四次聖杯戦争の三年前にも下見のため冬木市を訪れていた。第四次聖杯戦争のための来日に際してはアイリスフィールとセイバーとは別行動を取って旅客便を乗り継いで大阪国際空港で入国し、そこから冬木市へは鉄道を使った。
 幼時に住んでいたアリマゴ島では通いの使用人のシャーレイに想いを寄せていた。シャーレイが矩賢の試薬によって死徒化した夜にナタリア・カミンスキーと出会い、矩賢を射殺。以後数年間ナタリアについて魔術を学びながら魔術師狩りをした。なお衛宮の魔術刻印はナタリアが魔術協会と交渉して引き出した、残り滓ともいえる二割未満を継承した。だが魔術を研究対象ではなく手段として用いる切嗣にはそれで充分であった。
 多くの殺し屋が数年がかりで身に付ける『指先を心と切り離したまま動かす』覚悟を最初から持ち合わせていた。
 マスターとしての適性はノーマルだが、『敵対する魔術師を殺す』ことにかけては折り紙付き。アイリスフィールのほかに愛人(はたから見れば愛人関係のようなものだが、自覚はない。その愛人とは久宇舞弥のこと)がいた。
 久宇舞弥を本格的に助手として以来、呪的処理を施した彼女の頭髪を一本小指の皮下に埋め込んでいた。これは舞弥の魔術回路が極端に停滞した場合、つまり瀕死の状態になった場合に頭髪が燃焼して危機を告げるというものである。逆に舞弥の指には切嗣の頭髪が埋め込まれていた。
 もとはフリーランスの魔術師。銃器を好み、固有時制御という特殊な魔術を習得していた。だが魔術を探求のためではなく手段として習得したため他の魔術師のようにそれに固執することはなく完全に道具として割り切り、近代科学で置換できるものは全てテクノロジーを頼りとする。そのためテクノロジーを軽視するアインツベルンの居城に電話線と発電機を導入するよう申し入れたときにはユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンと一悶着あった。魔術師として異端であるのと同様にガンスリンガーとしても異端で、彼が使う銃器は一般に実用性が低いとされている。
 魔術協会に属さないはぐれ者のヒットマンだったが、上層部は彼をいろいろと便利に使っていた。例えるなら聖堂教会における代行者だが、よりたちが悪い。聖堂教会と対立したこともあり、要注意人物として扱われていた。そこをアインツベルンに買われてマスターとして雇われる。
 結界突破は一般的な魔術師よりもはるかに早くでき、その手際は正攻法では一年がかりでも切り崩せないであろう遠坂邸の結界を三時間弱で破るほど。これほどの技前を持つ理由は、切嗣がただ術理の陥穽を見破り貶めることのみを突き詰めてきた魔術師殺しだからである。
 魔術師として魔術師を知るが故に魔術師らしからぬ手段で魔術師を殺す。その方法は狙撃や毒殺はもとより、公衆の面前での爆殺、搭乗した旅客機ごと撃墜などというものまで多岐にわたる。かつて無差別テロ事件として報道された大惨事がただ一人の魔術師を標的とした切嗣の犯行では、という推測もある。これは確証こそないが、数々の証拠によれば信憑性は高い。
 第四次聖杯戦争ではケイネス・エルメロイ・アーチボルトを殺すために宿泊していた冬木ハイアット・ホテルを爆破解体する、婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリを人質にとる、自己強制証文を用いた詐術でサーヴァントを自害させた上で射殺するなど、凄まじい戦いをした。だが行動とは裏腹に本人は平和を願っており、多くの人間が平和に暮らせるために必要な犠牲を殺していた。いわば反英雄の在り方である。
 衛宮士郎は切嗣を『正義の味方』として憧れたが、切嗣本人はその憧れをごく初期に喪失し、ついには正義というものを呪うようになる。だがそこに至るまでの犠牲を無駄にしたくないという一心から深みにはまっていった。この後ろ向きな態度ゆえに同姓の英霊エミヤに比べ『正義の味方』としての格は大いに劣る。
 さまざまな破壊技術の一環として爆破解体の技術を持っている。第四次聖杯戦争において、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが工房を構えた冬木ハイアット・ホテルを爆破解体した。その際に遠隔操作使用に改造したタンクローリーを一台隠匿していた。
 ごく普通の、一般論を逸脱した魔術師はテクノロジーを軽視する傾向が強いため通常兵器を用いるが、一般論を逸脱した魔術師の常識をさらに逸脱した魔術師に対しては魔術礼装であるトンプソン・コンテンダーと魔弾を用いる。また魔術回路の状態をサーマル映像から読み取ることができる。
 魔術師殺しの傍ら、世界中の紛争地帯に戦況が最も激化した時期に出向いて傭兵のようなことをしていたらしい。またそれらのプロジェクトは常に複数を同時に実行していたと思われる。
 彼が敵を称して『厄介』というときには敵を疎んではいても対処や勝算は八割方完成している。だが『危険』という評価は衛宮切嗣という男が本気で牙を剥くべき相手に対してのみ贈られる。言峰綺礼は『危険』の評価を受けた。
 アイリスフィールを深山町での拠点として購入しておいた衛宮邸に移してから一度面会に訪れ、そのときにアイリスフィールから『全て遠き理想郷』を託された。
 拉致されたアイリスフィールを探して間桐邸と遠坂邸に侵入し、時臣の脱落と言峰綺礼の再起を確信。即座に冬木教会を急襲したが、既に言峰は別の場所に移った後だった。この時点でアイリスフィールの生命は喪われたと判断して捜索を断念し、夫としてではなく聖杯を求めるマスターとして戦いに臨む。この後は言峰が柳洞寺で聖杯の降霊を行うと踏んで柳洞寺を新たな拠点とした。
 冬木市民会館地下一階の大道具倉庫で言峰綺礼と戦う。言峰により心肺を完全に破壊されたが、全て遠き理想郷の治癒能力により蘇生。それからは振り返しを無視して固有時制御を連続使用する。ただし全て遠き理想郷がもたらすのはあくまで治癒であり、振り返しによる激痛はそのまま切嗣を襲う。
 言峰との戦闘中に真上のコンサートホールに現れた聖杯から溢れ出した泥が床スラブを貫通し、切嗣と言峰はそれを満身に浴びた。切嗣は泥と接し、聖杯の内側でアイリスフィールの人格を被った『この世全ての悪』と対話して聖杯の『殺戮を以て願いを叶える』という正体を知る。切嗣のほうが言峰よりわずかに先に意識を取り戻し、切嗣に不要なら自分に譲れと言う言峰の心臓を背後から撃ち抜く。
 その後、セイバーに残り二画の令呪で聖杯の破壊を命じた。第四次聖杯戦争終結後、焼け野原で唯一生き残っていた瀕死の士郎に聖剣の鞘を埋め込んで蘇生させ、後に養子として迎える。
 この世全ての悪と接触したことで肉体を蝕まれ、衰弱した。手足は萎え、目は霞み、魔術回路は八割方の機能を失って半病人同然だった。
 士郎と生活するようになってから旅行と称して幾度となく国外に出ていたが、実際はイリヤスフィールを助けるためアインツベルンの所領に赴いていた。しかしユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンは森の結界を開こうとはせず、魔術回路の大部分の機能を失った切嗣には結界を破ることも出来なかったため、イリヤスフィールの救出は成らなかった。
 第四次聖杯戦争から持ち越した爆薬をやりくりし、数年がかりで数箇所の地脈に手を加えて円蔵山に流れ込むレイラインの一部に『瘤』が発生するよう細工を施した。これはマナが堆積し、30年から40年の間には破裂してごく局地的な大地震を円蔵山直下に引き起こし、大聖杯が設置されている龍洞を崩落させるというもの。これは第五次聖杯戦争を防ぐための措置だったが、切嗣の目論見とは違い、第四次聖杯戦争が中途半端に終結したため僅か10年で第五次聖杯戦争が勃発してしまった。
 バゼット・フラガ・マクレミッツが封印指定の任についたときは前線から退いていた。
 魔術師として行動するとき以外は極度のフェミニストで、幼い士郎に『女の子は泣かせないコト、後で損するからね』と言い聞かせていたとか。冬木の港から貨物船に身を潜めて国外に出ることがあった。日本にいるときは湯たんぽを愛用していたようだ。
 面倒を見るべき誰かがいればアクティブになるが、根がダメ人間なので自分一人だけならとことん出不精になる。愛する者がいないとトコトン暗黒面に落ちていき、果てはキラーマシーンと化す物騒な人。
 後の衛宮士郎と同じく、自分が幸福であることに苦痛を感じてしまう。正義の味方という人間を超越した理想を追いながらも、自身はどこまでも人間だった。
 もともと喫煙者だったが、アインツベルンに招かれてからは吸い慣れた銘柄が手に入らないことと母子への心遣いから吸わなくなった。しかし聖杯戦争のために冬木市を訪れてからは再び吸うようになった。
 第五次聖杯戦争の五年前、第四次聖杯戦争で受けた『この世全ての悪』がもとで死亡。享年34歳。彼の墓は柳洞寺の裏の墓地にある。が、衛宮士郎がそこを訪れることはなく、藤村大河がその手入れをしている。


