アサシン(サーヴァント)
 身長150cm。体重45kg。
 相良豹馬に召喚され、六導玲霞と契約した暗殺者のサーヴァント。真名はジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)。宝具は『解体聖母(Maria the Ripper)』と『暗黒霧都(The Mist)』。属性は混沌・悪。六本のナイフを腰に装備するほか、太股のポーチのようなところに黒いメスなどを収納している。
 肌の露出が多い衣装を纏った、短めの銀髪にアイスブルーの瞳の少女。性格は純粋にして残酷。あどけない口調ながら頭の回転は速い。理性はあるが精神的に破綻している。他者の悪意に対しては残酷に応じるが、好意には脆い。露出度の高い衣装を着ているが恥ずかしがりで、昼間は出歩こうとしない。母親に対する強烈な憧れを持っている。
 人血で描いた魔法陣のみを用いた一度目の儀式での召喚は失敗し、人血の魔法陣に加えて触媒であるナイフによる六導玲霞の殺害を加えた二度目の儀式で召喚に成功した。しかし召喚成功の直前に豹馬の呼びかけよりも玲霞の『死にたくない』という願いに強く惹かれ、玲霞のサーヴァントとして現界する。玲霞のことは『マスター』と『おかあさん』が重なったような不思議な発音で呼ぶ。これは玲霞に限ったことではなく、マスターが女性の場合は問答無用で『おかあさん』と呼ぶ。
 正体は数万以上の見捨てられた子供たちの怨念で、強烈な胎内回帰願望を持つ。玲霞の願望はアサシンが召喚されて命を救われた時点で叶っていたのだが、玲霞はアサシンの胎内回帰願望を叶えるために聖杯戦争への参加を承諾する。
 魔術師ではない玲霞からの魔力供給は望めないため、人の魂を食らうことで魔力を補給する。それも、彼女の属性が混沌・悪であるため、同質の魂、つまり悪人の魂のほうが美味で消化がいい。また魂を食うだけでなく、美味とは感じないが血も吸うことができる。そのため、吸血種の定義に合致する。
 食事のために株式会社赤上ファイナンスを暗黒霧都で襲い、一人残らず殺し尽くした。
 気配遮断スキルの『攻撃態勢に移るとランクが低下する』という欠点は霧夜の殺人スキルによって補われ、完璧な奇襲を可能とする。
 精神汚染スキルはマスターが悪の属性を持っていたり、彼女に残酷な仕打ちをしたりすることで段階を追って上昇していくが、ただでさえ破綻している彼女の精神は取り返しの付かない状態まで退廃していくことになる。

 クラス別能力は以下の通り。
 気配遮断:A+…サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 保有スキルは以下の通り。
 霧夜の殺人:A…夜にのみ相手に対して無条件で先手を取ることができる。昼の場合は幸運判定が必要。
 情報抹消:B…対戦終了の瞬間に目撃者と対戦相手の記憶・記録から彼女の能力、真名、外見的特徴などの情報が消失する。対戦が白昼堂々であっても、カメラなどの機械的な記録であっても効果は変わらない。これに対抗するには現場に残された証拠から論理と分析によって正体を導かなければならない。
 精神汚染:C…精神干渉系魔術を中確率でシャットアウトする。
 外科手術:E…見た目は保障されないが、とりあえず何とかなる。120年前の技術であるが、魔力の上乗せによっていくらかはマシになっている。
 狂化:C…バーサーカーとして召喚された場合に得る。バーサーカーとして召喚された彼女は夜にのみ活動し、常時『暗黒霧都』を発動して魔力を持つ者を片っ端から追っていく。アサシンとして召喚されたので保有していない。


暗黒霧都(宝具)
 The Mist。
 アサシン(ジャック・ザ・リッパー)の宝具。
 霧の結界を張る結界宝具。産業革命の後の1950年代、ロンドンを襲った膨大な煤煙によって引き起こされた硫酸の霧による大災害を再現する宝具。骨董品のようなランタンから発生させるのだが、発生させたスモッグ自体が宝具である。このスモッグには指向性があり、一帯をスモッグで覆った中でマスターの周囲だけを空白地帯にすることができる。
 強酸性のスモッグであり、呼吸するだけで肺を焼き、目を開くだけで眼球を爛れさせる。人払いとはいうものの、魔術師ならばダメージを受け続け、一般人ならば数ターン以内に死亡する。英霊ならばダメージを受けないが、敏捷がワンランク低下する。
 霧によって方向感覚が失われるため、脱出にはBランク以上の直感、あるいは何らかの魔術行使が必要になる。
 霧の中にいる誰に効果を与え、誰に効果を与えないかは宝具の使用者が選択できる。


解体聖母(宝具)
 Maria the Ripper。
 アサシン(ジャック・ザ・リッパー)の宝具。
 通常はランクDの4本のナイフだが、条件を揃える事で当時ロンドンの貧民街に8万人いたという娼婦達が生活のために切り捨てた子供たちの怨念が上乗せされ、凶悪な効果を発揮する。
 条件とは『夜である』『対象が女性(雌)である』『霧が出ている』の三つで、これを全て揃ったときに宝具を使用すると対象の身体の中身を問答無用で体外に弾き出し、解体された死体にする。条件が揃っていない場合は単純なダメージを与えるのみだが、条件が一つ揃うごとに威力は増していく。
 この宝具はナイフによる攻撃ではなく呪いであるため、遠距離でも使用可能。この効果を防ぐには物理的な防御力ではなく呪いへの耐性が必要となる。