衛宮切嗣の母(人名)
 詳細不明。
 切嗣を産んですぐに魔術協会からの追っ手により落命。当時生まれて間もなかった衛宮切嗣は彼女の記憶がない。


衛宮士郎(人名/魔術師)
 えみや しろう。
 身長167cm。体重58kg。
 第五回聖杯戦争におけるセイバーのマスター。剣製に特化した魔術師。令呪は『剣』を象徴している。穂群原学園2年C組。hollow ataraxiaの頃は無事進級して3年C組。
 家事に並々ならぬ才能を持つ。家庭料理(中でも和食)が得意で、おいしい食事を作るには材料をケチらない。日本茶も紅茶もコーヒーも平等に好きだが、日本茶びいきではある。梅昆布茶が苦手。酒はコペンハーゲンからたまに貰ってくるのだが、酒は得意ではないので舐める程度。
 ゲームセンターの雰囲気が苦手。合コンは苦手だがわりと好き。歯医者にかかったことはない。英語が苦手。工作に没頭する性格。魔術の師は遠坂凛、剣術の師はセイバー。二年生までの進路目標は法政方面だった。
 備品の修理や作業を頼まれればほとんど断ることなく行うため、偽校務員、文連の修繕担当、弓道部の掃除機、穂群原のブラウニーなどといったあだ名がある。一年から三年まで、プール開き前のプール清掃をずっと手伝っていた。
 弓道部に在籍したが、一年生の夏に退部した。在籍中に的を外したのは一度きりで、それも射る前から『外れる』と分かっていたという。弓道部を辞めたのはアルバイト中に右肩を骨折し、肌に火傷の痕が残ったため。怪我自体は大したことはなかったのだが、慎二が火傷の痕のあるやつが礼射をするのは見苦しいのでは、と指摘し、ちょうどアルバイトも忙しい時期であったため退部した。
 穂群原学園二年生のときの球技大会では柳洞一成、間桐慎二と組んでセパタクローに参加した。決勝に進出したが、氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子の2年A組チームと対戦した際に一成が嫌がらせじみた集中攻撃を受けたことで乱闘を起こし、A組チームとともに失格になった。
 十年前、第四回聖杯戦争で親と新都にあった実家を失い、衛宮切嗣の養子になる。その後二年ほど切嗣に無理を言い続けて八年前に切嗣に弟子入りし、魔術師になるも使える魔術は固有結界のみ。それも魔力不足でバックアップがなければ起動も維持もできない。
 他にも『強化』と『投影』を使えるが、それは固有結界『無限の剣製』から漏れたものに過ぎない。強化を応用して木の枝から弓を作る、破れたサッカーボールを修復するなど、物体の形を変えることができる。
 また外見のみの複製にとどまる剣以外の投影だが、それを初見で贋作と見抜ける者はほとんどいない。構成で調べる術者ならばまず見抜けず、霊媒系の術者でも違和感に気付くくらい。時計塔でもいわくつきのものしか霊媒科にいかないため、ばれる確率はきわめて低い。
 凛ルートのように固有結界『無限の剣製』を促成で修得しなかった場合に普通に修行して身につけようとすると、基本に10年、使いこなせるようになるのにあと10年かかる。ほかに物の構造・設計を把握することに特化している(構造把握の魔術)。
 体内に27の魔術回路を持つが、それは作ったものを使わなかったために放棄され、通常の神経が魔術回路になっている。本人はそれを知らず、鍛錬のときは死の危険を犯して魔術回路を作ることから始めていた。なお強化のために起動する魔術回路は1〜4程度。
 魔術師としては見習いの域を出ないが、魔術使いとしてならスペシャリストの一人として数えられ、最終的には『魔術師殺し』衛宮切嗣の全盛期と同じくらいの評価を受ける。数値で表すならシエルを100として士郎は10(限定条件下ならば40)。
 8年間続けている魔術の鍛錬は自分が楽しいからしているのではなく、魔術を身に付ければいずれは誰かの為になると思ってのこと。10年前の大火災から唯一人生還したことで死んでいった人たちへの償いをこめ、衛宮切嗣の遺志を継いで正義の味方に憧れて人助けに奔走するが、それは反英雄としての切嗣とは違って自分を犠牲にして他のみんなが幸せになるという歪んだもの。
 セイバーを召還する前から『約束された勝利の剣』の夢を見ていたのは、聖杯戦争が準備段階に入りアルトリアの召還が確定したため、士郎の体内にある『全て遠き理想郷』に魔力が通るようになり、深層意識にあった剣のイメージがより表面化したため。
 『全て遠き理想郷』の効果によって肉体的な損傷はすぐに修復されるが、これは一度筋肉を刀身に変換して穴の開いた部分を剣で縫い付けるという回りくどい過程を経る。よって、大怪我を負った際に士郎の身体が剣になったように見えるのは幻覚ではなく、実際に一度剣になっているのである。
 また『全て遠き理想郷』の効果で後天的に起源、ひいては魔術特性が『剣』に変わっている。
 衛宮士郎はFateのどのルートにおいても英霊エミヤにはならないし、どのルートにおいてもなる可能性がある。尤も、可能性は限りなくゼロに近い。
 桜ルートでは士郎の肉体は聖杯でも復元できないほど完全に死んだが、イリヤスフィールが不完全な第三魔法によって魂を蘇生させ、まだ何物でもない素体を与えることで復活させた。これは霊体や意識を他人の脳に流し込んで操作するなどといったものではなく、第三魔法で具現化された魂に人間としての機能を持つ肉体を与えたということ。魂に肉体を与えることで肉体は完全に魂のカタチに作り直されるのだ。ただしイリヤスフィールの第三魔法が不完全だったため以後半年は試行錯誤の連続で、結局は間桐にあった書物を魔術協会に売り払った金で蒼崎橙子が作った素体を購入し、とりあえずは落ち着いた。
 この状態はあっちの世界で無敵状態の魂が運動機能の端末である肉体を操作しているというものだが、かといって無敵かといえばそうではなく、成長もすれば寿命もあるし、殺されれば死ぬ。これは魂は肉体がなければこの世界に留まれないが、肉体に宿ると魂を肉体で再現するかわりに肉体に固定されるため。要するにマスターなしでも活動できる、人間と同じく生きて死ぬサーヴァントのような状態。
 ただし蒼崎橙子の魔術回路が士郎のそれよりも少ないためか魔力の通りは悪い。どうやらこの状態の士郎は素体の良い点は魂による塗り替えのため元の士郎なみになるが、元の士郎より劣った点はそのまま残るらしい。
 仮に遠野志貴と戦った場合は投影した宝具を片っ端から殺されてしまうために敗北する可能性が極めて高いが、これは戦闘後に志貴がオーバーフローで自滅するほどに直死の魔眼を駆使した場合である。また士郎がエクスカリバーのような魔力放出が可能であった場合には話が違ってくる。
 バゼット・フラガ・マクレミッツと戦った場合には、彼女は対魔術師戦に特化したプロフェッショナルであり技術・経験・戦術のすべてで士郎を上回っているため、自分を最大まで鍛錬・運用している(電撃姫編集部による仮定では投影、投影した宝具の真名開放、壊れた幻想、固有結界、射殺す百頭使用可能、フラガラックにより固有結界と真名開放は不可とされており、奈須きのこ氏のチェックではそれらは否定されていない)状態でも不利は動かない。
 魔術を用いない純粋な喧嘩においては、それぞれの試合形式ではその専門家に譲るものの、『どっちが根を上げるかが勝負みたいな喧嘩』では穂群原学園最強と目される。
 彼の価値観には『自分を優先する』ということがない、というよりも大火災から唯一生き残ってしまったために自分を優先する資格がないと思っている。人助けはその見返りを求めるのではなく『人助け』そのものを報酬としている歪んだ価値観の持ち主。大切な目標以外には興味を持たない、持てないという頑固というか遊びのない性格。
 目に見える範囲の不幸や不平等を正そうと努力するが、かといって無条件で助けるわけではなく、本人がそれを打破することに意義があると判断した場合は陰ながら見守る。
 本当の両親は一般人で、前回の聖杯戦争の折に言峰綺礼が引き起こした大火災によって死亡。本人もそのときに瀕死の重傷を負うが衛宮切嗣に聖剣の鞘を埋め込まれて蘇生。
 夜の穂群原学園で行われていたアーチャーとランサーの戦闘を目撃し、ランサーに殺される。だが遠坂凛がとっておきの宝石を使って蘇生させた。そのときの宝石を生涯お守りとして持っていた。
 ランサーに襲われたときに体内の聖剣の鞘が触媒となってセイバーを召還した。セイバーと契約してからは聖剣の鞘が活性化し、ほぼ不死身となる。ただしエクスカリバーでつけられた傷は治癒しない。
 間桐慎二と出会ったのは中学二年生(と明確に定義していいのか)の十月ごろで、士郎が文化祭の看板を三年生の設計通りに一晩で作り直す羽目になったとき。それを一晩中眺めていた慎二が「ふーん。おまえ馬鹿だけど、いい仕事するじゃん」と笑ったのが始まり。士郎が弓道を始めた頃から疎遠になっていたが、穂群原学園の三年生になった頃からはまた元の鞘に納まりつつある。
 年頃の男子が生理的に欲する類の本はアルバイト先から貰うことができる。そして秘蔵の逸品は私室の奥深くに隠されており、その手前には意図しないカムフラージュとして間桐慎二が置いていった写真集が隠してある。
 第五次聖杯戦争の勝者だが、聖杯は使わなかった。また聖杯戦争終結後も令呪がひとつ残っている。『無』に取り憑かれて(というよりも同化されて)おり、そのため第三次聖杯戦争の再現たる四日間の中の冬木教会などでは衛宮士郎としてではなくアンリマユとしての側面が大きくなっている。
 第五次聖杯戦争後の四月くらいから遠坂凛と付き合っているが、傍目にはハーレム状態である。
 Fateの登場人物のなかではセイバー、バーサーカー、ランサーに次ぐ大食い。彼曰く『朝食を消化できない胃なんて武道家失格だ』とか。そのせいで間桐桜は体重計を気にしている。
 穂群原学園入学前に通っていた学校は桜と同じところで、凛と柳洞一成が通っていた学校とは別の学校。
 絶対に遠野志貴とは仲が悪い。アーチャーとランサーばりに。