株式会社赤上ファイナンス(組織)
 新宿、あるいはその近傍に所在すると思われる闇金融業者。雑居ビルの4階をワンフロアまるまる使用している。
 この会社が掲載された雑誌の記事を六導玲霞がたまたま読んだため、アサシンの食事のために暗黒霧都を用いて一人残らず殺しつくされた。


狂化(技能)
 バーサーカーのクラス別技能。理性と引き換えにパラメータをランクアップさせる。
 B:パラメータをランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。
 C:幸運と魔力を除いたパラメーターをランクアップさせるが、言語能力を失い複雑な思考ができなくなる。


霧夜の殺人(技能)
 アサシン(ジャック・ザ・リッパー)のスキル。夜にのみ相手に対して無条件で先手を取ることができる。昼の場合は幸運判定が必要。


外科手術(技能)
 外科治療の技能。自身とマスターの治療ができる。
 E:見た目は保障されないが、とりあえず何とかなる。120年前の技術であるが、魔力の上乗せによっていくらかはマシになっている。


気配遮断(技能)
 気配を絶つ技能。アサシンのクラス別能力。
 A+:サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
 D:サーヴァントとしての気配を絶つ。


相良豹馬(人名/魔術師)
 さがら ひょうま。
 聖杯戦争に参加するためにアサシンのサーヴァントを召喚した魔術師にして、ヒカルという源氏名を使うホスト。彼の一族は暗示や潜伏といった地味な力に特化しており、他の魔術師からはネズミと嘲られていた。彼自身の力量も二流である。
 アサシンを召喚するために雑居ビルの屋上でかの連続殺人鬼が愛用したという六本の業物と人血で描いた魔法陣を用いて召喚の儀式を行ったが、失敗。そこで彼が新宿に潜り込むために暗示を掛けて利用していた六導玲霞を殺害することで儀式を補強しようと試みる。その試みは成功したのだが、アサシンが召喚される直前に豹馬の呼びかけよりも玲霞の『生きたい』という切実な願いに強く反応し、令呪こそ豹馬に宿ったままであったが、アサシンは玲霞のサーヴァントとして現界するに至った。
 しかしアサシンの態度に危険を感じて令呪によって自害を命じようとするが、アサシンによって下顎を切り落とすことによる発話機能の除去、つまり呪文の詠唱を必要とする令呪の発動を初めとした魔術行使の不可能化が為され、令呪を剥ぎ取られ、最終的にアサシンに食われて死亡した。その亡骸は完全に干からびて落ち葉の山のようになっており、ゴミ袋に詰められて処分された。
 なお、彼が聖杯戦争の仕組みに逆らってアサシンのサーヴァントとしてジャック・ザ・リッパーを召喚しようとしたのは、彼のサーヴァントとして相応しいのはアサシンであるが、仕組み通りにハサン・サッバーハを召喚してはアサシンであることを知られた時点で対策が立てられてしまうためである。


The Mist(宝具)
 →暗黒霧都


情報抹消(技能)
 アサシン(ジャック・ザ・リッパー)のスキル。
 対戦終了の瞬間に目撃者と対戦相手の記憶・記録から彼女の能力、真名、外見的特徴などの情報が消失する。対戦が白昼堂々であっても、カメラなどの機械的な記録であっても効果は変わらない。これに対抗するには現場に残された証拠から論理と分析によって正体を導かなければならない。
 B:アサシン(ジャック・ザ・リッパー)。


精神汚染(技能)
 精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をランクに応じてシャットアウトする。ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。
 A…第四次聖杯戦争におけるキャスター。精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。
 C…アサシン(ジャック・ザ・リッパー)。精神干渉系魔術を中確率でシャットアウトする。


聖杯戦争(用語)
 冬木の聖杯戦争と違い、参加するマスターとサーヴァントの組は14組。そのため冬木の聖杯戦争よりも一人当たりへの聖杯のバックアップが弱くなり、サーヴァントの召喚が難しくなっている。
 なお第四次聖杯戦争の後であるが、この聖杯戦争が第五次聖杯戦争の後であるのか、あるいはこの聖杯戦争が第五次聖杯戦争であるのかは不明。開催される土地も不明。


Maria the Ripper(宝具)
 →解体聖母


村野(人名)
 株式会社赤上ファイナンスに借金をしている人物。苛酷な取立てを受けていた。


六導玲霞(人名)
 りくどう れいか。
 23歳。新宿で生活する娼婦。もともと生きるという自覚が希薄だった。
 幼い頃から家族はおらず、養子に出された先では虐待を受けていた。
 相良豹馬に暗示を掛けられて彼が新宿に潜り込むために同棲相手として利用され、さらにはアサシンのサーヴァント召喚のための儀式の一環として殺害されそうになる。しかしあと少しで死ぬという時に豹馬が召喚したアサシンが玲霞の『死にたくない』という強い願いに反応して玲霞のサーヴァントとして現界し、彼女の治療を受けることで一命を取り留める。
 豹馬が死んだら消えてしまう令呪を『もったいないから』という理由で自分に移植する。それからアサシンと対話し、自分の『死にたくない』という願いは既に叶っていたのだが、アサシンの『母親の胎内に還りたい』という願いを叶えるために聖杯戦争への参加を承諾する。しかし魔術師ではないため自分からアサシンへの魔力供給が行えず、そのためアサシンが糧とするために人を殺すことを承諾する。
 自分の命にも他人の命にも価値を見出せていない。彼女は罪にならず、自分以外の誰も悲しまないのならば人を殺すことにまったく躊躇がない。人としての倫理観は持ち合わせてはいるもののそれも破綻気味で、精神汚染ランクCのアサシンと意思疎通ができるため、Cランク相当の精神汚染を保有していると思われる。魔術師としての才能は皆無だが、アサシンとの相性は最高。