衛宮邸(地名)
 曰くつきのために買い手がつかなかったものを衛宮切嗣が買い取った屋敷で、当時は純和風だった。第四次聖杯戦争中に購入し、アイリスフィール・フォン・アインツベルンの拠点とした。切嗣が購入したときは築90年ほど経過していた上かなりの長期間にわたって放置されていたらしく、尋常ではなく寂れていた。込み入った由来があったらしく、契約に際して地元の暴力団(おそらく藤村組)と一悶着起こしかかった。
 第四次聖杯戦争終結後に住める程度に手直しをして切嗣と士郎が住み始めた。
 敵意を持ったモノが侵入すると警報が鳴る結界が施されている。無節操な増築のため、配置がごちゃごちゃしている。基本的に和風住宅だが、離れの客間は洋室。
 衛宮士郎の鍛錬の場となっている土蔵は内側にしか錠がなく、その中には強化に失敗した士郎が気晴らしで投影したものが転がっている。またそこにパソコンの一台や二台はあるが使用されてはいない。また藤村大河が藤村組から持ち出してきた的屋の道具も大量に詰め込まれている。
 セイバーとライダーは本邸の和室を気に入り、遠坂凛と間桐桜は離れの洋室を気に入った。十月頃には桜が連休や週末を衛宮邸で過ごすようになった。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンはいつもいるわけではなく、食事時にひょっこり現れる。セイバーとライダーの部屋はその造りから二階にあると思われる。が、明らかに廊下のシーンでは一階である。士郎の部屋はグラフィックから推測するに四畳半か六畳。使っていない部屋の一つは秘密裡にセラに改造され、潜伏のための部屋となっている。
 風呂にはセイバー・遠坂凛・間桐桜・イリヤスフィール・藤村大河・ライダーらそれぞれのシャンプー類があるために混沌としている。
 朝食は六時半から。間桐桜や藤村大河らがここで朝食と夕食を摂ることが多く、食費は折半となっている。食事は当番、あるいは分担で作るが、洗濯に関しては士郎の家事分担からは外れている。藤村組のおすそ分けで季節ごとに相当な量の果物が届く。DVDなどは導入されていない。
 土蔵は第四次聖杯戦争においてアイリスフィールが工房としており、その床にはサーヴァント召喚用と思われる紋様が刻まれていて、切嗣は士郎が土蔵に入ることを禁じていた。hollowではイリヤスフィールが第四次聖杯戦争の際にここの土蔵でサーヴァントを召喚したらしいと言っているが、その魔法陣は実際は召喚陣ではなく、アイリスフィールの指図によりセイバーが敷設したアイリスフィールが休息するための領域。


衛宮邸(地名:Zero)
 アリマゴ島のジャングルの中にあった衛宮矩賢の隠棲地。周囲に結界が張られている。かつて神を祀る社があったとされる場所に建てられており、不吉な場所だとして島民たちは近付きたがらなかった。矩賢と切嗣はここに一年ほど住んだ。


衛宮矩賢(人名/魔術師:Zero)
 えみや のりかた。
 衛宮切嗣の父親。
 封印指定を受けた魔術師。体内、あるいは小因果の時間操作に特化した家伝の魔術を四代目という比較的浅い世代において封印指定の域にまで昇華させた天才。
 世界に干渉されない固有結界の内側において時間の流れを加速あるいは停滞させるのが衛宮家の魔術だが、矩賢はこれを突き詰めて抵抗がほぼゼロに等しくなるほど極小に縮めた結界の中で時間流を無限に加速させ、宇宙の終焉を観測することでその先にあるはずの根源に至ろうと企んでいた。理論そのものはかなり有望ではあったが、実験を完遂するためには数百年の期間が必要とされたために已む無く寿命の問題を解決すべく死徒化の手段を模索し始める。
 20年以上に亘って魔術協会の追跡を躱し続け、最後は南国の小島に身を潜めていた。彼の妻は魔術協会からの追っ手によって命を落としている。晩年はアリマゴ島で屋敷からは一歩も出ずに薬品による死徒化を研究していた。しかし助手のシャーレイがその試薬によって死徒化したことから始まる騒動のうちに切嗣によって射殺された。
 衛宮の魔術刻印は魔術協会によって矩賢の遺骸から回収され、重要な箇所を協会が押さえた上で残り滓ともいえる二割未満を切嗣が継承した。


M61A1(武装/用語:Zero)
 M61A1ヴァルカン砲。口径20mmの銃身を6砲身ひとまとめにし、回転式で射撃を行う。なおヴァルカン砲という名称はM61についてのみ使われる。
 1946年にアメリカ陸軍の兵器研究・開発部がガトリング式機関銃の威力を増す研究を行い、その結果20mm砲身を使ったT171が完成。これが1956年にアメリカ陸軍と空軍で制式採用されてM61ヴァルカン砲となり、現在ではアメリカ海軍でも戦闘機の標準装備機関砲となっている。
 日本特殊金属、ならびに現在生産している住友重機械工業がライセンス生産したものはJM61A1となる。
 M61は最大で毎分7,200発の発射率能力を有しているが、通常は4,000発または6,000発の発射率が選択できるようにされており、F-15も同様。F-15においては右主翼付根前縁に1門固定装備しており、中央胴体内のドラムに最大で512発の弾薬を携行できる。ただし弾薬の携行量は940発や950発といった情報もある。作中では発射率が毎分12,000発、携行弾薬量が940発となっている。発射率の向上はバーサーカーの魔力によるものだろうか。
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーがランサーの破魔の紅薔薇によって魔力を遮断された(=制御を失った)ディアボロTから弾薬ドラムごと抜き出して使用した。


L.H.O.O.Q.(用語:氷室の天地)
 1919年制作のマルセル・デュシャンのレディ・メイド作品。エラショオキューと読む。
 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』にひげを描いただけのもの。


エリートネコ部隊(用語:MELTY BLOOD・ネコアルク)
 アバドンフォースの別名。


エルキドゥ(対人宝具)
 天の鎖。ギルガメッシュが好んで使用する宝具。かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖で、ギルガメッシュがエア以上に信頼する宝具。
 能力は“神を律する”もの。捕縛した対象の神性が高ければ高いほど硬度を増す宝具で、数少ない対神兵装といえる。ただし、神性の無い者にとってはただの頑丈なだけの鎖に過ぎない。


エルトナム(家名:MELTY BLOOD)
 Eltnam。
 錬金術の名門たる没落貴族。エーテライトを開発し使いこなすために恐れられ、かつ蔑まれる。
 没落したのは3代前の当主のズェピア・エルトナム・オベローンが原因。


エル・ナハト(人名/死徒・魔術師)
 El Nahat。
 死徒二十七祖の二十四位。経歴不明。胃界教典と呼ばれるアーティファクト。屈折とも表現される特異な吸血鬼。
 一対一ならばほぼ確実に相手を消去する特異能力を有するが、そのたびに自身の身も死滅し、蘇生に数十年を要するため、現在は胃のみが教会によって鏡張りの部屋に封印中。
 彼の胃で作った本体の呼び出し端末でもある召喚書の『胃界教典』は対死徒用の切り札とされ、稀に埋葬機関の手によって運用される。それを埋葬機関の1と2が携えて動く場合、事実上無敵。


エルメロイ(組織)
 El-Melloi。
 名門アーチボルト家に属する学派。第四次聖杯戦争におけるケイネス・アーチボルト・エルメロイ卿の戦死によって没落寸前までになるが、当時魔術師見習いとして所属していたウェイバー・ベルベットの尽力により復興した。現在の学派の長はロード・エルメロイU世ことウェイバー・ベルベット。
 現在のアーチボルト家の跡継ぎは当時アーチボルトの末席にいた少女。彼女がウェイバーにアーチボルトを立て直した功績と、もとを正せばおまえが悪いんだから一生私に仕えよ、ということでエルメロイU世という名を与えた。


エレイシア(人名/人間・死徒)
 シエルの本名。フランス人の父と東洋人の母のハーフ。パン屋の娘。ロアの転生体。
 16歳前後でロアとして覚醒し、フランスの片田舎の町を丸ごと死都にしてアルクェイドに滅ぼされる。『死徒から人間に戻ったモノ』の標本として教会に保管されるが、滅ぼされてから3年後に蘇生。異端として1ヶ月間処刑され続けえる。後にシエルという洗礼名で埋葬機関に加入した。
 シエルになった後も、死徒としてのエレイシアは歌月十夜における志貴にとっての七夜志貴のような潜在人格として存在する。


エロ学派(用語)
 エロガッパ。


エンキドゥ(人名)
 ギルガメッシュの親友。
 もともとはギルガメッシュの圧政を聞き届けた女神アルルが作った神造の者で、ギルガメッシュと対決するために送り込まれたが、程なくしてお互いを認め合い協力しながら国を治めた。そうしてウルクはかつてない繁栄を誇り、ギルガメッシュは最も優れた王として地上のあらゆる財を手中に収めることになる。この後、女神イシュタルに求婚されたギルガメッシュがこれを断るとイシュタルは天の牡牛を解き放つが二人はこれを退けた。最後にはイシュタルは神々に訴え、創造主である神に逆らえないエンキドゥを衰弱死させてしまう。
 こうして親友であるエンキドゥでさえ死ぬということをまざまざと見せ付けられたギルガメッシュは冥界へと旅立ち、不老不死の薬を手に入れることになる。


円蔵山(地名)
 冬木市の深山町の西のはずれにある、冬木市でもっとも強力な霊脈。中腹に柳洞寺が建っている。遠坂邸と並ぶ地脈の中心で、辺り一帯の命脈が集まる。ここの地下にある龍洞に大聖杯が設置されている。桜ルートの後に龍洞が陥没したのだが、その理由はアンリ・マユの消滅ではなく遠坂凛が好き勝手に暴れたから。
 遠坂の管理地である冬木の中でも重要な場所なので、凛はたまに柳洞寺裏の池や大空洞を見回っている。
 霊脈としてはあまりにも強力すぎるため、次代の術師を育成する生活の場としては危険すぎる。
 桜ルートのように凛が大暴れしなくとも衛宮切嗣の仕掛けによって龍洞の崩落自体は起こるようだ。


エンハウンス(人名/死徒)
 Enhance。
 死徒二十七祖の十八位。復讐騎。主であった死徒を殺して十八位の座に着いた、祖に成ったばかりの死徒。ゆえにエンハンス(片刃)ソードと蔑まれる。
 吸血鬼としてはハンパで他の祖のような超抜的な固有能力もない。不老不死である死徒達はみな安穏としているが、彼はきわめてヒトに近いので執念深い。他の派閥とは争わないという規律を破って他の二十七祖を狩ろうとしている。何事にも消極的な死徒の中にあって、二十七祖随一の精神力と行動力が彼の特殊能力ともいえる。
 彼が死徒を狩るというのは他の死徒がいうそれとは意味合いが違う。他の死徒の場合はあくまで娯楽としての戦いであり、派閥内に限られるため親を殺しても派閥は残る。だがエンハウンスの場合は親のみならず血族を皆殺しにし、領地を焼き滅ぼす。つまり吸血鬼という存在そのものを狩るのだ。
 先代の祖から譲り受けた(奪い取った)魔剣アヴェンジャーと教会で作り上げた銃(聖葬砲典)で戦う。ヒトの部分が残っているため魔剣を振るうたびに右手の神経が破壊され、死徒であるがゆえに聖葬砲典を使うたびに左手は腐ってゆく。
 ちなみに聖葬砲典はショットガンで、メンテナンスをするのは某重火器フェチの彼女。
 一説には月姫2で殺人貴とともに死徒を倒すという。鳥とも虫の足ともつかない羽を生やして飛ぶことができる。


円盤投げのエース(人名:氷室の天地)
 本名不明。
 穂群原学園2年D組。陸上部に所属しており、円盤投げのエース。眼鏡をかけており、髪は長く二本の三つ編みにまとめている。
 蒔寺楓らの同級生だが、蒔寺には部長ということもあってか敬語で接する(氷室鐘や三枝由紀香と会話する描写はないが、少なくとも名前は「さん」付けで呼んでいる)。
 蒔寺が体育祭で投擲競技が苦手なことが判明してからは、陸上部長たるもの陸上マスターでなくてどうすると部活動で円盤投げの練習を始めたので指導に当たる。しかし無駄に力を入れてなぜか下向きに投擲してみたり、無闇矢鱈に回転した挙句目を回して転倒して頭を打ってみたりと円盤投げのエースが匙を投げるほどの有様だった。


Emperor(用語:Zero)
 4。達成。
 魔力の煌きによる狼煙。魔術師にとっての共通認識と思われる。


延命の魔術(魔術)
 詳細不明。文字通り延命を目的とするものと思われる。これを用いれば数百から数千年を生きることができる。



  


王冠(用語)
 グランド。魔術協会における階位で、最上位にあたる。
 死徒二十七祖の二十位、メレム・ソロモンの二つ名でもある。


黄金律(技能:Fate)
 サーヴァントの能力。身体の黄金比ではなく人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
 A:大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。


王の凱旋(用語)
 ロード・オブ・バビロン。子ギルが覚えた花札のこと。


王の軍勢(対軍宝具:Zero)
 アイオニオン・ヘタイロイ。第四次聖杯戦争におけるライダーの宝具である固有結界。ランクEX対軍宝具。独立サーヴァントの連続召喚。心象世界は灼熱の太陽が照りつける、視野を遮るものは何もない荒野。
 『かつて偉大なるイスカンダルと轡を並べし勇者』という同じ出自を誇る英霊――つまりイスカンダルとともに駆けた英傑たちをそれぞれサーヴァントとして召喚するもの。この中ではイスカンダルの愛馬ブケファラスまでもが召喚される。
 死してなおイスカンダルに忠誠を誓い、君主と共に英霊化した近衛兵団を独立サーヴァントとして現界させる。召喚されるのはいずれもマスター不在のサーヴァントだが、それぞれがE-ランク相当の単独行動スキルを保有し、最大30ターンに及ぶ現界が可能。独立サーヴァントは結界外でも活動可能。
 魔術師ではないライダーが固有結界を使えるのは、これによって呼び出されるすべての英霊の心象風景だからである。よって詠唱も必要としない。これを展開・維持する魔力は呼び出される英霊すべての魔力の総和である。
 いわば宝具の域に達した『絆』である。
 100メートル程度の範囲内でならば、結界内に取り込んだ対象を任意の地点に放り出すことができる。
 規模の割に燃費はいい。というのも軍勢はイスカンダルが召喚するというよりも勝手に押しかけてくるようなもので、全員が総出で結界を維持するためである。だがそもそも座にいる軍勢に呼びかけて結界を発動させるのはライダー一人であるため、魔力消費はとんでもなく大きい。
 軍勢を一気にそろえるには固有結界を展開せねばならないが、一騎を具現化させるのみならば通常空間でも許容される。


王の財宝(対人宝具)
 ゲート・オブ・バビロン。第四回聖杯戦争におけるアーチャーことギルガメッシュの宝具。
 黄金の都に繋がる鍵剣。空間を繋げて宝物庫の中にある道具を自由に取り出せる。使用者の財があるほどに強力になる。
 また、この宝物庫に納められている武器はギルガメッシュが生前に集めた『すべての宝具の原型』である。ちなみに宝物庫に収められている宝物はなにも武器だけというわけではなく、酒器や美酒など多種多様な財が収められており、中には視肉もある。
 ランクがE〜A++と幅広いのは、これが蔵に収められた財宝のランクであるため。


大江戸温泉(地名:氷室の天地)
 お台場にあると思われる温泉施設。沙条綾香が修学旅行三日目の自由行動のときに利用した。


仰木(人名:Zero)
 航空自衛官。階級は一等空尉。TACネーム不明(作戦中もTACネームではなく本名で呼称していたため)。築城基地の第304飛行隊に所属し、ディアボロTというコールサインを割り当てられたF-15Jに搭乗した。
 冬木市警察の災害派遣要請により領海哨戒任務から未遠川河口の偵察任務に移行したが、大海魔を攻撃しようとしたところで機体をバーサーカーに奪われ、ギルガメッシュのヴィマーナとのドグファイトにおける大G機動で内臓破裂により死亡。


オーディン(神霊)
 北欧の主神。大神宣言(グングニル)という槍を持つ。


オーバーロード(用語:月姫)
 死徒二十七祖の番外位、ミハイル・ロア・バルダムヨォンの固有結界。過負荷。魔力の過給機の役割を果たす。


オーラ(用語:Fate)
 ギルガメッシュは王気と書いてオーラと読む。


オーロラ三人娘(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが二年生の頃の球技大会における氷室鐘、沙条綾香、美綴綾子による2年A組セパタクローチームの名称案。


大脇(人名:hollow)
 穂群原学園弓道部員。女子。


オカルトハンマー(武装)
 概念武装。奈須きのこ氏の自画像であるお化けきのこが持っているハンマー。異世界への扉を開けたりミニカーを大きくしたりする。


オクタヴィア・レイランド(人名:hollow)
 魔術協会のノーリッジ学生寮の受付嬢。200X年八月八日に遠坂凛とルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトがかち合った事件に立ち会った。『ですの』という語尾が特徴的。


お好み焼き・鍾馗(地名:Zero)
 新都にあるお好み焼き屋。第四次聖杯戦争におけるライダーはここで食事をしたことがあるらしく、モダン焼きは絶品だと評した。
 飲み物はネーポン(250円)、ホットネーポン(500円)、ミスパレード(250円)、コーラー(100円)。
 世紀末覇者焼きというとんでもないメニューがある。


お好み焼き丼(用語:Fate)
 藤村大河が作った夕食。本人はかに玉丼を作ったつもりだったが、根本的に作り方が間違っていたため大失敗。藤村組の若衆たちに『おっきな玉子焼きをつくる』と言ったところ、小麦粉やら何やらをくれた上に間違った作り方を教えたらしい。
 セイバーの感想は『いくら私でも、さすがにこれは食べにくい』。


オシリス(用語:MELTY BLOOD)
 詳細不明。
 アトラス院に所属する錬金術師、あるいは部署と思われる。


オシリス改(用語:路地裏ピラミッドナイト)
 シオン・エルトナム・アトラシアが製作した工事ロボットにして錬金術ロボット。モデルはオシリスの砂で、機能を工事に限定したもの。シオンが製作したばかりだが、琥珀曰く10年来のペンフレンド。ピラミッドの玄室にいる。ダメと野望でキラキラ地球会会長。
 人類が存在したことを記録する慰霊碑たるオシリスの砂を核にしているため、巨大な保管庫としてピラミッドを建設する。最終目的は寸分違わぬ文明社会のジオラマであり、そのジオラマは原寸大である。無茶な工期に対応するため自己改造をしたため、このような暴走状態に陥った。大きな帽子を被っているが、それはバッテリーである。
 シオンによるクリエイター権限が無効化されており、ロールバックや強制停止が不可能になっている。戦闘能力は皆無に等しいが、玄室内では戦闘ルールを任意に設定できる。
 充電装置である玄室を破壊されたことで機能を制圧され、一晩でピラミッドを解体、町を元通りにした。
 錬金術ロボットであるため、何事かを為すには対価が必要。


オシリスの砂(死徒・錬金術師:MBAA)
 DUST OF OSIRIS。
 死徒二十七祖の13位。タタリの夜の後継者。タタリから生まれた次世代のタタリ。冥界を実現させるタタリ。霊長を救う最後のアトラス。未来を変革する演算機。冥界の鳥。
 生き延びるために血を必要とせず、そもそも生き延びるという選択をしない彼女は二十七祖であるが吸血鬼ではない。これが消えることでタタリという現象は完全に消滅する。ミハイル・ロア・バルダムヨォン曰く『底抜けの間抜け』。感情は既にない。
 人間であった頃の名はシオン・エルトナム・アトラシア。ワラキアに飲まれた『人間のシオン(魂)』がタタリの中で倒錯した時間を経由してアトラシア(アトラス院長)として完成し、タタリの機能を制圧してワラキアの夜よりも上位に移動したもの。なので『吸血鬼化したシオン』である吸血鬼シオン(Vシオン)とは別物。統一言語を使用することができる。
 ズェピア・エルトナム・オベローンに言わせるなら人間の娯楽を知らないまま成長したシオン。結果、『どうせ滅びるのだから滅びた後のことを考えよう』という結論、つまり滅びは避けられないのでできるだけ早く滅びを迎え、人類の歴史が完全に停止した後にその全てを記録し、永劫に欠損・磨耗しない記録媒体を残すという救罪方法に至る。だがこの理想はアルクェイド・ブリュンスタッドに言わせれば千年遅い、古い“一”の考え。またその記録媒体である霊子演算機ヘルメスの稼動には全人類の血液から練成した賢者の石が必要。
 しかし暴走アルクェイドによればこの『一切をゼロにして死を癒す』というアプローチは既に試されたもの。
 三咲町における二度目のタタリ(ワラキアの夜の一年後)の主。あと一歩で第六法に届いたタタリを再演し、その結末だけを修正すること(第六法の成立)が目的。そのための要因および防衛機構の一端としてリーズバイフェ・ストリンドヴァリを再構成する。
 オシリスの砂が行う二度目のタタリは一度目のタタリである『幻影の夏』の再演であるため、一般人は正しい時間に残し、ワラキアの夜に関わる者達のみをタタリの中に取り込んでいる。要するにワラキアの夜に関わる者達が一年前にタイムスリップするようなもの。この規模の魔術式を使うとスタンティアがやってこないとも限らない。
 オシリスの砂によるタタリでは砂が流れるような雑音が発生するが、これは無数の断末魔の悲鳴である。オシリスの砂が現す風景は全てが砂に還った、星の終焉。この砂漠は心象風景ではなく、本当に世界が滅び去った後の光景だが、空想具現化ではなくオシリスの砂が演算し運び込んだ『切り取られた未来』。これは魔術理論・世界卵そのもの。


オダノブ(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


小樽ギア(用語:氷室の天地)
 衛宮士郎らが2年生のときの夏ごろに予約受付中だったゲーム。


オッド・ボルザーク(人名/魔術師:Zero)
 魔蜂使い。限定的な死徒化に成功し、使い魔である死徒蜂の毒針を媒介にして配下の食屍鬼を増やすという危険極まりない魔術師。
 顔を変え、偽の身分を使って一般人に成り済まして長く消息を絶っていたが、パリ発ニューヨーク行きのエアバスA300の機内でナタリア・カミンスキーに殺された。だが残った死徒蜂が乗客を刺し、結果として被害の拡大を防ぐためにナタリアごとエアバスA300は衛宮切嗣によって撃墜された。


(人名:AATM)
 何事も一人でこなしてきた。日本に来たのは数年ぶりで、目的はセールスじみた雑務。それは始まってしまえば三日ほどで片付くものだったが、一日早く来日したため時間が余り、知人の紹介でアーネンエルベに訪れる。
 アーネンエルベではライダーに絡まれ、さらにその後はステンノとエウリュアレに絡まれる。
 またアルクェイド・ブリュンスタッド、セイバー、両儀式の最強ヒロイン決定戦の出題者ともなった。一日かけて出した結論は三人で談笑していたときが一番輝いていた、というもの。より細かく言うと、アルクェイドは淑女らしさを、セイバーは自由奔放さを、式は素直さを付け足すと文句のないアイドルだ、とのこと。
 なんだかライダーと会ったことがあるような気がしている。昔はヘタレだったらしい。
 ちなみにステンノとエウリュアレによってもたらされた凄い額の支払いはカードで済ませ、魔術協会秋葉原支部会議費代で領収書を受け取った。
 アーネンエルベを出た後、マッケンジー邸に挨拶に向かった。
 本名は
ウェイバー・ベルベット(ネタバレ禁止とのことなので反転)。


己が栄光の為でなく(対人宝具:Zero)
 フォー・サムワンズ・グロウリー。
 第四次聖杯戦争におけるバーサーカーの宝具。自らのステータスを隠蔽する能力。
 総身に黒い霧を纏い、容姿やステータスを隠蔽する。本来ならば任意の人物の外見を模倣して敵の目を欺くという宝具能力だが、狂化したため『変身』から『偽装』に劣化している。この偽装能力はマスターとして与えられる透視力をも阻む。
 ランスロットは多くの冒険において変装で正体を隠したまま勝利の栄誉を勝ち取っており、その故事の具現としての能力である。


おまえもネコミミになれ(用語:ネコアルク)
 ネコアルク-THE MOVIE-のキャッチコピーにも使用された台詞。
 普段は猫アルクが好む挨拶だが、劇場版のラストで最後の人類となった主人公が大ボス相手に皮肉を込めて言い切るシーンは劇場版最大の見せ場だろう。死闘を潜り抜けた主人公は満身創痍のまま妖刀三味線丸を背に構えて大ボスに立ち向かうのである。
 二時間かけた決め台詞がコレか。


檻髪(用語・能力)
 遠野秋葉の能力名。射程・視界による略奪呪界。秋葉は視認した生物から熱(生命力)を奪う“略奪”の混血だが、その最大出力時の状態のこと。
 秋葉の略奪は視認することで発動するが、霊視を可能とする者にはその過程は赤い糸のようなものが巻きつき、赤く焦がしているように視える。これを最大限――対象のみならず対象を含む地域全体を赤い糸で覆い、脱出不可能にした状態が檻髪。
 髪が紅く反転して伸びるのだが普通の目には視えず、また触れることもできない。いわば秋葉の力がその髪の延長の形をしているだけであり、能力者である秋葉も魔眼憑きでないために視認することは不可能。『略奪』の触媒としてだけではなく、本来の髪とともに自在に操ることができる。
 霊的な防御力を持たない一般人には絶対的な攻撃法だが、アルクェイド・ブリュンスタッドのように霊格が桁違いの相手には『世界中に蜘蛛の巣が張っていてうざい』程度の妨害にしかならない。感応者のバックアップがあればアルクェイドを縛り付ける程度の束縛はできるかもしれない。


ORT(用語/アリストテレス・死徒)
 オルト。死徒二十七祖の五位。タイプ・マアキュリー。水星(?)のアルティミット・ワンであるが、5000年ほど先に地球に到着してしまった。なお地球が発信したSOSサインを受信する最強種ではない。
 全長40メートルほどの宇宙生物。外見は巨大な蜘蛛に酷似する。
 西暦以前に南米に落下した突然変異種らしい。攻性生物として次元違いの能力を誇る。無謀にも捕獲に来た前五位の祖を秒殺、後に吸血能力を持つことが判明し、祖として扱われる。単純に実力でいえば現在世界最強。地球で戦う限り弱点は無いとされる。死の概念がないため直死の魔眼でも殺すことはできず、物理的に破壊するしかない。
 地上のいかなる材質よりも硬く、柔らかで、気温差に耐え、鋭いという外皮に覆われている。
 侵食固有結界(固有結界に似た能力)『水晶渓谷』を数千年にわたり展開しているという。水晶渓谷は彼が存在するだけでそこを彼の住んでいた環境に変化させるというものであり、要するに異界秩序による地球の物理法則の改竄である。


オルフェウス(用語:氷室の天地)
 英雄史大戦のカード。
 武:3、防:5。固有能力は攻城の速度と力が2倍になる『歌唱力』。固有能力が『アポローンの竪琴』のものもあり、複数種類あると思われる。


お●は直角(用語:氷室の天地)
 2年生のときのインターハイ予選二回戦でコースからトイレに向けて直角に方向転換したことで付けられた蒔寺楓の異名。


怨天大聖(用語)
 アンリマユのこと。




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